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国立大学独立行政法人化問題週報

Weekly Reports  No.76  2001.11.30 Ver 1.13

http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-76.html
総目次:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/all.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━        目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-0] 内容紹介  [76-0-0] 日本の知的国土を襲う前震  [76-0-1] 密室で決まる教育行政  [76-0-2] 正気を失いつつある教育行政:教育から産業・司法への重点移動  [76-0-3] 法学系部局が独立行政法人化に積極的な理由  [76-0-4] 文部科学委員会10/31での構造改革に関する議論・遠山大臣の謝罪  [76-0-5] NHKの独立行政法人化問題:NHKは政府から独立しているか?  [76-0-6] 「産学官」を詐称する産官サミット  [76-0-7] 遠山プランが日本社会に与えるダメージ  [76-0-8] 教育基本法見直し諮問:中教審委員の全人的存在が問われる時 [76-1] 国会  [76-1-1] 衆議院文部科学委員会10/31議事録   [76-1-1-2] 森岡議員 教育基本法について   [76-1-1-3] 斉藤(鉄)議員 科学技術基本計画二期目について   [76-1-1-4] 斉藤(鉄)委員:基礎研究について   [76-1-1-5] 石井議員 構造改革について  [76-1-2] 参議院文教科学委員会11/20議事録   [76-1-2-1] 小林元議員「民間的発想」の問題点   [76-1-2-2] 林紀子議員:日本育英会の問題   [76-1-2-3] 林紀子議員 非常勤講師の問題   [76-1-2-4] 山本正和議員「生涯教育」について   [76-1-2-5] 西岡武夫議員:独立行政法人化問題 [76-2] 行財政改革  [76-2-1] 公益法人「役員報酬に対する助成」廃止案   [76-2-1-1] 行政委託型公益法人等改革の実施計画各府省案(補助金等関係)に対   [76-2-1-2] 意見募集中  [76-2-2] ◆財政制度等審議会財政制度分科会2001.11.15   [76-2-3] 塩川財務大臣閣議後記者会見の概要(2001.11.20)より  [76-2-4] 司法制度改革推進法2001.11.16   [76-2-4-1] 司法制度改革推進本部令 2001.11.28  [76-2-5] 独立行政法人の動き   [76-2-5-1] 総務省政策評価・独立行政法人評価委員会(第9回2001.10.26)議事要旨   [76-2-5-2] 毎日11/15「独立行政法人:57組織で役員100人増 次官超す報酬も」   [76-2-5-3] ◆読者より  [76-2-6] 日経(11/15) NHKの独立行政法人化についての記事 [76-3] 文部科学省  [76-3-1] 教育基本法改正を中教審に諮問、関係社説集  [76-3-2] 日経2001.11.19 「ポストドクター、助教授並み処遇――頭脳流出防止へ制度」  [76-3-3] 滋賀医科大学全学集会(2001.10.20)における杉野大学改革推進室長講演  [76-3-4] 文部科学省官房決定2001.8.6「今後の国立大学等の施設管理に関する調査研究について」 [76-4] ◆大学構造改革  [76-4-1] NHKBS1ディベートに関連する公開要望書2001.11.27   [76-4-1-1] Yahoo!JAPAN  [76-4-2] ◆掲示板「遠山プランに対する日本の人々の意見」  [76-4-3] 朝日11/17「「大学はみんな民営化を」ノーベル賞の利根川進さん語る」  [76-4-4] 国立大学が30近くも減る――統廃合マップ(2001/9/7号 週刊朝日)  [76-4-5] 北海道新聞11/17「佐々木帯畜大学長が辞意 体調不良 22日に正式表明へ」  [76-4-6] 「top30に踊らされ、エゴに陥る大学人の今の姿」(reform より)  [76-4-7] 奥山(自民党)議員ウェブサイトより「『国立大学法人』制度の概要」  [76-4-8] 一橋大学評議会『新しい「国立大学法人」像について』に対する意見 2001.10.24 [76-5] ◆教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会 2001.11.22  [76-5-1] 報告書  [76-5-2] 社説 [76-6] 国立大学協会  [76-6-1] 総会11/14・15関係報道   [76-6-1-1] 朝日2001.11.16 「数合わせではない」 国立大再編で文科省が説明    [76-6-1-2] NHKニュース2001.11.15「教員養成学部統合は慎重に 大学側から意見相次ぐ」   [76-6-1-3] 共同通信2001.11.15「再編は数合わせではない 学長懇で文部科学次官」   [76-6-1-4] 読売 2001.11.15「教育大・学部大幅統合で地方国立大から懸念続出」  [76-6-2] 総会での要請行動報告  [76-6-3] ◆産学連携サミット 2001.11.19   [76-6-3-1] 薬事日報2001.11.26「産学官連携サミット」に300人が参加    [76-6-3-1-1] 第一回産学官連携サミット共同宣言   [76-6-3-2] ◆「教育への経済界の要請を排すーーそれを行えば国益を損なう」  [76-6-4] 国立大学協会臨時総会2001.10/29 議事録  [76-6-5] 国立大学協会第15回 設置形態検討特別委員会(議事メモ)  [76-6-6] 理事会メモは会長の一存 [76-7] 国立大学独立行政法人化問題の運動  [76-7-1] ◆豊島耕一「独法化問題をめぐるイデオロギー」2001.11.26  [76-7-2] ◆豊島耕一「主権者のための,主権者としての教育を」(2001.11)  [76-7-3] 独立行政法人問題速報 No.10 特集:『千葉大学の将来構想 II』(第3版) [76-8] 大学の動き  [76-8-1] 弘前大学在職死亡者数倍化  [76-8-2] 全大教北海道第10回教研集会(2001.12.8)  [76-8-3] 公立大学   [76-8-3-1] ◆共同通信ニュース「公立大も法人化の方向 国立と同じ条件で競争へ」 2001.11.22    [76-8-3-1-1] 『朝日新聞』11月23日付朝刊   [76-8-3-2] 都立大新局面、大学改革大綱発表」 [76-9] 奨学金問題  [76-9-1] 日経2001.11.29「育英会の奨学金、存続を」医学生が投書  [76-9-2] 東京新聞2001.11.16「小泉改革で学生ピンチ」  [76-9-3] Yahoo!JAPAN 掲示板 No 4032「イギリス医学生の窮状」  [76-9-4] 「大事な日本の「明日」への投資―奨学金」『読売新聞』2001.11.19社説 [76-10] 意見  [76-10-1] 宮本憲一滋賀大学長「大学はどう生きるべきか 公共財としての役割明確化を  [76-10-2] 山岸駿介「文部科学省の『ルネッサンス』とマスメディア」東海高  [76-10-3] 高等教育フォーラムより   [76-10-3] No 3770「「大学改革」と日本の大学の「特殊事情」」   [76-10-3] No 3767「身内に性善、他者に性悪」 [76-11] 資料   [76-11-1] 内田研二著、『成果主義と人事評価』  [76-11-2] 行政監視局No 238-1 「公務員給与について」(2001.11.17)  [76-11-3] 筑波大学大学研究センター ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-0]  内 容 紹 介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-0-0] 日本の知的国土を襲う前震 11月、日本の知的国土に更なる前震の連続を感じた。19日の産学官サミッ ト声明[76-0-6]、22日の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会最終 報告[76-0-1]、29日の教育基本法改正の諮問[76-0-8]、法人化に向け法整備 を求める公立大学協会決議[76-8-3-1]、いずれも日本社会の精神的基盤を崩壊 させる大地震の前触れとなり兼ねないものである。実際の地震と違うことは、 大地震の到来は意識的に防げる点である。大震災の前震を感じた方は、その到 来を防ぐことに関心を持ち続けて頂きたい。             ------------------------------ [76-0-1] 密室で決まる教育行政 教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会が、パブリックコメント募集も 行わずに最終報告[76-5-1]を出した。各県への教員養成学部配置の基本原則を 放棄する方針に対し、多くの新聞社が批判[76-5-2]している。素性が不明な 「懇談会」の報告で「教員養成」政策が決まるわけではない。             ------------------------------ [76-0-2] 正気を失いつつある教育行政:教育から産業・司法への重点移動  教員養成系大学・学部の縮小は大学スクラップアンドビルド政策の一環であ るが、「節約」された財政(人員)は産学連携[76-6-3]・法科大学院整備 [76-2-4]に回すことが予想される。人を育てることを手抜きして、人を利用す ることと、逆らう人を罰するシステムに力を入れる「教育政策」は国を劣化さ せる。教育事業を縮小し司法事業を拡大する、いわば、「教員を減らし看守を増 やす雇用対策」はとても正気とは思えない。             ------------------------------ [76-0-3] 法学系部局が独立行政法人化に積極的な理由  国立大学独立行政法人化に関し、各大学で最も積極的なのは法学系学部であ る。これは一つの疑念を抱かせる。ロースクールを現在の法学部人員で実現し ようとすれば、学問としての「法学」は日本の主要な大学からはなくなる。そ れにもかかわらずロースクール構想への反対意見がほとんどないのは、新たな 人員投入を期待しているからではないかと推測せざるを得ない。しかし、財務 省はロースクールのための財源を新たに用意する意思は今のところない [74-1-1]ようなので、国立大学のスクラップアンドビルドを期待するしかない。 国立大学協会の委員会、あるいは、各大学の委員会において、法学系部局の教 員が法人化に積極的なことの背景には、こういう思惑があるのではないか。も ちろん明示的な動機になっているとは思わないが。             ------------------------------ [76-0-4] 文部科学委員会10/31での構造改革に関する議論・遠山大臣の謝罪 10・31に大学構造改革に関する石井議員の質問に対し遠山大臣が、他の議 員に回答したとして、回答を省略しようとした[76-1-1-5]。質問は「学問の自 由」にかかわる新たな論点であったため紛糾。そのために、議事録の公開が大 幅に遅れた。文部科学省が「学問の自由」に何の関心も持っていないことを示 してしまった事件と言えるだろう。  11月21日の委員会で、遠山大臣はこの件につき謝罪している[76-1-3]。             ------------------------------ [76-0-5] NHKの独立行政法人化問題:NHKは政府から独立しているか? NHKの独立行政法人化については、公共放送機関への国家の支配が強まると して所轄省である総務省が反対した[76-2-6]。しかし、NHKが、政府から独 立した報道機関と言えるかどうか疑念を抱いている人は多い。BS1で大学改 革に関する特集があるが、その資料は政府の言い分を「客観的報道」の体裁で 紹介している[76-4-1]のに対し、反対意見のウェブサイトへのリンク紹介は、 そのリンク先に移る前に「ここから先はNHKの意見とは無関係」という画面 を出すという慎重さである。NHKが文部科学省広報部になっていることを如 実に物語っている。政府への従属が強まるから、という理由でNHKの独立行 政法人化に反対する理由は理解できない。(が、もちろん、NHKの独立行政 法人化には反対である。NHKがもっと公共放送機関として政府から明確に独 立した姿勢を示してほしい、という要望を述べただけである。)  しかし、独立行政法人により政府への従属を強めることについて、NHKに ついては問題だが国立大学については問題にはならない、となっていることは、 単に所管省の見解が違うだけなのだろう。国立大学が文部科学省への従属を強 めることは文部科学省としては大歓迎なことは言うまでもない。             ------------------------------ [76-0-6] 「産学官」を詐称するサミット 産学官サミット共同宣言[76-6-3-1-1]の中で、学のイニシアティブとして「 国立大学の非公務員型法人に移行することを目指す」とある。これは、大学で は全く議論されていない項目で、このような内容が記載されていることは、こ のサミットでいう「学」とは「大学」のことではないことを証明している。実 際、宣言の署名は、尾身大臣、今井経団連会長の他は、日本学術会議議長・総 合科学技術会議議員・独立行政法人産業技術総合研究所長を兼任する吉川氏で あり、大学セクタ代表の署名はない。国立大学関係者は出席するだけで起草に は関与していない「一方的宣言」を「産学官サミット共同宣言」と詐称するよ うでは、経団連は産学官連携に必要な大学セクタの信頼を失うだけでなく、日 本社会の信頼をも失うだろう。             ------------------------------ [76-0-7] 遠山プランが日本社会に与えるダメージ 藤原正彦氏が「日本の論点2002」で経済セクタに大学を移管させることに 警鐘を鳴らしている[76-6-3-2]。自分の判断や決断が日本社会を破壊しようが しまいが無頓着な日本の指導者層に危惧し、利害関係のない著名な方々も声を 挙げ始めたように思える。これまで沈黙していた多くの人々が声を挙げ始めた ことは、少しでも遠くを見る余裕がある者には、遠山プランが日本社会に与え るダメージの大きさが余りに歴然としているからであろう。             ------------------------------ [76-0-8] 教育基本法見直し諮問:中教審委員の全人的存在が問われる時 文部科学省が教育基本法の見直しを中央教育審議会に諮問した[76-3-1]。教育 基本法の精神が活かされていないことこそ問題であるという視座が今最も必要 であろう。教育基本法に無関心であり続けた中央教育審議会がその視座を取る 可能性は低いが、新たな委員も居る。事務局案の推敲をするだけの審議会から、 事務局に案を提示する審議会に脱皮することは可能なはずだ。中教審委員30 名[76-3-1-1]の方々の精神的自立性・使命感・良心・見識等、全人的な存在が 厳しく問われる時である。委員全員が、自分自身で時間をかけて調査研究し、 自分自身の結論を国民に示し、質問に応えることが要求される。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━        本文 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-1] 国会 [76-1-1] 衆議院文部科学委員会10/31議事録 http://www.shugiin.go.jp/itdb_main.nsf/html/kaigiroku/009615320011031002.htm 行番号付 http://fcs.math.sci.hokudai.ac/dgh/01/a31-monbukagaku.html             ------------------------------ [76-1-1-2] 森岡議員 教育基本法について 179 ○森岡委員 ... 182  しかし、それならば、教育改革国民会議の報告の一つに、「新しい時代にふ 183 さわしい教育基本法の改正を」という提言がございます。聞くところによりま 184 すと、文部科学省は中教審にこの問題を諮問しようとされていると聞いており 185 ます。私は、正直、またかというがっかりした気持ちを持っているわけでござ 186 います。 187 188  教育基本法の改正については、私が知っているだけでも、昭和三十年でござ 189 いましたか、鳩山内閣あたりのころから議論されてきた問題でございます。精 190 神論、また組織論、制度論、いろいろ出ておりますし、もう機は熟してきてい 191 るのじゃないかなと。わざわざ中教審の答申に頼るということはもう必要ない 192 のじゃないか、中教審の答申を得たとしても出てくるものは大したものが出て 193 こないのじゃないか、今までの枠の中にはめられたものしか出てこないのじゃ 194 ないかと。 195 196  けさも新聞を見ておりますと、中教審の教員養成部会が教員免許の更新制度 197 の導入を見送ったという報道がございました。私は、教育のビッグバンをやろ 198 うとしているこういうときに、こういう姿勢ではだめなのじゃないか、文部省 199 はもっと主体性を発揮してもらいたい、何でもかんでも中教審に頼ってその答 200 申が出てこないと実行できないという姿勢では困るなというふうに思っている 201 わけでございます。 202 203  私は、この教育基本法の改正についても、今や遠山大臣の私案なるものをこ 204 こへ提示してもらいたい。そして、国民的な議論を大いに深めたらいいじゃな 205 いか。 206 207  今どうしてできないのですか、それをお伺いしたいと思います。 208 209 ○遠山国務大臣 御指摘のように、教育基本法については長い間のいろいろな 210 議論の積み重ねがあったことは確かでございます。 211 212  今やもう私案を出してやれというお励ましをいただいたわけでございますけ 213 れども、教育基本法といいますものは、我が国の教育の基本理念、そして基本 214 原則について定めるものでございます。この見直しに当たりましては、私はや 215 はり、教育に関する基本的な重要施策を審議する中央教育審議会にそのことを 216 正式にかけることなくやるような問題ではないのではないかと思っております。 217 218  そこでの審議を通じて国民的な議論を深めていく。最近は審議会も傍聴可能 219 でございまして、議論のプロセスも国民が追うことができるようになってござ 220 いますし、そういう、国民も参加しながら、いろいろな意見を集約しながらや 221 はりこれはコンセンサスを得て法改正に臨んでいく、あるいはそういうことに 222 ついて議論をしていくということでありませんと、改正をするということにつ 223 いて、仮に成立した段階でも、国民の中に深く浸透し、そしてその精神が生き 224 ていくということについては、私はどうなのかなと思っているわけでございま 225 す。 226 227  これは既にお聞き及びと思いますけれども、我が内閣の発足に当たりまして、 228 小泉総理の所信表明演説がございまして、その中にも、「日本人としての誇り 229 と自覚を持ち、新たなる国づくりを担う人材を育てるための教育改革」に取り 230 組む、「教育基本法の見直しについては、幅広く国民的な議論を深めてまいり 231 ます。」というふうに明確に言われております。やはり私どもとしては、今進 232 めております省内での精査ないしいろいろな検討を踏まえた上で中央教育審議 233 会に諮るということは、これは内閣の姿勢として決まっているところでござい 234 まして、しかし、着実に、方向性を踏まえながら進めていく問題ではないかと 235 思っております。 236 237  ただ、先生の御意欲については大いに承ったところでございます。             ------------------------------ [76-1-1-3] 斉藤議員 科学技術基本計画二期目について 2141  私の理解は、一期目は、とにかくお金、科学技術にお金を費やすということ 2142 でポイントがあった。実際お金はついた、現場はお金じゃぶじゃぶ状態になっ 2143 たけれども、なかなかそれがうまく使われなかった、その反省を踏まえて二期 2144 目は評価ということを取り入れた、私はこのように理解しておりますが、この 2145 ことについて政府の考え方をお聞きします。 2146 2147 ○山元政府参考人 事実関係でございますので、私の方からポイントを御説明 2148 させていただきます。 ・・・・ 2171  このようなことを踏まえまして、この第二期の基本計画のポイントとしては 2172 大きく二つあろうかと思います。一つは、科学技術の戦略的な重点化を図って 2173 いこうということでございます。それから二つ目は、すぐれた成果の創出、活 2174 用のための科学技術システムを改革していこうじゃないか、大きくこの二点が 2175 あるのではなかろうかと思います。 2176 2177  前者の重点化につきましては、大きく二つ言わせていただきますと、一つは、 2178 やはり何といっても基礎研究を大いに推進していくということ、それから、国 2179 家的、社会的課題に対応いたしました研究開発の重点化を図っていこう、この 2180 二つになるのではなかろうかと思います。その重点化としては、ライフサイエ 2181 ンスとか情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料、特にこういう四分野の重 2182 点化が示されておるところでございます。 2183 2184  二つ目の科学技術システムの改革の方でございますけれども、これも幾つか 2185 ございますが、例示といたしましては、研究開発システムの改革として競争的 2186 資金、これをできるだけふやしていこうじゃないかという話、あるいは産学官 2187 連携の仕組みをさらに改善していこうじゃないかとか、あるいはいろいろな人 2188 材の養成、このあたりについてもさらに力を入れていこうとか、多々あろうか 2189 と思いますが、御説明はこのあたりでとどめさせていただきます。             ------------------------------ [76-1-1-4] 斉藤(鉄)委員:基礎研究について 2357  残り少なくなりましたが、ちょっと最初の問題に戻りまして、基礎研究に投 2358 資するという問題、それから二番目に、競争的資金を倍増する。現実に今いろ 2359 いろな第一線の研究者から声が上がってきておりまして、私のところのEメー 2360 ルにもたくさん研究者から声が上がってきております。 2361 2362  第一の最大の心配は、競争的資金を拡充する、これはいいんだけれども、競 2363 争的資金の拡充の場合、成果がはっきりわかっている、研究すればこれだけの 2364 成果が上がりますということがわかっている研究にどうしても行きやすい。と 2365 ころが、基礎研究というのは、本来、研究しても成果が出るかどうかわからな 2366 い、そのような、ある意味では未知に挑戦する、これが本当の基礎研究。した 2367 がって、基礎研究に力を入れるとはいいながら、現実問題として、競争的資金 2368 の方に重点が移って、基礎研究が軽くなっていくのではないか。 2369 2370  ましてや、日本学術振興会、これまで大学の基礎的なところに本当に目配り 2371 しながらやってきたところが、いわゆる競争的資金の牙城である科学技術振興 2372 事業団、この方に統合という話もございます。そうなると、いよいよ基礎研究、 2373 本来、これから世界の中で知の発信の中心として頑張っていかなきゃいけない 2374 この日本が、基礎研究がおろそかになってくるのではないかという思いが、こ 2375 の二期の基本計画を遂行していく中で沸き上がってきているのですが、これに 2376 対してはどのようなお考えでしょうか。 2377 2378 ○遠山国務大臣 今御指摘の点は本当に大事なことでございます。えてして、 2379 科学技術振興、科学技術創造立国という場合に、応用的なこと、あるいは目的 2380 が明確にされて、そして重点化された問題だけに絞るのではないかという危惧 2381 があると思います。 2382 2383  しかし、私どもはもともと、文部科学省、大学における自由な研究、そして 2384 研究者の発想というものを大事にしてまいった仕事の歴史がございます。特に 2385 科学研究費補助金は、長い歴史を持って、そして研究者の発想を大事にしてい 2386 くボトムアップ型の代表的な研究費でございます。これを倍増しようという気 2387 持ちこそあれ、これを少なくしていくとか、あるいはトップダウンのものだけ 2388 を拡充していくというようなことは、これはあってはいけないと思いますし、 2389 私どもの責任において、そこはしっかりと守っていきたいと思っております。 2390 2391  ただ、私が申し上げたいのは、それは守りますけれども、しかし、大学の研 2392 究が内にこもって、そして中にこもったあるいは外とのつながりを考慮しない 2393 ような、そういうことだけにとらわれるのではなくて、やはり社会の中の存在 2394 としての大学、そしてその中での研究ということも視野に入れながら、しかし、 2395 基礎的な研究、特にピュアな研究、直接には利益、産業に結びつかないような 2396 ことについても、例えば宇宙の真理とか、そういったことについても大変大事 2397 なわけでございますね。そこのところを、これまでの考え方から一歩出て、社 2398 会を見渡しながら、しかし大事なものは守っていくという、そこのところの視 2399 野の広さというものを持ちながら、私は、研究というものを、私どもがそれを 2400 バックアップし、研究者もそういう視点を持ちながら、自信を持って取り組ん 2401 でいただきたいと思っております。」             ------------------------------ [76-1-1-5] 石井議員 構造改革について http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/a31-monbukagaku-ishii.html 2854 ○石井(郁)委員 大臣がお述べになったとおりでございますけれども、もう 2855 一つ加えれば、白川博士が東京工業大学の助手時代、これは学生が行った実験 2856 だと言われているんですね。その後、そういういろいろな、アメリカの学者な 2857 どとの出会いなどを含めましてこの研究につながったということですが、白川 2858 先生自身がこう述べておられるわけです。偶然と失敗の結果生まれたとはいえ、 2859 とてもプラスチックとは思えない銀色に輝くポリアセチレン薄膜の合成や、そ 2860 れに続くドーピングによる金属化は、現在の錬金術とも言っていいだろうとい 2861 うふうに言われています。 2862 2863  私は、ここでこういう科学史を振り返ってみても、その時代ではだれもが振 2864 り向かないような研究であったとか、非常に地道な研究であったとか、偶然の 2865 発見の積み重ねによってその研究を続けたことでつながるという部分があるわ 2866 けですね。そう考えますと、学問の自由というのをしっかり保障して、そうし 2867 た研究を支えるということがやはり国の責務だというふうに思いますが、その 2868 基本的見解、いかがでございましょうか。 2869 2870 ○遠山国務大臣 これまでの御質疑でも再三申しておりますように、人間のす 2871 ぐれた発想あるいは独創的な研究というものを大事にしていく、これが特に大 2872 学の研究者たちの基本でありまして、そういった取り組みを十分にサポートし 2873 ていく、これも大変大事なことだと思っております。 2874 2875  殊に大学というのは、学術研究と教育といずれも大事でございまして、同時 2876 に、社会の中の存在ということも視野に入れながら、それぞれの研究者が伸び 2877 伸びとすぐれた研究をし、またそれを教育に反映し、そして社会にも貢献して 2878 いく、そのような形での大学のあり方というものを私どもとしてはサポートし 2879 ていきたいと考えておりまして、一言で言えば、基礎研究の重要性というのは、 2880 申すまでもなく大事であるわけでございます。 2881 2882 ○石井(郁)委員 ところが、文部科学省が実際に今施策として行おうとして 2883 いるということは、私は、今の大臣の御答弁に反するような方向ではないかと 2884 言わざるを得ないわけでございます。 2885 2886  ことし六月に出された大学の構造改革の方針によりまして、筑波大学と図書 2887 館情報大学との統合、また山梨大学と山梨医科大学の統合など、国立大学の再 2888 編統合が急ピッチで進められているという状況ですね。これは、国立大学のス 2889 クラップ・アンド・ビルドとともに、国公私トップ三十育成、この構想なるも 2890 のも打ち出していることと絡まっています。 2891 2892  このトップ三十育成構想で、早くも来年度から実施するということで概算要 2893 求にものせているわけですね。まず、この来年の概算要求のトップ三十構想と 2894 いうのはどういうものでしょうか。これも一応基本的な構想ですので、大臣か 2895 ら御答弁をいただければと思います。 2896 2897 ○遠山国務大臣 大学の構造改革の方針においては、非常に端的な表現であり 2898 ながら、これからの歩むべき道について方針を示したわけでございますけれど 2899 も、トップ三十という言い方は、私はシンボリックなものだと考えております。 2900 何も日本の大学の中から三十を選んで、それに重点化していくというような意 2901 味ではありません。 2902 2903  巻き返し繰り返しいろいろなところで関係者からも説明しておりますし、私 2904 もあらゆるチャンネルを通じて説明いたしておりますけれども、第三者の評価 2905 によってすぐれた取り組みを行っているようなところについては重点的にこれ 2906 をサポートしていく。それは特定の、あるいは決めた三十の大学だけというこ 2907 とではなくて、分野別に選んで、しかもそれは客観的な評価のもとに、取り組 2908 みがすぐれているというところに着目をしながら重点投資をしていく。 2909 2910  それは、これまでのようにどちらかと言えば護送船団的な行き方ではなくて、 2911 あるいは結果の平等のみを求めるような資源配分ではなくて、今日の限られた 2912 資源を十分に活用しながら、これからの日本のあり方に貢献していただくよう 2913 な大学にしていく、そのようなことをねらいにしていっているわけでございま 2914 して、そこのところは、どの大学でもトップ三十になり得る、これは常に評価 2915 をもってトップの中に入れることができるというのが一点、客観的な評価によ 2916 るものが一点、特定の大学ということではなくて、より細かい分野について見 2917 るということなど、さまざまな条件を考えているところでございます。 2918 2919 ○石井(郁)委員 高等教育局の平成十四年度の概算要求主要事項の説明でも 2920 その点では私どもも伺っているんですけれども、トップ三十に、これは三十は 2921 固定しないという話でもありますけれども、思い切った重点投資をする、平た 2922 く言えばそういうことですね。それのために評価機関、評価も行いながらする 2923 ということですけれども、私は、これは国が特定の研究分野を育成するという、 2924 あるいは選定し育成する、その分野のみの育成を図るということになりますの 2925 で、一方で、やはりスクラップと研究分野の切り捨てということを伴わざるを 2926 得ないのではないかということが心配であります。 2927 2928  それで、少し具体的にお聞きしますけれども、評価なんですが、その選定機 2929 関を文部省内に設置するということを打ち出されているんですね。これは、来 2930 年度の概算要求には、国がその選定の仕組みとして、文部科学省に有識者、専 2931 門家で構成される審査委員会を設置するというふうに言われています。第三者 2932 機関ではないんじゃないですか。文部科学省直轄の審査委員会ということでは 2933 ありませんか。 2934 2935  だから、なぜ国による審査委員会なのか、どういう委員会で、これはどのよ 2936 うに評価されるのか、この構想もぜひお聞かせいただきたいと思います。これ 2937 も大臣にお願いします。 2938 2939     〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕 2940 2941 ○岸田副大臣 済みません、内容ですので、私の方から御説明させていただき 2942 ます。 2943 2944  具体的な仕組みの詳細については、目下関係の審議会等の有識者により検討 2945 中でありますが、例えば、この教育研究活動実績の具体的な評価の視点として、 2946 論文の被引用数あるいはインパクトの度合い、競争的資金等の獲得状況あるい 2947 は学会賞等々の受賞状況等、こんなものが今挙げられてはおります。 2948 2949  そして、今御指摘の審査委員会の公平性、公正性、こういった点についてで 2950 ありますが、これはあくまでも学問分野別に専門家や有識者で構成するもので 2951 あります。ですから、文部科学省が行政ベースで配分対象を決めるのではない 2952 ということがポイントであります。文部科学省が行政ベースで配分対象を決め 2953 るのではなくて、専門家や有識者で構成される審査委員会、こうした審査委員 2954 会において公正、公平が図られるよう意を用いてまいりたいと思っております。 2955 2956 ○石井(郁)委員 有識者と専門家でつくられたらそれが公平だ、公正だとい 2957 う保障にはならないですよ。だってこれ、どういう選定されるんですか。まず 2958 文部省が選定されるでしょう。そして委嘱もされるんでしょう。そこをはっき 2959 りさせてください。全然第三者じゃないじゃないですか。文部省の中にそうい 2960 う審査委員会を設けるということでしょう。それを伺っているんですよ。それ 2961 をはっきりしてください。 2962 2963 ○岸田副大臣 この審査委員会の公正性、公平性については、もちろんその人 2964 選も重要なポイントでありますが、やはりこの審査あるいは評価の基準、さら 2965 には審査結果を公表する、こういった面での透明性も大変重要なポイントだと 2966 思っております。 2967 2968  その各要素が相まって、社会から、そして国民から認められるような公平性、 2969 公正性は確保されるものだと考えておりますので、それぞれの分野でその公平 2970 性、公正性が保てるように、しっかりとこれから検討していきたいと思ってお 2971 ります。 2972 2973 ○石井(郁)委員 私はとてもその御説明では納得できませんね。これは全然 2974 第三者の評価機関じゃないですよ。国による審査委員会、文部科学省のもとに 2975 つくる審査委員会、そういうものですよ、今の御説明だと。 2976 2977  それは、私、大変本当に重大な問題だというふうに思うんですね。こういう 2978 ことを文部科学省が、このトップ三十構想のもとで、重点配分をするというも 2979 とでつくり出すというのは、これは今までなかったことですから、私はこの点 2980 で本当に重大な問題をはらんでいるというふうに考えているわけです。 2981 2982  それで、この問題はやはり、「学問の自由は、これを保障する。」というふ 2983 うにうたっている憲法二十三条とも関係する極めて大きな問題だというふうに 2984 私は思うんですね。 2985 2986  改めて、この二十三条について、憲法制定時の議会はどんな議論だったのか 2987 ということをちょっと御紹介させていただくんですが、「「學問の自由」ト申 2988 シマスルノハ、学問ヲスル方法又学問ノ内容、又学問ニ依ツテ得タル所ノ結論 2989 ト云フ面ニ亘リマシテ、国家ヨリ干渉ヲ受ケ、其ノ研究者ノナサント欲シ、定 2990 メント欲スル所ヲ妨ゲラルルコトガナイト云フ意味デアリマス」と。「保障す 2991 る。」というのは、「公ノ権力ヲ以テ其ノ伸ビテ行ク本人ノ働キヲ妨ゲナイト 2992 云フコトデアリマス」という説明がされています。「一ツノ政治的ナル権力ガ、 2993 自分達ノ行動ヲ思フヤウニ発展セシメヨウト致シマスルト、各人ガ其ノ心ノ自 2994 然ノ伸ビ方トシテ学問ヲ研究致シマスル所ニ、大イナル妨ゲヲ生ズル訳デアリ 2995 マス」と。これは当時の金森徳次郎国務大臣の御答弁ですよね。 2996 2997  私は、やはり今これを考えましても、本当にこれに反する事態が進もうとし 2998 ているんじゃないかというふうに言わざるを得ません。まさに学問の自由とい 2999 うのがなくて、国家に枢要なる学術というのを研究、教授したというのは戦前 3000 ですから、それと同じようなことになるのではないかと。大臣、御答弁くださ 3001 い。 3002 3003 ○遠山国務大臣 先ほど来何人かの委員にお答えしておりますことをお聞きい 3004 ただけていなかったのではないかと思うわけでございます。 3005 3006  科学研究費補助金、長い歴史を持ちながら、それぞれの研究者の発想を大事 3007 にしてボトムアップでやってきた、これは倍増しようと言っております。そし 3008 て、学問の自由を基礎として、そして現実に評価をして、そしてすぐれた研究 3009 を行っていこう、バックアップしていこうということでございます。 3010 3011  私は、先ほどの副大臣の答弁において、これからその評価のあり方について 3012 は検討するということでございます。構造改革内閣でございますから、すべて 3013 の改革をできるだけ速いテンポで行うということを前提にしておりますので、 3014 来年度予算要求で、トップ三十といいますか、そういう重点化をしていくこと 3015 について要求をしております以上、来年度から走るわけでございますけれども、 3016 私は、国がそういう評価をするということは、私はあるべき方向ではない、で 3017 きれば、第三者機関というものはきっちりできて、そして先ほど副大臣が申し 3018 上げましたような視点も考慮しながら、それぞれの大学の発想というものを大 3019 事にしていくべきではないかと思っております。 3020 3021  しかし、初年度からそれを達成するわけにまいりませんので、これを初年度 3022 においては、分野も限られておりますし、先ほど説明しましたような形で選ん 3023 で重点投資をしていくということでございますが、将来的なことについては十 3024 分な検討、これは中央教育審議会のところで御議論をいただいておりますけれ 3025 ども、そういう組織というものをきちんと考えて、そして自由な発想というの 3026 を原点にしながら、すぐれた研究あるいはその研究体制というものをバックアッ 3027 プしていくということにおいて、誤りなきを期していきたいと考えております。 3028 3029 ○石井(郁)委員 ちょっと何か委員会中ざわめいたようですけれども、やは 3030 り大臣の御答弁で、先ほど来聞いていなかったんじゃないかと言われたのは、 3031 私は取り消していただきたいというふうに思います。 3032 3033  もちろん私はずっとおりましたから聞いております。学問の自由との関係で 3034 質問したのは私が初めてだと思います。それは今まで質疑がなかったわけです 3035 よ。それから、国の審査機関のあり方の問題を私は問いかけているわけです。 3036 決してそれは、ただ評価の基準をどうするかとか、そのメンバーをどうするか 3037 という、そういう問題だけじゃないんですね。文部科学省内に評価機関を置く 3038 ということなんですよ、これは第三者機関じゃないんですよ。そのことを問題 3039 にしているんですよ。これは今初めて質疑しているんじゃないですか。これは 3040 おかしいですよ。それは私取り消していただきたいというふうに思います。そ 3041 して……(発言する者あり)ということです。 3042 3043  重ねて、私、やはり憲法にこだわっていますが、「註解日本国憲法」には、 3044 より具体的に書いているんですよね。五つの項目がありますけれども、二つぐ 3045 らい御紹介しますが、学者、研究者はその領域における専門家です、その領域 3046 において指導的立場にあるいわば選ばれたる人であるから、通常の人を対象と 3047 し、通常の人の平均的な水準に立脚する政治や行政が、その判断に基づいてみ 3048 だりに干渉すべきではなく、国家も社会も独立性を尊重すべきだとあるでしょ 3049 う。それから、学問上の進歩及び新発見は一般の常識的な世界観から見れば奇 3050 異に感じられることが多い、常に世間の常識的な見方から反対され、場合によっ 3051 ては迫害されるのであるが、やがて真理の力によって説得せずにはいなかった 3052 ということが人類の歴史的な経験である以上、この歴史的な経験を謙虚に尊重 3053 すべきであることというふうに述べています。 3054 3055  私は、やはりこういう立場に立っても、御答弁でも、今文部科学省がやろう 3056 としているのは、これを本当に逸脱する問題だ、この憲法に明記されている学 3057 問の自由に反することをやはりやろうとしているという点で、これは大変重大 3058 な問題だというふうに考えているわけでございます。 3059 3060  もう一度、御答弁ください。 3061 3062 ○遠山国務大臣 先ほどの冒頭の発言は、私は、基礎研究ないし学問の重要性 3063 についてるるお話をしてきましたという意味で申し上げました。(石井(郁) 3064 委員「取り消すんですか、どうです、基礎研究のことだけ言っていませんよ、 3065 私は」と呼ぶ) 3066 3067  ですから、その後半のことにつきましては、それぞれの答弁の段階でお答え 3068 をしたとおりでございます。もし失礼に当たるのであれば、お許しをいただき 3069 たいとは思いますが……(発言する者あり)しかし、学問の重要性については、 3070 私は信念を持ってこれまでもお答えをしてきたということを申し上げてまいり 3071 ました。 3072 3073 ○石井(郁)委員 やはりすれ違っているわけですよ。基礎研究については、 3074 午前中の審議、その他で他の議員にいろいろ御答弁されたと思いますけれども、 3075 私、基礎研究のことだけ述べていませんよ。やはり私の質問をまともに受けと 3076 めていただきたいですね。その上で御答弁いただかないと、これは困るわけで 3077 す。だから、そこは重ねて、最初の冒頭の発言部分は取り消していただきたい 3078 というふうに私は思います。委員長にお願いをいたします。 3079 3080 ○高市委員長 速記をとめてください。 3081 3082     〔速記中止〕 3083 3084 ○高市委員長 速記を起こしてください。 3085 3086  石井委員及び遠山大臣に申し上げます。 3087 3088  現在、今ほど理事の皆様もお話し合いになられましたけれども、別の議員に、 3089 自由党の別の議員に、別の議員の質問に対して答弁があったとしても、ここは、 3090 それぞれ各党の国会議員が自由に質疑をする場でございますので、以前に答弁 3091 があったとしても、これは丁寧にお答えをいただきたいと思います。大臣には、 3092 委員長としてその点、申し上げます。 3093 3094  そして、議事を、議事録をもう一度精査しつつ、先ほどの大臣の発言、取り 3095 消していただく、いただかないということについても、理事会の扱いにさせて 3096 いただきたいと思います。石井委員、よろしいですか。 3097 3098  それでは、質疑を続行させていただきます。石井郁子君。 3099 3100 ○石井(郁)委員 よろしくお願いします。 3101 3102  私、申し上げているのは、やはり国が学問研究に介入してはならないという 3103 その原則をしっかり踏まえていただきたいということであります。 3104 3105  その点では、この委員会でも名前がたびたび出ておりますけれども、ノーベ 3106 ル化学賞を受賞された野依名大教授はいろいろなことをおっしゃっていますよ。 3107 選考機関がどの分野を重要と認めるかは極めて主観的なことだと。先ほどノー 3108 ベル賞三十人という問題がいろいろありましたけれども、そういう批判もあり 3109 ます。白川氏も、日本の科学分野の学術研究水準は世界に引けをとらない、他 3110 の分野でも能力のある人はいる、よい論文を書いたからといって世界に評価さ 3111 れるわけでもないというふうに述べていらっしゃるわけです。 3112 3113  だから、重ねて、国が評価をするということは本当に慎重でなければいけな 3114 いし、そういう意味での、評価して学術研究を統制するというようなことはや 3115 はり絶対やってはいけないことだということを強調したいわけであります。 3116 3117  そこで、今研究者の間からいろいろ声が出ていると思います。その点で伺う 3118 のですが、七月十一日には国立遺伝研究所、国立極地研究所など十四の大学共 3119 同利用機関の長の皆さんが総理大臣あてに要望書を出されていますね。「わが 3120 国の最近の科学技術政策について 基礎的科学研究の推進の必要性」というこ 3121 とで出されています。 3122 3123  こういうふうになると、基礎研究なんですけれども、基礎的科学諸分野や基 3124 礎研究の強化を怠って我が国の科学と文化及び科学と技術の土壌を損なうこと 3125 は何としても避けなければなりません、さもなければ創造的科学技術立国の種 3126 は芽を出したとしても大きく育つことはできない、このことを懸念するとおっ 3127 しゃっていらっしゃいます。そして、今の状況を憂慮して、理系、文系などの 3128 分野を超えて平成十四年度予算等当面の施策において基礎的研究の推進に十分 3129 な配慮をされることを望むとしています。 3130 3131  こういう声にやはり文部科学省がまずこたえるべきだというふうに思います 3132 が、御見解、いかがでしょうか。それは大臣にお願いします。 3133 3134 ○遠山国務大臣 今御指摘のペーパーで述べられております基礎研究の重要性、 3135 これはもう言うまでもないと思いますし、この拡充については私どもは力を十 3136 分注いでまいりたいと思います。 3137 3138 ○石井(郁)委員 同じように国立大学協会からも声が上がっておりまして、 3139 大学の構造改革の方針についてですが、この内容については、本協会などとは 3140 何らの相談もなく文部科学省が一方的に発表したものである、大学の現場では 3141 無用の混乱を生じている、こういう指摘がされています。 3142 3143  私は、今までも、大学行政というか、学術行政が現場の大学の人たちの声を 3144 いわば十分聞くことなく、本当に上から一方的に行われたというのも、ちょっ 3145 とかつてないと思うのですね。だから、こういう一方的な、権力的なやり方と 3146 いうのは、本当に大学行政、学術行政になじみませんし、避けるべきだと思い 3147 ます。 3148 3149  この意味で、トップ三十構想、来年度の予算をもう要求していらっしゃるわ 3150 けですけれども、私はストップをして考え直すべきだというふうに思いますが、 3151 御答弁、いかがですか。 3152 3153 ○岸田副大臣 先ほど来御議論いただいております大学構造改革、そしてトッ 3154 プ三十の議論がありますが、先ほど大臣から申し上げましたように、限られた 3155 資源を最大限どう活用していくかという発想のもとに再編統合の議論があった 3156 り、またトップ三十もある面ではそういった発想も大きなポイントだというふ 3157 うに思っております。 3158 3159  しかし、大学の構造改革、大学の改革ということを考えますならば、これは 3160 トップ三十、研究だけが大学のすべてではないと思っております。大学には研 3161 究という重要な役割もあるわけですが、一方で教育という部分もありますし、 3162 また組織運営という面でも重要な仕事があるわけであります。 3163 3164  ですから、個性輝く大学をつくっていくということの中で、そのトップ三十 3165 というのは一つの要素だとは思っていますが、教育面で大いに大学の特色を出 3166 していく、そういった面で生きていく大学もあること、これは大いに期待され 3167 るところでありますし、いろいろな見方そしてポイントで大学というものを見 3168 ていき、その中でトータルとして大学全体が活性化していく、こういった考え 3169 方が大切だというふうに思っております。 3170 3171  トップ三十というのは大切なポイントでありますが、大学改革のすべてでは 3172 ないということ、このことはもう一度確認しておきたいと思います。 3173 3174 ○石井(郁)委員 この問題は、国立大学だけではなくて、実は私学にも大き 3175 くかかわってくる問題がありまして、来年度の概算要求の中には、私学の予算 3176 で私立大学の教育研究高度化推進の特別補助ということで、これも文部省内に 3177 審査委員会を設けて国からの特別補助ということで行う重点化なんですね。 3178 3179  私学については、今までサポート・ノーコントロールということで議論があっ 3180 たりして、直接補助ではなくていわば間接補助ということを原則にして進めら 3181 れてきたと思うのですが、今回それがまた非常に大きく変わったのじゃないで 3182 しょうか。 3183 3184  私は、私学の補助の問題も、私学振興助成法第十一条でも事業団を通じた間 3185 接補助という規定があるのですけれども、それも今回踏み破ってというか踏み 3186 越えてというか、直接補助に国として、文部科学省として乗り出そうとしてい 3187 るというのは非常に重大だというふうに思うのですが、私立大学の特定分野の 3188 育成にも乗り出そうとしているという問題についてもう一点伺って、もう時間 3189 が参りました、質問を終わります。 3190 3191 ○岸田副大臣 先生からの御指摘、私立大学教育研究高度化推進特別補助とい 3192 う名称で今平成十四年度の概算要求において要求している部分の御指摘だと存 3193 じます。 3194 3195  この部分、三百九十三億円の金額を、すぐれた教育研究を実践する卓越した 3196 大学院への支援ですとか、あるいは先端的、先導的研究を初めとする科学技術、 3197 学術研究の推進、あるいは学部における教育の質の向上や教育システムの改善、 3198 こういった点に重点的な支援を行うということで要求をしているわけです。 3199 3200  そして、今御指摘がありましたように、これを間接補助ではなくして直接交 3201 付にしている、この点についてでありますけれども、私立大学等経常費補助金 3202 の交付は、もう先生御案内のとおり日本私立学校振興・共済事業団を通じた間 3203 接補助として実施しております。その理由として、私学の自主性の尊重や私学 3204 事業団における私学振興施策を総合的、効率的に実施すること等を政策的に判 3205 断した結果だということであります。 3206 3207  このことは大変重要なことだと思っておりますし、これからも尊重していか 3208 なければいけないと思っておりますが、今冒頭に申し上げました私立大学教育 3209 研究高度化推進特別補助、これは先ほど申し上げましたような目的、ねらいを 3210 持って予算要求をしているわけですが、この補助の性格上、例えば研究設備等 3211 と一体化した配分が必要になってきます。これは、研究設備等は従来も直接に 3212 補助を行っているわけでありまして、こうした予算と一体的に配分をするとい 3213 うようなことを考えた場合に、この直接補助という形をお願いしたということ 3214 でございます。 3215 3216  私立学校振興助成法第十一条においては、日本私立学校振興・共済事業団を 3217 通じて行うことができると規定されておりまして、国が直接交付を行うことも 3218 予想されているわけであります。こういったあたりも勘案し、なおかつこの予 3219 算の中身、この研究設備との一体化というポイントを考えまして、こういった 3220 形で直接交付にさせていただいたということでございます。             ------------------------------ [76-1-2] 参議院文教科学委員会11/20議事録 参議院文教科学委員会 第3号 平成13年11月20日 -->[75-3] 参議院文教科学委員会議事録2001.10.30 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0107/153/15311200061003c.html 抜粋: http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/b20-sangiin-bunkyou.html             ------------------------------ [76-1-2-1] 小林元議員「民間的発想」の問題点 1792 ○小林元君 いずれにしましても、前回の標準法の議論の中でいろいろ三十人 1793 学級の妥当性というんでしょうか、文部省もどちらかといえば消極的な御答弁 1794 が続いたわけでございます。しかし、これは私は皆さん方の本音ではないんじゃ 1795 ないか、やっぱりこういう大変な時期に教員をふやしたい、何とかふやしたい 1796 というような気持ちはお持ちになっているんではないか、私はそういうふうに 1797 思って、我々も三十人学級法案というものを提出したわけです。残念ながら、 1798 お金がないというようなことで通らなかったわけでございますけれども、いず 1799 れにしましても、やっぱりこれは大臣、現場は非常に、亀井先生からもいろん 1800 な話が出ましたけれども、一般の教員は一生懸命やりたい、頑張りたい、こう 1801 いう気持ちは十分に持っていると私は思っているんです。 ・・・・ 1818  ただ、残念なことに、今、そういう希望というか、先生方に民間の発想とか 1819 いろんなことを言う。これは、もうきょうは時間がなくて大学問題触れられま 1820 せんけれども、構造改革、構造改革はいいんです。しかし、学校は会社ではあ 1821 りません。じゃ、何をもって目標とするのか。いい高校へ入った、いい大学へ 1822 入ったということなのか、あるいはそれで頑張った。しかし、それによって学 1823 校に利益が出るわけでもありませんし、目標数値はありません。ましてや、教 1824 員に処遇という、先ほども亀井先生お触れになりましたけれども、処遇改善。 1825 会社ならもうかった、そして従業員にも当然配分というものはある。そういう 1826 ものがないわけですね。なかなかそこまで行くのは、いかに民間的発想を入れ 1827 てもこれは大変なことでございます。 1828 1829  そうなりますと、やっぱり遠い将来かもしれませんけれども、教員をふやし 1830 ていこう、ヨーロッパ並みにいこうというようなことの目標というんでしょう 1831 か希望というんでしょうか、今は大変きつくて頑張るんだけれども、もう少し 1832 たてば仲間がふえるよというようなことになれば私はいいんじゃないかと。そ 1833 ういう意味で、文部大臣のお考えを、現場の教員が奮い立つようなお言葉をい 1834 ただければ大変ありがたいと。 1835 1836 ○国務大臣(遠山敦子君) これからの教育はどうあったらいいかということ 1837 を本当に真剣に御議論いただきまして、ことしになってからいろんな法律を変 1838 えたり制度を変えたり、そしてまた、予算面でも充実をしたりということで今 1839 取り組みを始めたところでございます。 1840 1841  まさに学校も家庭も地域も今の日本の教育というものをもっとよくしようと。 1842 それは初等中等教育段階だけではなくて、大学も含めて、しっかりと構造改革 1843 すべきところは構造改革をし、そしてよきものを伸ばしていく、そういう精神 1844 で今全国民が関心を持って教育に取り組んでいただくべきときだと思っており 1845 ます。 1846 1847  その中で、教育を専門的に行っております学校というものは、やはり日本の 1848 将来の人材を育成する大変重要な任務を担っているところでありまして、学校 1849 がよくなってもらわなければ困る。そして、学校で本当に力を持っているのは 1850 先生でございます。先生がよくなることで学校がよくなり、学校がよくなって 1851 教育が変わる、その精神のもとに委員の皆様方及び国民の御理解を得て、今力 1852 強くその教育改革を進めようということで取り組んでいるところでございます。 ・・・・」             ------------------------------ [76-1-2-2] 林紀子議員:日本育英会の問題 2451 ○林紀子君 ぜひお願いしたいと思います。 2452 2453  そしてもう一つ、奨学金の問題なんですが、これは日本育英会で行っている 2454 奨学金。 2455 2456  毎年、希望する学生に予約採用という形で採用の内定を通知している、大体 2457 十月ごろにはその内定の通知というのは行われるということなんですが、こと 2458 しはその通知がいまだにされていないということを聞いているわけですね。で 2459 すから、育英会には問い合わせが殺到している。 2460 2461  その内容といいますのは、十月に入ると私立の専修学校の推薦入学の願書受 2462 け付けが始まる、奨学金が受けられれば願書を提出したいけれども、受けられ 2463 なければそれを断念せざるを得ないんだけれども、一体どうなるだろうかと。 2464 それから、私立短大に推薦入学の願書を出したいけれども、これも奨学金がな 2465 いとその先学業が続けられるかどうかわからない、結果を早く知りたいと。こ 2466 こで本当に自分の一生どっちに行くかというのを決めなくちゃいけないような、 2467 大変なそういう問題なんですけれども、いつも内定通知が来ているのに今回は 2468 それが出されていないということで、およそ十万人の学生が通知を待っている 2469 という状況だということなんですね。 2470 2471  これは早く決めて、早く内定通知出していただきたいと思うんですが、いか 2472 がでしょうか。 2473 2474 ○政府参考人(工藤智規君) 日本育英会でお貸ししております無利子、有利 2475 子の奨学金につきまして、今御指摘のように、大学なり上級学校に進学する前 2476 に予約採用という形で、合格が決まったらお貸ししますよという予約採用とい 2477 う枠組みとともに、一たんお入りになってから申し込まれて採用する在学採用 2478 と、二つございます。 2479 2480  昨年の場合、その予約採用につきましては、大体秋口、九月のころには内定 2481 通知を差し上げられたのでございますが、一昨年の場合は十一月に入ってから 2482 でございました。ことし、昨年よりもおくれておりますのは、御承知のように 2483 大変財政事情が厳しい中で、概算要求そのものが無利子貸与については若干減 2484 額せざるを得なかったのでございます。有利子、無利子を通じまして、増強の 2485 努力をしているわけでございますけれども、財政当局との折衝の推移を見なが 2486 ら、かつ今年度の採用実績等を見ながら考えていきたいというのが背景にある 2487 わけでございます。 2488 2489  といいますのも、予約採用といいますのも来年度の予算を使ってのお話なん 2490 でございますが、予約採用を大きくしますと在学採用の枠が狭まる、その兼ね 2491 合いが、全体の枠の中でどう兼ね合わせていくかという問題があるものですか 2492 ら私どもも苦慮しているのでございますが、受験生への不安を払拭することも 2493 私ども他方で気にしてございまして、できるだけ早く、少なくとも年内には内 2494 定通知をし、その後、正式決定も年内にはできるようにしたいというふうに、 2495 今、日本育英会と相談しているところでございます。 2496 2497 ○林紀子君 年内といいますと、もう今十一月の後半ですから、あと一カ月ぐ 2498 らいなんですけれども、今御紹介しましたように願書の提出との関係がやっぱ 2499 りあるわけです。 2500 2501  ですから、本当にできるだけ早く出していただきたいということと、確かに 2502 財務省との兼ね合いといいますか、交渉とかいうのもあるのかもしれませんけ 2503 れども、今本当に不況が深刻化しているわけですから、奨学金そのものが今ま 2504 でより後退をするというようなことは絶対にあってはならないし、そうしない 2505 ように頑張っていただくのが文部科学省の役目だと思うわけですから、もうそ 2506 れは不退転の覚悟でこれは絶対とるということで、内定は一日も早く通知をし 2507 ていただきたいということを重ねてお願いをしたいと思います。             ------------------------------ [76-1-2-3] 林紀子議員 非常勤講師の問題 2665 ○林紀子君 あと一つ最後に、申しわけないんですが、実は最後に大学の非常 2666 勤講師の問題についてお伺いしようと思いましたら、私の持ち時間がいっぱい 2667 になってしまいましたけれども、大学の非常勤講師というのは大変な低賃金で、 2668 しかもなかなか社会保障も何にもないというところで、しかももしかしたら大 2669 学ぐらいの半分の授業は背負っているんじゃないかという状況がありますので、 2670 この問題についてはまたこの後続きということで、機会がありましたら質問を 2671 させていただきたいと思います。             ------------------------------ [76-1-2-4] 山本正和議員「生涯教育」について 2701  そこで、実はこの前から大学問題をずっと見ておって、私もこのままでいい 2702 のかしらんというようなことをこの前質問いたしましたが、十九日だからきの 2703 うですか、きのうの新聞でひょっと見たら、生涯学習局の寺脇審議官が、これ 2704 は文部省の考え方ですという格好で紹介をしておった。大学問題で二つの重点 2705 がある、大学をよりよいものにするという大学主体のもの、もう一つは国民に 2706 とって何が必要なのかという考え方、こういうふうな意見ですね。さらにまた、 2707 本来大学は国民全体の共有財産であって、それはオープンにすべきものである、 2708 しかしながらいろいろな問題があると、こういうふうな指摘ですね。また、あ 2709 わせて生涯教育という観点と日本の大学教育という観点で、大学はいつでもだ 2710 れでも学びに行こうとしたら学びに行けるような形が本来あるべきだと、こう 2711 いうふうなすばらしい発想をずっと文部省の考え方として言っているわけです、 2712 文部省の考え方として。 2713 2714  私はそういうことが非常に大切だと思うものですから、今、小泉さんが構造 2715 改革と言っていますけれども、それは小泉さん流に危機感を持ってこの国を何 2716 とかしていこうという気持ちなんだろうけれども、そこでやっぱり重要なのは 2717 教育の問題なんだろうと。そこで、教育で今一番言われているのが大学教育の 2718 問題だと。大学がこれからどういう役割を果たすかということについても、こ 2719 の展望を、まさに二十一世紀の日本の改革というのならばきちっと持たなきゃ 2720 いけないんだろう、このようなことを思うものですから、きょうはひとつ寺脇 2721 審議官に、そういう生涯教育と大学教育の関係について、今こういうふうな考 2722 え方に立っていますということを聞かせてほしいと思ってきょうは質問を、ま 2723 ずお願いしたいと思います。 2724 2725 ○政府参考人(寺脇研君) 恐縮でございます。 2726 2727  御案内のように、文部科学省、旧文部省は昭和六十三年に機構改革をいたし 2728 まして、臨時教育審議会の答申を受けまして教育改革をしていくというような 2729 ことも踏まえつつ体制の整備をしたわけでございますが、その際に、現在、生 2730 涯学習政策局と言っておりますが、生涯学習局という局ができたわけでござい 2731 ます。これは、従来は社会教育局と言っておりましたが、それが生まれ変わっ 2732 たわけでございまして、学校教育、社会教育、スポーツ、文化、あらゆる面に 2733 おいて臨時教育審議会の答申で御提言のございました生涯学習社会をつくって 2734 いくという観点で見ていくところというようなことでスタートしたわけでござ 2735 います。 2736 2737  そういう意味で、生涯学習的色彩の非常に強い放送大学でございますとか、 2738 あるいは専門学校も比較的そういった意味合いが強うございますので、高等教 2739 育機関の中では生涯学習局の所管というようなことにもなり、また公開講座や 2740 社会人入学等についても積極的に進めてまいるということで今日に至っておる 2741 わけでございます。 2742 2743  そこのところの考え方を申し上げましたのが御指摘の新聞記事等にも出てお 2744 るわけでございますけれども、もちろん大学は、まず高等教育の教育研究機関 2745 としての役割をずっと果たしてきたわけでございますし、それはまた非常に大 2746 きなものでございますが、同時に、時代が生涯学習社会に変化していく中で、 2747 あらゆる年齢の人たち、あらゆる立場の人たちが学ぶチャンスを得られるよう 2748 な方向に行く必要もあるだろうと。つまり、学習者と申しますか、学習する側 2749 の観点から高等教育機関への働きかけをしていく必要もあるだろうというよう 2750 なことで現在のような体制が組まれていると、こういうことでございます。 2751 2752  私の方はその生涯学習政策の方の担当でございますので、そちらの立場から 2753 申し上げれば、すべての、いつでもどこでもだれでも大学教育を受けようとい 2754 う意欲とそれにふさわしい力を持っていればその機会が得られるようにという 2755 ことで、放送大学の全国展開等をお願いしてまいりまして現在のような状況に 2756 至っているわけでございます。 2757 2758  そうはいいながら、やっぱり大学がそもそも高等教育と世界的研究に近づい 2759 ていく機関である関係もあって、何の制約もなくだれでもいつでもどこでも受 2760< け入れるというわけにはいかない。そこのところは大学の、いわば十八歳人口 2761 の動向でございますとかさまざまな状況を勘案しながら、高等教育局にお願い 2762 をしてまいる中で、大学のそういった二面性、二面性というか両方の社会的役 2763 割というものを果たしていただけるように、特に学習者の方の観点からお願い 2764 しておるというようなことで、そういったことを社会に向けて発信させていた 2765 だいておるところでございます。 2766 2767 ○山本正和君 今、放送大学の話がありましたけれども、私も実は放送大学を 2768 大分前に見に行って、将来展望なんかの話も聞いたんですが、実は、高等教育 2769 局長がお見えですからお聞きしておきたいんですけれども、大学における通信 2770 教育、これがアメリカでは非常によく発達している。日本でも大分進んではき 2771 たんだけれども、それと今の放送との関連ですね、何か含めた格好で高等教育 2772 局でも検討しておられるやに聞いているんですけれども、その辺はどうなんで 2773 しょうか。国立大学の中では例えばどの程度のことを考えているとかいうよう 2774 なことは、現在まだ具体化はしていませんか。 2775 2776 ○政府参考人(工藤智規君) いわゆる通信教育といいますのは、御承知のよ 2777 うに、伝統的でいえば、郵便でのやりとりでなかなか顔が見えないものですか 2778 ら、年に集中的にお集まりいただいた面接授業をしながら、フェース・ツー・ 2779 フェースの授業ということでございました。それが、先進的なのはイギリスで 2780 ございますけれども、イギリスのオープンユニバーシティー、いわば放送大学 2781 の前例を随分研究させていただきまして、日本でもなかなか大学に通えない方 2782 のために、この衛星放送の時代にそれを使いながらできないかということで研 2783 究した結果、立ち上がったのが放送大学でございます。 2784 2785  あれはもともとは、御承知のように、国立大学といいましょうか、国の役割 2786 として全国津々浦々に学習機会を提供するということでございましたけれども、 2787 放送法との関係で国が電波を持てないということからああいう形態のものにさ 2788 せていただいてございます。 2789 2790  今、さらに発達しておりますのは、いわゆるIT技術の進歩に伴いまして、 2791 インターネットを通じまして、単に文字だけではなくて、映像それから音声も 2792 含めてグローバルな情報伝達ができるようになりました。これはまた画期的な 2793 ことでございまして、インターネットを通じた教育が通信教育というのか、い 2794 や、実はもうフェース・ツー・フェースだから単なる授業の手段であって通常 2795 の形態であるかというのは、そのあたりはもう少し議論をしなきゃいけない部 2796 分はありますが、少なくとも通学制と通信制の区別がだんだんなくなってきて 2797 いるのは事実でございます。 2798 2799  そういう中で、放送大学のほかに、今の国立大学がさらに別の形の放送ある 2800 いは通信制の大学をというのは今のところはないのでございますが、今のこの 2801 ITを活用した、インターネットを活用した大学院教育あるいは学部教育とい 2802 うのは相当多くの大学で進んでございまして、例えば一例を申し上げれば、分 2803 散キャンパスを抱えてございます信州大学では、それぞれのキャンパスで双方 2804 向の授業ができるように、バーチャルユニバーシティーといいましょうか、バー 2805 チャルな授業を行っているとかいうことも含めまして、国立大学でも相当意欲 2806 的に取り組んでいるところでございます。 ------------------------------ [76-1-2-5] 西岡武夫議員:独立行政法人化問題 2889 ○西岡武夫君 私が、国立大学を独立行政法人、これはほかの機関とは全く違 2890 うわけでございますけれども、今の博物館や美術館とか国立劇場等々もその果 2891 たしている役割から申しますと、例えばヨーロッパなどで、これはもう大使も 2892 御経験になった文部科学大臣の方が実際に世界全体のことを十分把握しておら 2893 れると思いますけれども、国立の博物館や美術館はもっと無料で国民に開放し 2894 ていくというような方向の方が正しいのではないかと私は思っています。そう 2895 いうことからしましても、ちょっと安易に独立行政法人化したということにつ 2896 いては私自身は基本的な疑問を持っておりますが、これはまた別の機会にお話 2897 をしたいと思います。 ・・・・ 2931  しかし、残念ながら、民間の企業人でもない、公務員でもない、教育研究職 2932 という新しい柱を立てる、そして、そこにもちろん、当然、給与の体系もまた 2933 別の給与体系を確立する、その一つのステップとして私は人確法ということも 2934 提案をしたわけでございますけれども、そしてそれは実現をしましたけれども、 2935 だんだんまた公平機関としての人事院から人事院勧告ごとに差を縮められてま 2936 いりまして形骸化しているというのが実態のようでございますが、せっかく小 2937 泉総理、米百俵の話をしておられるわけでございますから、この機会にそうい 2938 う点も、米百俵のうち何俵ぐらい今文部科学省に配分されているのかよくわか 2939 りませんけれども、ぜひこの機会にそうしたことについても十分、将来のこと 2940 を考えれば、今こそ教育に力を入れていかなければいけない、基礎研究に力を 2941 入れていかなければいけないという意味で申し上げているわけでございます。 2942 ぜひ御検討、御努力をいただきたいと思います。 2943 2944  今、私が申しました第三の身分ということについて、大臣はそういう考えも 2945 確かに聞いたこともあるし自分も一つの考えだとお考えかどうか、お尋ねをし 2946 たいと思います。 2947 2948 ○国務大臣(遠山敦子君) 先生のおっしゃいました第三の身分という意味が 2949 必ずしも私は十分理解していないのかもしれませんけれども、教育研究の重要 2950 性という点では先生と全く同じ考えであることは確かでございます。 2951 2952  身分につきましては、これは本当にどういう身分でやっていくかということ 2953 は、全体の公務員制度でありますとかあるいは私学も含めた教育に携わる人た 2954 ちのトータルの中でどういうふうに考えていくかということで、必ずしもそん 2955 なに結論の出やすいあるいは満点な方法というのはないのかもしれませんけれ 2956 ども、私は、現在の特に国立大学において国家公務員として位置づけられ、し 2957 かしながら教員、教官ということでさまざまな特典もあると、ただ給与の面で 2958 は必ずしも十分でないというお話もございましたけれども、そういう教員の、 2959 特に国立大学につきまして教員の身分についても、今回どういうふうにやって 2960 いくかということについて全体の法人化への移行の中で考えられていく課題と 2961 して今検討されつつございます。 2962 2963  国立大学につきましては、一般の独立行政法人とは違った、その目的、趣旨 2964 からいって一国の将来を左右する大変大事な機能を持っておりますので、これ 2965 までの国家機関が独立行政法人化したような通則法そのものを当てはめるので 2966 はなくて、それの特殊性に応じた形でやっていくべしというようなことを基底 2967 にしながら今議論が進んでいるところでございます。・・・・」 2969 ○西岡武夫君  ・・・・ 2984  私は、もうあと二分しかございませんから簡潔に締めくくりをいたしますけ 2985 れども、確かに国立大学の場合には別だということはだれしもそうだろうなと 2986 思うところまでは思うんですけれども、いろいろな独立行政法人についての今 2987 の政府の取り組み方、考え方を見ておりますと、問題がややこしくなると何で 2988 もかんでも独立法人の方に持っていってしまうと済むみたいな、道路公団の問 2989 題まで含めて何か独立法人の話が出てきたりするくらいでございますから、そ 2990 ういうことと事国立大学の問題とを混同してもらっては困ると私は思うんです。 .」             ------------------------------ [76-1-3] 衆議院文部科学委員会11/21 http://www.shugiin.go.jp/itdb_main.nsf/html/kaigiroku/009615320011121004.htm http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/b21-monbukagaku.html 875 ○高市委員長 この際、遠山文部科学大臣から発言を求められておりますので、 876 これを許します。遠山大臣。 877 878 ○遠山国務大臣 先般の石井委員からの御質問に対します私の答弁につきまし 879 て、一部不適切との御注意をちょうだいいたしました。私といたしましては、 880 今後十分気をつけてまいりたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。 881 882 ○高市委員長 石井郁子君からも発言を求められておりますので、これを許し 883 ます。石井郁子君。 884 885 ○石井(郁)委員 ただいまの件でございますが、大変重要な問題であります 886 ので、一言申し上げさせていただきます。 887 888  十月三十一日の当委員会で、大臣は、私の質問中に、他の議員に答えている、 889 同じことを聞くのだろうかという趣旨での答弁をされたわけでございます。私 890 は、もう余りにもこれは傲慢な態度というふうに受けとめました。去る五月に 891 も、同僚議員の質問に対しまして、極めて不適切な発言ということで答弁を取 892 り消されたということがございました。私は、こうした不適切発言を二度も繰 893 り返されるという点で、やはり委員会の審議に対して、また院に対しての基本 894 的な大臣の姿勢が疑われると言わざるを得ません。文部科学大臣として、今後、 895 かかる侮辱的発言を行うべきではないということを強く申し上げさせていただ 896 きます。                     ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-2] 行財政改革 [76-2-1] 公益法人「役員報酬に対する助成」廃止案 http://www.gyoukaku.go.jp/jimukyoku/koueki/jimukyoku-comment/yakuin.pdf 内閣官房行政改革推進事務局行政委託型公益法人等改革推進室「行政委託型公 益法人等改革の実施計画各府省案(補助金等関係)に対する事務局コメントに ついて」2001.11.2 ♯(公益法人の役員報酬に対する助成金なるものがあったとは知られていたの だろうか)             ------------------------------ [76-2-1-1] 行政委託型公益法人等改革の実施計画各府省案(補助金等関係)に対 する事務局コメントについて http://www.gyoukaku.go.jp/news/news1102.html             ------------------------------ [76-2-1-2] 意見募集中 「行政改革推進事務局では、行政改革に関する国民の皆様のご意見を募集して おります。」 http://www.iijnet.or.jp/cao/kantei/jp/gyoukaku2001/gyoukaku-opinion0401.html             ------------------------------ [76-2-2] ◆財政制度等審議会財政制度分科会2001.11.15  -->[74-3] 文教関係予算削減情報 平成14 年度予算の編成等に関する建議より抜粋 http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseia131115.htm 参考: http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/a10-zaiseishingikai.html 「4 .文教・科学技術 (1 )文教予算 文教予算については、受益者負担の徹底を図るとともに、学生数の減少等に応 じた合理化を予算に適切に反映させるべきである。高等教育については、奨学 金の充実等、個人の自助努力を支援する施策に重点を置く一方で、機関助成に ついては総額を抑制していく必要がある。また、初等中等教育については、自 立した地方が、多様な個性と創造性を十分に発揮できるようにする観点から、 義務教育費国庫負担制度等における費用負担の在り方について、見直しを行っ ていく必要がある。 (i) 育英奨学事業 育英奨学事業については、限られた財政資金を有効に活用する観点から、無利 子奨学金の絞込みを行いつつ、有利子奨学金の拡充によりその充実を図る必要 がある。なお、大学院奨学金の教育・研究職返還免除制度については、費用対 効果の観点も踏まえ、これを廃止することが適当である。また、高等学校奨学 金については、速やかにこれを地方に移管する方向で検討を進めるべきである。 (ii) 国立学校 受益者負担の徹底と自己財源充実の観点から、授業料等の学生納付金について 引上げを図る必要がある。特に、平成14 年度予算においては、国立大学等の 施設整備が喫緊の課題となっている一方で、多くの私立大学が徴収している施 設整備費について国立大学ではこれまで徴収してこなかったこと等を踏まえ、 学生納付金の思い切った増額や学校財産処分収入等の一層の確保に努める必要 がある。 また、平成15 年度までに結論を得ることとされている国立大学の法人化につ いては、その制度設計に当たり、市場原理・競争原理に基づく自律化・自立化 を推進するべきである。そのためには、真に客観的な機関による法人化された 大学の評価が重要であり、その評価に基づき、事務組織の合理化等を含めた大 学運営の改善や予算の適切な配分がなされる必要がある。また、大学に自主性 を持たせた運営を図る中で、大学別、学部別授業料の導入等を進めるべきであ る。 (iii) 私学助成 機関補助である私学助成については、総額を抑制するとともに、競争促進の観 点から特別補助への一層の重点化等を図る必要がある。また、私立高等学校等 経常費補助については、当面の誘導措置として発足した経緯や国の関与の見直 し等の観点を踏まえ、見直しを進める必要がある。 (iv) その他 これまでも繰り返し指摘してきたところであるが、義務教育費国庫負担制度に ついては、国と地方の役割分担等の観点から負担対象等の見直しを進める必要 がある。また、社会人非常勤講師の活用等も踏まえた定数改善計画の見直しに ついて検討を行うべきである。 義務教育教科書無償給付制度についても、家計の負担能力等を勘案しつつ、有 償化を検討する必要がある。 文化予算については、政府と民間の役割分担等の観点から、その支援の範囲を 検討すべきである。 (2 )科学技術 (i) 科学技術の戦略的重点化 科学技術予算については、政府研究開発投資の対GDP 比率を見ても主要欧 米先進国と遜色ない水準に達していること等を踏まえ、従来にも増して、資源 配分の効率化や制度設計の適正化を図り、同じ投資額でもより高い効果が得ら れるよう努めるべきである。 「科学技術基本計画」においては、特に重点を置くべき分野として、・)ライ フサイエンス、・)情報通信、・)環境、・)ナノテクノロジー・材料の4 分野 が列挙されているところであるが、平成14 年度予算においては、これら4 分 野への重点的配分を行うとともに、その中でも更にメリハリのある配分を行う べきである。 大規模プロジェクトについては、必要性、緊急性、費用対効果、後年度負担等 について十分精査することが必要である。特に新規のプロジェクトについては、 今後長期にわたり膨大な財政資金が投入され、他の分野の圧迫要因となりかね ないことから、現下の厳しい財政状況にも鑑み、慎重に対応すべきである。ま た、国際共同プロジェクトについては、我が国の経済規模に応じた負担割合以 上の関与を控えるべきである。 (ii) 科学技術システム改革 優れた研究成果を生み、活用できる研究環境の構築のため、競争的研究環境の 形成を図る必要がある。平成14 年度予算においては、平成13年度に競争的資 金に係る間接経費が導入されたことも踏まえ、機械的に配分されている面が強 い基盤的経費の総額を抑制しつつ、競争的資金へのシフトを図っていくべきで ある。 また、費用対効果を含めた公正で透明性の高い評価の徹底を図り、国民に分か りやすい形で積極的に開示するとともに、評価結果を資源配分にも反映させて いくことが必要である。」 ・・・・・・・ 「13 .司法制度改革 司法制度は、社会の複雑化、多様化、国際化、事前規制型から事後チェック型 行政への移行といった変化に対応し、見直されなければならないものであり、 「司法制度改革審議会意見書」(平成13 年6 月12 日)を踏まえ、司法制度 改革を推進することとされているところである。 今後、裁判の迅速化、司法の人的基盤の拡充等に向けた具体的方策の検討を進 める中で、限られた財政資金の効率的使用の観点から、新たな法曹養成制度、 国民の司法参加等について合理的な制度を構築していくことが必要である。 なお、総人件費抑制の必要性や公務員全体の給与の在り方についての検討も踏 まえ、裁判所・検察庁等についても、その給与の在り方について適切な検討が 加えられるべきである。」             ------------------------------ [76-2-3] 塩川財務大臣閣議後記者会見の概要(2001.11.20)より http://www.mof.go.jp/kaiken/my390.htm 「・・・・今ね、日本の構造改革の一番問題はですね、賃金が高いということ ですよ。この改革をせずしてやね、どんなことしたからって景気よくなるかい な。特にやで、エグゼクティブのところが高いじゃないか。こんなに苦しんで いるときにね、金融機関といい、政治家といい、それからエグゼクティブになっ ている人、そこの給料が物すごい高いやないか。ところが、下は物すごい低い。 これをやね、やっぱり国民的課題として見なきゃいかんと思うんだ、僕は。第 一エグゼクティブがこんなに高い月給取っとってね、景気がようなるわけない ですよ。・・・」             ------------------------------ [76-2-4] 司法制度改革推進法2001.11.16 http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/hourei/1116suisinhou.html -->[75-7]             ------------------------------ +[76-2-4-1] 司法制度改革推進本部令 2001.11.28 http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/hourei/1128honburei.html -->[72-4-3] 法科大学院の諸問題             ------------------------------ [76-2-5] 独立行政法人の動き             ------------------------------ [76-2-5-1] 総務省政策評価・独立行政法人評価委員会(第9回2001.10.26)議事要旨 http://www.soumu.go.jp/kansatu/seisaku-giji-1309.htm 「中期目標終了時における主要な事務及び事業の改廃に関する勧告について、 次のような意見があった。 ○諸外国の事例でも業態変更等は相当の時間をかけており、主要な事務及び事 業の改廃に関する勧告に関しては、早い段階において、当委員会としてどのよ うな考え方で事務及び事業の改廃の必要性を検討するのか、また、どのような タイミングで必要な審議を行い勧告するのか等について検討していく必要があ るのではないか。」 -->[74-5] 総務省政策評価・独立行政法人評価委員会 (第6回2001.6.22) 議事録             ------------------------------ [76-2-5-2] 毎日11/15「独立行政法人:57組織で役員100人増 次官超す報酬も」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2892.htm 毎日11/16「独立行政法人:役員報酬を移行前より引き下げ 政府方針」 http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200111/16/20011116k0000m010140000c.html             ------------------------------ [76-2-5-3] ◆読者より 「法人化の件で少し奇妙な情報を見つけましたのでもし未だ御存知でないよう でしたらと思い、お知らせしておきます。 本年4月から独法化されてしまった機関がありますが、本年度(13年度) の国家公務員2種採用試験の採用予定機関名(7月現在)を見たところ、一般 の官庁に混じってそれらの機関が含まれていることに気づきました(出典: 「受験ジャーナル」11〜12月号)。そちらのお近くでも「独立行政法人」 北海道農業研究センターがそれで、他にも(独)航空宇宙技術研究所などがあ ります。なぜ奇妙かと申しますと、せっかく公務員試験を通ったのに、設置か ら5年後には評価の結果、廃止されてしまうかもしれない等の問題のある独法 化機関に、果たして採用してもらおうという人がいるのか、と思うからです。 これらの試験合格者にとって一般の官庁も独法化機関も同じ採用先の選択肢の ひとつに過ぎないわけですから。就職難で買い手市場なので「独法とはどうい うものかを知らない人」を採用しようというのでしょうか? とにかく官庁な どでも過酷な定削のため、少しでも有能な人材を奪い合っているのが実状です から、独法はそれがどういうものかを知っている人から見れば決定的に不利で、 結局、同じ試験の合格者から採用するのでは、おかしなことになるのではない でしょうか。独法等(つまり国立大学法人も入る)には優れた人材は来なくな り、(初任給をつり上げるのかもしれませんが)、知らない人(後でビックリ) や初めから数年で辞めるつもりの人などを採用するしかなくなるのでは? そ うするとまた評価が下がるという悪循環に陥るのでは? 私にとってこれは法 人化の新たな問題点です。 以上」             ------------------------------ [76-2-6] 日経(11/15) NHKの独立行政法人化についての記事 http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt8/20011115eimi240515.html 「・・・NHKについては、総務省が政府関与が強まる独立行政法人化は「公 共放送」の趣旨に反するとして反対。首相も「財政支出のない特殊法人は一律 の改革の対象ではない」として現状の組織存続を認めた。半面、行革推進事務 局はNHKと子会社との間の不透明な随意契約、民業圧迫の懸念があるインター ネット配信など新規事業を問題視。片山虎之助総務相も受信料制度の再検討に 言及しており、整理合理化計画になんらかの改革方針を盛り込む可能性がある。・・・」                   ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-3] 文部科学省             ------------------------------ [76-3-1] 教育基本法改正を中教審に諮問、関係社説集 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/011128kihonhou.htm 『山梨中央新報』11.27 教育基本法/見直しよりも具体的政策を 『信濃毎日新聞』11.27 『朝日新聞』11.27 教育基本法――基本計画法こそつくれ 『北海道新聞』11.27 教育基本法*見直しは改憲露払いだ 『北日本新聞』11.27 教育基本法/見直しより生かす方が先 『毎日新聞』11.28 基本法見直し 教育の現状踏まえた論議を 『琉球新報』11.28 教育基本法・なぜいま見直しなのか 『読売新聞』11.28 [教育基本法]「時代にふさわしい見直し論議を」 『徳島新聞』11.28 教育基本法見直し 国民合意得られる論議を 『沖縄タイムス』11.28 教育基本法 見直しより生かす道を 『河北新報』11.28 教育基本法見直し/旧来型の論争に陥らずに 『東奥日報』11.28 教育再生へじっくり審議を 『中国新聞』11.28 教育基本法見直し 議論一年で大丈夫か 『山陽新聞』11.28 教育基本法諮問 国民もじっくり考えよう 『神戸新聞』11.28 教育基本法/「改正」を急ぐよりも 『岩手日報』11.28 教育基本法 見直しに慎重な議論を             ------------------------------ [76-3-1-1] 中教審委員名簿 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/meibo/010601.htm 会長 鳥居泰彦 慶應義塾学事顧問 副会長 木村 孟 大学評価・学位授与機構長 副会長 茂木友三郎 キッコーマン株式会社代表取締役社長 浅見俊雄 日本体育・学校健康センター国立スポーツ科学センター長 荒木喜久子 新宿区立津久戸小学校長 石倉洋子 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 今井佐知子 社団法人日本PTA全国協議会会長 内永ゆか子 日本アイ・ビー・エム株式会社常務取締役 江上節子 産能大学経営学部助教授 奥島孝康 早稲田大学総長 梶田叡一 京都ノートルダム女子大学長 岸本忠三 大阪大学長 國分正明 日本芸術文化振興会理事長 佐藤幸治 近畿大学法学部教授,京都大学名誉教授 高木 剛 ゼンセン同盟会長 高倉 翔 明海大学長 田村哲夫 学校法人渋谷教育学園理事長,渋谷幕張中学・高等学校長 千田捷熙 東京都立両国高等学校長 寺島実郎 株式会社三井物産戦略研究所長 永井多惠子 世田谷文化生活情報センター館長 中嶋嶺雄 東京外国語大学長 中村桂子 JT生命誌研究館副館長 増田明美 スポーツジャーナリスト,スポーツライター 松下倶子 独立行政法人国立少年自然の家理事長 森 隆夫 お茶の水女子大学名誉教授 山下泰裕 東海大学体育学部教授 山本恒夫 大学評価・学位授与機構評価研究部教授 横山英一 教職員共済生活協同組合顧問 横山洋吉 東京都教育委員会教育長 吉川弘之 独立行政法人産業技術総合研究所理事長             ------------------------------ [76-3-2] 日経2001.11.19 「ポストドクター、助教授並み処遇――頭脳流出防止へ制度」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/net011128-1.htm 「新制度「スーパー特別研究員」は、博士課程を修了した20代後半から30代前 半の研究者が対象。人文社会や自然科学などの分野は問わない。採用が決まる と、3年間にわたり月額50万円の研究奨励金を支給する。研究費は別途、科学 研究費補助金(科研費)に応募する必要があるが、上限額をこれまでの2倍に あたる年間300万円まで引き上げる。奨励金・研究費を合計すると最高で年900 万円を支払う。  来年度に発足、初年度は12人の採用を予定。審査など制度の詳細は文科省と、 新制度の窓口になる日本学術振興会が詰める。・・・」 -->[74-6-1] 文部科学省:大学職員の位置付け見直し 若手活性化に -->[74-6-1-1-2] <首都圏ネット事務局コメント> -->[74-6-1-1-1] alfujita氏コメント             ------------------------------ [76-3-3] 滋賀医科大学全学集会(2001.10.20)における杉野大学改革推進室長講演 http://www.shiga-med.ac.jp/‾satomi/dokuhou.htm             ------------------------------ [76-3-4] 文部科学省官房決定2001.8.6「今後の国立大学等の施設管理に関する調査研究について」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/004/gaiyou/010801.htm                   ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-4] ◆大学構造改革 過去の関連記事:[75-6]トップ30             ------------------------------ [76-4-1] NHKBS1ディベートに関連する公開要望書2001.11.27 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/b27-nhk.html -->[75-8] NHKBS1「インターネット・ディベート」『シリーズ大学改革』             ------------------------------ [76-4-1-1] Yahoo!JAPAN             ------------------------------ [76-4-1-1] No 4042 意見「ディベーターを変更すべき」 cpoirewjp 2001年11月27日 http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&action=m&board=1086166&tid=9qna9bga4nfhna99tc0afka1bfm2bda1aa&sid=1086166&mid=4042 「・・・・こういう新自由主義者と政府の擁護者(相澤益男)とがディベート して生産な議論になるのでしょうか。疑問です。・・・・今回のディベート番 組によって、「政府主導によって大学改革を行うべきか、それとも市場原理に よって行うべきか」という極めて一面的かつ貧しい論点に関する論議が延々と 「公共放送」を通じて流され、事情をよく知らない多くの国民にその枠組みで の是非を問うことになります。  これは、電波を使った洗脳工作に等しい。国立大学の独法化や民営化に反対 する立場の人間は、ディベーターの変更、さもなくば放送の中止をNHKに求め るべきだと思います。」             ------------------------------ [76-4-1-2] No 4035 「加藤寛さんの提案 国立大学「研究所」化構想」 http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&action=m&board=1086166&tid=9qna9bga4nfhna99tc0afka1bfm2bda1aa&sid=1086166&mid=4035 「(NHKインターネット・ディベートより) 1.国立大学が99もあるのは数が多すぎる。もっと数を絞って国費を集中的 に投入すれば、研究の成果が上がり、世界水準の大学作りに貢献できる。 2.そのため、国立大学は、統廃合して数を減らし、教育はすべて私立に任せ て、先端的な研究や基礎研究を行うための「研究所」となる。 3.研究所になる場合、まず十分に国費を投入して施設などのインフラ整備を 行う。また、法人化など民間的経営手法を導入し、研究費は入札制にして広く 民間企業から集めることにする。 加藤案は国立大学を「大学」でなくする方向のようですね。」             ------------------------------ [76-4-2] ◆掲示板「遠山プランに対する日本の人々の意見」 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/tym/room.bbs             ------------------------------ [76-4-3] 朝日11/17「「大学はみんな民営化を」ノーベル賞の利根川進さん語る」 http://www.asahi.com/people/update/1117/001.html --> [72-6-5] 畑恵「利根川進教授ロングインタビュー」2000.9.13             ------------------------------ [76-4-4] 国立大学が30近くも減る――統廃合マップ(2001/9/7号 週刊朝日) http://opendoors.asahi-np.co.jp/gaku/news/news_20010907_01.htm ♯(国立大の統合・再編は独立行政法人化の議論が始まったころからずっとい われてきた、何を今ごろ慌てているのかーーと文部科学省の主任大学改革官が 発言している。確かに週刊誌などは言われていたが文部省がそのような発言を 大学に対して公的にした記録はない。法人化は大学の自主性・自律性を高める ため、と言ってきたことをもう忘れているのだろうか・・・。) ・・・文科省の清木孝悦(せいきたかよし)・主任大学改革官はこう話すのだ。 「最近の動きが唐突だと言うが、国立大の統合・再編は独立行政法人化の議論 が始まったころからずっといわれてきたこと。前からある程度考えてきた大学 は、スムーズにいっています。あくまでも教育・研究の充実と基盤強化が目的 であり、大学の活性化の好機と受け止めてほしい。いくつに減らすか、青写真 はまったくないです。いまは、過去の経緯にこだわらず、幅広く可能性を検討 してほしいという段階。われわれとしても、大学との意思疎通をよくして共同 作業で進めていくつもりです」             ------------------------------ [76-4-5] 北海道新聞11/17「佐々木帯畜大学長が辞意 体調不良 22日に正式表明へ」 http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20011117&j=0022&k=200111179013             ------------------------------ [76-4-6] 「top30に踊らされ、エゴに陥る大学人の今の姿」(reform より) http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/b13-watanabe-y.html#top30             ------------------------------ [76-4-7] 奥山(自民党)議員ウェブサイトより「『国立大学法人』制度の概要」 http://www2.tenawan.ne.jp/okuyama/EX/kokkai478.htm 「学術トップの学長と、経営トップの理事長又は事務局長等を明確に区別し、 それぞれが業務に専念できる制度にしておかなければ、民営化しても十分な効 果を発揮できないものと思います。」             ------------------------------ [76-4-8] 一橋大学評議会『新しい「国立大学法人」像について』に対する意見 2001.10.24 http://www.hit-u.ac.jp/news/houjinka/iken.htm                   ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-5] ◆教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会 2001.11.22 -->[75-10] 教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会 [76-5-1] 報告書 http://www.u-gakugei.ac.jp/‾jaue/kondan.htm -->[74-6-2] ◆文部科学省中教審教育制度分科会:教養教育重点大学案             ------------------------------ [76-5-2] 社説 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/b22-ed-news.html 徳島新聞社説 11.26:教育大学・学部再編 地域の教育力低下を防げ 北日本新聞社説 11.26:教員養成課程/再編論の前に中身見直せ 信濃毎日新聞社説 11.24:教育学部再編 根本的な論議が必要だ 沖縄タイムス社説 11.24:教育学部再編 欠かせない地域の視点 東京新聞社説 11.23:教員養成大学 再編統合と言う前に 山陰中央新報社説 11.23:教員養成大の統合/地域からの視点が欠けている 毎日新聞社説 11.22: 教育学部再編 明確な理念と基準を示せ -->[73-2-4] 千葉大センター速報 No.9 (2001.10.18) 特集:教育学部改革                   ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-6] 国立大学協会             ------------------------------ [76-6-1] 総会11/14・15関係報道             ------------------------------ [76-6-1-1] 朝日2001.11.16 「数合わせではない」 国立大再編で文科省が説明  http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2902.htm 「国立大学長懇談会が15日、東京都内で開かれた。国立大の再編統合について、 文部科学省は02年度中に国の計画をまとめる意向を示し、論議をかわした。  あいさつに立った小野元之事務次官は「国立大学と文部科学省は一緒に改革 に取り組んできたいわば戦友。戦友を見捨てるようなことはしない。数合わせ のための統合ではない」と理解を求めた。」             ------------------------------ [76-6-1-2] NHKニュース2001.11.15「教員養成学部統合は慎重に 大学側から意見相次ぐ」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2895.htm 「教員養成学部統合は慎重に 大学側から意見相次ぐ  国立大学の教員養成学部の統合・再編について、きょう開かれた国立大学協 会と文部科学省の懇談会で、教員を目指す学生の負担が重くなるなどとして大 学側から慎重に行うよう求める意見が相次ぎました。  全国の国立大学の学長でつくる国立大学協会と文部科学省は、今後の大学改 革をめぐって、きょう懇談会を開きました。  このなかで文部科学省側は、スタッフも学生も少ないいまの教員養成学部の 規模を大きくして教員養成の体制を充実させるため、すべての都道府県に国立 大学の教員養成学部を置くというこれまでの原則を崩し、統合・再編を進める 考えを説明しました。」             ------------------------------ [76-6-1-3] 共同通信2001.11.15「再編は数合わせではない 学長懇で文部科学次官」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2894.htm 「国立大学長懇談会が十五日、東京都内で開かれ、文部科学省は国立大の再編 統合について、学術研究のほか教育面や地域貢献なども重視し、各大学の特色 に応じて検討するよう各学長に求めた。    国立大学の数の削減を目指す文科省の大学改革には地方の大学を中心に反発 が強いことから、小野元之文部科学事務次官は「教育研究の充実を図るための 再編統合であり、決して数合わせではない」とあいさつ。二○○二年度中に国 の計画をまとめる意向を示し「それぞれの地域や教育研究の発展につながる再 編統合をお願いしたい」と強調した。                    大幅削減が見込まれる教員養成系大学・学部について滋賀大の宮本憲一学長 が「再編するには県域を越えなければならない。長い歴史と伝統があって地域 との連携が密であり、そう簡単にはいかない」と質問するなど、慎重な対処を 求める声が相次いだ。       これに対し、工藤智規高等教育局長は「地元密着型を主張されればされるほ ど、旧師範学校のように県立大でお願いしましょうとなりかねない。広域型で パワーアップしようというのが改革の骨子だ」と述べ、早期に再編統合を進め る意向を繰り返した。」             ------------------------------ [76-6-1-4] 読売 2001.11.15「教育大・学部大幅統合で地方国立大から懸念続出」 「文部科学省が国立大側に政策方針などを説明する国立大学長懇談会が15日、 開かれ、「1県1教育学部」の原則を転換し、国立の教員養成系大・学部を大 幅に再編統合する同省の方針について、地方国立大学長から混乱を懸念する声 や慎重論が相次いだ。しかし、同省は再考する考えがないことを強調した。  48ある教員養成系大・学部について、同省は隣接の都道府県をまとめ一つ の大学に集めるなどの方法による再編を提唱。来春早々にも具体案を提示する よう各大学に求めている。教育学部がなくなる県が多く出ることも想定してい る。  これに対し学長側からは「県域を超えた再編は学生や教員に負担となり、地 域の教育とのつながりもなくなる」(滋賀大)、「教育の現場である地域が大 変困ることになる。慎重に対処すべきだ」(鹿児島大)との慎重論が出された。  同省側は「エゴを排し研究教育を強化する建設的な案作りをお願いしたい」 と要請した。」             ------------------------------ [76-6-2] 総会での要請行動報告 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/011114kokuhoukoku -->[75-2] 国立大学協会総会要請行動             ------------------------------ [76-6-3] ◆産学連携サミット 2001.11.19             ------------------------------ [76-6-3-1] 薬事日報2001.11.26「産学官連携サミット」に300人が参加 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2983.htm -->[74-7] 国交省 工業・工場等制限2法廃止へ -->[73-7] 産学連携             ------------------------------ [76-6-3-1-1] 第一回産学官連携サミット共同宣言 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2001/057.html 「今日、人類は世界に頻発する秩序の乱れと地球環境の劣化に直面している。 各国が連帯してその解決の方法を模索し、活動を始めるべき時期が到来した。 一方、我が国においては、経済の再生を目指し、国際的な競争力を高め、産業 の空洞化に打ち勝っていく必要に迫られている。これらの状況に対応するため に、科学技術とそれに基礎をおく新しい産業が中心的役割を果たすべく期待さ れている。  高度経済成長の過程で、大きな潜在力を蓄積することとなった我が国の責務 は、地球的課題を解決するために、個人の自由な発想と創造力を育み、大胆に チャレンジできる柔軟な社会を築きつつ、その潜在力を十全に活用することで ある。それは、21世紀の我が国の立国理念である「科学技術創造立国」への道 を更に推し進め、基礎研究の充実と研究成果の活用を通じてわが国の産業競争 力を強化することにより可能となる。  潜在力は大学等の研究能力と産業の生産能力の内にある。いま、その潜在力 を現実のものとして発揮させるために、長い間その重要性が言及されながら、 制度の硬直性と当事者の積極性の不足によって十分には進まなかった我が国に おける産学官連携を飛躍的に進展させることが急務である。  本日のサミット参加者は、このような共通の認識に立ち、今後のイニシアティ ブを以下のように設定し、全力で取り組むものとする。 「1.産のイニシアティブ ● 研究開発の自前主義から脱却し、大学等の知的ポテンシャルの積極的活用 による新技術・サービス創出を促進する。 ● 企業トップが大学等との連携を経営戦略上明確に位置付け、研究開発面の 連携、人材交流の促進を図る。 2.学のイニシアティブ ● 大学等の教育研究の進展のためにも企業との連携を強化することは極めて 重要であるとの基本姿勢を確立し、組織としての対応を強化する。 ● 国立大学の非公務員型法人に移行することを目指すなど、改革を進めるこ とにより、産学官連携に関して国公私を通じた大学の自主的、自律的かつ柔軟 な運営を展開する。 3.官のイニシアティブ ● 産学双方の使命を尊重し活発な相互連携を促進するため制度改革を積極的 に進めるとともに、大学発ベンチャーの育成や地域の科学技術振興など各種施 策を強力に推進する。 4.産学官連携サミットの定期的開催 ● 産学官の相互理解と信頼関係の樹立を図るため、引き続き「産学官連携サ ミット」を開催する。 右宣言する。    平成13年11月19日        科学技術政策担当大臣  尾身 幸次        経済団体連合会会長 今井  敬        日本学術会議会長     吉川 弘之                           (注:原文は横書き)             ------------------------------ [76-6-3-2] ◆藤原正彦「教育への経済界の要請を排すーーそれを行えば国益を損なう」 日本の論点2002 p726-729 文芸春秋社 2001.11.10 ISBN 4-16-503010-4 抜粋(・・・・は省略部分) ---------------------------- 教育まで変えろという経済復興 ---------------------------- ・・・・ 経済復興が自明の国家目標となっている。国家日標となれば、一億火の玉の国 だから、すぐに「そのためなら何でもする」ということになる。不況の本質が、 政官財学の専門家によってさえ完全に把握されているとは、とても思えないの に、「改革」の旗が狂ったように暗闇の中を突っ走る。 ・・・・ 経済界(エコノミストも含む)の声(*1)に政官が賛同した格好で、この嵐 がいよいよ経済の域外に足を踏み出し始めた。経済復興のため、社会や文化を 変えろ、そしてついに教育をも変えろという所までやって来た。 -------------------------- 大学の本領は基礎研究にある -------------------------- ・・・・ 産学協同が進み過ぎると、大学の理工農医歯などの大学院が、企業の安価な出 先機関となりかねない。そうなった大学にどんな独創的研究を期待できるのだ ろうか。大学の本領は直接の応用を視野にいれない基礎研究にあり、それこそ が国家の科学技術力の基盤なのである。基礎研究をないがしろにしてなお卓抜 な技術力を保持した、という国家は未だかつて存在したことがない。大学の弱 味と卑しさに乗じた経済界からの口出しがこのまま続けば、日本のほとんどの 大学で実学が幅を利かせ、それ以外の役に立たない学問は徐々に淘汰されるこ とになろう。大学は企業の便利屋となり果てる。 「役に立たない」は必ずしも「価値がない」を意味しない、というところに学 問は成立している。ニュートン、ダーウィン、ケインズを生んだケンブリッジ 大学には、近年に至るまで工学系が存在しなかった。産業界に直接役立つよう な分野は学問と見なされなかったのである。文化としての学問のやせ細った、 品格なき日本を世界はどう見るだろうか。経済の不調よりはるかに大きな国益 を損なうことになろう。 -------------------------------- 英語、パソコン、株取引を教える愚 -------------------------------- 経済界の物言いは大学に対してばかりでない。小中学校で企業家精神を育てる ための教育をせよ、中高生にコンピュータを用いた株式取引や企業経営を体験 させろなどと言う。実際このような声は「教育改革国民会議」の提言にも入れ られ、文部省も了承している。その結果、2002年度から小中学校で始まる 「総合学習」を利用し、多くの学校でそのような教育が実施される予定である。 ・・・・ ---------------------------------- 大学は産業界の人材製造工場ではない ---------------------------------- 即戦力を大学に要求するのは、これまで自前でしてきたことを、余裕を失った (*5)ため大学にさせようというのだろうが、大学は産業にすぐに役立つ人 材の製造工場ではない。本来、文化としての学問を研究教育する場である。そ れが実は長期的にはもっとも国益にかなう(*6)。なぜなら、応用を目指さ ない基礎科学をきちんと身につけた者だけが、真の独創的技術を生んできたか らである。これまでの方向が大きな誤りでないことは、アメリカにおける日本 企業の特詐所有が、10年前にすでに20パーセント、昨年は29パーセント と自覚ましい数字となっていることからも窺えるだろう。 ・・・・ 不況にあおられた、国をあげての「改革改革」は、経済に限っても大いに疑問 なのに、人間をつくる教育までも変えようとしている。10年続いた不況その ものより、この災禍の方がはるかに大きくなりそうである。             ------------------------------ [76-6-3-3] http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2001/057.html ------------------------------ [76-6-4] 国立大学協会臨時総会2001.10/29 議事録 http://www.kokudaikyo.gr.jp/katsudo/txt_soukai/h13_10_29.txt             ------------------------------ [76-6-5] 国立大学協会第15回 設置形態検討特別委員会(議事メモ) http://www.hokudai.ac.jp/bureau/socho/agency/j131019-1.htm             ------------------------------ [76-6-6] 理事会メモは会長の一存 -->[74-8] 国立大学協会                   ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-7] 国立大学独立行政法人化問題の運動             ------------------------------ [76-7-1] ◆豊島耕一「独法化問題をめぐるイデオロギー」2001.11.26 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/ideology.html 「・・・国立大学の独法化問題については,他の政治的アジェンダに対する反 応に対比して,一般の知識人だけでなく国立大学内部でもこれを重視したメディ ア等での反対発言が少な過ぎるように思われる.しかも知識人の相当のパーセ ンテージが所属するであろう国立大学において,みずからの職場のありかたに ついての問題であるにもかかわらずこのような情況にあるというのは,私には どうにも理解しがたいことである.その理由を考察し,少しでも阻止運動の助 けになることを期して,以下の分析を提案したい. 1.反対派自身の問題a--- 独法化を民営化への「単なる」ステップととらえ ているのではないか? ・・・「官」による国家主義イデオロギーの布教と強制は,おそらく世界に 冠たるイデオロギー官庁である文部科学省*を中心に系統的かつ強力に,そし て休むことなく推進されているのである.このことがいわば日本的特徴として もっと重視されるべきであろう.・・・・ 2.反対派自身の問題b --- 「ガッツ」ないしエンパワーメントの問題  これは知識人にありがちな職業病的な傾向かも知れないが,社会現象を単に objectiveな対象と見なし,自分はそれを観察し,評価し,予測する,という 限りにおいてだけしかこれにかかわらないという態度も見られるのではないか. (しかしそのような人でもなぜか自分の属する狭い社会,例えば講座や教室の ことなどになると決して黙ってはいない.)このような態度は民主主義とは, 特に国家のスケールでの民主主義とは相いれないものであることに気付くべき だろう.  このような態度はまた,ガッツ(guts)とか気概といった言葉を「精神主義」 と見なしがちで,そのような気風が蔓延していることも運動の停滞の大きな原 因ではないだろうか.イデオロギー化した科学主義と言ってもいいだろう.し かし人間社会に起きる変化においては,少数の集団であってもそれが持つ士気 の高さ,ガッツという要素が担う度合いは決して少なくない.運動は「数」だ けではなく,数×ガッツの積分によって推進されるのであり,またそれ自身が 非線形に再生産され発展するものだとの認識が重要である.これこそが科学的 な見方というものだろう. 3.体制派の問題 --- シニアおよび中堅世代の「挫折」と「転向」 ・・・・ 4.一般的共通問題 --- 封建的イデオロギーに対する免疫反応の活性化 ・・・・日常生活では見えにくいかも知れないが,多少なりともフォーマルな 「会議」ともなれば,参加者の儒教的行動パターンがだれにも容易に観察でき るはずだ.そして権威を持って社会を支配するのもこの種の会議なのである. 例えば沈黙を美徳とする風習は教授会(おそらく国大協総会も?)における出 席者の行儀の良さに大きく貢献しており,これは論語の「巧言令色鮮なし仁」 にその責任の一部を負わせられよう.すべてを支配する管理者の方針はしばし ばこの「沈黙」によって認証されたものである.・・・」             ------------------------------ [76-7-2] ◆豊島耕一「主権者のための,主権者としての教育を」(2001.11) http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/Education/opn4tuf.html 「・・・今の教育に欠けているものは何かと問われれば,私は第一に,この社 会の主権者つまり主人として,はっきりと自己を主張し,それを社会に反映さ せるために必要な知識,ノーハウ,そして勇気を与えることであると思う. 「欠けている」というよりむしろ,今日の学校教育はこれらの能力の発達を抑 圧しているのではないだろうか.  その原因はいくつかあるが,そもそも「学校」は「組織」であるという不可 避的な要素にまず求められる.すなわち,組織の運営にはどうしても何らかの 秩序は不可欠であるが,もし組織のメンバーが管理者の言うとおりに動いてく れれば管理者にとっては最も手間がかからない.管理者が易きに流れた場合 (誰しも人間としてその傾向を持つが),あえて構成員に「自己主張」と「自 治」とを奨励するのは自分の仕事を難しくするだけだと感じられるであろう.  加えて,我が国の公立学校は行政からの相対的な自立性もほとんど持たず, 強い官僚統制下にある.上からの指示を忠実に実行しようと考える「真面目な」 校長にとっては,生徒の権利や自治などということは胃の痛みをふやす以外の こととは考えられないだろう.もし生徒が「日の丸」がイヤだと言ったら,す ぐにそれに従わないまでも少なくともそれを尊重しなければならないが,そう すると短期的成果の要求,つまり「実施率」の圧力に直ちにさらされるであろ う.  学校制度をやめるわけにはいかないが,組織というものが固有に持つこのよ うな傾向について構成員が自覚を持つだけでも,この種の抑圧はかなり予防で きると思われる.他方今日の学校への官僚統制は,公的組織として一般的に必 要とされる管理の水準をあきらかに逸脱しており,また「指導・助言」の範囲 と言えるものではない.すなわち教育基本法10条の「不当な支配」の禁止に抵 触する違法状態にあると思われる.教育基本法に罰則がないから放置してよい というものではないはずだ.・・・」 豊島耕一氏ウェブサイト: http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/             ------------------------------ [76-7-3] 独立行政法人問題速報 No.10 特集:『千葉大学の将来構想 II』(第3版) 千葉大学情報分析センター http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/n10.html -->[73-1]「大学が危ない!国立大学の独法化に反対する10.29緊急集会」 -->[72-1] 政治家・市民・学生・大学教職員による討論集会2001.10.5 集会決議                   ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-8] 大学の動き             ------------------------------ [76-8-1] 弘前大学在職死亡者数倍化 (弘前大学職員組合<もうはじまっている独立行政法人化>シリーズビラNo.3) http://hb8.seikyou.ne.jp/home/hirodai-shokuso/series3.htm 「・・・吉田学長在任6年間で20名(教職員含む)が在職死亡者としてあげら れる.この数字は吉田学長以前の6年間(7名)の3倍近い.中でも特筆すべ きは医学部・短大における死亡者であり,最近6年間の死亡者数の半数(10 名)を占めており,先の6年間と比べて2.5倍(4名から10名)となって いる.この中には希望にそぐわない異動などが原因による過労死ではないかと いわれる例も含まれている.次いで多いのが,教育学部である(7名).教育 学部の死亡者数は教育系学部の改革が始まってからのものと考えられ,このよ うな“改革”が該当学部の大学人を疲労困憊させている事実を物語るものであ ろう.これは、学長がいうような“法人化で解消する”とは到底考えられない. 行政法人化ではこれまで以上の”評価”が求められ,リストラにおびえ,中間 報告などの資料準備に追われることが必須であり,さらに在職死亡者を増やす ものとなるのではないか?・・・」             ------------------------------ [76-8-2] 全大教北海道第10回教研集会(2001.12.8) http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kumiai/htm/kitakyouken1208.html 12月8日(土) 13:00〜16:30 於 かでる2・7 (中央区北2条西7丁目) 第1部 基調講演「政府・文科省の「独法化」は、大学をどこに導くか」  田端博邦氏(東大社会科学研究所教授・東大職員組合委員長) 第2部  パネルディスカッション  ○国立大学の独法化とその問題点(北海道大学)  ○独法化6ヶ月の現状(産業技術総合研究所)  ○私大の状況(北海道私大教連)             ------------------------------ [76-8-3] 公立大学             ------------------------------ [76-8-3-1] ◆共同通信ニュース「公立大も法人化の方向 国立と同じ条件で競争へ」 2001.11.22 ------------------------------------------------------------------------ ♯コメント(現在の日本では、大学の法人化の選択肢は、「独立行政法人化」 か「学校法人化(=私学化)」かのいずれかである。公立大の大半が自ら進ん で法人化を希望しているという報道が事実とすれば、公立大の方々は何か勘違 いをしているのではないだろうか。国立大学法人化(独立行政法人化の別称) を進んで希望している国立大学はない。当然である、法人化を国大予算圧縮の 手段とする政府の意図は微塵も変っていないからだ。 なお、記事の中で「国立大は既に国の直轄から切り離す法人化が決まり、運営 や教育・研究面の自由度が拡大することになっている」と報じているが、法人 化は決まっていないので誤報だし、「教育・研究面の自由度が拡大する」とは 文部科学省ですら言っていないので誤認識である。このような報道は、意図の 有無にかかわらず、世論の判断を撹乱させるものであり、ジャーナリズムの自 殺行為である。猛省を促したい。)コメント終             ------------------------------ [76-8-3-1-1] 『朝日新聞』11月23日付朝刊 ♯共同通信の記事についてYahoo! JAPAN 独立行政法人掲示板で以下の意見: 「完全なミス・リードです。公大協関係者が証言しています。穏当な報道は、 以下の朝日のものだということです。 「法人化へ法整備を」『朝日新聞』11月23日付朝刊 「公立大学協会(会長・児玉隆夫大阪市立大学長)は22日、公立大学の法人化 に向け法整備を求める決議を採択したと発表した。 決議は、公立大学の法人化に向けた法律の整備が不可欠であることを確認し、 今後その実現に向け各界に働きかけるという内容。国立大の法人化の議論が進 み、複数の公立大でもすでに法人化の話が出ていることから決議に踏み切った という。」             ------------------------------ [76-8-3-2] 都立大新局面、大学改革大綱発表」 http://www1.jca.apc.org/aml/200111/25176.html                   ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-9] 奨学金問題             ------------------------------ [76-9-1] 日経2001.11.29「育英会の奨学金、存続を」医学生が投書 http://www3.nikkei.co.jp/kensaku/kekka.cfm?id=2001112900817 「「日本の将来のため、育英会を廃止しないで」。29日付の英科学誌「ネイチャー」 に、日本の医大生のこんな投書が掲載される。育英会は小泉純一郎首相が進め る特殊法人事業見直しで統合を含めた廃止が検討されている。投書は「教育は 長期的にみて非常に賢い投資だということを政府は忘れるべきでない」と締め くくり、世界中の読者からの支持を期待している。・・・」             ------------------------------ [76-9-2] 東京新聞2001.11.16「小泉改革で学生ピンチ」 「大学生や高校生などに学費を貸し付けている特殊法人「日本育英会」(本部・ 東京都新宿区)が、来年度に奨学金を支給する新規の内定者を決められずにい ることが十六日、分かった。政府の特殊法人改革で同会が見直し対象になり、 例年なら九月に出す支給内定を遅らせているためで、内定は来年にずれこむ可 能性も。支給をあてにしている受験生の間では、「これでは受験大学も決めら れない」と戸惑いの声が広がっている。・・・・」 「政府は特殊法人の来年度予算の概算要求額を、前年度の九割に減額。このた め、同会の無利子の奨学金を受けられる新入生は、前年度から四千二百人減っ て十二万人になるほか、二年生以上の新規希望者に対する予算はゼロになる見 通し。同会は「親の所得や成績が基準を満たしていても、もらえない生徒や学 生が出る可能性もある」としている。・・・・」 ○行政改革推進事務局特殊法人等向け平成14年度概算要求等の検証結果 2001.10.5日本育英会 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/01/a05-ikueikai.pdf ○週報63「奨学金事業を縮小」 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-63.html#[63-8-9] ○「育英会、奨学金事業を縮小(読売20001.7.28)」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe2322.htm             ------------------------------ [76-9-3] Yahoo!JAPAN 掲示板 No 4032「イギリス医学生の窮状」 GoldandGreen 2001.11.27 「イギリス医師会HPより。 イギリス政府が導入した”授業料導入と貸与奨学金廃止(育英会の有利子貸与 奨学金に匹敵)”による25年返済のgraduate taxと商業ベースのローン(銀 行から借金)がお金のない学生の医学部進学を益々困難にさせていると、イギ リス医師会が厳しく批判しています。 日本でも似たような政策が財務省や経済改革諮問会議などで出されていますね。 医学部と限らず、国立の理科系学部への経済的ゆとりのない学生の進学の道が 閉ざされようとしています。 憲法で保障される高等教育への公平なアクセスを平気で踏みにじる人々が日本 の政治の中枢にはびこっています。 断じて許すわけにはいきません。 http://web.bma.org.uk/pressrel.nsf/d1ad13390a27906d802569540054985c/634833a2522a 0c5b80256b0d00537ff8?OpenDocument Graduate tax and commercial loans will not improve access to medical school The introduction of a graduate tax and the phasing out of soft loans will discourage students from all socio-economic backgrounds from choosing medicine as a career, the BMA warns. ・・・・」             ------------------------------ [76-9-4] 「大事な日本の「明日」への投資―奨学金」『読売新聞』2001.11.19社説 http://www.yomiuri.co.jp/08/20011118ig91.htm --> [73-8] 冷淡で短慮な奨学金政策                   ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-10] 意見             ------------------------------ [76-10-1] 宮本憲一滋賀大学長「大学はどう生きるべきか 公共財としての役割明確化を 『歴史継承』も改革の基底に」東京新聞2001.11.19夕刊 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/net011129-2.htm 「・・・結論的にいいたかったことは、大学は公共財であって、企業と同じで ないということだ。したがって日本の高等教育の改革は私学の改革も必要であ り、国立大学の形態を変えるだけではなく、私立・公立大学をふくめた全大学 の改革のグランドデザイン、とくに公的役割の明確化が必要なことを述べたかっ たのである。  また改革は歴史の継承が必要である。戦後の改革では旧制高校の廃止による 自由な教養教育の継承に失敗している。戦後の新制大学は今日多くの課題を抱 えているとはいえ、私学の発展にみられる民主化・大衆化に、地方国立大学は 地域の教育・文化の向上に寄与した。そしてなによりも大学の自治、研究・教 育の自由によって学術を向上させた。この歴史の継承が今日の改革の基底にな ければならぬであろう。」             ------------------------------ [76-10-2] 山岸駿介「文部科学省の『ルネッサンス』とマスメディア」東海高 等教育研究所『大学と教育』2001年9月(Jahoo! JAPAN 3939 でcpoirewjp氏が 紹介:抜粋とコメント) http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&action=m&board=1086166&tid=9qna9bga4nfhna99tc0afka1bfm2bda1aa&sid=1086166&mid=3939 「見出し目次 ○「遠山プラン」のショック ○問題意識が薄い大学行政報道 ○無視される改革の理想 ○国民が戸惑う再編・統合 ○大学はメディアの過疎地 ○マスメディアこそ「活性化」を ○「聖域なき改革」が大学を壊す ○「私大に文科省が直接助成金」のショック ○金に弱い私学の現実 ○私学助成は憲法違反か ○改革を本物にするための高等教育の研究を」             ------------------------------ [76-10-3] 高等教育フォーラムより             ------------------------------ [76-10-3] No 3770「「大学改革」と日本の大学の「特殊事情」」 http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/3770.html ♯(日本の特殊事情としてつぎを指摘: 1.「進学希望者が浪人する。」 2.「大学が東京に集中する。」 3.「大学院生が(借入金も含め)自費で進学する。」)             ------------------------------ [76-10-3] No 3767「身内に性善、他者に性悪」 http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/3767.html                   ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [76-11] 資料              ------------------------------ [76-11-1] 内田研二著、『成果主義と人事評価』 講談社現代新書 1574、2001年10月(小田中直樹氏書評) http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_rev.cgi/?bibid=02085274&revid=0000048235             ------------------------------ [76-11-2] 行政監視局No 238-1 「公務員給与について」(2001.11.17) http://isweb8.infoseek.co.jp/area/kanshi/index.htm             ------------------------------ [76-11-3] 筑波大学大学研究センター http://130.158.176.12/index.html 「高等教育論 2001年度2学期 レポート課題」 http://130.158.176.12/report.html 3:「国立大学の独立行政法人化は、日本の教育水準の向上にとってプラスか マイナスか。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題を広い視野から考えるのに役立 つと思われる情報(主に新聞報道・オンライン資料・文献・講演会記録等)へ のリンクと抜粋を紹介。種々のML・検索サイト・大学関係サイト・読者から の情報等に拠る。メール版で省略されている部分はウェブ版参照。ウェブ版は 目次番号が記事にリンクされている。転送等歓迎。 【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ ひ読んで頂きたいもの。 【関連サイト】http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp ------------------------- 発行部数(括弧内は11/13からの増減) (2001.11.27 現在) 1664(+3):Mag2:957(+4)|CocodeMail:370(-2)|Pubzine:98(+3)|melma:68(+1) |melten:63(-2)|Macky!:57(0)|emaga:27(0)|melonpan:24(-1) 直送 約730(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・国会議員等) ------------------------- Digest版 発行部数 約1600(北大), ML(he-forum,reform,aml,d-mail) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 76
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