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Weekly Reports  No.47  2001.4.9 Ver 1.1

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-47-01409.html 総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者より 参議院文教科学委員会・衆議院文部科学委員会がかなりの頻度で開かれ [47-1]、法律が政府案通り可決されていく。野党が出した30人学級法案も効 果はなかった。国会の勢力分布が来年も今のままなら、政府の思惑通りの「国 立大学法人法案」が、同じ調子で(もっとひっそりと)両委員会で政府案通り 可決されるだろう。  民主党は独立行政法人制度の本来の機能を活かして、民営化・地方移管化の 過渡的措置として国立大学を独立行政法人化せよ、という政策を昨日打ち出し た[47-5]。文部科学省の教育支配を壊す趣旨は意義があると思うが、少数の政 府直轄大学と私立大学とに国立大学を分化させることには、ニュージーランド で起きたような、学術・教育システム全体の退化[34-5]を引き起こす大きなリ スクがあるが、それをどこまで真剣に検討しているのか不明である。 与党も第一野党もこのような状況だから、参議院選挙に向けてアンケートを 実施し、各候補者の、国会議員として重要な、学術・教育問題に関する認識と 見識とを明確にすることは、国立大学の独立行政法人化問題だけでなく、日本 社会の興亡の視点からも、意義あることではないか。  ところで、国大協は5月21日に設置形態検討特別委員会を開き、連絡委員 会による4専門委員会の案をとりまとめた中間まとめ案を議題とし、結果を6 月12/13日の総会で承認する予定のようである[47-7]。だが、民主党だけ でなく、行政改革関係者は、独立行政法人化を民営化・地方移管化の過渡形態 と捉えていることを認識し、国立大学民営化・地方移管化の是非を十分検討す ると共に、それを是とするか否かを日本社会に問うべきであろう。参院選はこ の意味でも良い機会ではないだろうか。  MITのOpenCourseWare プロジェクトは、高等教育の公的性格を強めるも のとして注目される[47-9]。講義録、参考文献、宿題や試験問題などをインター ネット上で無料公開するものであるが、世界の知的水準を高めるというMIT の使命感のために可能性ある財源を放棄する決意をしたことに感動を覚える。 大学経営にも真のinnovation があることを示した点にも感銘を受けた。  インターネットにより技術的には可能となった文書公共財化を目指す世界的 な活動としては、1971年から始まったProject Gutenberg[47-9-4] がある。 コーネル大学では古い数学書571冊をオンライン化している[47-9-5]。日本 でも個人が10数年続けている「私立PDD(Public Domain Documents)図 書館」の試み[47-9-3]がある。インターネット上で、あるジャンルの電子文書 が大規模に無償提供されるとき、それは公共財としての性格を持つことになり、 民間の経済的活動としては維持されなくなる。日本社会の知的インフラを構築 する「公共事業」として、「科学技術基本計画」の中に国立PDD図書館構築 を入れてはどうなのだろうか。それほど予算のかかることではあるまい。   前回取り上げた「競争社会を超えて」[46-6-3]の著者アルフィーコーンによ る「報酬と動機」という文書がオンライン化れている[47-11-3]。創造性や動 機づけの調査を行った Theresa Amabile (Brandeis 大学の心理学の準教授) は、報酬は創造的な仕事 (高次の問題解決も含む) にとって破壊的な効果を 持つと指摘し、仕事がより複雑になるほど、外的な報酬によって仕事の質が傷 つけられることも多くなる、と述べている。富士通の成果賃金制失敗[45-9-5] は、方向が根本的に間違っていることが原因で「日本型成果主義」を模索すれ ば済むようなものではない、という可能性もある。  民間だけでなく公的セクタにも報酬主義を貫徹させようとする最近の政府の 方針は、日本社会から自然な創意工夫を育む土壌を一掃し、一時的な表面的成 果を出すことにしか人々が関心を持たない社会に作り替える危険性を持つ。 ━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-1] 通常国会議事録より [47-1-1] 参議院文教科学委員会,有馬朗人委員による国立大学関係質問 [47-1-2] 衆議院文部科学委員会,第9回3/28議事録より [47-2] 日本学術会議ホームページ拡充 [47-3] 文部科学省 [47-3-1] 調査検討会議「人事制度委員会」 [47-3-2] 「21世紀における医学・歯学教育の改善方法について」 [47-3-3] 2001 教育統計データCD−ROM VOL.1 [47-4] 教科書検定の問題 [47-4-1] 教科書用図書検定結果に関する文部科学省大臣談話(2001.4.3) [47-4-2] 子供と教科書全国ネット21 [47-4-3] 歴史学者のアピール [47-4-4] 中日新聞 教科書審委員を更迭 2000.10.31 [47-4-5] 新教科書を全国に浸透させるマニュアル例:つくる会岡山県支部 [47-5] 民主党の高等教育政策 [47-5-1] 国立大学の地方移管・民営化を 民主党が大学改革案 [47-5-2] 民主党ネクストキャビネットin Net のページより [47-6] ロースクールで中間提言 自民司法制度調査会小委 [47-7] 国大協関係の予定 [47-7-1] 5月21日国大協特別委員会 [47-7-2] 国大協総会の開催 6/12,13 [47-8] 大学基準協会 JUAA [47-8-1] じゅあ 第26号 2001.3.30 編集・発行 財団法人大学基準協会 [47-9] MIT 教材のPublic Domain Document(PDD)化 [47-9-1] 米MIT、10年をかけてすべての授業をインターネットで無料公開 [47-9-2] MIT OpenCourseWare プロジェクトの意義 [47-9-3] 私立PDD 図書館 [47-9-4] Project Gutenberg [47-9-5] 19世紀以前の数学書571冊のオンライン化(コーネル大学) [47-9-6] 通学不要のネット大学院 信州大、来年4月に開設 [47-10] 独立行政法人問題千葉大学情報分析センター [47-11] 意見・資料・リンク紹介など [47-11-1] 佐々木毅東大学長「東大はこう変わる 大学らしい大学を目指して」 [47-11-2] 岡村久道「法律とサイバースペース関係 リソース集 (LINK)」 [47-11-3] アルフィー・コーン「報酬と動機」 [47-12] Yahoo! JAPAN 掲示板より [47-12-1] [45-2-1](研究者のアウトソーシング)へのコメント [47-12-2] 産業の空洞化 [47-12-3] ワークシェアリング・定年制・同一大学プロモーション禁止等 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ♯より始まる文は発行者のコメント ---------------------------------------------------------------------- [47-1] 通常国会議事録より ---------------------------------------------------------------------- [47-1-1] 参議院文教科学委員会3月22日、有馬朗人委員による国立大学関係質問 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0107/151/15103220061003c.html http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/322-sangiin-bunkyoukagaku.html ○国務大臣(町村信孝君)「..過去五年間の科学技術基本計画の中では、補 正予算等々も随分ございましたものですから、310万平米、事業費約一兆八 百五十億円を確保してやってまいりました。ただ、委員御指摘のように、依然 としてまだ施設の老朽化あるいは大学院の学生の数が増加をしているなどなど、 いろいろな状況から、施設の老朽化、狭隘化の問題は依然として重要な問題だ と、こう考えております。  今後、整備が必要な約1100万平方メートルのうち、全部一遍にはこの5 年間でできませんので、そのうち半分ぐらいになるんでしょうか、今そこを詰 めているところでございますけれども、緊急に整備が必要なものにつきまして、 この3月末までに科学技術基本計画を閣議決定いたしますので、そう時間を置 かないうちに、できれば4月中にも新しい施設整備計画を決定したいというこ とで今大車輪で作業をしているところでございます。 ○有馬朗人君「文部科学大臣に全面的にお願いをいたしたいと思いますし、ま た信頼をいたしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  先ほど補正予算でということがお話にありました。私も補正予算がかなり出 てきたことは喜んでいますけれども、ただ補正予算というのは大変使いにくい。 すなわち、急に補正予算の話が来たり、またいついつまでに使わなければなら ないというような規制が強いというわけでありまして、私といたしましての希 望はぜひとも当初予算をふやしていただきたい。  そこで、来年度の文教施設費について、どのくらいになったか、去年に比べ てどのくらい伸びているかということをお聞かせいただきたいと思います。大 臣じゃなくても結構です。 ○国務大臣(町村信孝君)「13年度当初予算は、整備面積25万平米、施設 整備費としては1013億円ということになっておりますが、委員からおしか りをいただくかもしれませんが、平成12年度の補正予算で既に50万平米、 1485億円が計上されておりまして、実質はこれは補正でございますから1 3年度にキャリーオーバーされて使うことになるということでございますから、 トータルいたしますと、75万平米、2500億円弱というような金額になろ うかなと、こう思っております。 ○有馬朗人君「ある時期には、具体的に申しますと1981年あたりは150 0億円に達していたと思います。また、もう一度そういう時期がありました。 そういう意味で、当初予算をぜひとも今後ふやす方向にお願いをいたしたいと 思います。」 .... ○有馬朗人君「...さらに、高等教育については、やはり私は、これだけ私 学にいろいろお願いをしているわけでありますから、私学助成をふやしていか なきゃならないと思います。GDP当たりでいつも申し上げて恐縮であります が、学校教育費を見ますと、日本は三・七%、アメリカは五・一%という大き なものを学校教育に使っているわけです。その内訳で初等中等教育を見ますと、 日本は二・八%にすぎないけれどもアメリカは四%、高等教育は、日本は〇・ 八にすぎないけれどもアメリカが一・一、イギリスに至りますと一・四%です。 ・・・」 ○国務大臣(町村信孝君)「...ただ、さはさりながら、私学の予算も含め て、例えば高等教育についてはまだ大分格差があるなという御指摘であれば、 それは私ども率直に現状を認めるわけでございまして、今後、厳しい財政の中 ではございますけれども、文部科学大臣といたしましては、できる限りそうし た高等教育を含めて、教育全体の予算の確保については最大限の努力をしてい きたい、かように考えているところでございますので、ひとつよろしくお願い を申し上げます。」 ---------------------------------------------------------------------- [47-1-2] 衆議院文部科学委員会">第9回3/28議事録より http://www.shugiin.go.jp/itdb_main.nsf/html/kaigiroku/009615120010328009.htm 中西委員(社民党)「オリンピック記念青少年総合センターは、一九六五年四 月、文部省の特殊法人として発足をいたしまして、一九八〇年五月、特殊法人 を解散して文部省直轄の国立青少年教育施設となって、二〇〇一年四月から独 立行政法人に移行することになっておりますけれども、目的は大して変わらな いのに、くるくるくるくる変わるんですよ。その都度言い逃れみたいなことば かりやってきた。特に特殊法人を解散して直轄になるときなんというのは、三 回の国会にわたって論議をし、そしてようやく国立青少年教育施設になったの ですけれども、今度またこれが独立行政法人になる。ちょっと理解に苦しむの です。.. ですから、こういうやり方をやっておると、行政というのは継承 性もなければ何もなくなってくる。やはりここいらはひとつ貫いてもらわない と、ただ単に数を減らさなきゃならぬとか、あるいは、独立行政法人に大体十 数万の人を持っていく、その一環としてこれをまたというようなやり方はぜひ やめてもらいたいというのが私の主張です。 」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-2] 日本学術会議ホームページ拡充 http://www.scj.go.jp 「おもしろ情報室」より 「科学者をこころざした理由」 http://www.scj.go.jp/omoshiro/index.html 「ゲノムってなあに」 http://www.scj.go.jp/omoshiro/genome_1.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-3] 文部科学省 ---------------------------------------------------------------------- [47-3-1] 文部科学省国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議「人事制度委員会」 (第7回)(平成13年3月14日) ● 人事制度のあり方に関する主な意見・論点(例)・検討の方向(案) http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/j130405-01.pdf ● 田中副主査からの配布資料 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/j130405-02.htm ---------------------------------------------------------------------- [47-3-2] 文部科学省ホームページ「21世紀における医学・歯学教育の改善方法について」 ―学部教育再構築のために―【別冊】 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/03/010331.htm 1 モデル・コア・カリキュラム 医学教育モデル・コア・カリキュラム http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/03/1igaku.pdf 歯学教育モデル・コア・カリキュラム http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/03/2shigaku.pdf 準備教育モデル・コア・カリキュラム http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/03/3jyunbi.pdf 診療参加型臨床実習の実施のためのガイドライン http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/03/4sinryou.pdf 教員の教育業績評価型ガイドライン http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/03/5kyouin.pdf ---------------------------------------------------------------------- [47-3-3] 文部科学省発行「2001 教育統計データCD−ROM VOL.1 −平成12年度学校基本調査報告書−」定価5500円 http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/toukei/010303.htm #オンラインで提供してほしい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-4] 教科書検定の問題 ♯太平洋戦争では、国内外を問わず大半の市民が被害者であり犠牲者であった。 当時の日本社会全体を捉えた狂信の正体を理解する努力こそ日本社会を進化さ せる鍵となるのではないか。当事者が多い時代に難航し中断したその努力を再 開すべき時が来たのではないだろうか。 ---------------------------------------------------------------------- [47-4-1] 教科書用図書検定結果に関する文部科学省大臣談話(2001.4.3) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/04/010402.htm 「もとより教科書検定において執筆者の歴史認識等の是非を判断することは、 思想・良心の自由を保障した憲法の規定に抵触することから、歴史教科書の検 定は、国が特定の歴史認識や歴史事実等を確定するという立場に立って行うも のではない。」 ♯「思想の自由」に抵触するとしばしば批判されている教科書検定行為におい て「思想の自由」を尊重しているという点が面白い。 ---------------------------------------------------------------------- [47-4-2] 子供と教科書全国ネット21 http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/index.htm 「つくる会」教科書の検定結果について http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/siryou_tukurukai_kenteikekka0104.htm#top ---------------------------------------------------------------------- [47-4-3] 歴史学者のアピール:史実をゆがめる「教科書」に歴史教育をゆだねることはできない http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/siryou_sekainokoe0011.htm#歴史学者 「...  一八九〇年前後から一九四五年の敗戦にいたるまでの日本では、国家や軍の 機密、あるいは皇室に関することは、たとえ事実であっても、自由に話したり、 記録して公表したりすることができませんでした。歴史教育の目的は、天皇に 忠義を尽くす「臣民」をつくることであり、歴史教科書は子どもを「臣民」の 鋳型にはめるためのものとされました。これに合致しない事実は退けられ、架 空の物語が日本の歴史教育の根幹を占めました。こうしてつくりあげられた独 善的で排外的な意識や思想にもとづいて、日本と日本人は戦争をくりかえし、 内外に多大の犠牲を強い、ついにはあの惨たんたる敗戦を迎えるに至ったので す。私たちは誤った歴史教育がはたしたこの重大な役割を忘れることができま せん。  ところが、いままた、架空の物語によって子どもたちを教育しようとする 「歴史教科書」が、この日本に登場しようとしているのです。「つくる会」の 「歴史教科書」については、新聞などですでに報道されているように、さまざ まな批判がおこなわれていますが、私たちは、とりわけつぎの二点について注 意を喚起するものです。  敗戦後の日本の歴史学・歴史教育は、国民を戦争へと導くのに大きな役割を はたした戦前の歴史学・歴史教育のあり方に対する深い反省から出発し、多く の学問的な成果をあげてきました。「つくる会」の「教科書」は、歴史の真実 をゆがめるばかりでなく、こうした歴史学・歴史教育の学問的な達成を真っ向 から否定する非科学的なものでもあります。  私たちは、歴史研究者・歴史教育者としての自己の良心にもとづいて、この ような「教科書」が登場することに対する深い憂慮を、広く日本の内外に表明 するものです。」 ---------------------------------------------------------------------- [47-4-4] 中日新聞 教科書審委員を更迭 2000.10.31 http://www.chunichi.co.jp/news/20001031/shk1003.shtml 「文部省は三十日、教科用図書検定調査審議会(南博方会長)検定調査分科会 の野田英二郎委員を価格分科会に配置換えする人事を発令した。野田委員が検 定申請された特定の出版社の中学校歴史教科書を問題視する手紙を出すなどし ていたことに「審議の公正さを損ないかねない点があった」と判断したためで、 事実上の更迭。  この問題では、自民党が同省に野田委員の罷免と審議会の一時中断を要求、 27日に予定されていた歴史小委員会の審議が直前に延期された経緯がある。 30日には、31日の第二部会(社会科)の延期も決まり、検定作業は大幅に 遅れることになりそうだ。  ...  同委員の行為について、ある委員は「あの教科書は常識のある人なら、だれ でも問題があると考える。審議会の場で言えばまったく問題なかった。手紙と 電話をもらったが(自民党や一部の報道が主張するように)圧力とはまったく 感じていない」と話した。別の委員も「圧力と感じるような話ではない。こん なことで審議会が延期にまでなったのは、私の経験では初めてだ」という。」 [47-4-5] 新教科書を全国に浸透させるマニュアル例:つくる会岡山県支部 http://ww3.tiki.ne.jp/‾yang/kyokasyo/kyosikumi.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-5] 民主党の高等教育政策 ---------------------------------------------------------------------- [47-5-1] 国立大学の地方移管・民営化を 民主党が大学改革案 ♯朝日新聞ニュース速報[2001-04-08-03:05]によると、民主党は、国立大学を 10程度、国家戦略的に残す以外は、非公務員型独立行政法人を経て、最終的 に公立大か私立大にする方針を決めたという。独立行政法人制度を、本来の役 割(アウトソーシングの準備)に沿って用いようという明確(だが些か、アバ ウトな)な政策といえる。なお、奨学金を希望者全員に(生活費分もこめて) 支給する方針は画期的なもので、国際水準の奨学金制度が整備されることにな るかもしれない。 ---------------------------------------------------------------------- [47-5-2] 民主党ネクストキャビネットin Net のページより http://www.dpj.or.jp/seisaku/net/ ---------------------------------------------------------------------- [47-5-2-1] 4. 国立大学間での学生の移動を自由にする。 http://www.dpj.or.jp/seisaku/net/proposal4.html 山谷 えり子<文部・科学ネクスト大臣> 「大学の制度が現在のように閉鎖的で純血主義に固執していると創造性・競争 力のある人材の育成は困難です。学生の移動を可能にし、大学の評価がなされ ていく中で国立大学の教育は活性化されます。魅力ある研究体制と教員を提供 できない国立大学は税金の無駄使い。また、世界的に競争力のある高等教育の 土壌を作るために国立大学の統廃合や、大学制度の改革も必要だと考えます。」 ---------------------------------------------------------------------- [47-5-2-2] 5. 文部省の解体、教育権を都道府県に移す。 http://www.dpj.or.jp/seisaku/net/proposal5.html 山谷 えり子<文部・科学ネクスト大臣> 「文部省による多くの規制、中央集権的コントロールのため、地域ごと学校ご との独自性のある教育ができない現状が教育の硬直化と荒廃を招いています。 文部科学省のうち教育に関わる部局は廃止し、これに代って独立行政委員会と しての「中央教育委員会(仮称)」を設置し全国統一の最低基準、基本方針を定 める以外は、権限を地方自治体に行使させなければ教育改革の実はあがらない と考えます。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-6] ロースクールで中間提言 自民司法制度調査会小委 共同通信ニュース速報2001.4.6 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1795.html 「ロースクール設置基準について、最小限客観的なものにとどめ、広く設置を 認めることを提案。現在一定のキャリアを積んだ法律学の大学教授らが、法曹 資格を得ることができる制度については「問題が多く再検討が必要」と見直し を指摘した。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-7] 国大協関係の予定 [47-7-1] 5月21日国大協特別委員会 4専門委員会連絡会議によるとりまとめ案を議題とすることが4月2日の委員 会で決まる。 [47-7-2] 国大協総会の開催 6/12,13 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-8] 大学基準協会 JUAA JUAA=Japanese University Accreditation Association http://www.juaa.or.jp/index.html ---------------------------------------------------------------------- [47-8-1] じゅあ 第26号 2001.3.30 編集・発行 財団法人大学基準協会 http://www.juaa.or.jp/main/juaa/juaa26.pdf 巻頭言:「大学評価問題の混乱」 松尾 稔(名古屋大学学長・大学基準協会f副会長) 「...この4月から、国の第三者評価機関「大学評価・学位授与機構」が豁 然と現れ、脱兎のごとく活動を開始した。この機構は新参者とは言え、厳然た る国の機関であり、一つの財団法人にすぎぬ本協会にとっては、安閑としてお れぬ脅威である。...この脅威の思いは、国立大学も等しく共有するところ だ。個々の国立大学はもちろん、公私立大学を包含した「基準協会」すらもが、 国による無言の統制や意向に、いやいやながら(と言えば格好が良いが)、作 り笑顔で以て従ってきた歴史を思い起こす必要がある。  基準協会や国立大学協会を非難しているのではない。両者に所属する私自身 も含め、国の機構の動向を息を潜めて窺っているのが事実だ。しかし、今回こ そは、のっぴきならぬコトの起こりを待つより積極的に動くべきではないか。 原点に戻り、自己の協会の在り方を実行性をもって主張し、国の機構に対する スタンスを明確にし、影響力を発揮すべきではないか。...」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-9] MIT 教材のPublic Domain Document(PDD)化 ---------------------------------------------------------------------- [47-9-1] 米MIT、10年をかけてすべての授業をインターネットで無料公開 (Internet WATCH 2001.4.5) http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2001/0405/mit.htm ---------------------------------------------------------------------- [47-9-2]「MIT OpenCourseWare プロジェクトの意義」 (高等教育フォーラム2473, 2001.4.7) http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/2477.html 「...MITプロジェクトは、無償提供という点が画期的なのですが、その 他の点では既に多くの人がやっていることを大規模にやることに過ぎません。 ただ、無償にする決意した背景にある、種々の考えを学ぶことが重要と思われ ます。特に、理想主義を市場主義に優先した点など。 ... (1)このプロジェクトへの参加はMITスタッフの自由となっている。従っ て、無料提供されると予想されている<コース数約2000>がカリキュラム の全体というわけではない。... (2)このプロジェクトの意図は、大学教育の意義を、「教材提供」的なもの から、学生・教員の相互作用に移動させるところにある。... (3)大学間の競争を意図したプロジェクトではなく、大学間の長期的共同作 業を意識すると共に、MITの使命感(最先端の研究成果を取り入れた教材を 世界に流布さ世界の知的進歩を促すこと等)を実利に優先させることを意識し ている点で、市場原理が基盤となっている競争社会のアメリカでは異様なもの である、という点。また、実利主義へのアンチテーゼを意識して出されている こと。・・・ (4)OCW はインターネット教育に替わるものではない、と明確に意識されて いる。... 最初にも述べましたが、MITのOCW プロジェクトの画期的な点は、大学の 使命感に基づき、大学が一つの財源を放棄したことではないかと思います。 一つの長期的問題は、質の高い教科書や講義録が無料で手に入るようになれば、 教科書や講義録を出版しても余り売れなくなり、長期的には、教科書・講義録 を書く経済的インセンティブがなくなっていくことでしょう。 インターネットによって電子出版物は「公共財」の2条件の中の「消費におけ る非競合性」を持つようになりましたが、MIT のOCW は、もう一つの条件「排 除不能性」を(アクセス制限を設けないことにより)実現することで、教材を 「公共財」として位置づけたとも言えます。とすれば、このプロジェクトによ り、教材関係については市場は失敗することになりますから、公的な配慮が長 期的には必要となるように感じます。 MITの創造的経営を目指す努力、インターネットを活用する新しい方法を模 索する真剣さ、その中からの予想外の提言を採択したMITの経営陣の勇気と 見識に満ちた決断に、敬意を表したいと感じます。」 ------------------------------------------------------------------------ [47-9-3] 私立PDD 図書館 http://www.cnet-ta.ne.jp/p/pddlib/ PDDの趣旨より 「インターネットでサーフィンしながら、「おや、俺ならこうする。」とか、 「私ならこう考える」ということはありませんか。  しかし、その考えを発信しようとすると、発想の源になったホーム・ページ (HP)を引用しなければなりません。もし、自分の考えた通りに加工しようと すると著作権の問題が発生してしまいます。そんな理由でしょうか、リンク集 が大はやりです。しかし、リンク集だけでは内容が散在し、HPの意見が薄く なってしまいます。また、発想とデータ・情報の再構築こそ創造の第一歩です。  発想の源になった意見・画像・データなども、さらにその根源はみんなのも の(PDD)だったはずです。すべてが人類の歴史と文化の上に成り立っている のです。そして、あなたこそ、その歴史と文化の継承者の一員なのです。  もちろん、著作権を否定するつもりは一切ありませんが、反面で知的活動の 足かせになっていることも事実です。でも、ここで著作権を論ずるつもりはあ りません。そんな時間があるのなら、著作権フリー(PDD)の世界を創ろう!  ということで、ここに私立PDD図書館ホームページを開設します。」 ---------------------------------------------------------------------- http://www.cnet-ta.ne.jp/p/pddlib/readme2.htm 10年間の寄付の総額は1万円。 ---------------------------------------------------------------------- [47-9-4] Project Gutenberg http://www.gutenberg.net/index.html ---------------------------------------------------------------------- [47-9-5] 19世紀以前の数学書571冊のオンライン化(コーネル大学) http://moa.cit.cornell.edu/dienst-data/cdl-math-browse.html ---------------------------------------------------------------------- [47-9-6] 通学不要のネット大学院 信州大、来年4月に開設(共同通信2001.4.5) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1793.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-10] 独立行政法人問題千葉大学情報分析センター ---------------------------------------------------------------------- [47-10-1] 速報No.3(2001.4.6) 特集:大学財政問題概説 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/geodiary.html#N3TITLE 【開示1】千葉大学将来計画検討委員会  財務会計WG中間報告 概説:大学財政問題 【分析1】岡本義朗「独立行政法人の業務運営及び財務会計制度に関する理論的考察」 【分析2】宮脇 淳「独立行政法人化の実態と課題」 【分析3】岡田知弘・二宮渥美「独立行政法人化で大学の自主性は高まるか」 【提言】 ・・・・ 1.独行法会計基準は、【分析1】にもあるように、また【開示1】にある財務会計 WG中間報告においても「他の独法機関とは異なる固有の会計原則の作成」が提言され ているように、合理性を欠く、欠陥品である。この事実からだけでも、通則法による 独法化を明確に拒否することが必要である。 2.何よりも財政分析が必要である。一体、現在の教育研究活動を進めるのはどれだ けの予算が必要なのか。ドンブリ勘定的な積算校費制度が事実上解体された以上、こ の作業を、各学科、各部局、千葉大学全体で行なわなければならない。そして、「競 争的資金配分」にもし意義があるとすればいかなる基盤的経費の支給の上に構想され るべきなのか、を厳密に検討することが求められている。それをスキップして、他大 学でも**%導入するからだとか、圧力回避のタクティクスだという理由で、対処す べき課題ではない。 3.「学問の自由を制度的に体現したものが大学の自治であるとすれば、それを経済 的に保障するのが、大学財政である」(前掲、岡田論文)。この見地から現在の大学 財政制度の問題を根本的洗い直し、あるべき財政を提示する必要がある。今日の困難 の背景の一つには、こうした作業に真摯に取り組まず、「GDP1%」だとか「欧米 並の高等教育予算」というスローガンしか提起できなかった大学側の怠慢さがあるこ とも自覚しなければなるまい。日本の破滅的状況を打開するためにも、事態を科学的 に分析する学問的自由が必要であり、その学問の自由の経済的保障=大学財政はどう あるべきか、このことを提言する作業にとりくまねばならない。 【開示2】東大財務企画委員会=2001.3.19(抜粋) 【独法化をめぐる動向】東大5条件について 【情報へのアクセス】 ---------------------------------------------------------------------- [47-10-2] 千葉大学将来計画検討委員会  財務会計WG中間報告 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/geodiary.html#N2CTITLE はじめに 1. 独法の特徴 1.1  独法は民営化ではない。 1.2  公共性、自主性、透明性 1.3  企業会計原則の適用は暫定的 2. 財務会計面の注意事項 2.1  独法の収入 2.2  損益計算の性質 2.3  行政サービスコスト計算書 2.4  中期計画に記載される項目 2.5  剰余・損失の処理 2.6  経営努力の認定 2.7  長期借入金 2.8  中期計画と予算 2.9 独法への疑問 3. 検討課題 3.1 外部資金の導入 3.2 学内予算配分 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [47-11] 意見・資料・リンク紹介など ---------------------------------------------------------------------- [47-11-1] 佐々木毅東大学長「東大はこう変わる 大学らしい大学を目指して」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/net1794.htm 「.... 今まで出ている話を聞くかぎりでは、少なくとも大学のほうから見れば独法 化は国立大学を役所等がコントロールしようという話でしょう。役所が大学に 指揮命令するという枠組みはそもそもいい話なんでしょうか。 役所というもの自体も今、苦戦しているセクターでしょう。そのセクターの 指揮命令下に置かれることが、大学にとって名誉な話なのか、ということにつ いて国民の意見をうかがいたいのです。これが一つの疑問です。 また、そもそも行政改革との関連で話が出たことも難しいものを内包してい ます。独法化も省庁再編と同様、ある時期に生まれたスキームが実際に実施さ れるときには、「まだその程度のことをやっているのか」という話になるので はないか、と私は恐れています。それで、その時になって「また、変えろ」と いうことになる可能性は、十分にあると恐れています。こうした諸事情があり ますから、「とにかく決まったんだからやりますよ」という言い方だけでは、 なかなか大学の中を納得させることは難しいと思います。また、それによって 本当に国立大学が活性化するのかという基本問題もあります。複雑な課題を抱 え込むような仕組みを作ってみたところで、大学のエネルギーをただ消耗させ るだけで、何のためにやったのかわからない、という結果になる恐れがあるわ けです。独法化問題は議論が独り歩きしているようになってしまっているので はないか、というのが私の実感です。 独法化問題で消耗する国立大学 二十一世紀の日本をどうするかと考えると、今ある資源をどう有効に利用す るかということが大事だと思いますが、せっかくある資源、つまり今の大学の 資源を消耗させるような話にならないようにしてもらいたいものです。 ここ数年、国立大学はこの問題が起こったために消耗しつつあるのではない かと思います。時間は決して中立的なファクターではありませんから、その影 響は無視できません。おそらく何年もかけていじくりまわしているうちに、い いものも腐ってしまうでしょう。そうなった時の負担は国民に回されるわけで す。そういう意味で、政策当局がどのような大局的な感覚でやっているのか、 私には見えてこないのです。  ・・・・ もっと大胆にスピーディーに改革できないのか、という声もあるかもしれま せん。しかし、よくも悪くも大学というのは穏やかに変わる組織なんです。指 揮命令で動く世界ではない。学年ごとに一年単位でしかものごとが動かないの です。役所や企業のほうがもっとドラスティックに変われる組織のはずなのに、 なかなか難しいと思われます。 ・・・・ 」 ---------------------------------------------------------------------- [47-11-2] 岡村久道「法律とサイバースペース関係 リソース集 (LINK)」 http://www.law.co.jp/link.htm ---------------------------------------------------------------------- [47-11-3] アルフィー・コーン「報酬と動機」 http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Oak/5827/MOTIVATION.html 筆者は「競争社会をこえて−−ノー・コンテストの時代」[46-6-3]の著者でも ある。コーンの「報酬主義を超えて」の邦訳が2月に出版された。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/contents/-/books/4588007041/249-8392083-0418748/249-8392083-0418748 ---------------------------------------------------------------------- [47-12] Yahoo! JAPAN 掲示板より ---------------------------------------------------------------------- [47-12-1] [45-2-1](研究者のアウトソーシング)へのコメントYahoo! 掲示板より http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&action=m&board=1086166&tid=9qna9bga4nfhna99tc0afka1bfm2bda1aa&sid=1086166&mid=2661 ♯1980年代から既に技術職(特にソフトウェア関係)のアウトソーシング が産業界で進んでいたことに大学が無関心であった点を批判。以下のリンクを 紹介。 ---------------------------------------------------------------------- [47-12-2] 産業の空洞化 http://user1.allnet.ne.jp/‾kura/Magazine/news045.htm 「...  多分現在の生産性の良い町工場には、古い機械が生きているのではないかと 思います。自分の会社で手塩にかけて育ててきた機械が、その機械と共に技術 を手中に収めてきた人間がいるのだと思います。  そして、近々廃業に追い込まれそうな所は最新式の機械を並べ、機械のオペ レータだけしかいない所なんでしょう。確かに生産性がよさそうな幻影は抱か せますが、独創性も何もないですから、競争に負けることは必定でしょう。こ れが、真の産業の空洞化を意味しているのではないのかとふと思いました。」 ---------------------------------------------------------------------- [47-12-3] ワークシェアリング・定年制・学内プロモーション禁止等に関する議論 4274792024259625992667 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者: 辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ 発行部数 1958 (2001.4.8現在)  Mag2:701|CocodeMail:350|Pubzine:86|Macky!:46|emaga:25|melma:20 1228  直送(含北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・議員等):733 Digest版 発行部数 1652(北大), ML(he-forum,reform,aml,d-mail) --------------------------------------------------------------------------- End of Weekly Reports 47 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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