立命館大学教員の皆様 Cc:学園のみなさま
─目次──────────────────────────────── 【1】第一回未来フォーラム7/20 発言集 【2】転載:「学園資金1000億円の使途」ページより 【3】転載:鈴木元氏から常任理事への書簡:ゼネコンからの出向問題 【4】キャンパス関係 新聞報道一覧 【5】立命館8/27: 立命館大学キャンパスの将来構想に関する報道について 【6】再掲:「月曜会」・「教育の未来を考える会」9/7,9/13 ───────────────────────────────────
中期財政計画のp8にある「RUの収支イメージ」 http://ac-net.org/rtm/campus/doc/2010-chuukizaiseikeikaku.pdf を見ると、立命館大学の年間収入554億円の使途計画は以下のよ うになっています。経費とは違い共通人件費の部門別内訳が明示さ れていないは、何か理由があるのでしょうか。
┌─RUの収支イメージより支出部分── │ │「貯金」 78億円 │ │ 人件費 242億円(内訳:教学現場140億円(58%)、共通102億円) │ │ 諸経費 233億円(内訳:教学現場26億円(11%)、共通207億円) │ │ 共通207億円の内訳 │ 教学部 20億円 │ 研究部 33億円 │ 学生部 12億円 │ 図書館 13億円 │ キャリアセンター 7億円 │ 情報システム部 23億円 │ 入学センター 17億円 │ 一貫教育センター 1億円 │ 社会連携部 5億円 │ 国際部 17億円 │ 総合企画部 7億円 │ 総務部 40億円(キャンパス管理を含む..何%?) │ 財務部 12億円 │ 法務コンプラ 4千万円 │ 業務監査室 6百万円 └───
教学現場への直接の支出は人件費と経費を合わせてもわずか166 億円(30%)の計画です。共通経費の中で図書館・情報システム 部・キャリアセンターの計43億円は学生に直接還元されていると 言えます。教学部・研究部・学生部計65億円の経費は(たとえば 禁煙キャンペーンの経費は学生部から出ているらしいので)教育と 研究の活動に実質的にどの程度還元されているのか不明ですが、3 割20億円程度が還元されているかも知れません。さらに、共通人 件費の半分が教育研究に直接かかわると仮定すると51億円。以上 をまとめると次のようになります。
教学部門の直接的人件費 140億円 共通人件費から 51億円(仮定) 教学部門の直接的経費 26億円 図書館・情報システム部・キャリアセンター 43億円 教学部・研究部・学生部65億円中 20億円(仮定) 計 280億
つまり、教育活動と研究活動に還元される支出は全収入の50%に 設定されているにすぎません。
一方、経営部門に明確に属する国際部・総合企画部・総務部・財務 部の経費の合計は76億円であり、共通人件費102億円の半分が 経営部門で使われていると仮定すると51億円、それに「貯金」7 8億円を加え、教学部・研究部・学生部の経費の半分は経営部門的 なものと仮定すれば、約240億円(43%)が教育と研究には明 らかに関係がないことに使われていることになります。
以上の財政計画を見ると、学校法人というよりは大学を商売の有利 な手段と考えている会社(営利法人)のイメージが浮かびます。大 学に必要な経費は支障がない範囲で可能な限り抑え、次々と新しい 商売を広げることに専念し経費を企画・調査部に重点的に投入して いる会社のイメージです。
そういう会社であれば「質の向上」には関心はないどころか、質の 向上は金がかかるし財政構造を硬直化させるものとして嫌います。 質の向上のために金のかからない「教学内容の改善」をやるととも に、費留保資金の大半を「質の向上」を口実にした新キャンパス展 開に投入しようと考えるのも当然で、こういう会社が経営する大学 は内的発展や「質の向上」とはおよそ縁がないことは言うまでもあり ません。
立命館はまだなり切ってはいないのですが、かなり以前からその方 向に向かって変貌し始めていることは自他ともに認めていることで あり、本当になりきってしまうかどうか、あるいは学校法人の本当 の存在理由を思い出し留保資金の大半を質的向上につぎ込むかどう か、その最後の決断の場にあることは間違いありません。
学園資金1000億円余を何に使うか、いくつかの提案と意見を転 載します【4】。新キャンパス展開すれば、半分以上が費やされ、 さらに、3キャンパス体制になれば経常経費が20〜30億円増と 予想されています。半減する学園資金を回復するために教育・研究 の現場は爪に火を点してRUで毎年80億円の積立てが提案されて います。教学の質の向上どころか、劣化の加速は自明なことです。
ところで、新キャンパスと無関係ではない問題が生じています。元 総長・理事長室長の鈴木氏から幹部への書簡【3】に、ゼネコン4 社からの出向受入への危惧と、それが機関会議の承認なしに決めら れたことへの批判が記載されています。
法的には問題ないそうですが、法的に問題なければ何をしても良い という姿勢こそ立命館の社会的評価を著しく下げている元凶になっ ています。この点は、2008年のコンプライアンスについての意 見募集の際に意見を書き例をあげました: http://ac-net.org/rtm/cmpl/compl-7.html
今回の問題も、近未来にゼネコンが受注するような規模の工事が必 ずあることわかっている状況で、違法を誘発しかねない土壌を形成 することは好ましくなく、また立命館の経営伝統に反して敢えて行 うことである以上は、機関会議での慎重な審議が必要だったはず、 という批判は妥当なように思われます。
■坂根理工学部長:現場でつかんだ実態からの改革
■二宮法学部長:改革しないことが次の改革
■板木国際関係学部長:失敗体験を避ける学生、本当に「学びのコミュニティ」が 本学の強みとなっているか?
■佐藤産業社会学部長:立命館の強み、集団での学び、自治概念
■松原経済学部長:学部ミニマムの設定、国際化、ダウンサイジング
呼称:ST比改善 提案:ST比を飛躍的に改善する ┌─── │補足:必然性のある新キャンパス展開を通しての外的発展の段階は │終わり、立命館大学は内的発展の段階に差し掛かっている。内的発 │展はマンパワーの拡充によるしかなく、マンパワーの健全な拡充は、 │士気の高揚だけで実現できるものではなく、人的組織の拡充によっ │て初めて実現できるのである。この自明な理を無視し続ける限り、 │質的発展の可能性はないだけでなくじわじわと凋落するしかない、 │そういう深刻な岐路に立命館大学は到達しているのである。新キャ │ンパス展開は凋落への道に他ならない、ということの真偽を自分自 │身で確認することが立命館大学の全構成員に課せられた喫緊の課題 │となっている。 └─── 呼称:経済的奨学金 提案:経済的に余裕がない家庭の子女の学費を国立より低く設定する ┌─── │補足:3千名程度の枠を設定すれば、多数の優秀な受験生が立命館 │を第一志望として受験するようになり、学生の質は格段に上がるだ │ろう。要する費用は年30億円程度だが、新キャンパス展開をした │場合の経常経費増とほぼ同程度である。 └─── 呼称:内的発展 提案:必要最小限のキャンパス購入・建物新設にとどめ、今後20年は有 形無形の全資源を内的発展に投入 ┌─── │補足:提案は抽象的だが、要するに教育研究部門主導の大学運営を │実現することである。目先をいくら変えても上位層の受験生を騙す │ことはできない。受験生を馬鹿にすることをもうやめなければいけ │ない。唯一の入試対策は、本当の教学改革を根気よく続けることで │あり、衝動的な表面的改革を抑制する理性を形成することである。 │少子化の試練を正視すれば、いままでの「改革」を止めない限り転 │落は避けられないが、正しい改革が始まれば立命館の未来は予想で │きないほど明るい。 └───
[1]( 「ST比改善」に賛成 ) 学生定員5000名(約15%)減、教員300名(約30%)増、職員20 0名(約40%) 増 のような方向が好ましい ┌─── │■ 学費収入50億減、人件費50億増となるが赤字になるわけでは │ なく、毎年の貯金額が150億から50億に減少するだけ。 │■ ST比は0.85/1.3=0.65. ST比48を31に改善できる。 │■ キャンパス狭隘化を若干改善できる。 │■ 通常の教育についていけない学生がいなくなることで教育の質が │ 向上する │■ 特別入試に費やしている人的資源・費用等が軽減できる └─── [2](「ST比改善に賛成」) 現場が大学の中味をつくるのか、それとも上から落ちて来るハコモノにすがりつくのか ┌─── │立命館の教員は教育と研究が相支え会って大学の中味を作る事を知 │悉している。教育の質が研究の質に正比例する事を知悉している。 │どこかの有名国立大学のように、教育から遊離した"最先端"の研究 │にうつつを抜かす教員とは大違いである。したがって、これまで蓄 │えたお金を教育、研究を支える人的支援に回せば、その士気は著し │くたかまり、名実ともに教育、研究を通底させたまれに見る優れた │大学に成長する事は確実である。これは現場にいる私の実感である。 │しかし、もし立命館が経営陣が相もかわらずワンパターンでくりだ │す能のないハコモノ展開にため込んだ金を使いつくせば、あたら有 │能な教員を消耗疲弊させ、一方で学生の質は低下し、立命館は関西 │4私大にもならべてもらえない大学に落ちぶれるであろう事も自明で │ある。少子化の時代に見合って、関西3私大の時代になるのであろう。 │立命の教員は優れていると思う一方で、経営陣が繰り出すハコモノ │「新キャンパス展開」に拝跪する学部、学科が存在する事も又事実 │である。これら学部学科が中心になって新キャンパスが展開され、 │当然の学部の新設が行われ、少子化時代にもかかわらず、定員が据 │え置かれ、学生の質は凋落し、立命が4私大の地位から滑り落ちたそ │の時になって、やはり立命はその程度の大学であったと認識される │のだろうか? それだけは避けたいものだ。 └─── [3]( 「経済的奨学金」に賛成 ) 学生の質の向上は、大学の質の向上の特効薬 ┌─── │20%の「出来の悪い」学生のために教職員の80%の努力が費や │されるというような面がある。学生の能力・意欲等の底上げは、大 │学の質の改善に想像できないほどの効果がある。 └─── [4]( 「ST比改善」に賛成 ) 多様化って? ┌─── │立命のST比は異常だと思います。まして,グローバル化を考える時, │海外の大学では恐らく ST比は多くて20前後,もしくはそれ以下だと │思います。まして,今のST比の計算は単純に学生数を教員数で割っ │ているだけであって現場の実態を反映したものではないと思います。 │現に,社会系学部では小集団(基礎演+ゼミ(2ヶ年))だけで1年に受 │け持つ学生数は80名を越ています。小集団の無い2回生を加算すれば, │さらに+15名というのが実態だと思います。正直,これだけの学生に │1人1人対応するのは限界です。 │ │「学生の多様化」という点でも,この「多様化」は入試方法を実施 │する口実のように聞こえてなりません。私は国立でも勤務しました │が国立の学生が多様でない一様な学生だったとは思いません。むし │ろ立命での学生に対する接し方の方が余程一様であり,とても大学 │が言っているような多様化した学生に根付いた教育ができていると │は思えません。多様な学生に対応するには,それだけ,教員が学生 │と向かい合うことが必要だと思います。また,それが教育の質,学 │生の学ぶ意欲と主体性の尊重,ひいては,学びのコミュニティーへ │と発展していくのではないかと思います。 │ │まして,10年や20年で学部がキャンパスを移転するのは,一般的に │経営の失策としか思えません。確かに茨木は交通の便が良いところ │かもしれません。しかし,実際に重要なのは「入試の志願者数」で │はなく「入学した学生」なのでは無いでしょうか?また,自宅外の │学生が多いのも今の立命の事実だと思います。茨木は衣笠やBKCに比 │べれば,家賃相場は安いものではなく,これらの学生の更なる負担 │増にもなりかねません。 本当に学生・教職員のとって必要な投資を │考えて欲しと思います。 └─── [5]( 「ST比改善」「経済的奨学金」「内的発展」に賛成 ) 「改革しないことが次の改革」に賛成 ┌─── │法学部長が未来フォーラムで「改革しないことが次の改革」と発言 │されているが、核心をついている。最近の立命館の改革は評価を下 │げる効果しかないので、それをやめるだけでも立命館の評価はこれ │以上悪くはならなくなるし、「改革」に浪費された無形有形の資源 │が、他のことに活用できるようになる。 └─── 発言より: ■ 関関同立で抜きんでたいというのは単なるエゴだ ┌─── │これまでの長年の巨額な学費の積み上げを、「関関同立で抜きんで │たい」というだけの理由に使うのは非常に愚かだ。何が最も大切か │を理解していない立命トップのエゴにしか見えない。我々が現在教 │えている、目の前の万人の院生・学生に対する教育に投資しないと │いう経営トップの体質を抜本的に改善し教育を向上させることこそ │が、近畿の私学の雄として最重要課題である。今のレベルの経営方 │針・教育を大阪にシフトさせても、近畿の教育レベルは上がらない │し、日本の教育レベルも上がらない。我々の大儀も果たせない。 └───
http://www.ritsumei.jp/news/detail_j/topics/6562/year/2010/publish/1
┌─── │新聞紙上で「立命館大学が大阪にキャンパスを開設する」構想について、報道 │されていますが、この構想については、現在、全学の論議の途上であり、決定 │したものではありません。 │ │現在、学園では、立命館大学のキャンパスに関する将来構想の検討を行ってい │ます。 │ │この構想は、現在策定中の新中期計画(2011年~2020年)の特別委員会からの │報告としてまとめられ、全学での議論をおこなっているものです。 │ │新中期計画は、教育・研究の質的向上を目標としています。今次の構想は、そ │のためには、教学内容の改善とともに、そのための人的体制の整備とキャンパ │ス創造が重要であるとの考えのもと、まとめられたものです。 │ │今後、全学での論議を通じて検討を深め、構想が固まりました段階でお知らせ │させていただきます。 └───
┌─── │ 日時:一回目9月7日(火): 夕刻6:30より │ 二回目9月13日(月): 夕刻6:30より │ 会場:一回目、二回目ともエポック立命、3階会議室 └───