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Weekly Reports  No.55  2001.6.7 Ver 1.02

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-55-01607.html 総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-0] 発行者より [55-1] 国立大学政策の動き [55-1-1] 文科相に大学民営化迫った小泉首相(2001.5.18) [55-1-2] 参議院文教科学委員会(2001.5.24)国立大学民営化に関する質疑 [55-1-3] 経済財政諮問会議2001.5.31 議事概要より [55-1-4] 総合規制改革会議の論点項目(2001.6.2) [55-1-5] 6/5閣議後の塩川財務相「国立大学の建物整備は公共事業」 [55-1-6] 衆院文部科学委員会(2001.6.5)遠山文科相「国立付属病院など民営化示唆」 [55-1-7] 伊藤谷生「大学破壊阻止、6月総行動のために」より [55-1-7-1] 【民営化問題】 [55-1-7-2] 【教職員の非公務員化問題】 [55-2] 文部科学省の動き [55-2-1] 6/5大学院も信賞必罰 [55-2-2] 日本経済新聞 2001.6.1 朝刊 [55-2-3] 国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議 [55-2-3-1] 「組織業務委員会」(第11回)(2001.5.31) [55-2-3-2] 「人事制度委員会」(第10回)(2001.6.1) [55-3] 6月1日の国大協理事会の混迷 [55-3-1] 国大協会長の記者会見で配付された個人文書(国大協総第57号2001.6.5) [55-3-2] 「国大協特別委5月21日文書」と「5月21日文書修正版(6.1付)」の異動 [55-3-3] 国大協理事会報道 [55-3-4] 国大協会則第8条 [55-4] 九州地区国立大学長会議から長尾会長への要望書(2001.5.31) [55-5] 各大学・各地での取組の一部紹介:国大協委員会・理事会・会長への批判行動等 [55-5-1] 北大ネットワーク [55-5-1-1] 「北大総長への公開質問状」(2001.6.5) [55-5-1-2] 「緊急声明」(2001.5.31) [55-5-2] 北海道大学理学部教授会・懇談会 2001.6.1 [55-5-3] 東京大学職員組合:国大協会長へ要望書を提出(2001.6.6) [55-5-4] 大阪大学職員組合:国大協への意見書 [55-5-5] 宮崎大学における独法化反対運動 [55-5-6] 浜本伸治(富山大学)「6.1理事会案批判の論点について」2001.6.6 [55-5-7] 山形大学職員組合:国立大学協会総会への意見書2001.6.4 [55-5-8] 都大教「独立行政法人化に反対する学習討論会 記録」2001.6.2 [55-5-9] 名古屋大学職員組合ホームページより [55-5-9-1] 国大協設置形態検討特別委員会に向けての総長への要望書2001.5.17 [55-5-9-2] 「名大の将来を語る会」の構成員への公開質問状2001.5.9 [55-5-9-3] 松尾総長への質問状:「提言:名古屋大学はどうあるべきか」 [55-6] 独立行政法人化阻止 全国ネットワーク [55-6-1] 全国立大学長への手紙 2001.6.5 [55-6-2] 国大協への公開質問書の共同提出者募集中 2001.6.5 [55-6-3] アピール「国大協による国立大学の自己破壊を止めるのは国民の権利である」 [55-6-4] 海外の知人へのメール [55-7] 公立大学協会「法人化問題特別委員会国立大学の独法化と公立大学の課題」 [55-8] 報道・諸意見など [55-8-1] Nature 2001.5.31 Opinion [55-8-2] 馬場理「大学業務の民間委託について」 [55-8-3] 渡邊勇一「ある記者の発言から」 [55-8-4] 「卵子が学費生む?」(英紙サンデー・タイムズ2001.8.3) [55-8-5] 沖 清豪(早稲田大学)「私学化と私立大学―第5回公開研究会の議論から」 [55-8-6] 野上修市「次世代の育成と高等教育−−権利としての教育一ー」より [55-8-7] 大学は何のために存在するのか〜「大学の社会貢献」を考える [55-8-8] 「“ドッコウホウ大学”への道は明るいか〜国立大学よ、どこへ行く」 [55-9] 「読者」より [55-9-1] 頑張れ、応援します 2001.6.1 [55-9-2] 団藤保晴メールマガジン「インターネットで読み解く!」No.104 [55-10] 行政監視局より [55-11] その他 [55-11-1] 独法化された産業技術総合研究所についてのコメント [55-11-2] NHKへの「わたしたちの見解と要望」署名運動の事務局より [55-12] 発行者のメールより [55-12-1] 北大部局長会議への要望 2001.6.5 [55-12-2] 北大評議員への要望 2001.6.6 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-0] 発行者より [55-0-1] 国大協理事会が6月1日に開かれた。理事会では、設置形態検討特 別委員会の報告である「国立大学法人化についての基本的な考え方」[53-3-1] と「国立大学法人化の枠組」 [53-3-2]とが議論され一部字句上の修正があっ た[55-3-2]が、意見が割れ、委員会報告書は了承されるには至らなかったとい う。 しかし、直後の長尾会長の記者会見[55-3-3]の場で、理事会には出されなかっ た「要約」[55-3-1]が配付された。大学全体の意見を反映している「基本的考 え」部分は省き、種々の疑問・批判が集中している「枠組」部分だけを要約し、 最後に「これは社会の意見を反映する仕組を持たない独立行政法人通則法にく らべて、はるかに良い制度設計になっていると言えるだろう。」と締めくくっ ている。これにより「法人化を進める方針を国大協が明らかにした」という趣 旨の誤報道が産まれた。故意とは信じたくないが、一部の理事の強硬な独立行 政法人化推進の意志を国大協のものであるかのように、記者会見で紹介したも のと推測される。 国大協会則第8条[55-3-4]では、緊急時における理事会の意志表明は国大協 の意志表明とする、ただし、その直後の総会での承認が必要、とある。今回が 緊急時か否かの判断は不明であるが、来週の総会で特に疑義がなければ、長尾 会長の6月1日の記者会見での個人的見解が正式に国大協の見解となる。  6月1日の理事会は、総会における「委員会の法人化案」の扱いについて、 報告事項で済ます方針であると聞く。報告について議論はするが、総会として 了承するか否かを議論はしないそうである。しかし、現実には、長尾会長の6 月1日の記者会見の内容を国大協として追認するか否かが、国大協としての独 立行政法人化容認の議論そのものとなる。記者会見の内容を不問にする場合に は、会則第8条により、国大協は独立行政法人化を正式に容認することになる。 不作為による、このような独立行政法人化問題の決着は、99名の学長の責任 放棄の罪をより重くするものと言えるだろう。公共事業を国立大学の施設費に まわすという政策 [55-1-5] は朗報だ。しかし、ひょっとして、これと引き換 えに法人化の決断を急いでいるのではあるまいか。 国大協の中のごく一部の人間が国大協代表を詐称して、国立大学全体に粗悪 な設計図を押し付けようとしていることに対し、国立大学全体から怒りが上がっ ているようである。九州地区学長会議も、長尾会長に対し疑義を明確に表明し ている[55-4]。 案を作った専門委員リストを見ると、数年前から、節目ごとに、政財官の指 示する方向の必要性・重要性を大学幹部に絶えず説いてきた大学社会の隠れた オピニオンリーダーが居る。最後に大学そのものの破壊の必要性を説くに至っ ては、一体正体は何者なのであろうかと不思議に思うのは発行者だけではある まい。  国立大学は、文部科学省が付属高校や付属病院の民営化に言及していること を他人事のように聞き流している。研究以外の一切(教育を含む)を外注する ことに何の疑念も持たない大学への批判の声もある[55-8-2]。政府や財界から の要望ばかりに耳を傾けてきた過ちを悟り、日本社会の市井の人達が感じてい る「大学は人間にやさしくあって欲しい」という要望[55-8-7]にこそ、大学は 真剣に耳を傾けるべき時が来たのであろう。それ以外に、大学が生き延びる意 義のある選択肢は最早ないのではないか。 ---------------------------------------------------------------------- [55-0-2] 小泉内閣はハンセン病患者訴訟控訴を取り下げて支持率が更に上がっ た。この決断をした内閣に、色々意見もあるようだが、画期的なものとして敬 意を表したい。 しかし、内閣に反対する者は国賊に近いような雰囲気が出来つつあることは、 多くの人達が指摘するように日本にとっては極めて危険な状況である。しかし 同時に、小泉首相にとっても危険な誘惑に満ちた状況である、と言うべきであ ろうーー日本社会を破滅に導いた内閣として日本の歴史に名を残すことになり 兼ねない拙速な政策が吟味を受けずに通ってしまう危険性が高まっているから である。 「骨太案」[55-1-3]に描かれていることは多岐にわたるが、中央省庁等の改 革でそうであったように、本当に改革すべき所は強い政治力を背景として、な りふり構わない駆け引きで改革を逃れ、実際に必要とされるが政治的な力とな らないようなものが「改革」の名の下で傷つけられていくだろう。地方行政や 国立大学のように政治的に無に近いものなどは、「改革の実績」を挙げるのに 格好のターゲットとなる[55-10]。 心情的には自然ではあるが能天気で危険な小泉ブームに追従するのではなく、 ジャーナリストが本来の使命に立ち戻って、高い立場から世論の質を高め目覚 めさせていくことが、一触即発で日本社会が致命傷を受けることから守るには 本当に必要なのではないか。 ---------------------------------------------------------------------- [55-0-3] Nature 2001.5.31 号が、"Dangers of nationalism" という意見を 掲載[55-8-1]している。 国の科学技術政策に大学を駆りだす風潮に懸念を表 明している。「5年以内に情報技術で米国を凌駕する」という森前首相の誇大 宣伝(hype)は「他愛もない冗談」(harmless jest)といえるが、研究者社会の 雰囲気をまたたくまに悪化させる危険性を孕んでいると警告している。 また、日本学術会議の野上修市氏は、次世代育成のための方策の中で、「す べての教育制度の内容を、人権・民主主義・社会の進歩と平和を造り出すとい う考えのもとに再構築し、学生を高等教育を受ける主体として位置づけること が必要である。」と述べ、現在の大学政策の問題点を掘り下げている。 独立行政法人化で、国立大学は国民のものから国家のものへと鋳直されるが、 それは歴史を紐解けば不吉な舵取りである。また、女子学生が卵子を売って学 費の借金を返す[55-8-4]ことも他国のことではなくなるだろう。日本社会では まだ、国立大学の独立行政法人化のことをそもそも知らない人も少なくないよ うである[55-9-1]。道路はなくなると人が通れなくなると困るから道路財源は 残さなければいけないが、地味な国立大学は、なくなってもどうということは ないから潰しても誰も文句はあるまい、というような政策に、ジャーナリズム のせめて1割くらいは疑問を表明して欲しい、と思うのである。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-1] 国立大学政策の動き http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/531-privatization.html ---------------------------------------------------------------------- [55-1-1] 文科相に大学民営化迫った小泉首相(2001.5.18) 『読売新聞』2001年6月4日付 「「それでは現状維持じゃないか」  小泉首相は5月18日、首相官邸を訪れた遠山敦子文部科学相(62)に、 珍しく声を荒げた。首相が同11日の参院本会議で国立大の民営化に賛意を表 したことに対し、旧文部官僚出身の遠山氏が国立大側の意向を代弁するかのよ うに、「国立大は既に独立行政法人化が決まっている。民営化には大学側の反 発が強い」と説明したためだ。  首相は「小泉内閣は改革断行内閣だ。あなたはその目玉の1人なのに、改革 の意思が感じられない」とも語り、遠山氏に「聖域なき改革」への奮起を促し た。・・・・」 ---------------------------------------------------------------------- [55-1-2] 参議院文教科学委員会(2001.5.24)国立大学民営化に関する質疑 524-bunkyoukagaku.html <民主党本岡議員の質疑の中の国立大学民営化に関する部分> ○本岡昭次君  ・・・・  次に、国立大学の民営化の問題をちょっと触れてみたいと思います。  実は参議院の本会議で、民主党の質問の中に、民主党は国立大学の民営化あ るいは地方化の問題を考えているんだがという質問をしたときに、小泉総理が 民主党の国立大学民営化の大学改革案は賛成ですとおっしゃって私はびっくり したんですが、そして、「国立大学でも民営化できるところは民営化する、地 方に譲るべきものは地方に譲るという、こういう視点が大事だ」と答弁されま した。こうなったら全く民主党の言っていることと一緒でありまして、だから、 私は、先ほど言ったように、変わるということはこういうことで変わっていく のかなとも思い、しかし、さりとはいえ私は小泉政権を支持するというわけに もまいらぬし、困ったことだなというふうに正直思っているところであります。  そこで、遠山大臣は、この小泉総理の民営化答弁、これをどうしますか。何 か気まぐれに総理が参議院の本会議でおっしゃったんだというふうに片づけら れますか。それとも、これは本会議における答弁であるということで、文部科 学省としてこれを受けとめて、この民営化、地方化の問題の検討をされますか。 私は、文部科学省がそれをやらなければこれはおかしいと思うんですが、いか がですか。 ○副大臣(岸田文雄君) まず、そもそも独立行政法人制度は、国の行政機能 のうち、まず民間や地方にゆだねることが可能なものがないか、そして可能な ものはできる限りゆだねた上で、それが困難なものを独立行政法人化するとい うのが議論の道筋だというふうに考えております。  ですから、国立大学もその道筋で考えなければいけないと思っておりますの で、国立大学を独立行政法人化する場合も、国立大学が担っている諸機能のう ち、民間や地方にゆだねられるものがあればまずこれをゆだねた上で、そして それが不可能なものを独立行政法人化する、独立行政法人に移行する、これが 考え方だというふうに思っております。  文部科学省もそういった考えのもとに独立行政法人化を考えておりますので、 その中での民間とのかかわり云々を考えますときに、総理の答弁は必ずしもそ の方針とは矛盾しないと考えております。 ○本岡昭次君 委員長、私は大臣に聞いているんですが、副大臣が答弁される。 それは文部科学省を代表しておっしゃっているんだろうが、しかし我々が時と して、次々と質問するというときに、ある委員会で大臣がこう答弁したという のが、大臣というのは内閣のメンバーであって、その内閣の言葉としてそれが 次々に引き継がれていくと。副大臣という立場は、これはどうなんですか。大 臣の答弁というふうに僕らは受けとめるんですか。いや、あれは副大臣の答弁 やと、こういうふうになるんですか。私、さっきから聞きながらそう感じた。 ちょっと委員長、これは整理してもらわぬと。私は大臣の答弁を求めておるん ですが、副大臣が答える。それは事務的な問題でしょう。基本的な問題を今ずっ と私は尋ねてきておるんですがね。 ○国務大臣(遠山敦子君) 先ほどのお答え、御質問に対する副大臣のお答え は私の考えと全く同等でございます。  少しつけ加えますれば、今、文部科学省では、昨年と一昨年の閣議決定を踏 まえまして、国立大学の独立行政法人化について検討が進んでいるわけでござ いますが、その際、通則法のままでは大学の自主性尊重などの観点に照らして 適当でない面もあるということから、大学改革の一環として具体的な制度のあ り方などの検討を進めているところでございます。  その独立行政法人とは何ぞや、あるいはそれをどのように現実に移していく かということの考え方については副大臣が答弁いたしましたとおりでございま す。 ○本岡昭次君 同じような点で、郵政三事業の民営化問題も、これは公社化と いうのがもう現に進んで来年その法律を出すというときに、小泉総理は、これ は民営化だと、こうおっしゃっているわけで、私は民営化の方向に持っていく んだ、公社化、その後は民営化だと、その議論を並行してやって何で悪いと、 こうおっしゃっているんですよ。  この大学の民営化だって同じことですよ。総理が、民営化は結構だと、こう おっしゃった。民営化、地方化を検討しようと、こうおっしゃれば、独立行政 法人の問題は、それはもう今、あすの問題と言っているけれども、その問題を 議論しなければ、小泉総理のおっしゃっていることと文部科学省がやろうとし ていることが一致しない、内閣の不一致とかいうふうな範疇に、遠山大臣、入 ることになりますよ。いかがですか。私はこれを追及していきますがね。今言っ たように、民営化というのは文部科学省としてはとらないというふうにしか今 の話では受け取れませんからね。どうなんです、そこをはっきりさせてくださ い、一言で。 ○国務大臣(遠山敦子君) 総理は、先日の質疑におきまして、国立大学の有 している機能のうち、民間や地方にゆだねられるべきものは可能な限りこれを ゆだねるという視点が大事だ、この点ではほかの分野と同じように考えていく べきだというお考えを示されたものだと思っております。私どもはその意味で 総理の答弁を受け取っているところでございます。 ○本岡昭次君 私も国立大学の民営化問題をこの委員会で今までも論議してき ましたが、そのときは、もう旧文部省は取り合わず、勝手に本岡が言っておる だけじゃないかというふうなことであったが、もう今度はそうはいかぬという ことでありますから、そのつもりでこの議論はかみ合わせていただきたいと思 います。よろしいですね、そのことは。 ○国務大臣(遠山敦子君) 私どもは、今、独立行政法人化の問題について検 討しているところでございまして、その検討の結果を待って、きちっとした形 でまた御議論をいただくことになろうかと思います。 ○本岡昭次君 またこれは小泉総理と議論する場があればやりたいし、また民 主党として小泉総理といろいろこれから議論するときに、文部科学省の立場と いうもの、今の答弁では全然これはかみ合っていませんから、明らかにしてい きたいというふうに思います。今の答弁では私は納得できません。また改めて 議論をさらにさせていただきます。 ・・・・ ---------------------------------------------------------------------- [55-1-3] 経済財政諮問会議2001.5.31 議事概要より http://www5.cao.go.jp/shimon/2001/0531shimon-s.html (小林政策統括官) 「第4に、科学技術システムでは、まず、資金を増やすということだけはなく、 研究システムそのものをもっと競争的に、かつ合理的にしていくことが重要で あり、中身を変えていきたい。競争的資金は、いわゆる提案公募型があり、現 在、科学技術予算約3兆円の10%の3,000 億円だが、これを倍増し6,000 億円 程度にする方向でいきたい。これが非常に研究活動の活性化につながり、また、 若手研究者の活動にもつながる。また、「産学官連携の推進」では、米国等に 比べて、我が国の産業界と学会、あるいは官界との協力関係が必ずしも十分で はなく、このことが科学技術の発展が経済の発展につながらない大きな要因と 考えている。そのため、大学と産業界の密接な連携や、大学における知的財産 の管理の在り方の改善、TLOの機能活性化等を打ち出していきたい。大学に おいても、産学共同研究を進めるため、若手の能力発揮、大学教員等の兼業規 制の緩和、能力に見合った処遇等の観点から、国立大学の独立行政法人化に際 して、非公務員型も取り入れつつ、改革の方向を打ち出していきたい。さらに、 私立大学については、自然科学部門の人的資源が十分に活用されていないので、 自然科学部門の国の助成強化を検討するとともに、私立大学への民間からの委 託研究費等に対する減税措置、税制措置を検討していきたい。また、ベンチャー の育成として、いわゆる大学発ベンチャー等を育成し、そこで雇用を拡大する ことをしていきたい。そのためには、いわゆる資金的な応援とともに、規制緩 和とか制度改革も強力に進める必要がある。」 [55-1-4] 総合規制改革会議の論点項目(2001.6.2) http://www8.cao.go.jp/kisei/index.html ---------------------------------------------------------------------- 『読売新聞』2001年6月3日付 総合規制改革会議の論点項目  二日明らかになった総合規制改革会議の論点項目は次の通り。  【医療】(一)医療サービスの効率化・質的向上=〈1〉診療報酬体系の見 直し〈2〉レセプト(診療報酬明細書)、カルテの標準化と電子化〈3〉医療 データベースの構築〈4〉保険者へのレセプトの一次審査権の付与〈5〉医療 機関の情報開示〈6〉医療サービスの評価システムの構築  (二)競争的な医療市場の創出=〈1〉医療機関の経営形態規制、病床規制、 広告規制のあり方〈2〉保険診療と保険外診療の併用のあり方〈3〉病診連携 の推進と医療機関の機能分担のあり方〈4〉医療材料などの内外価格差の解消  (三)財政負担の軽減=略  (四)保険者機能の強化=略  【福祉・保育】(一)施設介護サービスへの民間参入促進=〈1〉特養老人 ホームや介護施設サービスへの民間参入促進〈2〉介護施設サービスへの助成 措置の見直し  (二)働く女性のための環境整備=〈1〉認可保育所の認可基準の見直し 〈2〉認可外保育所への助成〈3〉都心部の認可外保育所への助成〈4〉公立 保育所の民営事業者への運営委託推進〈5〉専業主婦に対する優遇措置の是正  【人材(労働)】(一)職業紹介サービスの効率化・質的向上=略  (二)個人主体の能力開発サービスの提供拡大=〈1〉民間による職業訓練 〈2〉公共職業訓練の役割の整理・見直し〈3〉教育訓練給付制度の活用〈4〉 企業向け能力開発助成金の見直し〈5〉個人の能力開発費に対する優遇税制の 創設〈6〉大学・大学院活用型の高度能力開発促進  (三)個人の多様な働き方を可能とするシステムの構築=〈1〉有期雇用契 約の上限期間の延長、対象労働者の拡大〈2〉裁量労働制の規制緩和〈3〉労 働者派遣制度の派遣期間の延長、対象業務拡大〈4〉退職金税制のフラット化 〈5〉年金のポータビリティー(転職対応性)の確保〈6〉解雇法制の整備の 検討  (四)セーフティーネットの見直し=〈1〉再就職支援の拡充〈2〉短期間 労働者、派遣労働者への失業給付の適用〈3〉雇用保険制度の見直し  【教育】(一)高等教育の質的向上=〈1〉大学における教育活動の活性化 〈2〉社会人向け教育の充実〈3〉学部・学科編成の弾力化・自由化〈4〉社 会人向け大学院設置規制の見直し〈5〉大学の情報公開の徹底と外部評価制度 の整備〈6〉国立大学教員の流動化〈7〉自己啓発など国立大学の教官の活動 の制度的拡大〈8〉国立大学の教官の発明に対するインセンティブの向上〈9〉 国立大学の独立行政法人化〈10〉インターネットを通じた単位取得〈11〉 インターンシップ制度の拡充〈12〉大学と産業界の連携強化〈13〉学生個 人への補助  (二)初等・中等教育=略  【環境】=略  【都市再生】=略 ---------------------------------------------------------------------- [55-1-5] 6/5閣議後の塩川財務相「国立大学の建物整備は公共事業」 asahi.com 2001年6月5日 国立大学の建物整備は公共事業 塩川財務相が考え示す  小泉純一郎首相が打ち出した公共事業改革の具体策について、塩川正十郎財 務相は5日の閣議後の記者会見で、「文教施設の建物整備は公共事業として投 資する対象になる」と述べ、国の予算で公共事業としてみなしていなかった国 立大学の建設を新たに公共事業として位置づけ、土木工事中心の公共事業の枠 組みを抜本的に見直す考えを表明した。  公共事業関係費(01年度9兆4000億円)の配分は、特定財源や長期計 画に制約され、道路や河川、ダムなどのシェアが固定化されている。塩川財務 相の構想は公共事業の枠組みに新しい事業を導入することで、政官業の既得権 益化した予算配分を変える狙いがある。  国立大学などは従来、国の施設費(同9000億円)に分類されている。塩 川財務相は会見で「研究所や病院の建物、美術館などの都市施設など、公共事 業として整備していいものが相当ある」と語った。  公共事業の枠組みの見直しを巡っては、尾身幸次・科学技術担当相が「先進 諸国に比べて見劣りする大学施設を公共事業に分類する必要がある」と指摘。 片山虎之助総務相も高速インターネット整備事業を公共事業に位置づけ、配分 する考えを提案している。  経済財政諮問会議は、公共事業関係費を中期的に減額する方向を打ち出して いる。だが、この予算配分は例年、与党が自由に配分できる枠が設置され、昨 年の予算編成では予算要求に上限を設けず、このため、整備新幹線予算が大幅 に膨らんだ経緯がある。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-1-6] 衆院文部科学委員会(2001.6.5)遠山文科相「国立付属病院など民営化示唆」 『東京新聞』2001年6月5日付夕刊(2) 「遠山敦子文部科学相は五日、衆院文部科学委員会で、国立大学の民営化につ いて「聖域なき改革ということから言えば、諸機能のうち民間にゆだねられる ものがあれば、ゆだねた上で法人化するという視点は当然だ」と述べ、付属学 校や付属病院など一部組織を民営化する可能性を示唆した。 国立大学本体については「大学改革の一環として法人化を検討中」だとして、 民営化より法人化の検討を進める方針を明らかにした。 藤村修議員(民主党)の質問に答えた。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-1-7] 伊藤谷生「大学破壊阻止、6月総行動のために」より [55-1-7-1] 【民営化問題】 1)5月11日、小泉首相の国会答弁「国立大学の民営化に賛成だ。民営化できる ものは民営化し、地方に譲るべきものは譲るという視点が大事だ。」 2)文科省5月31日調査検討会議組織業務委員会 ・「組織業務に関する考え方の方向(案)」 附属図書館、附属学校、附属病院、附置研究所を大学とは独立の法人とし、こ れに大学法人が出資することを提案  新聞、NHKなどのマスコミは、一斉に「民営化」について報じ、「業務の範 囲は制限を設けない」と文部科学省の官僚は言っている(「NIKKEI NET」6/1)。 3)経済財政諮問会議基本方針(5月31日「骨太」原案提示、6月下旬プログラ ム策定)第1に、「民営化・規制緩和」 具体案の中には、厚生年金の一部民営化、公社、公団、特殊法人の民営化、国 立大学、郵政事業の民営化(「東京夕刊」5/31、「日経」5/31など) 4)特殊法人問題の方針  小泉首相「民営化できるところは全部民営化。統廃合できるところは統廃合。 廃止できるところは廃止。」(「共同」5/25) 特殊法人への国費削減 小泉首相、2002年度予算で実行の意向表明(「東京」6/1) 5) 民主党中間報告(04/12) 「国立大学の独立行政法人化」については、 (1)将来、地方移管あるいは民営化するための過渡的な形態と明確に位置付けること、 (2)身分を非国家公務員型とすること、 (3)国益的見地からのみ国立大学院大学を残すこと、 以上3つの条件をすべて満たす場合にのみ、初めて検討に値するものと考えます。 [55-1-7-2] 【教職員の非公務員化問題】 1)尾身科学技術担当相発言 ・「国立大学は非公務員型の独立行政法人にすべきだ」「国立大学を非公務員 型にし、民間との交流を促し、起業意欲のある研究者が外に出やすいようにす る」(「読売」5/9) ・「産学協同も遅れている。・・・、硬直的な日本の大学との協同が難しいか らだ。国立大学の独立行政法人化を進め、大学教授を非公務員とし、・・・」 (「日本工業新聞」5/29) 2)総合科学技術会議方針(5/24)  国公立大学の職員や研究者の身分を公務員型から非公務員型に変えることを 検討するなど、大学と民間企業との交流を促進する規制緩和策を進める方針を 示した。(「共同」5/24) 3)産業構造改革・雇用対策本部の「平沼プラン」(平沼経済産業相)(5/25)  大学の特許取得件数を10年間で10倍に、大学発のベンチャー企業を3年間で 1000社作る(「読売」「時事」「毎日」等5/24)  (しかし、実際は、大学発のベンチャー企業は、日本では、1957年以降44年 間で12 8社、米国でも1980年以降で2256社(年間112.8社)でしかないのが現 実(「東京」5/ 26)) 4)経済戦略会議最終答申(99年2月)  ・大学の教育・研究に対する第3者評価機関の設立  ・大学の研究・教育に係る予算の評価機関の評価にも基づく配分  ・国立大学教職員の国家公務員身分の制約からの解放  ・国立大学の民営化を視野に入れた制度改革 5)公務員制度改革との関連 「公務員制度改革の大枠」(内閣官房行政改革推進事務局2001年3月)  ・基本方向 信賞必罰の人事制度  ・能力、業績が反映される給与体系  ・能力評価、業績評価の人事評価システム  ・独法化された「産業技術総合研究所」のシステムが模範 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-2] 文部科学省の動き ---------------------------------------------------------------------- [55-2-1] 6/5大学院も信賞必罰 『東京新聞』2001年6月5日付夕刊(1) 大学院も信賞必罰 博士号少なきゃ経費あげません 国立大に文科省通知 "当落ライン"は授与率3割 過去3年で1度以上 「博士号の授与が少い大学院には、重点化経費をあげません」―。文部科学 省が国立大学長にあてて、こんな通知を出した。博士課程を持つ大学院の中で、 教育熱心なところは優遇するが、不十分なところは冷遇するという意思表示だ。 経費の支給対象は約一千専攻ある博士課程のうち年間三十五専攻。選ばれれば 理系で最高一億円以上が獲得できるだけに、博士の養成に力を入れる大学院が 増えてきそうだ。 対象となるのは、二〇〇一年度の教育研究拠点形成支援経費(施設整備費を 含む)の新規分から。社会人を対象としたコースを設けたり、留学生の教育に 力を入れるなど、博士の育成に力を入れている大学には、特別に三年間、研究 費や設備費を上乗せして支給する。 卓越した教育・研究を行うために九百万円、最先端設備を購入するためなど に二千七百万―八千百万円を支給。このほか、外国人研究者を招へいしたり、 若手研究員を非常勤で雇ったりする経費も含めて、本年度の総額は約四十三億 円(うち十億円は前年度継続分)に達する。 同省では、この経費の配分に当たり、過去三年間に一度も博士号の授与率が 三割を上回らなかった大学は「原則として対象としない」ことを初めて盛り込 んだ。博士号の授与率がなかなか上がらないため、改善を促すのが目的だ。 同省によると、大学院博士課程の入学者の博士号取得率(一九九八年度)は国 公私立平均で六七%。理科系は七九%に達しているが、文科系では二一%にす ぎない。 国立大学は私立より取得率が高いが、それでも人文科学分野では平均三割未 満。博士課程にいっても、学位(博士号)を取得する学生の方が少ないのが実態 だ。 五月末の国立大学事務局長会議では、工藤智規高等教育局長が「あまりにも 授与率が悪い。博士号がもらえないのは、学生の出来が悪いか、機能していな いかどちらか。改善が見られないと(経費を)どんどん減らしていく」と発言。 同省では今後も、信賞必罰で配分をする方針だ。 ---------------------------------------------------------------------- [55-2-2] 日本経済新聞 2001.6.1 朝刊 「国立大民営化へ新制度 独立行政法人めぐり文科省 企業出資など検討」 http://www.jca.apc.org/toudai-shokuren/dekigoto/010601n1.html ---------------------------------------------------------------------- [55-2-3] 国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議 ---------------------------------------------------------------------- [55-2-3-1] 「組織業務委員会」(第11回)(2001.5.31) ---------------------------------------------------------------------- [55-2-3-1-1] 国立大法人化 付属学校民営化を提案 6/1『東京新聞』2001年6月1日 付 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2001.html 「文科省調査検討会議 一部業務の委託も 国立大学の付属学校や付属病院、研究所を大学と切り離して民営化する可能 性に言及した検討案が三十一日、独立行政法人化について論議している文部科 学省の調査検討会議で報告された。一部の業務についても民間に委託ができる よう、制度づくりを提案した。付属学校なども含めて大学全体に法人格を付与 するのが基本だとしているものの、大学の研究と関係なく進学エリート校化し ている学校などは、今後、民営化の対象となる可能性が出てきた。 「組織・業務」についての検討案によると、国立大学の付属図書館、付属学 校、付属病院、付属研究所などの施設は「大学の教育・研究活動とは不可分な 関係にある」として、大学と合わせて包括的に法人格を与えるべきだとした。 しかし、より柔軟な運営を実現するなどの利点がある場合は、各施設を大学 から独立させて民営化する方策を検討するよう提言した。 現実には、付属図書館や研究所は自己収入に乏しいため、独立にはなじまな いとみられるが、付属学校の中には、受験倍率が数十倍に達するところもある。 こうした学校は授業料を上げるなどすれば、国からの財政支援がなくても採算 が取れるといわれている。 このほか、検討案では業務についても、効率的な運営や事業展開ができたり、 資金確保の手立てが広がるとして、一部を民間(別法人)にゆだねることを提案。 法人化大学から、民間企業に出資できる制度を設けるべきだとした。 しかし大学自体が行う収益事業については、教育・研究など本来の業務と密 接につながった事業に限定するよう求めた。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-2-3-1-2] 組織業務に関する考え方の方向(案) http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/j130531-1.htm ---------------------------------------------------------------------- [55-2-3-1-3] 中間報告の構成イメージ(例) http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/j130531-2.htm ---------------------------------------------------------------------- [55-2-3-1-4] 「目標評価」に関する検討の方向(案) http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/j130518-1.htm ---------------------------------------------------------------------- [55-2-3-2] 「人事制度委員会」(第10回)(2001.6.1) ---------------------------------------------------------------------- [55-2-3-2-1] 人事制度の考え方の方向(案) http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/j130601-1.htm ---------------------------------------------------------------------- [55-2-3-2-2] 「公務員型」と「非公務員型」の比較 http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/j130601-2.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-3] 6月1日の国大協理事会の混迷 ---------------------------------------------------------------------- [55-3-1] 国大協会長の記者会見で配付された個人文書(国大協総第57号2001.6.5) http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/601-nagao-doc.html ♯(6月7日朝の時点でこの文書が国大協から送付されていない大学がある。) 「国大協総第57号 平成13年6月5日 設置形態検討特別委員会 委員・専門委員 オブザーバー         各位 国立大学協会 事務局長 諸橋 輝雄 記者会見における追加資料の送付について 既にお知らせしたとおり、6月1日開催の理事会終了後、会長が設置形態検討 特別委 員会委員長として記者会見を行いましたが、その席で設置形態検討特 別委員会の取りまとめとは別に、委員長作成の別添資料も配布されております ので、ご参考までにお送りいたします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 2001年6月1日 国立大学協会設置形態検討特別委員会 国立大学の法人化についての要旨 国立大学法人化の趣旨 わが国の社会経済並びに国民生活を発展させ、さらには人類の福祉を増進させ るため に、わが国の高等教育および学術研究の一層の質的向上、とりわけわ が国の教育およ び研究面における国際的競争力の強化が緊急の重要課題となっ ている。すなわち、優 秀な人材の育成と高度の学術研究の遂行、さらには、 大学における研究成果の社会へ の還元や技術移転、その他、国民の多様な要 請に応え、国の基盤を支えることは、国 立大学に課せられた重大な使命であ る。 このような使命を果たすため、これまでも国立大学において様々な努力を行っ てきた が、不十分であり、多くの改善すべき問題が存在する。したがって、 国立大学は、社 会からの批判を真撃に受けとめ、厳しく自己点検し、自ら変 革してゆく努力をするこ とが必要である。とりわけ、国立大学は、公的負担 により運営されていることを強く 自覚し、自己責任を明確にし、競争的環境 を作り切磋琢磨するとともに、適正な運 営、情報の公開、透明性の確保、社 会貢献等、社会との連携を積極的に行い、社会の 期待に応えなければならな い。 以上のような国立大学が抱える問題を克服し、国立大学に課せられた使命をよ り的確 かつ確実に果たすことが可能となるよう、国立大学協会は、設置形態 検討特別委員会 をもうけて国立大学の組織改革のあり方を検討してきたが、 今回、その改革の基本的 方向として次のような内容を策定した。 改革によって実現すべき基本的目標 1.国立大学が国の行政機関の一部とされていたことから生ずる教育・研究上 の不要 な制約を取り除き、明確な責任体制のもとで、大学の運営ないし活動 について自主 性・自律性さらには柔軟性を拡大すること。 2.個々の国立大学が固有の理念・目標を設定し個性化することにより、広く 大学間 で切磋琢磨して高等教育および学術研究の活力ある発展を図ること。 3.国立大学が、その時々の社会の要請に適切に対応し、運営の透明性が確保 される 開かれた大学を実現すること。 改革の枠組みの要点 1.国立大学法人法を制定し、法人組織と大学組織を分離することなく、国立 大学を 1大学1法人として法人化する。大学の教職員の身分については、国 家公務員型を基 本としつつ、非公務員型の可能性を含め、今後検討する。 2.組織編成、財務や人事に関しては、国立大学の自主性・自律性の拡大とい う法人 化の趣旨に適合するよう、原則として国立大学が自ら決定できること とする。 3.学長を中心とする執行部体制を強化し、大学の管理運営の責任体制を明確 化す る。このような学長の責任とリーダーシップの重さに鑑み、その選考に 学外有識者の 意見を反映させる仕組みを設ける。 4.法人化後の大学の管理運営のアカウンタビリティや社会の要請の取り入れ 等の観 点から、評議会や運営諮間会議等の大学運営の基本的システムを、学 外有識者の役割 を強化する方向で大幅に見直す。 5.職員(教員および事務職員)の人事、給与、服務等については、公募制や 任期制 さらには業績給等の推進、教員の兼職兼業の規則の緩和を含め、意欲 を持って職務に 従事しその能力が発揮されるような弾力的な仕組みを導入す る。 6.中期目標は、各大学の理念や長期目標等を踏まえて、大学の意見に基づい て策定 する。また、第三者による大学評価を行い、その結果を公表するとと もに、大学における教育研究の特性に配慮して国からの運営費交付金に適切に 反映させ て、大学間に競争的環境を導入する。 7.国は、大学の個性化と切磋琢磨を推進するため競争的研究資金を拡充する ととも に、基盤的経費については、大学の安定的な教育研究活動を確保する ため各大学の運 営方針その他の諸特性が反映される方式により算定する。 ○以上のように、この内容は、国立大学が自ら、競争的環境を実現し、大学の 運営に 社会の意見が反映される組織に作り変え、自主性・自律性とともに自 已責任を明確に する改革を行う決心をしたものといってよい。これは社会の 意見を反映する仕組を持 たない独立行政法人通則法にくらべて、はるかに良 い制度設計になっていると言える だろう。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-3-2] 「国大協特別委5月21日文書」と「国大協特別委5月21日文書修正版(6.1付)」の異動 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/521bunnsyoidou.html ---------------------------------------------------------------------- [55-3-3] 国大協理事会報道 ---------------------------------------------------------------------- [55-3-3-1] 6/2Nikkei Net「国立大法人化、外部識者も運営に参加」2001.6.2 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2011.html Nikkei Net 2001年6月1日 国立大法人化、外部識者も運営に参加  国立大学協会(国大協、会長・長尾真京大学長)は1日、理事会を開き、国 立大を法人化する際の組織や人事など制度の基本的な枠組みをまとめた。大学 の自主性、自律性の確保を目指す一方、学外の識者を大学運営に参加させ、国 からの予算配分に業績評価の結果を反映させるなど、社会の要請にも配慮した 内容になっている。今月12日に開く国大協総会に諮る。  国大協の設置形態検討特別委員会がまとめた「法人化の枠組み」は、法人の 執行機関として学長、副学長などで構成する役員会を設置。重要事項の決定に 際しては評議会の議決を経ることとし、必要に応じて外部の識者で構成する運 営諮問会議に意見を求めることとした。役員に学外の識者を加えることも可能 としている。  専攻や学科の改廃は大学の裁量にゆだね、予算の使い道の自由度を高めるこ とを提言。教職員の給与も成果・業績を反映させることを求めた。大学の教育・ 研究の評価には、各大学の自己点検を尊重するよう求める一方、国からの運営 費交付金の算定には評価結果を反映させる仕組みが必要とした。 ---------------------------------------------------------------------- [55-3-3-2] 6/2東京新聞「法人化の推進明言」 http://www.tokyo-np.co.jp/00/sogo/20010602/mng_____sogo____004.shtml 「法人化の推進明言 国大協会長、民営化論を批判  国立大学協会(会長・長尾真京都大学長)は一日、理事会を開き、大学運営 に学外者の参画を進めることなどを盛り込んだ法人化案を了承した。会見で長 尾会長は「国立大学が自ら競争的環境を実現する改革を行う決心をしたと言っ てよい」と述べ、法人化を進める方針を初めて明らかにした。  民営化については「国益を考えると軽々しく言うべきでない」と批判してお り、今後、法人化を軸に文部科学省との調整が進められる可能性が濃厚になっ た。  法人化案は、国大協の特別委員会がまとめた。十二日に開かれる総会で報告 される。  長尾会長は「(独立行政法人の枠組みを定めた)通則法に比べて、はるかに 良い制度設計になった。民営化してはどうかという意見があるが、日本全体の 学問、教育に大きな損失を招く」と、“民営化論”を批判。副会長の中嶋嶺雄 東京外国語大学長も「モンゴル語やスロベニア語を国立以外で継続的に教えて いけるだろうか」と、国が設置する法人になる以外に選択肢がないことを強調 した。 ---------------------------------------------------------------------- [55-3-3-3] 6/2朝日新聞 朝刊 国立大学の法人化案まとめる 国大協、運営に学外識者も 2001年6月2日   国立大学協会(会長・長尾真京都大学長)は1日の理事会で、国立大の法人 化案をまとめた。大学運営に学外の識者を加え、教職員に業績給を採用し、基 準は各大学で定めることなどを提示した。12日の総会で了承される見通しだ。  国大協は、法人化が、自律性を拡大し教育研究の質を高める契機になりうる という考えに立ち、「高等教育への国の財政支出の拡大」「大学の自主、自律 性の拡大」「社会に開かれた大学」という基本方向を示した。  行政事務の効率化を目的にした独立行政法人通則法とは別に、国立大学法人 法を制定して、一般の独立行政法人と異なる法人とするとした。通則法は法人 の長は主務大臣が任命するとしているが、学長は外部の意見を反映しながら学 内の評議会が選考するとした。  さらに具体的な枠組みとして  ▽業務、経理を国民に毎年公開  ▽学長への勧告権を持つ外部識者で組織する運営諮問会議を設置  ▽専攻、学科など大学の判断で再改編  ▽教職員の身分は国家公務員型を基本に検討  ▽職員の任免は学長権限、教員の任用、昇進は教授会の審議に基づき学長が行う などを提示した。  一方、収入は国からの資金と授業料などを基礎とするとしており、「民営化」 は「議論の視野に入っていない」としている。 ---------------------------------------------------------------------- [55-3-4] 国大協会則第8条 「協会がその意志を決定し又は表示する場合は、総会の議によらねばならな い。ただし、緊急の必要があり総会を招集するいとまがない場合においては、 理事会の議により、これを行なうことができる。 2 前項ただし書の規定によってなされた措置については、次の総会におい てその承認を得なければならない。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-4] 九州地区国立大学長会議から長尾会長への要望書(2001.5.31) http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/531-kyushu-gakuchou.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-5] 各大学・各地での取組の一部紹介:国大協委員会・理事会・会長への批判行動等 ---------------------------------------------------------------------- [55-5-1] 北大ネットワーク ---------------------------------------------------------------------- [55-5-1-1] 「北大総長への公開質問状」(2001.6.5) http://www.ac-net.org/home/hokudai/doc/605-toi.shtml           公開質問状                                    2001年6月5日 北海道大学総長 中村 睦男 様                独立行政法人化問題を考える                    北海道大学ネットワーク  6月1日、国大協理事会は設置形態検討特別委員会の国立大学法人化案を承認し、 法人化を前提とした大学改革を目指す意思を明確にしました。このままでは、6月1 2,13日の国大協総会で承認されてしまう可能性が高く、国立大学独立行政法人化 問題が重要な局面を迎えています。従って、急遽、以下のことにつき公開で質問させ て頂きます。 (1)「国立大学法人化案」についての北大での対応に関して (1−1)国立大学の将来を左右する極めて重要な公的文書と思わ      れますが、全構成員に配付されるご予定でしょうか。 (1−2)独立行政法人化の詳細がある程度決まり実質的議論が可      能な段階となりましたが、学内で議論(*1)する場として      どのようなものをお考えでしょうか。 (1−3)法人化に関する北大の態度決定には全構成員による率直      な意思表示の機会が不可欠と思われます(*2)。どのよう      な機会を用意されるお考えでしょうか。   そのような機会が不要であるとお考えの場合には、理由をお聞     かせください。 (2)法人化についての学内コンセンサスを実際に確認する作業が    6月12・13日の総会までに終わらない場合には、学内手    続が未了として北大の態度を保留して頂けるでしょうか。 (3)学生・院生への説明もなしに、法人化容認を決めることは、    教員学生間の信頼関係を損ない兼ねないと思います。学生・    院生に対する全学的説明会を開く御予定はあるでし?か。 以上につき、6月8日金曜日までに御回答下さいますようお願い致します。回答は公 表させて頂きます。 (註) 北大ネットワーク全学アンケート 2000年2〜3月(回答352名) 8. 北海道大学としての議論の在り方について http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/hu-iken/index.html#8 *1 (2) 独立行政法人化問題に関して、全学的議論が必要だと思いますか? 必要であると思う.......... 80% どちらかというと必要であると思う.. 14% どちらかというと必要でないと思う... 2% 必要でないと思う............1% *2 (4) 独立行政法人化問題に関して、北海道大学としての態度を明らかにすべき 時には、意思決定はどのようなプロセスが望ましいと思いますか? 全構成員の投票をすべきである............74% 評議会決議がよい..................16% 総長一任がよい................... 2% わからない..................... 4% 北海道大学として態度を明らかにする必要はないと思う..1% ---------------------------------------------------------------------- [55-5-1-2] 「緊急声明」(2001.5.31) http://www.ac-net.org/home/hokudai/doc/01531-seimei.shtml ---------------------------------------------------------------------- [55-5-2] 北海道大学理学部教授会・懇談会 2001.6.1 [55-5-2-1] 北大理学研究科構成員宛 2001.6.1 「理学部・理学研究科のみなさま おはようございます。 国大協特別委員会が5月21日にまとめた法人化原案[1]が今月12・13日 に開催される国大協第108回定期総会で報告される予定です。大学側の「提 案」詳細が明確になりましたので、本日(6月1日)の研究科教授会で議論 [8]があると思います。参考資料を紹介しますので、教授会出席者の方はぜひ 一読されますようお願い致します。また、他の構成員の方も是非お読みになっ て意見等を教授会に出席される方に伝えるようにしてください。 ---資料へのリンク--- [1] 国立大学協会・設置形態検討特別委員会・専門委員会連絡会議5/21文書 http://www.ac-net.org/home/hokudai/doc/01521-kdk-shiryou.shtml [1-1]国立大学法人化についての基本的な考え方 [1-2]国立大学法人化の1つのありうる枠組 (以下に添付) [2] 法人化問題検討WGの5/16北大評議会における「検討経過の中間報告」 http://www.ac-net.org/home/hokudai/doc/01516-dgh-wg.shtml [3] 国立大学の独立行政法人化に関する理学研究科・理学部の意見1999.8.31 http://www.sci.hokudai.ac.jp/oshirase.htm#b [4] 1999.11.12 理学研究科教授会決議 以下の国立大学理学部長会議声明1999.11.10を支持する: 「危うし!日本の基礎科学」− 国立大学の独立行政法人化の行方を憂う − http://www.sci.hokudai.ac.jp/oshirase.htm#a [5] 数学専攻声明「国立大学法人化についての慎重な判断を望む」2000.4.20 http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/dokuhou/humath.html [6] 数学専攻声明:日本数学会理事長声明(2000.2.1)を支持する。 「国立大学の「独立行政法人通則法」による法人化は日本の研究・教育を改革 するか? 」 http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/dokuhou/msj.html [7] 他の資料 ・独立行政法人通則法 http://www.kantei.go.jp/jp/cyuo-syocho/990427honbu/houjin1-h.html ・その他 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh [8] 用意されている一つの動議 「理学部・理学研究科から代表を選び、以下の趣旨の案文をつくり,国大協総 会(6月12日)開催前に研究科教授会声明として公表する.細部については 代表に任せる.代表は、専攻長会議メンバーを中心とする数名とする。 『国立大学協会第108回定期総会で報告が予定されている国立大学法人化原 案は、全国理学部長会議声明支持を決議(1999年11月)した研究科教授 会として看過できない点が数ヶ所(*)ある。北海道大学大学院理学研究科教授 会は,国大協が、会員である各「国立大学」で原案についての全学的な検討を 経ずに原案を了承することが無いよう強く要望する。』 (*)例えば中期目標の申請・認可制、行政が指名する監事が学長と対等の立場で 大学運営参画する体制等。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-5-2-2] 法人化に関する提案を学部教授会で継続審議 「理学部・理学研究科のみなさま 研究科教授会で、数学専攻の中村郁教授から、以下の趣旨の提案がありました。 「5月21日公表された国立大学協会.設置形態検討特別委員会の国立大学法 人化に関する文書について、国立大学理学部長会議声明を支持した本研究科と して国立大学協会あて疑問点懸念される問題点を指摘し、意見書ないし質問状 を送付するとともに理学部HPに掲載する。なお、時間的制約を考慮して研究 科長が数名の検討者を選び文案の詳細を一任する。」 臨時専攻長会議が2時30分から予定されていたため時間切れとなり、議論を 理学部教授会(午後3時半より)の最後に継続することになりました。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-5-2-3] (報告)理学部教授会は流れて懇談会に 6/1 「理学部・理学研究科のみなさん 研究科教授会での中村郁教授の提案につき、理学部教授会で議論を続行するこ とになりました。議長の提案で休憩を入れた後再開しましたところ、会議中に もかかわらず 戻らない人が若干おり、定足数を割ったため教授会は流れたと 議長は宣言し、以後懇談会となりました。国大協委員会案について批判・問題 点の指摘等の発言が種々あり、それを研究科長が「理学部懇談会での意見」と して文書にして北大検討WGに伝えると共に、理学部HP掲載について評議員 と相談することになりました。 理学部教授会の審議中に退席して教授会を審議未了のまま終わらせた方々には 多少は反省して頂きたいものです。また、議長が休憩後に定足数不足流会とな る事態を危惧して会議を続行されたとすれば、北海道大学理学部は後世と社会 に対して責任ある行動を取ることができたのではないか、と思います。 とはいえ、有意義な懇談会であったと思います。中村教授の発言は、大学の理 念を明確に深く言葉を尽くして確認し、それとの整合性の点で問題となる点を 具体的に指摘しており、深く感銘を受けました。他の方々の意見も鋭く斬新な 視点からのものが多く、研究科長が法人化問題検討WGに出される文書に詳し く記載され、HPで広く紹介されることを期待すると共に、WGを介して北大 評議会・北大学長・国立大学協会総会に伝わることを願っています。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-5-3] 東京大学職員組合:国大協会長へ要望書を提出(2001.6.6) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/010606youbou.html ---------------------------------------------------------------------- [55-5-4] 大阪大学職員組合:国大協への意見書 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2035.htm ---------------------------------------------------------------------- [55-5-5] 宮崎大学における独法化反対運動 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/601-miyazaki.html ---------------------------------------------------------------------- [55-5-6] 浜本伸治(富山大学)「6.1理事会案批判の論点について」2001.6.6 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/606-hamamoto.html ---------------------------------------------------------------------- [55-5-7] 山形大学職員組合:国立大学協会総会への意見書2001.6.4 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2026.htm [55-5-8] 都大教「独立行政法人化に反対する学習討論会 記録」2001.6.2 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/602-todaikyou.html ---------------------------------------------------------------------- [55-5-9] 名古屋大学職員組合ホームページより http://nuufs.org [55-5-9-1] 国大協設置形態検討特別委員会に向けての総長への要望書2001.5.17 http://nuufs.org/Txt-file/Youbou27-3.txt [55-5-9-2] 「名大の将来を語る会(第2期)」の構成員への公開質問状2001.5.9 http://nuufs.org/Txt-file/situmonsyo27-02.txt 「あなたは、とくに仮報告書の「第I部 全学的検討」の「7−4.大学運営 に関する中期計画に向けた行動計画の提言」についてどのような見解をお持ち でしょうか。また、その提言に対して責任を負う用意はあるでしょうか」 [55-5-9-3] 松尾総長への質問状:全学討論会「提言:名古屋大学はどうあるべきか」 の開催について2001.4.17 http://nuufs.org/Txt-file/situmonsyo27-01.txt ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-6] 独立行政法人化阻止 全国ネットワーク ---------------------------------------------------------------------- [55-6-1] 全国立大学長への手紙 2001.6.5 「国立大学学長各位 拝啓時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 さて私たちは、国立大学の独立行政法人化が官主導により強行されようとして いることに強い危惧を抱き、去る5月18日、「国立大学独法化阻止全国ネッ トワーク」を結成しました。今後、署名活動、広報活動等を通して、広く国民 に国立大学独法化問題の重大性を訴え、反対の世論を喚起してゆく所存です。 聞き及ぶところによれば、国立大学協会設置形態検討特別委員会は、去る5月 21日、「国立大学法人化についての基本的な考え方」、そして「国立大学法 人化の一つのありうる枠組み」と題する二つの文書をまとめ、来る6月12、 13日の国大協総会に諮る予定とのことですが、私たちが両文書を検討しまし たところ、かかる形での決着には強い懸念を表明せずにはいられません。私た ちの詳しい見解を同封いたしますので、ぜひご一読くださいますようお願いい たします。 次期国大協総会における決定が将来に及ぼす影響は極めて甚大です。国立大学 の命運を決すると言っても決して過言ではないでしょう。貴職におかれまして も、責任の重大さに思いを致され、慎重な選択をなさいますよう切に要望いた します。 敬具 2001年6月1日 国立大学独法化阻止全国ネットワーク 代表 山住 正己」 ---------------------------------------------------------------------- [55-6-2] 国大協への公開質問書の共同提出者募集中 2001.6.5 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/605-to-kdk.html ---------------------------------------------------------------------- [55-6-3] 緊急アピール「国大協による国立大学の自己破壊を止めるのは国民の権利である」 2001.6.6 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/606-znet-appeal.html ---------------------------------------------------------------------- [55-6-4] 海外の知人へのメール http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/606-znet-letter.html 「Dear Colleagues, .... If you share our anxieties after reading the attached documents, please help us by sending messages to the Prime Minister Koizumi: http://www.iijnet.or.jp/cao/kantei/foreign/comment.html, to the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology voice@mext.go.jp, and to Japanese Association of National Universities janu@iris.dti.ne.jp.」 (1) A Call to Support the People's Network to Protect the Autonomy of Japan's National Universities (2) PROCLAMATION of the Board of directors of Mathematical Society of Japan (Unauthorized provisional translation) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-7] 公立大学協会「法人化問題特別委員会国立大学の独法化と公立大学の課題」(2001.2.2) http://homepage2.nifty.com/kodaikyo/12news/12news23.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-8] 報道・諸意見など ---------------------------------------------------------------------- [55-8-1] Nature 2001.5.31 Opinion: Nature : 31 May 2001 Volume 411 No. 6837 p507 http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/v411/n6837/toc_r_k.html "The drive to acquire intellectual property from research contributes to the wealth of nations, but can also undermine science if carried to excess. Exaggerated claims threaten to undermine the funding and climate of basic research." ・・・・ "Many countries today see themselves trailing the United States in an intellectual-property race, and are looking for ways to catch up. Moreover, there are moves directed against isolated scholars, who are cast as crusty conservatives pursuing projects to satisfy their own interest. Such researchers are criticized for failing to realize the potential applications, and for their lack of profit-oriented motivation." ・・・・ "Former Prime Minister Yoshiro Mori's claim that Japan will overtake the United States in information technology within five years sounds like a harmless jest, but such hype creates a potentially explosive atmosphere. The recent 'bio-spy' incident, in which the United States charged Japanese researchers accused of stealing material for studying Alzheimer's disease with espionage, shows that the United States is increasingly ready to escalate tensions in such matters. Instead of being an incident involving the actions of a couple of researchers, accusation fell on Japan, sending shock waves through the Japanese research community. The Japanese press obligingly presented the episode as an almost inevitable outcome of an international intellectual-property race. Japanese researchers are understandably starting to wonder if they will ever be welcome in US laboratories. And as one US researcher in Japan put it, "all of the sudden I was frighteningly aware that I was a foreign scientist". Countries who recognize that applied science can underpin their strength and prestige must also be prepared to support basic research, and to sustain the internationalism that is so essential to it. That requires a judiciously light touch in responding to foreign technological competition." ---------------------------------------------------------------------- [55-8-2] 馬場理「大学業務の民間委託について」 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/603-gyoumuitaku.html 「独法化に関する議論が急展開する中で、特に気になっているのですが、大学 から民間への一部業務の委託という考え方が割合なんの抵抗もなしに受け入れ られようとしているかのように感じています。 業務を委託する場合、通常、業務委託契約を結ぶのが慣例ですが、業務委託契 約は極めて適用範囲が広く、危険な契約です。私は職業柄、業務委託契約と常 にとなり合わせの位置に居ます。本人の意図とは関わらず、利用する側であっ たり利用される側であったりするのですが、この契約が常態化している事実か ら常に高いストレスを受けています。 大学の先生方が、この契約の危険性をどの程度認識されているか疑問を感じて います。危険性に気づいていただけるきっかけになることを期待し寄稿してい ます。私には完全な知識はありませんが、知っている範囲の事実をかいつまん で書きます。 ・・・・ 6. 大学が業務委託を容認することの意味  業務委託は労働に関する規制緩和を具現化するための免罪符です。規制緩和 の行き着く先は規制の事実上の撤廃です。ことさらに、労働に関する規制の撤 廃は人類にとって重大な意味を持ちます。大学が業務委託を容認すれば、大学 は労働に関する規制の撤廃を認めたことになります。このとき大学は、人間に 対する思想のある重要な部分を喪失したことになります。 ---------------------------------------------------------------------- [55-8-3] 渡邊勇一「ある記者の発言から」 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/605-watanabe-y.html 日経バイオ宮田記者「今まで非効率だなんだと、国立大学の文句をいっており ましたが、皮肉にも非効率が生んだこの多様性だけは貴重な財産と認識してい ます。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-8-4] 「卵子が学費生む?」(英紙サンデー・タイムズ2001.8.3) http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/604-eikoku-gakuhi.html 「 三日の英紙サンデー・タイムズは、学費支払いなどで借金を抱える英国の女子 大生が、高額の報酬を目的に、米国で体外受精のための卵子を提供する例が増 えていると報じた。米国の仲介機関などが英国の学生向け雑誌で提供者を募集 し、一力月前後の入院で卵子を採取。報酬は通常約2400ポンド(約40万 円)だが、学歴、連動能力、容姿、人種など依頼者側が望む条件に合えば1万 ポンド(約170万円)に上るという。英国では、学費や生活費を親に頼らな い大学生が多く、卒業時に借金が一万ポンド以上になることも珍しくない。 (共同)」 ---------------------------------------------------------------------- [55-8-5] 沖 清豪(早稲田大学)「私学化と私立大学―第5回公開研究会の議論から」 (アルカディア学報No35 2001.5) http://www3.ocn.ne.jp/‾riihe/arcadia/arcadia35.html 「私立大学内の民営化、すなわち事務の民間委託については、すでに一部で検 討がはじめられたと報道されている。おそらくこうしたアウトソーシングも今 後本格的に検討されることになる。これは単に大学事務に関する課題だけでは なく、将来的には教育・授業面においても多様な形態でのアウトソーシングの 可能性がある。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-8-6] 野上修市「次世代の育成と高等教育−−権利としての教育一ー」より 学術の動向(2001年5月号)特集 学術的活動のための次世代育成 p17-20 ◇高等教育をめぐる問題状況と改革の視点 ・・・・ 新しい理論・知識・技術をもった若者の存在が、一国の文化的・経済的発展に とって、不可欠な要素であることはいうまでもない。しかしながら、わが国の 高等教育の現状は、他国にその例をみないほど、解決すべき大きな問題をかか えているといわねばならない。とりわけ、現在の大学には、不本意入学・学力 低下‘学習意欲の喪失・不登校・学費支払不能・定員割れなどの諸問題かある ため、高等教育の改革を抜本的に断行しない限り、大学をめぐる教育病理の現 実は一層深刻なものになろう。その意味で、わが国において、新しい学術的活 動の担い手を育成することは、きわめて困難な問題であるといえる。 ・・・・ ◇次世代育成のための方策 ・・・・  まず第1に、すべての教育制度の内容を、人権・民主主義・社会の進歩と平 和を造り出すという考えのもとに再構築し、学生を高等教育を受ける主体とし て位置づけることが必要である。つまり、高等教育機関は、学生にあらゆる社 会事象を分析させ、その打開策を探究し、そうすることが社会的責任であると いうように、広い知識と深い動機をもつ市民に育て上げねばならないというこ とである。  第2に、高等教育機関の教員は、もっばら知識の切り売りを行うのではなく、 学生に学ぶことのよろこびを与え、いかにしたらそのパワーを発揮できるかと いう可能性を教えることに、自らの役割の重点をシフトする必要がある。その ためには、教員は、つねに世界において活用・推進されている新しい高等教育 の展望とその理論的枠組みを取り入れ、教育内容の刷新を図ることが大切であ る。創造的で批判的な分析を学生本位に行うことにより、学生が単に記憶力だ けではなく、理解力・創造力を高め、新しい視点と新たな実務能力を修得する よう努めなければならない。創造的で批判的な分析とは、伝統的ないし既存の 知識と技術を先端的な科学枝術と結びつけながら、新しい種類の教育・学習教 材を含む革新的な教育方法を展開することであると理解する必要があろう。  最後は、学生が民主主義社会に参加し、社会的責任意識をもって、自己の能 力を十分に発揮できる雇用の機会を用意する必要があるということである。こ れは、単に求職者であることに留まらず、起業家として活躍する場が学生に与 えられなければならな いことを意床している。高等教育は、新しい職業の創 出に貢献することによって、著者に新たな刺激を与える魅力ある教育過程とな るのである。 野上 修市(のがみ しゅういち 1936年生) 日本学術会議第2部会員、社会法学研究連絡委員会委員長、教育体系の再構築 特別委員会委員、明治大学法学部教授 専門=憲法学、教育法学 ---------------------------------------------------------------------- [55-8-7] 大学は何のために存在するのか〜「大学の社会貢献」を考える 「多競争時代の中の大学と受験産業」<その18>(1999.12) 「教育オムニバス」(山口経済出版)教育環境研究所より http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/99c-erix.html 「・・・・ 人間にやさしくない大学  もっと根元的なことがある。それは、大学は何のためにあるのか、というこ とだ。一つは、社会に貢献することであり、もう一つは社会に役に立つことか どうかはわからない研究をやる、ということだ。後者は社会の多様性を保ち、 もしかしたら社会の危機の時に思いがけず貢献することになるかもしれない。  そこで考えてみる。大学はいまの社会に貢献しているだろうか。  日本ではリストラの嵐が吹き荒れている。倒産や破産、夜逃げ、心中。サラ 金や商工ローン業者は倒産や破産を目の前にしている人間にたかって保証人か ら金を搾り上げる。会社のなかでは労働者同士の連帯や助け合いもなくなった という報告も聞く。バブル全盛期の頃、人々は人手不足で寝る暇もなく働いた。 バブルがはじけて不景気の極みの中でも(いや、それだからこそ)、職にしが みついている人々はやはり夜も寝ないで働いている。一方では、失業者は増え、 学生は就職難にあえいでいる。そういう社会に対して大学はどういう働きかけ をしているだろうか。  これだけ地球規模で環境問題が取り上げられ、健康被害や災害が起き、将来 の人類の危機も指摘されているのに、政府や企業はバブル時代と同じように 「消費は美徳」とばかりに景気浮揚のための個人消費をあおっている。それに 対して大学人は問題点を指摘するどころか、時代遅れの公共事業や消費拡大の ための金ばらまき政策を支えている。  昔聞いた話だが、不況時にドイツの労働組合は首切りに反対し、賃金を下げ ても仲間を守る闘いをしたという。労働時間を少なくし、仕事を分け合ったの である。私が思うに、大学は(知識人はとか、研究者はと言ってもいいのだが)、 仕事がない時代こそ、仕事を分け合って労働時間を短くし、人間らしい生活を 送るべきだと提言すべきではないだろうか。賃金が下がっても生活が苦しくな るとは限らない。物価が下がればいいのだから、大学はそういう政策を提言す るべきだ。また、失業者が少ない社会の安定感・安心感は生活者の精神を落ち 着かせるのに大きな作用をするはずだし、消費が抑えられて環境負荷も少なく なるはずだから、研究者は正当にその効果を研究し、広く知らしめるべきだろ う。同時に、自分たちが送り出す若者に人間らしい生活が送れる職と生き甲斐 が与えられるよう、社会に訴えるべきではないだろうか。 ・・・・ 大学存在のキーワードは「思いやり」  では、大学が養成すべき人材とはどのようなものになるだろうか。私の考え では一言でいうと教養人の養成である。人は仲良くした方がいい、けんかをし ても仲直りをする方法を考えよう、他人の体や心に傷つけてはいけないよ、も し傷つけるようなことがあったら逃げないでちゃんと対応しよう、というよう なことがちゃんとわかる人間を育てることだ。大学の存在意義のキーワードは 「思いやり」と「コミュニケーション」になると思う。人の命を助ける使命を 持ちながらオーム事件で人を殺す医師のような人間を出さない教育システムを 考えて欲しい。 ・・・・ 社会の後追いでない大学改革を望む  冒頭の話に戻るが、パラダイム転換が求められている時代にあって、大学は 思想的にも科学技術の面でも教育の面でも、それに合った研究や提言、実践を 世に問うているだろうか、というと、結論は否である。  厳しい時代だから理想を言ってはいられない、現実的に対応するしかない、 とか、理想は理想であって実現できるものではない、と言う人もいるだろう。 だが、例えばECを考えてみるといい。ヨーロッパ大陸にあって戦争が続く時 代にその実現性を信じた人がどのくらいいただろうか。どんな時代にあっても ECの理想主義を掲げ、推進した人がいたからこそ実現にこぎつけられたのだ ろう。理想と現実は相反するものではなく、理想を掲げ、それに向かって現実 を生きるからこそ、理想も現実も生きるのである。  思い切った改革というのは既定路線の上を突っ走ることではない。理想を見 据えて確固たる信念の基に現実を変えていくことである。車のない社会、質素 な生活、経済成長がダウンする社会しか人類の未来を保証するものはない、あ るいはそれでもだめかもしれないがそれをめざすしかない、という設定がある としたら(この設定は私個人のものなので人によって異なるだろう)、現実が どんなに困難に見えようとも知恵を結集して提言や実践をすることが大学の社 会貢献だと思う。  何を子どもじみたことを、という人もいるだろうが、社会のパラダイム転換 を意識し、それに基づく理想を構築し、その理想に向かって現実的な改革を提 言することなくして、大学の改革とは言えない、と私は考えるのである。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-8-8] 「“ドッコウホウ大学”への道は明るいか〜国立大学よ、どこへ行く」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/net/nethefo300.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-9] 「読者」より ---------------------------------------------------------------------- [55-9-1] 頑張れ、応援します 2001.6.1 「私は4年前コンピューターを買い、プロバイダーともその時契約したのでが、 ほったらかしで、4日前の日曜に新しくコンピューターを買うのと同時にイン ターネットをやり始めた事実上全くのコンピューター初心者です。最近色々と 息がつまる様なことばかり(特にいまの・・・首相になってから)のなか、貴 サイトにめぐりあえたのは、もう一つの別の出会いとともに私にとってのすば らしい出来事であまりのうれしさにサイトの殆どの項目を何時間もかけ印刷し (ほぼ2センチになり、黒インク2個目になりました。)今ようやく終わりま した。私もつい1年前まで、多くの国民と同様、独法化とは何かすら知らなかっ たのですが、国立大学の独法とは何か、そしてそれが閣議決定された理由を知っ て本当に怒りにふるえました。私も弟も国立大学にお世話になりましたが、貧 乏な6人家族特に医者志望だった弟は、国立大学だからこそ念願の医者になれ たのだと国立大学に感謝しております。しかし、勤務先の公立病院もいまの見 境ない市場原理の流れー人の命を扱う分野に市場原理とはふざけるなと言いた いーの中でかなり苦労しているようです。独法化については、印刷させていた だいたもので勉強させてもらってから、またメールを送らせていただきますが、 とりあえず、今この間の民主党の・・・議員に答えての小泉の民営化発言等 厳しい状況だとは思いますが是非頑張ってご活動お続けください。「僕はアメ リカに幻滅した」(太陽企画)もうお読みになったかも知れませんが、東大出 の元プロ野球選手小林至氏の名著です。これを読んでなお一層国立大学の必要 性を痛感しました。頑張れ」 ---------------------------------------------------------------------- [55-9-2] 団藤保晴メールマガジン「インターネットで読み解く!」No.104 http://dandoweb.com/ 第104回「再生医療周辺と生命倫理を考える」(20112部発行)編集後記より 「小泉政権下で国立大学の民営化まで言われ始めています。当面は独立行政法 人化が先です。6月12日の国大協総会に大きな節目が来そうです。 「国立大学独立行政法人化の諸問題」 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ というサイトにいろいろな問題意識が集約されていますから、関心のある方は のぞいてみて下さい。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-10] 行政監視局より http://www8.freeweb.ne.jp/area/kanshi/main.htm ---------------------------------------------------------------------- [55-10-1] NO.169-2 http://www8.freeweb.ne.jp/area/kanshi/etck17.htm#169-2 「地方公務員をしております。風当たりのきつさについては、常々感じていま すが、あまり断定的なご意見も、もちろん、接遇などで参考になるわけですが、 ちょっと待ってよと思うこともあります。 ・・・・  小泉首相のやり方で、全てがうまく解決できるなら、それでいいでしょう。 しかし、彼の実行しようとしていることは、後から、絶対後悔すると思います。 国民に痛みをといいますが、実態をよく見たほうがよいと思います。今までの 自民党的な政治の矛盾の集中が森前首相でしたね。小泉さんは、今までの自民 党単独、あるいは、連立政権でできなかったことをすると表明しています。 所信表明演説の全文を読みましたが、無駄な公共事業をやめるとはいってい ません。不良債権の解消も、今の不良債権の大半は、中小企業関連だというこ とですから、不良債権を今すぐに無条件で全て回収してしまえば、中小企業は つぶれます。 医療費のことなど、国民生活の隅々に及ぶ問題には、明言を避けています。 国会での野党の質問に対し、野党に批判が集中したということは、わからない ではないですが、それだけ、今までの自民党的な政治手法が間違っていたとい うことの証ではないでしょうか。  それと公務労働とは何かということを考えていただきたいと思います。無駄 に見えることもあるでしょう。しかし、採算を追求することなく、皆さんの生 活の隅々に行政サービスを行き届かせている面を考えてください。ごみの収集 なども直営は金がかかるというご指摘もありますが、直営の場合、私たちの市 では、収集の際に落ちたごみの残りなど必ず、拾っています。 当たり前といえば、そうなのですが、委託地域もありますので比較していま したが、そうしたことは委託地域では、行われていないことや、取り残しがあっ ても、絶対再取集には、行ってくれません。  国鉄の民営化のときに議論されたことですが、直接国鉄として、赤字が出た のは、新幹線開業後でした。特に上越新幹線は、相当な赤字だったと聞いてい ます。民営化前は、いろいろ言われていましたが、事故も少なく、故障も少な いといったことが指摘されています。民営化での合理化、たとえば、一人乗務 とか、ホーム要員の無人化など、安全対策は、二の次での採算一辺倒ではない のでしょうか。  この国を再生させるというご意見には、うなづくところもありますが、なぜ、 公務というものがあるのか、では、そこで何が問題なのかを議論すべきでしょ う。 ・・・・ 自分のことだけ考えている連中のために、同列視されるのは、つらいものです。 又、皆さんの忌憚のないご意見や、お叱りをお待ちしています。このサイトで の皆さんのご指摘は、私は、少なくとも私に限っては、日常業務の参考にさせ ていただいています。今後とも、よろしくお願いいたします。」 ---------------------------------------------------------------------- [55-10-2] No.172-4 http://www8.freeweb.ne.jp/area/kanshi/etck17.htm#172-4 「私は公務員ですが、民間につとめる方と同じように税金を納めています。所 得税、住民税、消費税、固定資産税等々、個人的に納める税金で私とあなた方 でどこが違うのでしょうか? 「日本の社会を考えるなら、税金を貰う人(寄生型人間)から自分の力でお金 を稼ぎ税金を納める人、(自立型人間)になる覚悟をしてほしい。」の言葉の 意味がわかりません。 「寄生型人間」や「自立型人間」とは何でしょう。自分が優越感に浸りたいが ために他人を馬鹿にする言葉としか感じられません。「公務員の所得を民間企 業のサラリーマン平均の75%とする。」などというのは、差別社会をつかり たいかのように感じてしまいます。 まじめに働く公務員が、どんな思いになるのかを「人」として考えてほしいと 思います。まじめではない公務員も確かにいます。しかし、民間にはいないで しょうか?職業(仕事)として、生きるために「労働力」を提供し、対価(給 料)を得ることは、労働者全員共通しているのではないでしょうか? 国の仕事も地方の仕事もいろいろな制約(法律、政治、慣行)の中で、改善に 向け努力しています。批判するだけなら誰でもできるのです。国民生活が向上 するため、必要だから役所(行政)が存在しているのではないでしょうか? 必要だからそのためにそのコスト(税金)を払うのではないでしょうか。必要 ではないという考え方であれば議論の余地もありませんが、必要であれば、そ の機能が悪くなって困るのは、その仕事に携わる人は無論のこと、行政サービ スを受けるすべての人です。そうしないためには、批判も結構ですが、それの みならず前向きな提案もお願いしたいと思います。」 [55-11] その他 [55-11-1] 独法化された産業技術総合研究所についてのコメント 「なお、独法化に省として反対していた農林水産省は、このような実態にはなっ ておりません。」 [55-11-2] NHKへの「わたしたちの見解と要望」署名運動の事務局より 「・・・  署名の募集は5月24日をもって締め切りました。まだ集計作業が終わってい ませんが、2800名を越える署名が集まりました(内訳は、電子署名約135 0、FAX署名が約350、郵送署名が約1130、ハングル署名が約40)。当 初の予想より多い署名が集まり、署名事務局も驚いています。署名運動に協力し ていただいたことに、あらためて感謝申しあげます。  6月9日(土)にこの署名簿をNHKに提出します。署名を提出し、記者会見 を行った後、午後3時から4時45分まで、渋谷の東京ウィメンズプラザ(視聴 覚室)にて、事務局のメンバー、呼びかけ人、そして当日関東近辺におられる賛 同署名者の交流集会をもちたいと思います。はじめて顔を合わせる方々も多いと 思います。交流を深めつつ、今後の方向について語り合う場としたいと思います。 どうぞ、ふるってご参加ください。 <交流集会> 日時:6月9日(土)午後3時から4時45分まで 会場:東京ウィメンズプラザ、視聴覚室  位置:東京都渋谷区神宮前5−53−67   JR山手線・東急東横線・京王井の頭線:渋谷駅下車徒歩12分   営団地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線:表参道下車徒歩7分   都バス(茶81系統・渋88系統):渋谷駅からバス4分「青山学院前」バス停下車徒歩2分  電話:03−5467−1711(代)  ホームページ: http://www.tokyo-womens-plaza.or.jp/womens/trafic.htm  また、ご参考までに、9日の事務局の動きをお知らせいたします。署名に託さ れたたくさんの方の思いを生かすためにも、署名提出と記者会見を効果的に行い たいと思います。現在、以下のようなことを予定しています。 1.署名簿の提出(午前10時〜11時) ・・・・ 2.記者会見(午後1時〜2時半) ・・・・ 3.交流集会(午後3時〜4時45分) ・・・・  また、この交流集会に関してアイデアや要望等がございましたら、どしどし事 務局宛にメールをください。また集会で一言しゃべっても良いという方や、準備 を手伝ってくださる方、大歓迎です。  なお、この案内は電子メールとFAXによって送っていますが、時間の関係もあ り、郵送で署名を送ってくださった方々には行き渡らないものと思われます。郵 送で署名を集めてくださった方は、お手数ですが、署名者に知らせていただけれ ば幸いです。  政治家やNHK上層部という権力による「検閲」ともいえる今回の番組改ざん 問題の深刻さを市民・視聴者の立場から広くアピールする機会としたいと思いま すので、どうかご協力をよろしくお願いします。 署名事務局連絡先  電子メール: etv@ml-c8.infoseek.co.jp  FAX番号: 020−4666−7325  ホームページ: http://www.jca.apc.org/‾itagaki/nhk/index.html 事務局の構成  (署名管理)中野敏男、駒込武、岩崎稔; (WEB管理)板垣竜太、李孝徳;  (会計・郵便)鈴木香織」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [55-12] 発行者のメールより ---------------------------------------------------------------------- [55-12-1] 北大部局長会議への要望 2001.6.5ht http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/605-huexec.html 「北海道大学評議会 殿 おはようございます。 本日に部局長会議、明日に評議会が開催されると聞きました。国大協委員会の 法人化案*1について議論されると推測しております。問題の重要性からすれば、 全学的な議論が不可欠ですが、大半の部局でもいまだ行われていないのが現状 です。評議会として北大の態度を明確にすることはできるはずはありません。 長期的な展望*6を見失わない誠意ある慎重な議論と判断をお願い致します。 「法人化案」を国大協総会が了承することは、大学自身が独立行政法人化を自 ら進んで選択することを意味します。独立行政法人化は、行財政改革の文脈で 出てきていますが、大学を政府の制御下に置くことが真の目的であることは、 総合科学技術会議の方針から明らかであり、Natureの5/31 号のOpinion でも、 日本の科学技術政策の危険性を指摘する記事があります*2。このリスクの大き さを無視し、国立大学にとっての政治状況の悪化にパニックを起こして、国大 協委員会の国大法人化案を了承して決着をつけようとしている現状を危惧しま す。貴会議が国立大学全体が陥っているパニックゆえの盲目的判断を思いとど まらせるだけの冷静さを持つことを祈っております。 ---------------------------------------------------------------------- 昨年6月に貴会議は前総長の「独立行政法人化問題に対する本学の対応につい て」*3を了承しました。 その中で「調査検討会議に参加して本学の意見を反映していくべきである」と いう方針を貴会議は了承しましたが、その判断は正しかったのでしょうか。来 週の国大協第 108回定期総会で報告される法人化案*1のようなものを、貴 会議は予期していたのでしょうか。この案のどこに本学の意見、そして、大学 の教育と研究の現場に居る多くの者の意見、が反映されているのでしょうか。 現在の状況は、昨年の部局長会議で前学長が示された「現状認識」とは根本的 な点で変化しています。昨年の今ごろ、国立大学の独立行政法人化問題が行財 政改革とは異る文脈に移行したかのような印象を与える文部大臣説明がありま したが、その文脈が蜃気楼でしかなかったことは「21世紀の大学を考える懇 談会」がわずか3回で打ち切りになったことや、最近の小泉内閣の国立大学民 営化方針に対して(*4,*4b)、早速、大学業務のアウトソーシングや、付属病院・ 付属学校の民営化等の方針を文部科学省が打ち出したことから明らかです。 なお、研究以外の業務(教育も含む)を当然のようにアウトーソーシングする 大学の姿勢に、大学そのものの退廃を指摘することも出来ることをお忘れにな らないようにお願い致します*5。 添付資料目次 *1 国大協委員会の法人化案 *2 p507 Dangers of nationalism [55-8-1] *3 「独立行政法人化問題に対する本学の対応について」2000.6.6より *4 参議院文教科学委員会5/24 [55-1-2] *4b 文科相に大学民営化迫った小泉首相[55-1-1] *5 馬場理氏「業務委託についての意見」[55-8-2] *6 野上修市氏「次世代の育成と高等教育−権利としての教育一」[55-8-6] ---------------------------------------------------------------------- [55-12-2] 北大評議員への要望 2001.6.6 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/606-huexec.html 「北海道評議員各位 法人化に関する議論は本日の評議会で行われると聞きました。予算のための臨 時評議会ですが、予算という日常的な議題とは比較はできない性質の重要な問 題です。真摯に議論して大学自治の存在を証明してください。  来週の国大協総会では何も決めないだろうと言う方がおられそうですが、そ れは先週の国大協理事会の決定内容(*1)と国大協会則とをご存知ないがゆえの 発言ではないかと思います。 国大協会則第8条は、 「協会がその意志を決定し又は表示する場合は、総会の議によらねばならな い。ただし、緊急の必要があり総会を招集するいとまがない場合においては、 理事会の議により、これを行なうことができる。 2 前項ただし書の規定によってなされた措置については、次の総会におい てその承認を得なければならない。」 となっています。 6月1日の国大協理事会(*2)後に長尾会長が国立大学の法人化の意志を明確 に報道発表した以上、来週の総会で異論がなければ、国立大学の独立行政法人 化承認(*3)は国大協の合意事項となります。 本日の評議会で、理事会表明を国大協の意志としてよいかどうかを議論し、北 大としての態度を明確にしてください。 これまでの北大での議論で、学問の自由・大学の自治を増すための法人化でな ければ検討に値しない、という点を強調してきた北大としては、理事会表明の 内容(*1b)は到底承認するわけには行かないはずです。 理事会決定について、議論せず不作為に承認することは、北大内で独立行政法 人化にある種々の思い・意見(*4)無視するもので、合議制を基盤とする大学自 治の根幹である評議会の使命を放棄するものです。 ---------------------------------------------------------------------- *1a 国大協理事会後の記者会見の内容 [55-3-3] ---------------------------------------------------------------------- *1b 5月21日文書以外に新たに加わったもの [55-3-1] ---------------------------------------------------------------------- n*2 6月1日の理事会では意見が割れたまま時間切れとなり、総会で議論を続 けると聞いています。 ---------------------------------------------------------------------- *3 国立大学法人という言葉を変えても、正真正銘の独立行政法人であること は文部科学省も国会答弁で明言しています。こういう児戯に等しい取り繕いを 続けると、国立大学協会とその会員である国立大学全体が信用を完全に失うの ではないかと心配します。 ---------------------------------------------------------------------- *4 たとえば、北大アンケート回答における自由意見 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/hu-iken/iken.html ----------------------------------------------------------------------  【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題を広い視野から考えるのに役立 つと思われる情報(主に新聞報道・オンライン資料・文献・講演会記録等)を 紹介。種々のML・検索サイト・大学関係サイト・読者からの情報等に拠る。  メール版で省略されている部分はウェブ版参照。ウェブ版は目次番号が記事 にリンクされている。転送等歓迎。 【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ ひ読んで頂きたいもの。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ 発行部数 2030 (2001.6.5現在) (1297) Mag2:759|CocodeMail:351|Pubzine:83|Macky!:52|emaga:27|melma:25 直送 732(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・議員等): Digest版 発行部数 約1600(北大), ML(he-forum,reform,aml,d-mail) ---------------------------------------------------------------------- End of Weekly Reports 55 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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