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国立大学独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports  No.24  2000.9.25 Ver 1.0

独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports No.24 2000.9.25 Ver. 1.0 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-24-00925.html 総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html ===============================目次=================================== [24-0]発行者より:大学自治に伴う責任・第四権としての教育権の思想 [24-1]独法化調査検討会議「人事制度委員会」第1回会合 [24-1-1]梶井功主査から国立大学協会設置形態検討特別委員会への報告より [24-2]国立教員養成系大学・学部のあり方懇談会が初会合(9/21)(文教速報2000.9.4) [24-2-1]「統合再編論議をけん制・福井大教育地域科学部が見解」 [24-3]教育改革国民会議中間報告より大学関係の提言 [24-3-1]記憶力偏重を改め、大学入試を多様化する [24-3-2]プロフェッショナル・スクールの設置を進める [24-3-3]大学にふさわしい学習を促すシステムを導入する [24-4]第17期中央教育審議会委員名簿 [24-5]田中耕太郎「司法権と教育権の独立」(1957.1.1) [24-5-1]戦前日本の教育行政の欠陥 [24-5-2]教育委員会法制定と廃止 [24-5-3]司法と教育の予算は別枠であるべき [24-5-4]第4権としての教育権 [24-6]教育基本法第十条【教育行政】・解説 [24-7]前田 早苗(大学基準協会)「文部省設置法」 [24-8]国立大学教員から調査検討会議委員への働きかけ =========================発行者より=================================== [24-0]発行者より:大学自治に伴う責任・第四権としての教育権の思想 社会はなぜ大学自治を容認するのか。高等教育・学術研究に関することは、当 事者である大学自身が最も適切に判断できるはずだから大学に任せよう、とい うことではないのか。独立行政法人化が大学教育・学術研究の長期的な発展を 損なう、と当事者である大学は明確に判断している以上、その判断に固執する ことが大学自治に伴う責任と言えるだろう。「通則法には反対」という空虚な 言明を繰り返すことで大学自治に伴う責任を果たしたことにはならない。当事 者としての決断を回避し中央省庁の種々の働きかけに屈して、大学の根幹を損 なう独立行政法人化へズルズルと歩みより、せめて目先の得だけでもを得よう としか努力しないような無責任なことでは、大学が大学自治には値する存在で はないことを自ら証明するようなものであろう。 9月4日の調査検討会議人事制度委員会での挨拶[24-1]で、工藤高等教育局 長は、独立行政法人化でなければ学校法人化になるが、それでよいのか、とい う恫喝じみた話し方をしている。これは実質、文部省が独立行政法人化以外の 法人化は民営化以外には考えていない本音を表明したものと言えるだろう。実 際、主査である梶井功農工大学長から国立大学協会への報告[24-1-1]の中で、 主な議論8−エとして「通則法のスキーム内のみで,検討するのか」という質 問に対し文部省が「まずは可能な限り特例措置をとりつつスキーム内で国立大 学として望ましい制度を詰める。」と答えている。こういった展開は6月の国 立大学協会総会の時点で十分予想されていたことだが、そういう展開を認める 合意はなかったことは明らかである。国立大学協会はこれを黙認していいのだ ろうか。国立大学協会は、6月14日総会の合意の内容及び蓮實会長の記者会 見の内容を基に、文部省が呈示している検討の進め方に盲従してよいのか否か、 3ヶ月たった今再検討すべきではないのか。そして、62大学485名(9月 25日現在)の国立大学教員が要求[24-8]しているように、調査検討会議参加 を取り消し、日本社会に向けて独立行政法人化などで大学は良くならないこと を、具体的な提案を示して訴えることに総力を上げるべきだろう。  なお、文部省が独立行政法人化以外は民営化しかないというのならば、英国 保守党が公約[22-4]したような、少数の<トップ大学>を十分な初期基金付与 の上で学校法人化することは、独立行政法人化による学問・教育の自由の法的 喪失に比較するとき、検討に値することではないだろうか(cf.[4-14])。そ れならば、国民的議論の契機にもなるであろうし、戦後真剣に検討された中央 教育委員会設置と文部省解体の構想[24-7]をもう一度検討し始めるべきではな いのか。 前回紹介した「教育・研究自治体」構想[23-5]の基底にある、第四権として の教育権の考えは、教育基本法制定に尽力した戦後初の文部大臣田中耕太郎の 1957年の論文[24-5]に明記されている。この論文は教育基本法がどのよう な気持で制定されたかがよくわかる。 日本社会は記憶喪失から立ち直り、今一度1945年8月に何を決意したの かを思い出さなければなるまい。教育改革国民会議中間報告[24-3]は教育基本 法改正を提言はしなかったが、改正の声は連立政権内部に少なくない。しかし、 もしも変えるのであれば、田中耕太郎が主張[24-5-4]したように、教育基本法 [24-6]が示す教育権の独立を憲法に繰込むべきであろう。 戦前の日本の魂を支配した文部省を廃止し中央教育委員会の設置が戦争直後 に構想されながら、なし崩し的に、文部省の存続が決まった経緯[24-7]がある ことを上に言及したが、戦後55年の文部省の歩みを見るとき、中央教育審議 会が中央教育委員会の役割を果たしたと思う者は多くはないだろう。(新しい 中央教育審議会の名簿[24-4]が発表されたが、20名中16名が留任している。 )  国立大学独立行政法人化、教育改革国民会議など、<教育改革>の声が政治 家の間で高まっている今こそ、教育権の独立にむけて日本社会は努力すべきで あろう。この機会を逸し教育権を戦前のように消滅するに任せれば日本社会の 未来は暗澹たるものとなるように感じる。 ====================================================================== [24-1]独法化調査検討会議「人事制度委員会」第1回会合 (文教ニュース第1590号(9月11日) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/net/netre1276.htm より工藤高等教育局長の挨拶趣旨の一部 「独立行政法人という全く新しいスキームであるが、他方で近年、各大学で大 学改革が固く静かに進んでいるわけで、これまでの不自由な部分をいかにゆる くし、これまでのよさをどう生かしながら新しいスキームをつくっていくべき かについて知恵を拝借したいというのがこの委員会の趣旨である。  先の中曽根大臣、その前の有馬大臣の頃から各大学長、機関長の前で一度検 討してみないかと、検討の値すべき仕組みではないかと、検討に値するチャン スであり値する仕組みではないかと考えを示している。大学のあり方として全 く独立行政法人という名でない議論もあり得るわけだが、日本の形態だと大学 の設置者としては、放送大学を除くと国か地方自治体か学校法人である。国立 からはずれて学校法人になるというのもひとつの選択肢であるが、必ずしも私 学助成が十分でない中で、学校法人になっていままでのよさが十分に発揮でき るかどうか、特に国立大学で研究上人材養成に果たしてきた役割を考えると国 立大学を折角国の支援が必ずしも十分でない独立体としてやっていくことが日 本の将来の高等教育のためにいいのかどうかと感じる中で、一定の国のかかわ りを保持しながらかつ大学の自主性、自律性を高める方法としての独立行政法 人化のスキームを検討に値するというのが私どものスタートラインである。」 [24-1-1]梶井功主査から国立大学協会設置形態検討特別委員会への報告より http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/s120920-07.htm 1 日 時  平成12年9月4日(月)13:00〜15:30 場 所  東海大学校友会館(霞ヶ関ビル)阿蘇の間 2 資 料  別紙議事次第によるリストのとおり (とくに必要な場合は事務局にお申出ください。いずれもこれまでの総会,設 置形態検討特別委員会及び文部省の調査検討会議の組織業務,評価,人事制度 委員会で配付されている資料です。) 3 主 査  梶 井   功  東京農工大学長 4 副主査  河 野 俊 二  東京火災海上保険株式会社会長      田 中 健 蔵  福岡歯科学園理事長 5 調査検討会議設置の趣旨について(文部省 杉野大学改革推進室長説明) 6 議事及び議事要旨 原則公開を決定 7 杉野室長から,主として資料3,6に基づいて独立行政法人の性格,と国 立大学の独立行政法人化問題の経緯について説明 8 出された主な議論 8−ア 賢人会議と調査検討会議の関係−形式的には賢人会議の下部機関として, 調査検討会議は位置付けられているが,実質的には別 8−イ 企画立案−中央省庁 実施−独立行政法人という仕分けのなかでの国立 大学の独法化は問題ではないか。国の企画立案機能と大学の企画立案 機能には自ずからレベルの差あり。 8−ウ 法人化のユニットは,一大学一法人のみか。関連して国・公でつくる大学 という形態は考えられないか。 8−エ 通則法のスキーム内のみで,検討するのか,まずは可能な限り特例措置を とりつつスキーム内で国立大学として望ましい制度を詰める。 ====================================================================== [24-2]国立教員養成系大学・学部のあり方懇談会が初会合(9/21)(文教速報2000.9.4) http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/index.htm#09/21_2 「文部省も研究中心の教官ではなく、学校現場を知り尽くした教官を配置する となど学生への教育を重視した大学教官配置を行う方針であることを明らかに した。」 ---------------------------------------------------------------------- [24-2-1]「統合再編論議をけん制・福井大教育地域科学部が見解」 『福井新聞』2000年9月19日付 「文部省が国立の教員養成系大学・学部を北陸など地域ブロック別に統合する 動きを見せる中、福井大学教育地域科学部(隼田嘉彦学部長)の教授会は19 日、「1県1教育大学の堅持」を骨子とする独自の見解をまとめ、県庁で発表 した。教育系学部の地域教育に果たす役割を強くアピールし、再編論議をけん 制する内容。文部省主導の論議が進む中、当面する学部の教授会が行動を起こ したのは国立大で初めて。...  会見で隼田学部長は再編問題について「文部省はまだ一言も正式に言ってい ないが、ブロック化の動きともとれるものはある。大学の改革だから研究・学 問の成果にのっとった協議をしてもらいたい。目先の効率化でなく、教員を養 成することはどういうことか、本質を訴えたい」と強調。同大評議員の寺岡英 男教授も「これからの教育改革実践のためには、1県1教育大学は堅持する必 要がある」と断言した。  見解は20日以降、同省や同懇談会の委員全員、全国48の教員養成系大学・ 学部に配布。10月に予定される日本教育大学協会北陸地区会議など各種会合 でも議題に上げ、関係者に考えを諮っていく。」 ====================================================================== [24-3]教育改革国民会議中間報告より大学関係の提言 http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/0922houkoku.html ---------------------------------------------------------------------- [24-3-1]記憶力偏重を改め、大学入試を多様化する 小学生は生き生きしているにもかかわらず、中学校、高校、大学と進むにつれ て日本の子どもはくすんでくるという指摘がある。その背景には、中学時代か ら大学受験を意識しすぎて、偏った勉強しかしないことがあろう。その意味で も、大学入試は、記憶力のみを測る一面的なものであってはならない。 ●提言 (1)高校での学習達成度試験の活用、面接、小論文、推薦、アドミッション・ オフィス入試などを採用し、大学入試を多様化する。 (2)国際化を促進し、高校卒業後の学生に社会体験などの時間を与える観点 から、大学の9月入学を積極的に推進する。 (3)一定の割合の受験生を暫定的に入学させ、1年間の成果によって改めて 合否を判定する「暫定入学制度」を実施できるようにする。 ---------------------------------------------------------------------- [24-3-2]プロフェッショナル・スクールの設置を進める 我が国には、政治、経済、環境、科学技術、その他新しい分野で世界をリード していく識見を持ったリーダーが必要である。また、博士号や修士号などを有 する専門家が活躍する諸外国と伍していくためには、今以上に高い専門性と教 養を持った人間の育成が求められている。そのため、大学・大学院の構成と役 割を改革すべきである。 ●提言 (1)大学の学部では、教養教育と専門基礎を中心に行う。大学院へは学部の 3年修了から進学することを一般的なものとする。また、大学院の入試は、他 大学出身者、社会人等に対しても完全に開かれたものにする。 (2)大学院については、社会で必要とされる実践的な専門能力を身に付ける ためのプロフェッショナル・スクール(高度専門職業人教育型大学院)と、研 究者養成のための大学院(研究者養成型大学院)を設ける。 (3)プロフェッショナル・スクールでは、高度な技術的能力を有するエンジ ニアの育成や、ビジネス・スクールやロー・スクールなどによって経営管理、 法律実務、金融、教育、公共政策などの分野の専門家の養成を行う。 (4)国家公務員や教師については、原則として修士号取得を要件とする。 (5)リサーチ・アシスタント制度やポストドクトラル制度など、優秀な若手 研究者の養成策をさらに充実する。研究支援者の育成・確保策を充実する。 (6)大学・大学院を通じて奨学金制度を充実する。 ---------------------------------------------------------------------- [24-3-3]大学にふさわしい学習を促すシステムを導入する 大学へ入学したにもかかわらず学習に取り組む姿勢がない者が見られる。大学 も勉強をしていない学生を安易に卒業させているという批判が以前からなされ ているが、全く改善されていない。学生にしっかりと勉強させるような取組が 必要である。 ●提言 (1)小人数教育の実施と、ティーチング・アシスタント制度を充実する。 (2)ダブルメジャー(複数の分野を専攻する)制度を導入する。 (3)成績評価の厳格化を図るための成績評価制度を導入し、水準に達しない 学生を落第、退学させるなどの方策を講じる。 (4)大学の教育力向上のための大学、大学教員の評価システムの構築と、大    学教員任期制の導入促進により流動性を向上させる。 (5)企業には、就職活動によって大学の教育が妨げられぬよう、採用活動時 期を遅らせたり、成績表の提出を求めるなど大学での成績を踏まえた採用を行 うよう強く求める。 ====================================================================== [24-4]第17期中央教育審議会委員名簿 http://www.monbu.go.jp/singi/cyukyo/00000367/ * は新しく入った委員(20名中6名) 会 長 根 本 二 郎(日本郵船株式会社代表取締役会長) 1997 東大新報ビッグOBインタビュー「自ら位置する座標見据えて」 http://www.win.ne.jp/‾t-shinpo/709/1.html 副会長 鳥 居 泰 彦 (慶應義塾長) *内 永 ゆか子(日本アイ・ビー・エム株式会社常務取締役) 河 合 隼 雄(国際日本文化研究センター所長) 木 村   孟(大学評価・学位授与機構長) 河 野 重 男(東京家政学院大学長) 國 分 正 明(日本芸術文化振興会理事長) 小 林 善 彦(東京大学名誉教授,財団法人日仏会館常務理事) 坂 元   昂(メディア教育開発センター所長) *志 村 尚 子(津田塾大学長) *杉 田   豊(静岡県教育委員会教育長) 高 木   剛(ゼンセン同盟会長) 田 村 哲 夫(学校法人渋谷教育学園理事長,渋谷幕張中学・高等学校長) 俵   万 智(歌人) 土 田 英 俊(早稲田大学教授) 永 井 多惠子(世田谷文化生活情報センター館長,日本放送協会解説委員) *長 尾   真(京都大学長) *松 井 石 根(社団法人日本PTA全国協議会顧問) *森   隆 夫(お茶の水女子大学名誉教授) 横 山 英 一(教職員共済生活協同組合顧問) ====================================================================== [24-5]田中耕太郎「司法権と教育権の独立」(1957.1.1) http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ref/57tanaka.html 教育基本法制定に尽力した戦後初の文部大臣田中耕太郎の戦後教育改革の構想。 [24-5-1]戦前日本の教育行政の欠陥 「日本の教育の重大な欠陥の一つは教育行政の面において認められること、と くにわが初等および中等教育は中央と地方の官僚によって支配され、戦時非常 状態の下では軍人が中央官庁である文部省を動かして教育を左右し、軍国主義、 極端な国家主義を鼓吹したことに存在していた。地方においては年齢30にも 達しない教育には全く素人の1〜2年で転勤する内務官僚が地方庁で教育行政 の実権を握り、20年30年勤続の老教育者がその鼻息をうかがい、卑屈に流 れるような事例は決して稀れではなかった。官立大学は慣習法的に人事郎ち総 長、学部長、教授助教授等の推薦に関して慣習法として漸次認められた内規に よって自治を享有し、また学科課程教育内容に関しても同様であったが、しか し戦時非常時局中においては、文部省を通して軍部の圧追が及んで来、大学と の間に紛糾が生じたことが再三でなかった。かような事情から教育権の独立が 終戦後直ちに問題となったのは当然である。」 [24-5-2]教育委員会法制定と廃止 「かくして教育の地方分権化とともに、地方教育行政の一般行政からの独立を 実現し以て教育を不当な支配から守るために、昭和23年法律170号教育委 員会法が制定されたのである(教育委員会法1条参照)。(この法律は昭和3 1年9月30日限り廃止され、昭和31年法律162号地方教育行政の組織及 ぴ運営に関する法律がこれに代った。)はじめ文部省としては全国を官立総合 大学を中心とする大学区に分け、ブロック別に地方教育行政(初等およぴ中等 の)を大学にまかせる構想をもっていたが、これは官学偏重として私学側の反 対があり実現できなかった。ついでブロック別の教育委員会制度を考慮したが 総司令部側の賛成が得られず、都道府県単位となった。その際には市町村別に これを設置することは考えてはいなかった。なお教育委員の選挙については、 教育界に教育に無理解な地方ボスが侵入することを防止する意味で候補者、選 挙権者ともに教育畑に限る構想をもっていたが、これは新憲法の主義と調和し ないというわけで、総司令部の同意を得られなかったので、結局資格の無制限 の選挙制度に落ちついたのである。しかしながら教育委員会が設けられたから といって教育権の独立が保障せられるとは限らない。何となれぱ教育権の独立 を保障する機関自体がその独立を害することがないと保障できないからである, それは一つに教育委員さらにそれを選挙する人々が教育を理解してこの制度を 運用するかどうかにかかっている。そうして従来の経験に徴すれぱ、教育に対 する理解は教育畑の者において優っており、その以外の者において劣っている といいきれないものがある。」 [24-5-3]司法と教育の予算は別枠であるべき 「この故に司法も教育も消極的に不当な支配に服してはならず、独立でなけれ ぱならないばかりでなく、一般的に振興されなければならない。そのためには 人的物的の諸条件の充実例えば裁判所の庁舎、学校の施設の完備、裁判官、教 職員等に適材を得るための待遇の改善が必要とされる。ところでこの両者は国 家のもっている諸機能の中で経済生活と直接な関係を欠いていて、現実的なカ の裏づけがないから最も弱体である。かつて文部大臣と司法大臣とが予算分配 の際など無力であり、他の諸省の大臣に対して伴食大臣と呼ばれていた。しか しかような事情は必ずしも大臣個人の能力によるものではなく、教育と司法の 本質に由来するのである。両者がよってもって立つ支柱は純然たる精神的道徳 的のものである。かような事態は国民が教育と司法の重要性に目ざめ、それに 対する有効な支持援助を与えない限り容易に改め得られないのである。従って 国家予算の面において司法と教育とについて制度上の特別の考慮がなさるべき ことを要望する意見が台頭するのは当然である。ところが裁判所予算、教育予 算ともに今日にいたるまで特別の取扱いをされてはおらず通常の予算編成の手 続によって、つまり予算案が大蔵省当局との事務的な交渉によって作られ、最 後の段階では大臣相互の間の政治的折衝によってきまることになっている。」 [24-5-4]第4権としての教育権 「教育権の独立は直接にはわが憲法中に制度化されてはいないが、上述のごと く憲法の学問の自由の保障や教育基本法ならびにその他の教育関係法令中の規 定、とくに大学の自由の原則からして帰納できるのである。もし教育政策の重 要性が今より一層痛感されるならぱ、憲法中に立法、行政、司法の三権となら んで、第四権として教育に関する一章が設けられ、教育権が一層完全に保障さ れる日が来ないとは断言できないのである。」 ====================================================================== [24-6]教育基本法第十条【教育行政】・解説 http://lovepeace.org/ks-m/peace/hachi7.html 一 本条の立法者意思 二 教育と教育行政との分離 三 禁じられる「不当な支配」は何か  (1) 法律の根拠に基づく教育行政の教育支配は     正当かつ適法であるという行政解釈  (2) 教育行政による法的拘束力をもつ教育支配こそが     「不当な支配」に当たるという教育法学の通説 四 直接的教育責任の意義 五 学校教員に保障される「教育権の独立」とその内容  (1) 本条による学校教員の「教育権の独立」の法定  (2) 学校教員の教育権の独立の保障内容 六 教育行政の条件整備的性格と教育内容行政のあり方  (1) 教育の外的条件(外的事項)を整備する教育行政  (2) 教育の内容面(内的事項)にかんする教育行政 ====================================================================== [24-7]前田 早苗(大学基準協会)「文部省設置法」 季刊教育法110号/総特集●教育基本法50年 http://lovepeace.org/ks-m/peace/hachi8.html 1 法律制定の背景、趣旨、目的 2 法律制定の経過と問題点、論争点、国会における論議 3 制定時の文部省設置法の特質 4 施行後の主な改正について (1) 一九五二年の改正 (2) 一九八三年の改正 5 問題点と今後の課題 (「市民平和ネットワーク」サイト http://lovepeace.org/ks-m/peace/ より) ---------------------------------------------------------------------- [24-7-1]「しかし、敗戦後、文部省を巡っては、存廃にかかわる種々の案が出された。 その主なものをみてみると、まず、第一次米国教育使節団報告書(一九四六・ 三・二六)があげられる。この報告書は、「文部省は、日本の精神界を支配し た人々の、権力の中心であった」として、この官庁の権力の悪用を防ぐために、 その行政的管理権の削減を提案した。具体的には、 1 カリキュラム、教授法、教材及び人事に関する管理権の、都道府県及び地 方学校行政単位への移管、 2 視学官制度の廃止 3 統治的・行政的権力をもたない、感激と指導を供与する、相談役と有能な る専門的助言者の制度の設置 4 文部省の内務省からの絶縁、 をあげ、それまでの中央集権を批判し、教育行 政を地方に移管することを提言した。  一方国内では、主に、内閣の諮問機関である教育刷新委員会(一九四六年八 月設置)において、文部省の廃止・改組を含んだ検討がなされた。教育刷新委 員会においては、 1 従来の官僚的画一主義と形式主義との是正 2 教育における公正な民意の尊重、 3 教育の自主性の確保と教育行政の地方分権等 を方針として、三回にわたり建議を提出し、大臣の諮問機関として中央教育委 員会を設置すること、文化省を設置し、文部省をこれに統合すること、さらに、 文部省を廃止し学芸省を設置することを提案した。このほか、各政党による文 部省改組・廃止が提案されたり、行政調査部等による文部省改革案の検討が行 われた。  しかし、文部省を廃止し、中央教育委員会を設置する試案が具体的に検討さ れる過程で、文部省廃止から、存置・機構改革へと収斂されていき結局文部省 は、以下にみるように廃止されることも改称されることもなく存続することと なった。 ====================================================================== [24-8]国立大学教員から調査検討会議委員への働きかけ Date: Fri, 22 Sep 2000 13:25:49 +0900 From: Ryuzaburo Noda Subject: [reform:03148] 調査検討会議委員への働きかけ reform MLのみなさまに  「国大協への署名運動」は、みなさまのご協力により、9月20日現在、4 75名の方のご賛同を得ることができました。  公表可の440名の賛同者名簿、要望書等は以下のURLに掲載しています。 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/008/25-shomei.html  また、去る9月20日、文部省調査検討会議の大学関係委員に、私たちの要 望書と公表可の賛同者名簿を、以下の一文を添えて送付いたしました。  来年半ばには調査検討会議の「中間まとめ」が出される予定です。  中間まとめが出てからからの取り組みでは遅すぎるということは、前の「学 校教育法」改正の経験からも明らかではないでしょうか。  調査検討会議に行政寄りの「中間まとめ」を出させないための取り組みが、 いま何よりも大切と考えられます。  そのために今後も署名運動を続けてゆきたいと思います。みなさまのご理解 と一層のご協力をお願い申し上げます。  2000年9月22日              岡山大学  野田隆三郎               TEL FAX 086-251-8472  調査検討会議(大学関係)委員への挨拶文は以下のとおりです。 ---------------------------------------------------------------------- 調査検討会議委員各位      2000年9月20日  初秋の候、ご健勝のことと存じ上げます。 さて、去る6月、国立大学協会は文部省が設置した「国立大学の独立行政法人 化に関する調査検討会議」に参加することを決定し、既に審議が始まっていま すが、私たちは国大協の「調査検討会議」への参加は国立大学の行政法人化容 認につながることを憂慮し、去る7月より別紙の要望書の賛同者を募る運動を 続けて参りました。  そして去る7月27日、国立大学教職員360名共同で「要望書」を国立大 学協会長と全国立大学長に提出いたしましたが、今後も一層多くの賛同者を募っ て再度、国大協に提出する所存です。  ご参考までに、9月20日現在、公表可を表明されています440名の賛同 者名簿を添えて、貴職にも私たちの「要望書」をお届けいたします。  みなさまが、日本の高等教育・学術社会の将来に重大な関わりを持っておら れることを十分に自覚していただき、「要望書」に込められた61大学475 名の率直な懸念を理解していただくようお願い申し上げます。           岡山大学教授  野田隆三郎          岡山市津島中3丁目 岡山大学環境理工学部          佐賀大学教授  豊島耕一          佐賀市本庄町1 佐賀大学理工学部         北海道大学教授 辻下 徹          札幌市北区北10条西8丁目 北海道大学大学                        院理学研究科        ====================================================================== ◆国立大学独立行政法人化問題サイトの入り口 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ ====================================================================== 発行者: 辻下 徹 homepage:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/tjst/ e-mail: tujisita@geocities.co.jp 総目次: http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html 登録・解除手続き http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/ 発行部数 1000 (2000.9.25現在) 内訳:Mag2:568 / CocodeMail:315 / Pubzine:59 /Macky!:29 / emaga:20 / melma:9 その他直送 約 200 /ダイジェスト版直送 約 2000 ===================================================================== End of Weekly Reports No.24 2000-9-25 **この週報は発行者の個人的な意思で行っています** ===================================================================