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国立大学独立行政法人化問題 週報
Weekly Reports No.28 2000.10.30 Ver 1.01
独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports No.27 2000.10.23 Ver. 1.1
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(ミラーサイト http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-28-00a30.html)
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===============================目次===================================
[28-1]「 Academia e-Network 設立に向けて」より
[28-2]大学評価機構の諸問題
[28-2-1]「国立大学協会の大学評価に関する特別委員会報告2000.3.30」
[28-2-2]参議院文教科学委員会2000.3.21議事録より(cf.[6-2])
[28-2-3]三輪定宣教授「大学評価機構の設置は教育・研究発展の足かせに」
[28-2-4]発行者から丹保北大学長へのメール2000.10.26より
[28-2-5]渡邊信久氏から丹保北大学長へのメール2000.10.28より
[28-2-6]機構が10月末までに意見を求めている「関係者」とは
[28-3]大学審議会基本問題検討部会(第12回2000.10.3)議事要旨より:
[28-4] IT 基本法第30条の危険性
[28-5] 国大協への署名運動賛同者593名 2000.10.28現在
[28-5-1]11/15 国大協総会へのメッセージを募集中
[28-5-2]11/15 国大協総会公開要望書への署名者を募集中
[28-6]国立環境研究所掲示板より「そもそも論の矛盾と理事不要論」
[28-7]法科大学院構想の諸問題
[28-7-1] 萩尾健太氏(弁護士)法科大学院構想の問題点より
[28-7-2]he-forum 1355より、ロースクール構想批判と対案
[28-8]大学改革―ビッグバンをめざせ(朝日新聞社説)より
[28-9]大宮知信氏「学ばず教えずの大学はもういらない」より
==========================内容紹介=================================
[28-1]「 Academia e-Network 設立に向けて」より
大学の枠を超えた知的活動の場を形成することを目的とした試み
[28-2]大学評価機構の諸問題
大学評価機構が活動を開始した。大学自身が育てるつもりで監視と指導を
すれば、行政の手足となって大学を支配する存在ではなく、大学を活性化
させるものになる可能性も皆無ではない。
[28-3]大学審議会基本問題検討部会(第12回2000.10.3)議事要旨より
いわゆる「審議会」的な性格が如実に出ている。
[28-4] IT 基本法第30条の危険性
この条項は行政がインターネット社会の隅々までコントロールすることを
可能にする。
[28-5] 国大協への署名運動賛同者593名 2000.10.28現在
11/15国立大学協会総会へのメッセージと、公開要望書の署名を募集中
[28-6]国立環境研究所掲示板より「そもそも論の矛盾と理事不要論」
(2000年9月19日) 研究員の減少と非研究員の増加を批判。
[28-7]法科大学院構想の諸問題
ロースクール構想の問題点を弁護士の立場から指摘したもの。
[28-8]大学改革―ビッグバンをめざせ(朝日新聞社説)より
引用した部分は国大全体が独法化の脅威の前に陥っている視野狭窄を見事に
指摘している。
[28-9]大宮知信氏「学ばず教えずの大学はもういらない」より
独立行政法人化では<大学改革>できないことがよくわかる。
===========================本文=========================================
[28-1]「 Academia e-Network 設立に向けて」より
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/ac-net/index.html
「大学での自由な知的活動をdiscourageする要因が日々増大しています。独立
行政法人化への脅威を別にしても、大学評価機構の動きは大きな危険性を孕ん
でいますし、今年度から始まった予算配分方式の変更や大学運営の中央集権化
は、大学によって程度の差はありますが、大きな脅威となりつつあります。し
かし、それらの要因を無害にする方途が今の日本にはまだ十分残されています。
選択肢は急速に減少していますが全く消滅するまでには若干の時間はあります。
日本のような規模の国家には大脳が不可欠です。自由な知的活動を趣味とし
て位置づけ公的活動から排除することは、前頭葉除去手術と同様のおぞましい
無分別な行為です。独立行政法人化に象徴される無意味な外科手術により、今
後長期的な知的荒廃を免れそうもない大学の枠を超えて、新しい知的活動の場
の形成に着手することが急務です。また、大学での知的荒廃の進行を少しでも
食い止め、再び健全な知の空間を大学に甦える迄の期間を出来る限り縮小しな
ければなりません。これが、私たちの直前の世代の数百万の人柱の上に建てら
れた日本国憲法が
第二十三条 学問の自由は、これを保障する。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力に
よつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはなら
ないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
により、教育を含む知的活動を職業とする大学内外の者に、**今**、命じてい
ることです。」
======================================================================
[28-2]大学評価機構の諸問題
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/niad/index.html
すでに、[6-2](2000.4.17)で、大学評価機構設立に関する国会での議論の一部
取り上げた。大学評価機構のホームページの組織図を見ると、運営には大学学
長・教員が多く参加している。大学から強く働きかけ、文部省の大学監視室に
退化しないように努めなければならない。そのためには、評価機構のアカウン
タビリティを高め、評価委員の構成などを明文化し、また、外国の評価委員を
半数以上入れるなどにより、評価の<国際水準>の第三者性を実現すべきであ
ろう。
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[28-2-1]国立大学協会報告より
「国立大学協会の大学評価に関する特別委員会最終報告」2000.3.30 より
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00330-kokudaikyou-houkoku.html
「.....しかしその一方で、このような規模の大きな組織は、ともすれぱ
組織の存続を自己目的化しやすく、この機関が評価のための評価機関に陥る危
険もないとはいえない。また評価結果が大学に大きな影響を与えることから、
評価機関は巨大な権力をもつことにもなろう.個々の大学に活力を与え、教育、
研究上の自律的なダイナミズムを支える、という大学評価の本来の理念が実現
されるためには、大学評価機関のレイマンコントロール、運営の透明性が保証
されることがきわめて重要であり、それによってわが国の大学評価の将来が決
定されることにもなろう。
....管理運営については未決定の部分も多く、具体的な規定について、注
意深く検討し、国立大学としての見解を述べていく必要がある。」
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[28-2-2]参議院文教科学委員会2000.3.21議事録より(cf.[6-2])
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00321-bunkyou-kagaku.html
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[28-2-3]三輪定宣教授「大学評価機構の設置は教育・研究発展の足かせに」
参院・文教委・科学委員会 参考人質疑2000.3.23より
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00330-miwa.html
「第一に、大学評価機構を国の機関として設置する問題があります。真理探究、人
格完成をめざす教育・研究の本質からいって、大学の教育研究活動の評価は本来慎
重を要するものです。評価は本来、大学・教員が自主的・自覚的におこなうもので、
法的義務付けが大学の活力を損ね、将来の教育・研究の発展の足かせになることを
憂慮します。
97年の大学審議会答申でも「第三者評価」を検討課題にとどめていました。最
近、大学評価政策の大転換が起こったといえるでしょう。
この機構は文部大臣の所管で、人事・予算・事務の独立性が弱く、第三者機関と
いうより、実質は国立大学を管理する文部科学省の付属機関の性格が強いものです。
国立大は、現に文部省の許認可権、財政権、人事権などにより大幅に自主性が損
なわれていると大学では受けとめています。国家的・行政管理的な大学評価体制が
そのうえにしかれれば、その傾向がいっそう助長されることが憂慮されます。
この大学評価機構についての国民的議論はまだ不十分です。日本科学者会議をは
じめ、多くの団体が反対と危ぐを表明しています。
学術会議の今年1月の報告は、第三者による評価には、大学相互、専門家集団・
学会、学生、マスメディアによる評価、複数の評価主体・評価基準が求められると
のべていますが、国の機関による評価を含めておらず、この機構には権力的な、硬
直的、形がい化した評価機関にならないように警告しています。
米国では、州や大学連合組織による基準認定をしていて、国(連邦)の機関では
ありません。そのエネルギーはボランタリズムにあります。フランスでは法律で大
学評価の政府からの独立が明記されています。イギリスは大学評価と補助金配分の
結合がおこなわれ、弊害が指摘されています。
...」
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[28-2-4]発行者から丹保北大学長へのメール2000.10.26より
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/niad/00a26-to-tanbo.html
【要望3】目的・目標に対する達成度で行う評価は学術研究には適しない。
(理由)目標達成型研究を諸々の研究の中心に据えることは、本来の学術研究
活動を「萌芽的研究」「基礎的研究」と名付けて周辺に位置づけることを意味
する。このような偏った研究観を基にした評価がもたらす<競争的環境>では
<個性輝く>ことなどありえず、学術研究の質の広汎な低下をもたらすであろ
う。
【要望4】大学評価機構の全活動を文書で公開し、大学評価機構の評価機能を、
種々の主体が自由に評価できるようにする。
(理由)大学評価機構が第三者性を保てるかどうか、大学だけでなく、政・官・
財からの独立性を保てるか否かは、評価の意義を左右する。また、評価機構・
評価委員の評価能力が、種々の団体による評価を受ける体制を確保しなければ
ならない。これが、国立大学協会の最終報告で必要性を強調した「レイマンコ
ントロール」のための最低条件である。このために、すべての審議過程は議事
概要ではなく発言者が明記された議事録として公開し、評価結果に対する大学
からの申し立てに対する審議内容も公開する。なお、「評価方法案」自身に到
るまでの審議過程も当然公開されなければならない。さもなければ、大学につ
いて文部省が調べたいことを列挙したものが「評価方法案」ではないか、とい
う疑いは消えない。
...
「大学評価機構の創設準備委員会には国立大学協会のWGが積極的に参加し、
大学社会内部で議論を深めることなく、機構の設立に全面的に協力した。しか
し、設立後は、国立大学協会は経団連等の団体と同列の言権しかなく、大学の
意に反した方向に進み始めている。現在、国立大学協会は、大学社会内部での
議論を深めることもなく、独立行政法人化調査検討会議に積極的に参加し、大
学にとって好ましい法人化を実現 しようとしているが、この2つのプロセス
が酷似していることを国立大学協会の方々は正視して頂きたい。」
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[28-2-5]渡邊信久氏から丹保北大学長へのメール2000.10.28より
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/niad/00a28-watanabe.html
「...評価機構の(案)を読んでみますと,.....疑問点や不安点が数
多くあります.例えば組織の「分野別研究評価」の「研究内容および水準」を
「教員の個別の業績を基に」するという一点だけをとってみましても,他大学
の教員や共同利用機関の職員との共同研究が一般的である現在,業績を共同研
究者間でどうやって配分するのだろうという極めて単純な疑問が生じます.ま
さか,論文の著者順序で点数化するなどということはないのでしょうが.
教員の獲得予算による校費の傾斜配分を導入した広島大学の友人の場合,広島
大学外の教員との共同研究が多く,共同研究グループとして獲得した予算が広
島大学ではなく他機関の会計に繰り入れられていたため,傾斜配分の算定基礎
として全く考慮されなかったと悔しがっていました.「業績」の組織間での配
分はこのような予算の評価以上に困難ではないかと思います.
また,そもそも(案)では評価の目的に「大学等の諸活動の状況や成果を多面
的に明らかにし,....広く国民の理解と支持が得られるよう支援・促進し
ていくこと」と書いてありますが,ならば大学の惨状も評価し,例えば技官・
事務官のような教育・研究支援組織の定員増の必要性を文部省や大蔵省に対し
て行うような,つまり(本来の)人事院のような働きを評価機構が行う必要が
あると思われますが,(案)にいう評価では「さぼらないで働いていますか」
という評価をすることしか見えません.
総長におかれましては,評価機構が大学の望まない妙な組織として発展しない
よう,今後もあらゆる機会を活用して正当な主張を続けて下さいますようよろ
しくお願いいたします.」
[28-2-6]機構が10月末までに意見を求めている「関係者」は次のようになっている。
〔大学団体〕国立大学協会・公立大学協会・日本私立大学団体連合会・日本私
立医科大学協会・文部省所轄並びに国立大学附置研究所長会議・大学基準協会
〔経済団体〕経済団体連合会・経済同友会・全国中小企業団体中央会・日本経
営者団体連盟・日本商工会議所
照会先のリストが大学評価機構の性格を浮き彫りにしている。経済団体が「大
学関係者」というのならば、すべての国民が「大学関係者」であり、当然、入
れなければならない団体は数多くあるだろう。経済団体以前に、なぜ、学術関
係者が入っていないのか(公的機関とはいえ日本学術会議の意見を当然聞くべ
き)、学生・院生関係の団体が入っていないのか、初等中等教育関係者の団体
が入っていないのか、法曹関係者等の団体が入っていないのか。
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[28-3]大学審議会基本問題検討部会(第12回2000.10.3)議事要旨より:
http://www.monbu.go.jp/singi/daigaku/00000378
(○:委員,●:事務局)
● ...今回の審議会のメッセージは,まず,大学でしっかり教育をしてほ
しいということであり,それをどういう形で答申に盛り込み,また設置基準に
どう反映させるかということであるかと思う。教授の資格として現在要求して
いる教育研究能力について,教育及び研究なのか,教育又は研究なのかについ
ての議論もある。現在は,教育と研究能力両者を併せて一定の能力を求め,そ
れに業績等を付加する形で,教授の資格としているが,これでよいかどうか。
また,教授の資格は各号列記してあるが,研究に関する規定が1号として規定
されているので,これを一番後に規定してはどうかなどいろいろな問題がある
ので,これらについて御意見を承りたい。
○ 大学の学部は,能力が低い学生や,意欲のない学生も入学してくるように
なったことを踏まえ,学部を担当する教員と大学院を担当する教員を分けて,
大学院は研究中心,学部は教育中心としてはどうかと思う。また,学部の教員
は,初等中等教育のように教員免許を必要とすることとし,教員としての最低
限のことを学ばせてはどうかと思う。
○ 基本的な方向として,教授たる者は研究上の能力を問われることもあり,
又,教育上の能力を問われることもあるのだ,ということを明らかにした方が
いい。また,学位だけでなく,他の要素による要件も,うまく列記できるよう
にしたいと思う。
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#事務局が「今回の審議会のメッセージは、まず大学でしっかり教育をしてほ
しいということであり」とまとめているのは奇異な感じがする。審議会の委員
が文章を書くのではないのか。宮本氏の証言[19-2]は普遍的なものかも知れな
い。また、このような重要な会議の議事要旨に、発言者の名前を出さないのは
なぜか。名前を出すと困るような発言をしているのか。事務局も同じである。
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[28-4] IT 基本法より
http://www1.jca.apc.org/aml/200010/19592.html
「第3章 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部
....
(資料の提出その他の協力)
第30条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認める時は、関係
行政機関、地方公共団体及び独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法
律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。)の長並びに特殊
法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為を
もって設立された法人であって、総務省設置法(平成11年法律第91号)第4
条第15号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、
意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
二 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項
に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。」
#第30条は、インターネットの自由な発展への脅威となる。
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[28-5] 国立大学協会への署名運動賛同者641名 2000.10.30現在
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/008/25-shomei.html
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[28-5-1]11/15 国立大学協会総会で、要望書と署名簿
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/008/24-shomei.html
を、呼びかけ人有志から各学長に直接配付する予定です。その際に国立大学独
立行政 法人化問題に関心のある方(国立大学教員以外の方、また一般の方も
歓迎します)か ら学長の方々への提案・意見・メッセージなどがあれば同時
に手渡したいと思いま す。
形式や長さは自由ですので11月11日(土曜)までに電子メール
tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp
Subject:msg-1115
としてお送りください。
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[28-5-2]11/15 国大協総会公開の要望書への共同署名者を募集中
「11月15日の総会の公開を会則28条に従って国立大学協会に要求します。
以下の要望書を11月2日に提出しますので、賛同し共同署名に参加される方
は11月1日までに
tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp
宛に
Subject:koukai
としてお知らせください。
(資料)国立大学協会会則抄
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/kokudaikyou-kaisoku.html
要望書(案 Ver 0.95 )
50年続いた国立大学制度廃止の準備を進める文部省の作業に国立大学協会が
協力するに到った6月14日の総会前後の経緯は、日本社会に対しても大学社
会に対してもアカウンタビリティを完全に欠いている。このような不透明な行
為は、日本社会の知的活動を支える国立大学の運営者の集団として、相応しい
ものではない。そこで、以下を要望する。
(1)11月15日の総会では、国立大学協会は6月総会の不透明な合意事項
を撤回すること.少なくともその意味を日本社会と国立大学教員に対し明確に
説明すること.
(2)独立行政法人化に関する審議を当日国立大学教員に公開すること.
(註)1970第47回総会承認事項」に総会公開への以下の反対意見が記載されて
いるが、国立大学制度廃止の動向を左右する歴史的重要性を持つ総会である以
上、公開を拒否するに足る理由とは思えない。
(a)公開の際における秩序維持の方策のないところで公開をすることは問題。
(b)教授会や評議会は公開しないので国立大学協会総会を公開する理由はとぼしい。
(c) 審議過程の公開は、会報への議事要録の掲載、各大学内への情報の伝達の
方法で十分。
(d)実質的な議論は常置委員会等で行われ、総会では行われないことが多いので
公開しても審議経過を明らかにすることにはならない。
......................................................................
======================================================================
[28-6]国立環境研究所員「そもそも論の矛盾と理事不要論」 (2000年9月19日)
http://www.intio.or.jp/arbeiter/opinion/opinion103.htm
「...また、このように実際の研究者数がやせ細っていく状態で、研究をし
ようはずもない理事を置くことは無意味である。更に、研究所が「本来、主任
企画官がトップダウン的に決めることも可能である。」と考えているのであれ
ば、理事など居なくても企画がしっかりしていればそれで済むではないか。理
事分を、プロジェクトリーダーなど研究スタッフに当てた方が研究が充実する
というものである。
研究者はもっと声を大にして、国立環境研究所の危機を訴えるべきである。」
======================================================================
[28-7]法科大学院構想の諸問題
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[28-7-1] [he-forum 1363] 萩尾健太氏(弁護士)法科大学院構想の問題点より
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1363.html
「この「法科大学院構想」の問題点は、大きく四つあります。
第一に、大学間格差・学部間格差・学部教育の空洞化、第二に、大学自治破壊
の第三者評価機関の設置、第三に、学生の成績及びその他の活動の管理による
統制と抑圧、最後に教育の機会均等の破壊です。」
「 今、この大学自治破壊の「法科大学院構想」について、民科法律部会、日
本科学者会議、全大教をはじめとする大学人の間で急速に反対の声が起きてき
ています。この声に応え、多くの大学人とともに「法科大学院構想」を阻止す
る、それが出来なくとも、第三者評価機関設置と国立大学独立行政法人化を阻
止し民主的法科大学院を実現するべく運動する決意を込めて、私の発言を終わ
らせていただきます。」
----------------------------------------------------------------------
#同氏による詳しい議論:[he-forum 1354 法科大学院構想について」:
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1354.html
(http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/00a/22-hagio.html)
----------------------------------------------------------------------
[28-7-2]he-forum 1355より、
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1355.html
「法科大学院構想(以下、ロースクール構想)に関して、問題点を提起し、代
替案として私案を提示します。法曹教育改革の大勢は既に決しているかに見え
ますが、以下のような大きな問題点をはらんでおり、根本的に修正すべきであ
ると考えます。司法制度改革審議会の最終答申まで、まだ半年以上あるのです
から、各方面にその問題点を十分に認識していただければ、勝負はこれからで
あるとも考えます。
現在までに示されているロースクール構想の問題点は、次の通りであると考
えます。
(1)設立に関して、コストが莫大にかかることで、その実現性に疑問があ
ります。.....大学関係のロースクールは、ふたを開けてみれば、国公立・
私立すべてを合計して、20大学、総定員は1000名程度にしかならないと
も考えられます。....結局の所、法曹養成がいわゆる旧帝大などの一部大
学でのみ独占的に行われるということになりそうな雲行きです。....財政
的な裏付けのある法学教育改革の議論が必要と考えますが、いかがでしょうか。
(2)...日本の法学教育の伝統の次の点を踏まえるべきではないでしょ
うか。まず...法学部のある日本では、法曹資格がなくても相当高い法律知
識を持っている人材が、官庁・企業に提供されています。この違いを無視して、
アメリカの模倣に走るのは疑問です。 次に、日本では既に大学院で、「法学
研究科」を中心に、高度な法学教育が既に行われているのであり、これを無視
してアメリカの模倣に走るのは疑問です。 また日本では実務研修が、司法研
修所で相当高度に行われています。アメリカではこれほどの教育はされていま
せん。この日本の伝統を踏まえて制度設計をすべきではないでしょうか。
(3)ロースクール自体が司法試験の受験予備校化するとの懸念が関係者の
間では、強まっています。これを防ぐには、ロースクールに対する外部からの
強力な継続的監督をしなければなりませんが、これにも相当なコストがかかる
ことが予想されます。
そもそも、現行制度の最大の問題点は、司法試験の受験者が...法学部で
のしっかりした勉強をしておらず、質が低下してきていることにあり、司法試
験合格者を増加させるとその弊害が強まることにあった筈です。
それならば、次のように対処すべきではないでしょうか。
私自身の考える、あるべき法学教育改革案の骨子は次の通りです。
(1)司法試験は問題の様式や受験資格などは、基本的に現行通りとし、合
格者数のみ2千人から3千人程度にまで増加させる。
(2)司法試験合格者には、大学院の修士過程に入学を義務づけて、1年な
いし2年の履修によって、修士号を得なければならないものとする。この場合
の大学院での履修は、法律学を主たる対象のものとするが、別な分野の科目の
履修も可能なものとする。大学院は、法学研究科以外でも法学教育が行われて
いる所は履修可能とし、修士論文の指導が適正に行われているか第三者機関に
より評価する。 この大学院教育において、要件事実教育につき、司法研修所
の教育を一部代替させるものとする。なお、司法試験合格者が履修する大学院
のコースは、法曹専攻コースとして、司法試験に合格しなければ履修できない
ものとする。
(3)修士号取得後、1年間の実務研修を司法研修所において受けることを、
義務づける。
....
司法制度改革審議会などにおけるロースクール構想の審議にあたっては、い
くつかの大学が打ち上げたロースクール構想が参照されてきたと思います。し
かしながら、打ち上げられたロースクール構想は、少子化対策もあって各大学
の実力以上の構想が「格好良く」打ち上げられた色彩が強いものです。華々し
くロースクール構想を打ち上げた某大学が、実はロースクール構想に苦慮して
いるとの情報も大学関係者の間では流れているのです。
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[28-8]大学改革―ビッグバンをめざせ(朝日新聞社説)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1359.html
「欧州では、国を超えた学生・教員の交流や大学間協力が進んでいる。
職種や職場の枠を超え、次世代の育成のために協力する知識人たちの姿を見
て、ある日本人教授はこう思ったという。
大学改革を、自分の大学がよそより良くなることとしかとらえない日本との、
何という違いか」
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[28-9]大宮知信氏「学ばず教えずの大学はもういらない」
草思社2000年3月ISBN 4-7942-0956-8 序文(p3)
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/00a/09-oomiya.html
「大学は高等教育機関である。学の蘊奥を究め、深い教養のある社会人、研究
者を育てるところである。なにをいまさらそんなことと思われるかもしれない
が、その主人公である学生は学問に関心がなく、教育されることを嫌がってい
る。一方の当事者である大学教員も教育にそれほど関心を示さない。学生を雇
用する企業の経営者も学費を負担する親も、大学の教育に期待していない。お
かしなことに、目本の大学は、だれも教育を真剣に考えていないのだ。それで
も高等教育機関として成立しているのだから、じつに不思議である。
この摩訶不思議な教育機関がなぜ存在するのか、現状はどうなっているのか、
という素朴な疑問が取材の動機である。
...
関係者は手をこまねいているわけではなくさまざまな改革を試みているが、さっ
ぱり実効があがらない。大学改革はつねに政界、経済界、文部省などの外圧を
受けて行われてきた。内部から行われたことはない。学生が「大学解体」を叫
んでキャンパスをバリケード封鎖した、あの大学紛争のときも何も変わらなかっ
た。その後も改革のチャンスは何度もあったが、本質的な部分では何も変わら
ず、今日に至っている。いま行われようとしているさまざまな改革もそうした
外圧によって行われようとしている。だが、外圧の改革でよくなったためしは
ない。教育制度はいじればいじるほど悪くなる。国全体のビジョンも不透明な
なかで、現場の教育者が明快な青写真を描けないのは致し方ないという意見が
あるが、それならそれで杜会システムの変化も含めた大学のあり方を考えるの
が教育者、研究者の役割ではないか。
...
大学がこんなおかしなことになったのは、大学の教員や学生だけの責任ではな
い。肝心の教育の中身は問わず、たんなる労働者の選別機関としてしか大学を
見てこなかった企業の側にも責任がある。ここまで放置した政治家や官僚にも、
あるいは「愚者の楽園」であることを容認してきたマスコミ、親の側にも責任
がある。日本国民全員がよってたかって大学を駄目にしてきたのだ。大学に何
を期待するのか、自分たちの息子娘たちがどんな教育を受けてほしいと思って
いるのか、また当の学生たちは大学で何を学びどう生きようとしているのか。
大学を取り巻く環境、社会システム、国民の意識が変わらないかぎり、大学に
だけ自己改革を迫ってもよくなりっこない。
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大学問題は、大学関係者だけの問題ではない。日本国民一人一人の問題である。
どうすれぱいいのか、またどうすべきなのか、よく考えていただきたい。この
本は、そのための材料として読んでいただければ幸いである。」
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発行者: 辻下 徹
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登録 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/mg2.html
発行部数 1045 (2000.10.29現在)
内訳:Mag2:590 / CocodeMail:328 / Pubzine:58 /Macky!:35 / emaga:21 / melma:13
その他直送 約 200 /ダイジェスト版直送 約 2000
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End of Weekly Reports No.28 2000-10-30
**この週報は発行者の個人的な意思で行っています**
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