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国立大学独立行政法人化問題週報

Weekly Reports  No.94 2002.7.28 Ver 1.01

http://ac-net.org/wr/wr-94.html
総目次:http://ac-net.org/wr/all.html
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                             目  次
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[94-0] 内容紹介
 [94-0-1] 「不安を煽るな」という財務大臣の言
 [94-0-2] 「住基ネット」凍結を求める圧倒的世論を行政は黙殺できるか。
 [94-0-3] 分散化が不可欠な住基ネット。
 [94-0-4] 改正住民基本台帳法と国立大学の独立行政法人化
 [94-0-5] 行政指導を巡る国会での質疑
 [94-0-6] 今期国会に見る、新しい動き。
 [94-0-7] 「未然の可能性」
[94-1] 独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局声明2002.7.26
[94-2] 国立大学独立行政法人化阻止 全国ネットワークアンケート
 [94-2-1] 学長へのアンケート「4/19国大協臨時総会決定についてのお尋ね」
 [94-2-2] 豊島耕一氏の呼び掛け
  [94-2-2-1]1.独法化は高等教育分野での「大政翼賛会」
  [94-2-2-2]2.「対案がない」「時間がない」
  [94-2-2-3]3.ユネスコへの意見具申
[94-3] 国大協意見書 
 [94-3-1] 大学評価・学位授与機構長宛(2002.7.2)
 [94-3-2] 「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」についての意見
 [94-3-3] 「大学院における高度専門職業人養成について」に対する意見
[94-4] 国大協総会(2002.6.11-12),国立大学学長会議(6.13)
 [94-4-1]会議録
 [94-4-2]国立大学長会議(2002/06/13)における文部科学大臣挨拶要旨
[94-5]  衆議院文部科学委員会2002.7.3 議事録より
 [94-5-1]  国立大学附属病院薬剤部設置規則廃止に関する三井議員の質疑
  [94-5-1-1] 櫻井よしこ「大学病院を食い物にする文部科学省の恫喝行政ーー
  [94-5-1-2] 新藤宗幸著「行政指導−−官庁と業界のあいだ」岩波新書 
 [94-5-2]  国立大学法人化準備「指示」に関する石井議員の質疑
[94-6]喜多村和之(私学高等教育研究所主幹)「一人歩きする評価―IMD世
[94-7] 住基ネット
 [94-7-1]  国民共通番号制に反対する会
 [94-7-2]  Yahoo!アンケート「政府は住基ネットを8月5日稼働方針。どう思う?」
 [94-7-3]  住基ネット、76%が「延期」望む 本社世論調査
 [94-7-4]  <住基ネット>大学教授らが国など提訴 プライバシーの侵害
 [94-7-5]  (ZDNet 2002.7.25) 自治体サーバは危ない?
 [94-7-6]  東京・国分寺市も「住基ネット」離脱方針(読売新聞2002.7.25)
 [94-7-7]  住基ネット:福島県矢祭町が離脱表明 全国で初
 [94-7-8]  長谷川 博「改正住民基本台帳法の問題点」1999.9.9
 [94-7-9]  ボストン便り:「住基ネット」とSSN(ソーシャル.セキュリテイ.ナンバ)
[94-8]  有事に国民の思想・良心・信仰の自由に制約も 官房長官
[94-9]  長谷川浩司氏ウェブサイト「最近の動き」
[94-10]  パウロ・フレイレ「希望の教育学」(里美実訳、太郎次郎社)
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内容紹介

[94-0-1] 「不安を煽るな」という財務大臣の言 7月14日(日)、TV番組の討論に塩川財務大臣が加っていた。経済学者の金子 勝氏が現政権の経済政策についてリスクを具体的に指摘していると、塩川氏が 「不安を煽るようなことをやめてくださいよ」と血相をかえて何度も繰り返し、 議論は途絶えた。正常不安まで抱かせまいとして情報操作を行なう姿勢は、国 民の不安の主因ではないか。

[94-0-2] 「住基ネット」凍結を求める圧倒的世論を行政は黙殺できるか。 一方、セキュリティの面から実施に踏み切れるような状況にはないことがIT 技術者が再三指摘している[94-7-5]中で「住基ネット」が8月5日に見切り発車 しかねない状況にある。しかし、櫻井よしこ氏[94-7-1]を中心として、著名な 方々の真摯な反対運動により国民の大多数は住基ネット実施に正当な危惧を抱 くようなっている[94-7-3]。たとえば、7 月23日からのヤフーのネット投票 [94-7-2]では、27 日現在で、3816票中90% の3447 票が凍結をもとめている. また、福島県矢祭町の離脱宣言[94-7-6]がきっかけとなって、離脱の意思を表 明する自治体が少しずつでてきている。また、弓削達東大名誉教授や、ジャー ナリスト斎藤貴男氏ら6人がプライバシー侵害で、国や地方自治情報センター 等に対し、処理事務の差し止めの訴訟を起こした[94-7-4]。また、野党が住基 ネット凍結法案を国会に提出する予定で自民党議員も独自の凍結法案を提出す る動きもある。しかし、会期末が迫るなかで時間が残っているかどうか不明だ。 また、札幌市長のように「準備をきちんとしてきた自治体にとっては、住基ネッ ト実施延期は迷惑だ」というような、実務的なこと以外には何の関心もない首 長を持つ自治体も少なくないだろう。

[94-0-3] 分散化が不可欠な住基ネット。 なお、セキュリティが万全ならば住基ネットを実施してよい、というわけでは ない。国民全員を網羅する電子的な単一データベースが存在するとき、それを 社会統制に使う誘惑に長期間にわたって耐えうる権力はあるのだろうか[94-8]。 中央省庁にデータが集中する情報構造をさらに強固なものとすることは、実質 的な地方分権化の可能性を打ち碎くものであろう。電子的な情報を分散的に管 理している欧米の知恵を学ぶべきであろう。

[94-0-4] 改正住民基本台帳法と国立大学の独立行政法人化 3年前、通信傍受法、改正住民基本台帳法、周辺事態法、など、近未来の日本 に生活する大半の人々にとって重荷となることが明白な法律群を複数同時に国 会審議にかけ、国民が関心を持つひまを与えずに国会を通過[94-7-8]させた、 政治技法に発行者は恐れを感じた。それが、国立大学の独立行政法人化政策に 関心を持つ契機の一つとなった。 この政策も、真の意図と数々の危険性を、「大学改革」の名の下に隠蔽し、大 半の大学関係者と国民の目を盗むようにして決められようとしていた。3年を 経過した現在もなお、この地味な問題に関心を寄せる人は少なく、当初の独立 行政法人化よりはるかに悪質な「国立大学法人化」案の実現に向けて、各国立 大学は準備を強いられている[94-5-2]

[94-0-5] 行政指導を巡る、国会での質疑 国会では、法人化に関連した、文部科学省の行政指導について質疑が行なわれ ている。 附属病院の薬剤部設置を義務付けていた、(文部科学省令)国立大学設置法施 行規則の第18 条が廃止された。この件に関連して三井議員が国会で質問した ために、来年度概算要求で大学附属病院薬剤部の要求は一切認められなくなる 懸念が生じた、と思われる点について、質している[94-5-1]。しかし行政指導 [94-5-1-2] の性質上、理由はいくらでも用意できるので「報復の事実はない」 と言うことに徹することができる。行政の権限を法的に厳しく制限しなければ ならない原理的必要性がここにある。教育基本法改変に向けた動きが本格化す る中で、教育行政の不当な干渉を規制する教育基本法第10条は、戦争直後の不 え安定な精神状況の遺物だから最早不要であると主張する「有識者」も皆無で はなく、「審議会」にはそういう面々が集う傾向があるから、違法な行政指導 が日常茶飯事である現状が、近々合法化される懸念が大きい。 国立大学の独法化は、その先駆けである。これまで、行政指導として人目を 忍んで行うしかなく、国会で追及されれば言いわけを用意しなければならなかっ た、大学への干渉ーーそれを胸を張って行える時代を、「行政改革」がもたら そうとしている。行政組織の権限を制御するはずの改革が行政を元気付ける、 という法則の一例である。

[94-0-6] 今期国会に見る、新しい動き。 しかし、3年前とは何かが変化しているように感じる。今期国会で成立が予想 されていた、個人情報保護法案・有事法案・保護観察法案等々の問題法案が、 廃案には至らなかったが、継続審議となった。ジャーナリストが少なからず批 判的な関心を持ち、著名人を含む多くの人々があげる真剣で多様な疑義の声が 大合唱となった。また、与党議員の中にも反対の姿勢をとる人も出た。圧倒的 支配力を持つ中央省庁の要求を押し止めるほどの力が、政治的立場を越えて結 集したことは、新しい事態ではないか。 個人情報保護法案が発表されたとき騙されたと思い、反対運動を起こした人も 居ると聞く。数ヶ月後に出る「国立大学法人法案」に、多くの大学関係者は騙 されたと思うこともあろう。しかし国民的議論が生じ国会審議が充実すれば、 最終報告にある偽装大学改革ではなく、新に大学を進化させる契機が生じる奇 跡も皆無ではあるまい。この希望は、予想外の「天佑」により、多くの問題法 案にストップがかかった今期国会から見れば、根も葉もないものではない。

[94-0-6] 「未然の可能性」 表面的には「可能性」が消えた状況でも、未知の可能性はなくならない。フレ イレの「希望の教育学」[94-10]の訳書に出てくる「未然の可能性」は、それ を失念させない役割を担う言葉と思う。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [94-1] 独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局声明2002.7.26 国立大学法人法制定阻止のために全国共同行動を呼びかける http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4345.htm (見出し抜粋) 1.鮮明になった国立大学独法化の本質 (1)危機に立つ日本資本主義延命策としての産業政策 (2)産官学融合=トップダウンの経営・強力な官僚統制 (3)比類なき官僚統制と企業的経営手法の矛盾は不可避 2.国大協指導部の屈服と文科省の強権的綱渡り   (1)4.19国大協臨時総会 (2)国立大学法人法関連の文科省6.3案 3.ますます矛盾深まる独法化準備作業 (1)法的根拠のない準備作業 (2)中期目標・中期計画の準備作業が明らかにしつつあるもの (3)破綻的様相を深めるトップ30政策 (4)再編統合、教員養成学部の統合政策の行き詰まり (5)膨大かつ不毛な実務作業 4.国立大学法人法制定阻止闘争の構築こそ未来を切り拓く (1)矛盾深まる独法化路線から離脱し、大学再生の主体を構築することが必要 (2)国立大学法人法そのものへの反対が機軸 (3)独法化準備過程に対する闘争の基本 (4)国立大学法人法制定阻止の闘いを全国津々浦々から 「さあ、ここがロドスだ。ここで跳べ」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [94-2] 国立大学独立行政法人化阻止 全国ネットワークアンケート [94-2-1] 学長へのアンケート「4/19国大協臨時総会決定についてのお尋ね」 http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ta2/toyosima/daigaku/znet/enqtopresidents.html 問1 会長談話の挙手採決における賛否   (1) 賛成した  (2) 反対した  (3) 保留した  (4) 棄権した 問2 その理由,および現在のお考え 問3 この採決への態度について,評議会等で事前の了承を得ておられましたか.   (1) 了承を取っていた  (2) 了承を取っていない  (3) その他 問4 その他,独法化問題全般,またはこのアンケートへのご意見など,ご自 由にお書き下さい.

[94-2-2] 豊島耕一氏文書 2002.7.18 http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ta2/toyosima/daigaku/UniversityIssues/yokusankai.html

[94-2-2-1]1.独法化は高等教育分野での「大政翼賛会」  以前,「独法化はスーパー大管法」(1) という問題提起をしたことがありま すが,また次のような比喩も強力ではないかと思います.すなわち独法化とは 高等教育分野での「大政翼賛会」である,ということです.1940年に政党を解 散して作られた大政翼賛会は,「大東亜戦争」という「非常時」のために,国 策をそれこそ効率よく遂行するために作られたものです.独法化も,グローバ ル競争という「非常時」に際して「世界に伍していく」ための「新体制」では ないのか,ということです.「中期目標」という,政府による大学への指令と いう世界に例のない制度であるという点でも,体制翼賛会は良いアナロジーで あると思われます.当時これが「新體制」と呼ばれ,「古い頭には分からない」 と言われたそうです.今日の「改革」の言葉の大量流通と軌を一つにするもの ではないでしょうか.  大政翼賛会には社会大衆党の河上丈太郎や浅沼稲次郎らも賛同し,むしろ反 対者の中に保守政治家の吉田茂らがいたことも教訓的です.また,政党政治家 らの多くもこれに「対応」して戦争中も「生き残」り,政治への影響力を保持 し続けたことも同様に教訓的ではないでしょうか.そして数多くの国民は「生 き残る」ことができませんでした.  大政翼賛会は結局は世界を敵に回しての無謀な戦争と破局への道をもたらし た政治的装置の一つでしたが,独法化はどのような破局をもたらすのでしょう か.  いくら歴史の知識を持っていても,現在の事態と引き比べて「歴史は繰り返 す」という“定理”を破ることにつながる能力を持たなければ意味がありませ ん.しかも国立大学という知識人社会で起ころうとしている「繰り返し」です から,なおさら止めることは可能なはずです.

[94-2-2-2]2.「対案がない」「時間がない」  「対案はあるのか」というバーチャルな質問に金縛りにされて,堂々と独法 化反対を言い出せない,という心理状況が確かに存在します.かつて独法化反 対を叫んでいた人,あるいは左翼や組合系と思われる人のあいだでさえもそう です.これは,推進側の心理戦に見事にはまっている,ということ以外の何も のでもありません.現状より悪くなる提案に対する「対案」は「現状維持」で 十分なのであり(2) ,むしろ説明責任,「挙証責任」は提案する側にあります. しかし,なされている説明は内容的にも,また首尾一貫性という点でも破綻し ており,単に権力によって,権力を用いて流通させられているので,なんとか 「存在」できているに過ぎません.  もちろん自分なりの改善案を持っているに越したことはありませんが,大学 管理者はともかく,一般の教職員にまで,何か首尾一貫した「対案」を要求す るというのはどう考えても異常です.「対案」があることは一般国民に説得力 を持つ,というのは真理でしょうか,対案がないから反対できない,というの は明白な誤りだということです.  「反対運動する時間的余裕がない」という人もいるかも知れませんが,その ような忙しい人は時間を使ってもらうは必要は全くありません.単にあらゆる 場で「反対だ」と公言するだけで十分なのです.そして独法化準備なる作業に も加わらないことです.これによってもさらに時間は節約できます.(反対運 動する時間はないが独法化準備に関わる時間はある,ということはないはずで す.)つまり,時間があるかどうかではなく,単に自分の信じることを言い続 ける勇気があるかどうか,ということだけです.われわれの世代は「学問の自 由」をただ消費するだけでいい,などということはないはずです.

[94-2-2-3]3.ユネスコへの意見具申  ユネスコが,自ら出した宣言などの実効性に無関心であるはずはありません. 意見聴取にどのような制度が取られているにせよ,ユネスコは各国からの情報 や意見に当然関心を示すはずです.独法化は多くの点でユネスコの諸宣言に反 しているのですから,多くの人がこの状況をユネスコに報告すべきです.その 際,個人よりも公的な団体のそれがより注目されやすいこともあきらかです. そこで,とりわけ全大教が報告や意見を出す責任があると思います.  個人や任意団体でなく,ほぼ唯一の労働組合の連合体であれば,向こうも無 視するわけにはいかないでしょう.また,申し立てをしたという事実,そして それを国内で宣伝することだけでも大きな意味があります.かつて外国の新聞 に(おそらく大きな経費をかけて)広告を出したのですから,それが単発で終 わったのでは「国際化」の活動に首尾一貫性がないということになるとも思い ます. ------------------------ (1) http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/sprdaikanho.html (2) 今日の大学をめぐる問題のポイントが「国立大学」という制度にあるので はないことは,たとえば最近の医学部をめぐる事件でも明かでしょう.古くか らの,そして今日もあまり改善の兆しがみられない医学部の封建的体質は,何 も国立大学という制度のためではありません. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[94-3] 国大協意見書

[94-3-1] 大学評価・学位授与機構長宛(2002.7.2) 「平成12年度着手の大学評価に対する意見について」 http://www.kokudaikyo.gr.jp/iken/txt/h14_7_2_a.html

[94-3-2] 「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」についての意見 中央教育審議会 大学分科会長宛 (2002.7.2) http://www.kokudaikyo.gr.jp/iken/txt/h14_7_2_b.html

[94-3-3] 「大学院における高度専門職業人養成について」に対する意見 中央教育審議会 大学分科会長宛(2002.6.25) http://www.kokudaikyo.gr.jp/iken/txt/h14_6_25_b.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[94-4] 国大協総会(2002.6.11-12),国立大学学長会議(6.13)

[94-4-1]会議録 http://www.kokudaikyo.gr.jp/katsudo/txt_soukai/h14_6_11.txt

[94-4-2]国立大学長会議(2002/06/13)における文部科学大臣挨拶要旨 http://www.mext.go.jp/b_menu/soshiki/daijin/020715.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[94-5] 衆議院文部科学委員会2002.7.3 議事録より

[94-5-1] 国立大学附属病院薬剤部設置規則廃止に関する三井議員の質疑 http://ac-net/org/dgh/kokkai/02/703-shu-monbukagaku-mitsui.html 「それで、私は、もっと大変なことは、今、現場の、薬剤部分だけ申し上げま すよ、この十五年度の概算要求に対して、今後各大学の薬剤部の要望は一切受 け付けない、私が質問したことによって、もうこれは受けられないと言われた と。えらい迷惑したと言っているんですよ、文部科学省は。恫喝しているんで すよ。これがもし私のこの質問に対して、矛先を向けられるのであれば、現場 で働く薬剤師の皆さんに申しわけないともう本当に心が痛んでいるんです。  そこで、私は、先ほど申し上げました。国会議員が質問したことによって現 場がいじめられる、こういうことがあっていいんですか。これは民主主義です か。それでは、名前を言いましょうか、だれが言ったか。そういういいかげん な省庁で、これは櫻井よしこさんが書いている。四人組が決めて、たった一週 間で病院長会議で決めて、全く寝耳に水の省令改正ですよ。こんなことがあっ ていいんですか、大臣。時間がありませんから、ちょっと最後にお答えくださ い。」

[94-5-1-1] 櫻井よしこ「大学病院を食い物にする文部科学省の恫喝行政ーー 現場を知らない官僚による異常なまでの介入が日本の医学界を蝕んでいく」 中央公論2002.7月号 http://www.chuko.co.jp/koron/back/200207.html

[94-5-1-2] 新藤宗幸著「行政指導−−官庁と業界のあいだ」岩波新書 218(1992年) ISBN 4-00-430218-8 http://ac-net.org/common-sense/gyouseishidou.html

[94-5-2] 国立大学法人化準備「指示」に関する石井議員の質疑 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/703-shu-monbukagaku-ishii.html 「○石井(郁)委員 もう一点なんですが、文部科学省、文部大臣も、法人化 に向けては準備が必要だということを再三お述べになりますが、しかし法律は まだできていません。どんな法令になるのか、どんな省令になるのか。これは、 国会という場でいろいろな修正だってあり得るじゃないですか。それなのに、 これこれの準備をせよというのは、大体無理な話なんですよ。そのことを私は 言っているんですね。  実際、五月末に国立大学協会が法人化準備に関する各国立大学へのアンケー トというのをされていらっしゃいます。それに当たりますと、準備に当たって 大学として困っていること、要望事項というのを出されていますでしょう。そ れを見ますと、法律も政令、省令もいまだ見えないので、大学が決めてよい裁 量の範囲がどこまでなのか明確でないと九六%の方が答えていらっしゃいます よ。それはそうでしょう、大学は。何が法律なんだと。どこまで大学が決めて、 裁量は何なんだと。国はどこまで何をするんだと。わからない状態で準備をせ よというのは無理ですよ。こういうことを今文部科学省がさせている、これが 問題なんですよ。これも国会無視でしょう。国会軽視じゃありませんか。私は、 本当にひどい話だと思いますよ、今のやり方は。  もっと言うと、先ほども文部科学省の姿勢が民主党の議員からも出されまし たけれども、もうこれは官僚の暴走じゃないか、あなた方が勝手にやっている だけだと。しかも、先ほども、恫喝、予算のおどしと、いろいろなことを使っ てやっているじゃないですか。もうとんでもない話だということがありますの で、私は、この日本の知的基盤をどうするか、本当に高等教育をどうするかと いう、もう一大重大問題ですから、慎重に、あるいは拙速にすべきでないとい う立場で申し上げておりまして、ぜひこの点では、大臣、いかがでございます か、簡単に、もう一点私としても聞きたいことがございますので。この国立大 学協会の学長のアンケートの、九六%の皆さんが持っていらっしゃるいろいろ、 その要望ですね、危惧というか、これについての大臣の御見解を伺います。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[94-6]喜多村和之(私学高等教育研究所主幹)「一人歩きする評価―IMD世 界競争力白書にみる」(アルカディア学報No.82 2002.7.3) http://www3.ocn.ne.jp/~riihe/arcadia/arcadia82.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[94-7] 住基ネット

[94-7-1] 国民共通番号制に反対する会 http://kokuminbango.hantai.jp/

[94-7-2] Yahoo! JAPAN アンケート「政府は住基ネットを8月5日稼働方針。どう思う?」 http://newspolls.yahoo.co.jp/ 2002.7.23 より 2002.7.27現在 3827票中 政府・自治体のIT化に向て予定通り稼働すべきだ。7% 個人情報保護などの法令整備が先決。凍結を。90% どちらともいえない。2%

[94-7-3] 住基ネット、76%が「延期」望む 本社世論調査 (朝日新聞2002.7.21) http://www.asahi.com/politics/update/0721/007.html

[94-7-4] <住基ネット>大学教授らが国など提訴 プライバシーの侵害 (毎日新聞2002.7.26) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020727-00000053-mai-soci

[94-7-5] (ZDNet 2002.7.25) 自治体サーバは危ない? http://www.zdnet.co.jp/broadband/0207/25/07.html 「おそらく最大の“セキュリティホール”は行政のIT意識の低さ」

[94-7-6] 東京・国分寺市も「住基ネット」離脱方針(読売新聞2002.7.25) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020725-00000301-yom-soci

[94-7-7] 住基ネット:福島県矢祭町が離脱表明 全国で初 (毎日新聞2002.7.22) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020723-00002068-mai-pol (関連記事:河北新報 2002.7.23) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020723-00000012-khk-toh (朝日新聞2002.7.24)住基ネット接続拒否・福島県矢祭町長の根本良一さん http://www.asahi.com/national/people/K2002072400211.html

[94-7-8] 長谷川 博「改正住民基本台帳法の問題点」1999.9.9 http://www.h-hasegawa.net/kaisei-kihondaityohou.html 長谷川 博「住民基本台帳ネットとプライバシー問題」2002.7.23 http://www.h-hasegawa.net/jyuki-net.htm

[94-7-9] ボストン便り http://www.asahina.net/kiyotaka/index.html 「今週の異見」:「住基ネット」とSSN(ソーシャル.セキュリテイ.ナンバ) 第1話 2002.7.07 http://www.asahina.net/kiyotaka/ssn1.html 第2話 2002.7.14 http://www.asahina.net/kiyotaka/ssn2.html #米国には納税者番号SSNはあるが「戸籍」「住民票」「転出届」「転入届」 などはなく、個人情報は制度的に尊重されている、と指摘。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[94-8] 有事に国民の思想・良心・信仰の自由に制約も 官房長官 (asahi.com 2002.7.24) http://www.asahi.com/politics/update/0724/011.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[94-9] 長谷川浩司氏ウェブサイト「最近の動き」 http://www.math.tohoku.ac.jp/~kojihas/index-j.html #見出しは発行人がつけたもの 2002.7.23 住民基本台帳ネットワークに福島県矢祭町が不参加を表明 2002.7.21 NHK-BS インターネット・ディベート:総合学習について。 東京教育大学廃校後の官製教育学の現状についてのコメント、など。 2002.7.20 名古屋大学学長松尾氏、TI社長生駒氏へのインタビュー記事(朝日新聞7/19) 2002.7.20 文科省の審議会の「博士課程の強化」提言 2002.7.17 中教審に教育基本法改正の諮問 2002.7.16 産業寄与度で大学格付け ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[94-10] パウロ・フレイレ「希望の教育学」(里美実訳、太郎次郎社) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4811806638/ 「人間は限定された状況のなかにおかれているが、その限界をこえた彼方には 「未然の可能性」が広がっている。未然の可能性は目には見えることもあるし、 そうでないこともある。希望と絶望という二つの立場が生ずる理由はそこにあ るのだ。」(p9) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 94   編集発行人:辻下 徹 tjst@ac-net.org 関連ページ:http://ac-net.org/dgh/