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国立大学独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports  No.31  2000.11.27 Ver 1.1

独立行政法人化問題 週報 Weekly Reports No.31 2000.11.27 Ver. 1.1 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-31-00b27.html (ミラーサイト http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-31-00b27.html) 総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html ==========================目次======================================== [31-1] 大学審議会答申 13年間、大学企業化政策をサポートしてきた審議会の最後の答申。自画自賛で 終っている。 [31-2] 調査検討会議組織業務委員会第1回〜第4回議事録発言通番付き 議事録が膨大になりつつあるので、発言に組織的通番を付けることを試みている。 委員の発言に対し、大学社会からの賛同・批判・コメントなどを付けていきたい。 [31-3] 調査検討会議(第3回目標評価委員会2000.10.18)」議事要旨発言番号付 中期目標という形式自身の賛否意見がある。主務大臣の干渉を排するために中期 目標・中期計画という形式は役立つという発言まで登場している。 [31-4] 設置形態検討特別委員会D専門委員会議事概要より 国立大学協会の中の、財務関係の委員会。具体的な内容が多い。 [31-5] 大学評価機構と国立大学協会の意見交換 半年に亙って大学評価機構から国立大学協会に情報が流れていなかったことが よくわかる。評価機構の運営には多くの大学関係者が参加しているのだから、 機構が事務局主導で運営され、内部でも事務局のアカウンタビリティが欠けて いることが明白になった。 [31-6] 11/15-6国立大学協会総会について 11月30日に設置形態特別委員会が開かれ「国大協の考え方」をまとめる予定 とのこと。総会での承認を経ずに独り歩きしないのか要注意。 [31-7] 地学団体研究会第54回総会『国立大学の独立行政法人化に反対する声明』 学術団体が反対声明を出すには時間を要するが、今後も多くの学術団体で意見 表明を試みて欲しい。 [31-8] 本の紹介:「人間を幸福にしない日本というシステム」より抜粋 トマスペインの「コモンセンス」が、イギリスからの独立に消極的であった世 論を変えたように、この本も、日本の官僚独裁制への国民の根深い依存心を克 服する契機を与えるかもしれない。 [31-9] 秋田喜代美氏「制度改革疲れへの懸念:システム論的見方と関係論的見方」 イギリスの教育改革が現場の教員に与えている深刻な影響をレポート。 [31-10] 河北新報:2000年11月21日:東北大生が講義棟を封鎖89の授業を休講 独立行政法人化問題についての学生の関心は広がりつつある。一般学生の関心 がどこまで広がるかが重要。 ====================================================================== ■意見・感想などを歓迎します。内容の間違いなどがあれば指摘してください。 #以下は発行者のコメントです。 ====================================================================== [31-1]大学審議会答申 [31-1-1]大学入試の改善について http://www.monbu.go.jp/singi/daigaku/00000393/ ---------------------------------------------------------------------- [31-1-2]グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について http://www.monbu.go.jp/singi/daigaku/00000382/ 「 おわりに ...  本審議会は,昭和62年9月に設置されて以来,高等教育の高度化,個性化 あるいはその基盤となる組織運営の活性化など多岐にわたる高等教育の課題に ついて審議を重ね,この答申を含め,累次の答申等により具体的改革方策を提 示してきた。  この十年余の間に高等教育全体としての改革の動きが大きく進展したことは, 高く評価されるべきであろう。もちろん,その進展の度合いは個々の大学等に より様々であり,高等教育関係者のみならず学生,社会,産業界等から依然と して厳しい問題点の指摘もある。  各大学においては,本審議会の答申等を参考としつつ,それぞれの自主的・ 主体的な取組により個性的な大学改革を不断に進めることが期待される。  大学を中心とする高等教育機関における教育研究活動は,社会,経済,文化 の発展や文明の構築に貢献するものである。社会の変革が急速に進むことによ り,大学等の果たすべき役割への期待も今後ますます大きくなるものと思われ る。グローバル化が急速に進展する今日,我が国の大学等における教育研究の 振興は,我が国民のみならず人類の未来に対する先行投資であり,また,責務 でもある。今後とも,広く関係者がこのことを自覚し,大学改革の不断の推進 とその基盤の整備に向けて更なる努力を傾注することを期待したい。」 #大学審議会最後の答申の「後書き」に、これまでの活動についての吟味はな い。これまでの膨大な答申は誰が起草してきたのだろうか。委員自身が起草し たことはあるのだろうか。議事録を見ると事務局の作文を所々手直しを求めて いるだけのような印象を受ける。13年間を通して委員であった方には説明責 任がある。 ---------------------------------------------------------------------- [31-1-3]大学審議会委員名簿(平成12年11月22日現在) http://www.monbu.go.jp/singi/daigaku/00000385/ #いくつもの審議会に名前を連ねている委員が居る。審議会委員「手当て」に ついての情報を御存知の方は教えて頂きたい。 ====================================================================== [31-2]調査検討会議組織業務委員会第1回〜第4回議事録発言通番付き http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/tkk/giji-a.html 委員や文部省事務局の発言に対する分析・批判・賛意等があれば、通番を付し て発行者まで御寄せ下さい。上のファイルに当該発言記載の後に掲載します。 他の調査検討会議委員会・国立大学協会設置形態検討特別委員会の議事録につ いても同様にする予定です。  協力して頂ける方がおられればよろしく御願いします。 ====================================================================== [31-3]調査検討会議(第3回目標評価委員会2000.10.18)」議事要旨発言番号付 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/tkk/mokuhyou-3-giji.html (○は委員、●は文部省) ○[2] 中期目標、中期計画という考え方は、個々の教育研究に馴染まないも のであり、かえって国立大学の活性化を阻害するものである。 教育については、主人公は学生であり、大学及び教官の役割は、学生の能力 をいかにして引き出すか、学生の創造的な自己形成能力をいかに養っていくか にあるが、学生は、それぞれ個性があり、能力、目標、人生観も異なる。これ らの学生に応じた教育を大学及び教官は行うものであるが、これを中期目標、 中期計画といった形で書類に取りまとめることは、意味がなく実際にはできな いと考える。したがって、中期目標、中期計画という考え方は、個々の教育に は適用されてはならないもであると考える。  また、研究は、未知の学術的価値の発見であり、それを中期目標、中期計画 といった考え方で示すことは、実際にはできないと考える。  個々の研究は、基本的には個人個人の頭の中でのひらめきであって段階的な ものではなく、不連続なものであり、既知のものの実行とは全く異質なもので ある。   この点で、国立大学の独立行政法人化に際しては、教育研究に対する中期目 標、中期計画というものが非常にふさわしくないものであることを明らかにし た上で、今後の議論を進めるべきである。 ○[11]...これまで自然科学の分野で、ノーベル賞など日本の研究者があげ てきた実績は、あまり経費を必要としない分野が多かったが、それは、外形標 準的な基盤的経費である当校費が、各分野の研究者に配分されていたことによ るものである。これは、少額であっても与えられた範囲の中で研究を続けた結 果が、ある時点で花開き、様々な形で経費も増額されていくというメカニズム が機能してきたものである。  したがって、運営費交付金は、基盤的経費として外形標準的な経費を保証し た上で、それに何かプラスする形で算出することを検討する必要があり、これ によって、今まで日本において機能してきたメカニズムを活かすことができる。  これに加え、様々な形での競争的研究費を更に拡充することによって大学の 活性化を図るべきである。 ●[15]...  さらに、独立行政法人制度における中期目標と中期計画は、主務大臣による 関与を明確化するためのものであり、別の言い方をすれば、主務大臣の関与を 制限するためのものであるということを理解した上で議論願いたい。 #「学問の自由を守るための中期目標と中期計画」という論理が登場。 ●[18] 独立行政法人の予算における人件費の積り方については、独立行政法 人通則法ではなく、それに基づいて作成された「中央省庁等改革の推進に関す る方針」(平成11年4月)に示されており、そこでは「「予算」に含むこと とされている人件費の見積りは、その算定の基礎として、あらかじめ一定のルー ルにより見積りを行う方法か、又は計画期間中の人件費の総額の見積りを行う 方法のいずれかにより行うものとする。当該人件費の見積りは、役員報酬並び に職員基本給、職員諸手当、超過勤務手当、休職者給与及び国際機関派遣職員 給与に相当する範囲の費用とするものとする」とされている。 ○[20]...中期目標は、独立行政法人通則法では主務大臣が一方的に決める ものであるが、「国立大学の独立行政法人化の検討の方向」(平成11年9月 20日 文部省)では、大学の自主性を尊重する上で十分協議し、大学の意見 を反映させる形で、最終的には主務大臣の決めるという変更案が示されており、 そういう意味では、中期計画、中期目標は、今までの単年度の概算要求が、3 年から5年を単位とする概算要求になったものとも考えられ、これは、大学に とって非常にメリットがあることである。 #このような発言を大学側の委員がするのは残念なことである。概算要求に基 づく現行システムと独立行政法人システムとは全く構造が違うので、予算の単 位が1年から3〜5年になる、というようなレベルで考えてはならないことく らい理解してもらいたい。目先の自由に目を奪われて本当の自由を手放す愚行 であろう。 ○[21]...一般の人には、大学の教官の仕事の内容はとにかく分からないわ けであり、これまでは、それをいちいち説明することは、手間もかかり、研究 の時間が割かれるということであったとは思うが、今後の民主主義社会の中で は、非常に長期的な夢のある研究ではあるが、今はあまり上手く提示できない といった内容も含めて説明していくことが重要になってくる。  これまでは必要なかったかもしれないこのようなことが、21世紀の民主主 義社会を考えた場合、大学といえども、その運営費が納税者の税金によって賄 われているからには、大学で行っている仕事の内容を納税者の代表である主務 大臣に理解してもらう必要があり、その説明の時が、大学の方から主務大臣対 して意見を言えるチャンスでもある。このようなプロセスは、非常に重要なも のである。 #ほぼ正論だが「主務大臣に理解してもらう必要がある」という考えが根本か ら間違っている。「主務大臣が理解する」とはどういう意味なのか。文部省の 1000名の職員が総動員しても、学問の個々の進歩を把握することなどでき るはずはない。 ====================================================================== [31-4]設置形態検討特別委員会D専門委員会議事概要より [31-4-1]設置形態検討特別委員会D専門委員会第1回2000.8.23 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/kdk/00a19-giji-zaisei.html ○[1-8]我々、専門家の立場でいえば、これは少し要求し過ぎだとか、あるい は会計原則上、それは無理であろうというような部分が起こる可能性もあるわ けで、その時、ここまでは譲れないという部分のところと最大要求している部 分のところで、恐らくかい離が生ずることになる。つまり、しょうがないとい うレベルの議論は相当のやり取りをしたうえで、落ち着くことになるわけで、 戦略性を出しながら取引のためのボール投げをする時の議論と落とす所の議論 の部分とかなり一貫性がないと、我々専門家は気にするところがあり、その意 味で難しいと感じている。 ○[1-15]当校費のように積算根拠がはっきりしているものは教官数と学生数で ○[1-20]国立学校特別会計について大蔵省はどのように考えているのか。 ○[1-21]文部省の意見統一ができていない状況で、口を挟む立場にないという のが公式な立場で、行政改革推進本部も同様である。 #衆議院予算委員会(1999/02/05) http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/giji-shu-yosan-99205.txt で太田大臣は「特別会計というものをさらに進めていくと、これは独立行政法 人の姿になるわけでございますから、...」と答えている。独立行政法人ご とに特別会計ができる、という認識で行革本部は捉えている以上、これは国立 学校特別会計の解消を意味している。この点については、改善があったという ことだろうか。 ---------------------------------------------------------------------- [31-4-2]設置形態検討特別委員会D専門委員会第2回2000.9.28 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/kdk/00a19-giji-zaisei.html#2 3 ○[2-1]独法化に関連し、会計処理問題について特殊法人と同様に官庁会計処 理と企業会計処理の二本立てで行われる可能性があると予想されているようだ が、それを避ける方策はあるのか。 ○[2-2]そのようになる可能性が大きいと思う。そのためにも重複をさける意 味で、文部省なり国立大学側から積極的にこのような会計処理基準でやるとい うような提言をしていく必要があり、また、公認会計士による監査も含め、監 査基準の検討もしておく必要がある。最終的な処理方法として、lT なり共 同処理機関を設けて処理していくしかないのではないか。 ○[2-10]...おそらく二つの評価軸があろうかと思う。一つは、大学側の努 力結果によって生じた剰余金、もう一つは、中期計画の想定が過少で生じた剰 余金が考えられる。後者は、おそらく国庫に戻入の形であるが、前者は、大学 側の努力により生じたもので、挙証責任は大学側にあることになる。その際に、 証明すべきものは何なのかということを予めルール化しておくことが重要で、 そうすれば基本的には国庫に戻入というような話にはならないと思う。 #2つの判定の間に客観的な差があるはずはない。誰が判定を下すのか。 ○[2-19]運営費交付金の説明に際し、各大学に対する算定基準に関し、地方の 国立大学にとって大きな意味があるといわれたが、そのあたりをもう少し具体 に説明願いたい。 ●[2-20]学生数、学部数とか、単純に面積的なものといった立地に関係なく、 その規模だけで測定されたとすると、おそらく地方にある大学の方が交付額が 減る可能性がある。今、地方交付税で起きているように人口集積が高い方へシ フトしており、それと同じように都市部から離れていることに対する立地条件 というのをどのように勘案するのか、それを算定基準に入れるのか入れないの かといったことを議論しておく必要があるのではないかと思う。 ○[2-23]独法化になれば、国の監査、さらに企業監査も受けることになり、非 常に煩雑な状況になる。我々にとって何のメリットも無いように思うが、将来 的には何らかの改善が計られる見通しがあるのかないのか。 ●[2-24]会計処理面でいえば、IT化みたいなものが投資されないとすれば、 かなり負担になると思う。そのあたりの環境整備がされれば自動処理で負担軽 減も図られる。しかし、その整備のための経費が莫大であり、移行時に国がそ れを担保するのかどうか、担保されなければ今まで通りのやり方をしなければ ならないことになる。しかし、監査が入るのは一期目の最後であり、その間に 検討する余地はあると思う。 ---------------------------------------------------------------------- [31-4-3]設置形態検討特別委員会D専門委員会第3回2000.10.27 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/kdk/00a19-giji-zaisei.html#3 ○[3-1]各大学に対し、どの位の予算配分がなされているのか。そのための配 分一覧表のようなものは無いのか。 ●[3-2]大学の性格等に応じ、また予算の歳入歳出構造も含めて、千差万別な 状況にあり大学ごとに経費の整理された資料は文部省としても持ち合わせてい ない。ただ、独法化された場合には、大学ごとに整理されていくと思う。 #文部省自身が大学毎の配分額を把握していない、と言っても誰も信用しない だろう。1993年以降把握できなくなったのはなぜか。大学院重点化すると把握 できなくなるのだろうか。もしも本当であるとすれば、深刻な職務怠慢ではな いか。 ●[3-6]評価の観点は、当然、今の時代に要求されていることで、例えば、研 究の状況等幾つかの指標を加味して総合的に判断し、学長裁量経費でいえば、 そこの部分に評価を加えて、多少増減をしている。 ●or○[3-10]今の話に関連して、評価の問題は、結局、大学評価・学位授与機 構でやる評価が絶対評価ではなく相対評価というもので、各大学が目標を設定 し、それに対しての到達度というものを計っていかないと、これは全く競争に ならないことになる。規模、置かれている地域、大学の性格等を単純に絶対評 価するだけでは意味がない。いずれにせよこれは予算に跳ね返ってくることな ので、そのあたりを慎重に整理しておく必要があると思う。 ====================================================================== [31-5]大学評価機構と国立大学協会の意見交換 (国大協第8常置委員会議事要録(2000.10.10) http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/niad/00a10-kdk-8iin.html #評価機構の一方的な進め方に対し、9月の段階で国立大学協会から抗議があっ たことがわかる。しかし、そもそも、国立大学協会関係者が数多く評価機構の 運営に参加しているのに、半年近く、評価機構の活動については国立大学協会 に情報が伝わらなかったことは重大な事実を示していないか。すなわち、評価 機構の運営に参加している国立大学関係者には何も知らされないままに事務局 が事を進めてしまっている、という事実である。大学評価機構内部でアカウン タビリティが最初から欠如しているのである。3月の国立大学協会第8常置委 員会報告書に書かれた「懸念の表明」 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00330-kokudaikyou-houkoku.html はポーズでしかなかったのではないかという疑念が浮かぶ。なお、議事から、 第8常置委員会では評価機構設立を強く推進した人が主導権を持っているよう だが、設立過程にタッチしなかった人たちが中心となって、先入観なしに評価 機構の活動を厳しく監視すべきであろう。 ○[9]国大協は機構とはきちんと対峙してやっていくが、(意見交換は)口頭か 書面かは、局面にもよると思うので、そこは柔軟に考えたい。しかし、仮にも 癒着ととられるようなことがあって、機構以外の評価機関を作れというような ことになれば、国立大学全体にとって大きな不利益になる。その点は注意深く なければならない。 #文部省と大学評価機構との癒着こそ問題である。機構の第三者性をどのよう に確保するかが、大学にとっての死活問題ではないか。大学評価機構を評価す る方法を編み出すことが鍵だろう。 ○[14]機構は、評価対象機関の選定を文部省に委ねるのではなく、機構として きちんとした調査の設定をするためにはこのようなタイプのところが必要であ るということで、自ら選ぶのがパイロットスタディの基本ではなかろうか。 ====================================================================== [31-6]11/15-6国立大学協会総会情報 [31-6-1](reform 3251)国大協総会の結果について 「国立大学協会総会が11月15、16日に開催されました。総会では入学試 験に関する方針(センターテストの5教科7科目必須化)について了承しまし たが、独立行政法人化についてはこの間の経過について報告したにとどまった とのことです。総会は16日の午前中に終り、午後は設置形態検討特別委員会 の分科会責任者が集まって長時間の会議が持たれたといわれます。  国大協は、11月30日に設置形態検討特別委員会を開き「国大協の考え方」 (今回の総会に提案するとも言われていた)をまとめる予定。その上で分科会 の討議を1月末まで行い、おそくとも3月中には法人化に関する個別の問題に ついてまとめたいとしているようです。以上の情報は、(reform)世話人が全 大教本部に問い合わせてお聞きした内容をまとめたものです。」 ---------------------------------------------------------------------- [31-6-2]『北海道新聞』2000年11月16日付 独法化検討会への国大協参加は遺憾/教職員有志が要請  国立大教職員有志(代表・辻下徹北大教授)は十五日、東京都内で総会を開い た国立大学協会(国大協)に対し、国立大の独立行政法人(独法)化について話し 合う文部省の調査検討会議への国大協代表の参加を撤回するよう、文書で要請 した。六百八十一人が賛同、道内からも北大、北見工大など六大学の七十三人 が名前を連ねている。  要請は、同会議への参加は「独法化の受け入れにつながらざるを得ない」と 危ぐしている。」 ====================================================================== [31-7]地学団体研究会第54回総会『国立大学の独立行政法人化に反対する声明』 http://kescriv.kj.yamagata-u.ac.jp/agcj/agnt001111.html 「...  地球科学をはじめとする基礎科学の研究や教育に、経営的な効率を重視する 安易な評価はなじまない。地球科学は、野外調査や観測などによる地道なデー タの蓄積から始まる学問である。このような基礎的分野の研究は、短期間で成 果をえられる学問ではなく、3〜5年という尺度では研究の評価は図り得ない。 しかし、中期計画とその実績評価によって、研究者や大学は、研究費の資金獲 得や生き残りのための競争に走らざるを得なくなる。その結果として,地球科 学などの長期的視野にたった学問研究がないがしろにされかねない。 国立大学の大半を占める地方国立大学は、地域の学問・教育・文化・産業の 拠点として貢献してきた。しかし、効率のみを重視した評価の導入により、大 学としての地域への貢献は軽視されるどころか消滅しかねない。また,経済性 重視の考え方は、授業料の格差を生じさせ、国民の等しく教育を受ける権利を 保障できなくなることが懸念される。 このように、国立大学の独立行政法人化は、国民の立場にたった教育・研究 を破壊し、国民の高等教育を受ける権利を侵害する、許しがたい暴挙である。 創立以来、学問の自由を守り、「国民のための科学」を求めて、地域に根ざ した活動を行ってきた地学団体研究会は、国立大学の独立行政法人化に強く反 対する。」 ====================================================================== [31-8]本の紹介:「人間を幸福にしない日本というシステム」より抜粋 カレル・ヴァン・ウォルフレン(鈴木主税訳)新潮OH!文庫 ISBN 4-10-290008, http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/common-sense/00b-wolferen.html 第1部 よい人生を妨げるもの  第1-1章 偽りの現実と閉ざされた社会 25  第1-2章 巨大な生産マシーン 51  第1-3章 無力化した社会の犠牲者たち 79  第1-4章 民主主義に隠された官僚独裁主義 102 第2部 日本の悲劇的な使命 143  第2-1章 日本の奇妙な現実 145  第2-2章 バブルの真犯人 197  第2-3章 日本の不確実性の時代 224 第3部 日本はみずからを救えるのか? 245  第3-1章 個人のもつ力 247  第3-2章 思想との戦い 266  第3-3章 制度との戦い 307  第3-4章 恐怖の報酬 334  第3-5章 成熟の報酬 347 ◆ p31 日本では民主主義は可能性に留まっている ここで、もう一つの概念を理解する必要がでてくる。「偽りの現実(false reality )」という概念である。日本では民主主義はまだ実現していない。い ぜんとして可能性にとどまっている。そして、私の言う偽りの現実が人々の頭 からかたときも離れず、おそらく日本に民主主義が生まれるのをはばむ最大の 障害となっている。」 ◆ p38:しかたがない」について 「しかたがない」と言うことは、政治的な主張である。...「しかたがない」 というたびに、いま自分が問題にしている点を改めようとする試みが、すべて 失敗に終ると言っているのに等しいからだ。こうして、変革をもたらそうとす る試みはいっさい成功しないと考えるよう、他の人々に勧めていることになる。 ◆p65:社会の「政治化」について ...もはや政府と民間の区別ができないというのは、社会のほとんどが政治 システムに組み込まれていることを意味する。..これを社会の「政治化」 (politicization)という。日本の社会は、ほぼ完全に「政治化」されている。 この「政治化された社会」という概念は難しいので、あとでもう一度、わかり やすく説明するつもりだ。これは日本のp市民に覚えておいてもらいたい最も 重要な概念の一つだからである。 ◆p79:日本の経済構造の歪みについて 社会学的観点からしても心理学的観点からしても、経団連や日経連をはじめと する経済団体と系列企業が日本にもたらした経済構造は、日本にたいへんな損 害を与えつづけている。戦後日本の2つの「偉業」−−「奇跡の経済」と中流 階級の抑圧−−が、日本の個人生活に多大な犠牲を強いていることは、何度言っ ても言い過ぎることはない。家庭生活の質や個人の人格形成に、日本ほど企業 が大きな影響をおよぼしている国は、他には見当たらないだろう。..たとえ ば日本の教育制度は、経済組織の要求にもとづき、その利益に合致するように つくられており、経済組織から受ける影響は欧米の教育制度よりもはるかに大 きい。 ◆p96:Responsibility と accountablitiy の混同ついて 今日の状況を考える場合には、2種類の「責任」を区別して論じておかなけれ ばならないと私は考える。すなわち、「責任」(responsibility) と「説明責 任」(accountability) である。  レスポンシビリティの意識とは、自分の決断や行動が重大な結果を生むか もしれない、だから軽々しく扱ってはならないと自覚していることであり、そ の意味での責任感なら、日本の政治エリートの多くがもっている。私も、日本 の多くの官僚が強い責任感を示すのを見てきた。彼等に欠けているのは、アカ ウンタビリティのほうなのだ。 アカウンタビリティに欠けているというのは、 自分たちが何をしているのか、なぜそうしているのかを、自分の所属する省庁 以外の人に説明するよう求められれていないという意味だ。何が日本にとって よいことだと思うか、なぜそう思うのか。官僚はそれを説明するよう要求され ていないため、自分の属する省庁の利益を超えた広い見地からものごとを考え られないのである。」 ◆p114 コンセンサス・デモクラシーという偽りの現実 日本の民主主義に関する偽りの現実は、いくつかの作り話からなって いるが、 その最たるものは、欧米諸国の官僚は議会の支配を受けてい るが、日本の官 僚は国民の代表の支配を受けなくてもいい、というも のだ。なぜなら、日本 は「コンセンサス・デモクラシー(合意による 民主主義)」の国だからとい うのである。」 ◆p130 日本では社会秩序が正義より重要視される。 社会秩序は、政治に関する日本人の考え方においては、当然のように いいも のとされている。正義よりはるかにいいものと考えられてい る。そのため、 日本の司法制度には、社会に正義が行われるようとり はからう人間はあまり いない。 ◆p153:日本では、官僚の権力が全く管理されていないことについて 日本の官僚制度が注目を余儀なくさせる側面、同時にきわめて恐ろしい側面は、 それを管理するものがいないことだ。日本の市民は、なかなかこれを実感でき ない。..日本にみられる政治現象は、たしかに他の国でも見られる。だが、 強大な権力が公的な権力として規定されないまま闇のなかに据えおかれている 度合いや、日本の社会が政治化されている度合い、また官僚の権力が管理され ていない度合いは非常に大きく、その点で日本は全く異質である。日本の市民 は、官僚が日本ほど放任されている大国はないという事実に気づくべきだ。 ◆p192:官僚には、変化への対応という低次元にしか選択肢がないことについ て 官僚の選択肢は、変化する世界にどういう戦術で対応するかという低次元にし か存在しない。彼らは状況に支配されるのだ。そして、国家としての日本の目 的にかかわる最高のレベルの選択肢は排除される。仲間を説得してそういう高 次元の選択肢を考えさせる権限や政治的意思をもつ者は存在しないのである。...」 ◆p193 日本の省庁は誤りを決して認めないことについて 事態を複雑にする要因もある。官僚も人間であり、人間は誤りをおかすものだ。 それなのに、日本の省庁は、自分が誤りをおかしたという事実を決して認めよ うとしない。このためにすべてが損なわれる。各省庁は、せいぜい広報面への 配慮が足りなかったことを謝罪するくらいで、根本的な誤りを認めることはな い。 ◆p250:指導者の無能と構成員の無関心が組織の有害な惰性を引き起こすこと について 国家や組織の構造について、少し考えてみよう。国家や組織の成員は、2つの グループに分けることができる。一方のグループは、組織の運営に実際に関与 するわけではないが、運営しているグループを監視し、彼等がきちんと仕事を していなければ干渉する義務がある。前者のグループの無能力と、後者のグルー プの無関心が、有害な惰性を引き起こす。 ◆p256:国家予算を官僚がすべて決める国は日本だけ 民主主義を標榜している先進工業国で、政府の使う金の額とその調達方法を、 選挙で選ばれたのではない官僚がすべて決定する国は、日本以外にはない。日 本以外の国では、これらの問題の少なくとも大部分を、選挙で選ばれた政治家 が決めている。 ◆p258:「しかたがない」という政治的言葉を辞書から追放すべきことについ て 個人はすべて、少しだけなら自分の環境を変えることができる−−この点は、 誰もが認めると思う。みなさんにも、そのような経験が少なくとも数回はある はずだ。そこからもう一歩進んで認識すべきなのは、とても小さな努力の積み 重ねが突如として大きな結果を生むことがあり、それがさらに重なれば重大な 変化をもたらしうるということだ。言い換えれば、日本を変えるための小さな 貢献が的を得たものであれば、しかも他の人々の小さな貢献とうまく結びつけ ば、かなり有意義な結果が得られるかもしれないのだ。 だが、そのためには、 まず基本的かつ重大な一歩を踏み出さなくてはならない。その最初の一歩は、 日本で最も頻繁に使われている「しかたがない」という政治的な言葉を、あな たの辞書から追放することである。これからは、決して「しかたがない」と思っ てはいけないのだ。 ◆p264:日本では、制度と思想を通して組織的に偽りの情報が流されているこ とについて< 私が知っている多くの欧米諸国やアジア諸国とくらべて、偽りの情報が組織的 かつ狡猾な手口で流されている点で、日本は最悪だ。..みなさんは、偽りの 情報を流す大きな媒体について知る必要がある。それは制度と思想である。制 度のなかには、大半の日本人が決して疑いを抱かないものもある。また、思想 のなかには、日本人がいつも当然のように受け入れているものもある。 ◆ p292 知識人は非民主的な社会統制計画に参画してきた 学者や編集者や文学者をはじめ、おおまかに、「知識人」と分類される日本の 文化人は、わずかな例外を除いて、同胞である日本の人びとの政治的解放を促 進するうえで大きな力になってこなかった。..そのかわり、彼らは官僚に協 力する傾向がある。知識人は非民主的な社会統制計画に−−ときには意識的に、 多くは知らないうちに−−参画してきたのである。 ◆p322:日本の市民社会は大新聞により乗っ取られていることについて 日本の市民社会の悲劇は、乗っ取られたことだった。市民社会が繁栄する見込 みは、独立した労働組合がつぶされ、戦後に短期間ながら独立していた司法機 関がふたたび官僚の支配下におかれたとき、すでに大きく損なわれた。だが、 日本の市民社会を最終的に乗っ取ったのは、大新聞だった。大新聞は、批判的 な政治分析を妨害し、官僚の権力を支持し、世論を反映するのではなく捏造し、 巨大な偽りの現実をかかげて、市民社会を乗っ取ったのである。 ◆ p330 新聞への働きかけの仕方について 日本に市民社会を築きたいと思う市民がここでなすべきことは、わりと簡単な ことだ。日本人の暮らしに大きな変化をもたらしている人物や組織に、新聞が 定期的に質問し、彼等が何をしているか、なぜそれをしているかを明らかにさ せるべきだと、編集者たちに主張しつづけるのである。...日本の真の権力 者にアカウンタビリティをはたさせるのは編集者の責務であると、市民が繰り 返し編集者に思い起こさせるべきなのだ。 ◆ p331 大学の役割について 大学は、ほとんどの場合、市民社会の強化に重要な役割を果たしてきた。とこ ろが、日本の大学では、新聞と同じく、市民社会を弱いものにしてしまう傾向 がある。つまり、日本の大学は現状維持のための勢力なのだ。...大学は、 日本を変えるためには邪魔なのだ。なぜなら、日本の学者は日本社会の支配の 実態とほとんど、あるいはまったく関係のない問題へと、人びとの注意をそら してしまうからだ。彼らは、難解な理論や無味乾燥な専門知識のなかに迷い込 んでいる。政治の現実を「科学的」に研究しているという言い訳によって、彼 らが現実から逃避している事実の重大性が隠されてきたのだ。 ====================================================================== [31-9]秋田喜代美氏「制度改革疲れへの懸念:システム論的見方と関係論的見方」 Child Research Net 教育Today http://www.crn.or.jp/index.html 「...  ある調査によれば、イギリスでは教師という仕事を引き受けてはいても、現 状に不満を感じ、「何かにとらわれている」という感覚や、どこかへ逃げたい と思っている人が、実は三分の一以上いるということです。  この、「教育改革疲れ」は、日本の学校にも当てはまるのではないでしょう か。「教師の専門性」が言われながらも、先生が本来の専門的仕事に打ち込め る時間は減少し、学校における教師の時間感覚が変化してきています。先生方 が感じているのは、時間の質の劣化と摩耗感覚です。つまり、制度は新しくなっ ても先生方は疲れを増していっているのです。 ...  これからの学校に必要なのは、制度改革論だけではなく、それを支える関係 性の構築なのです。一般に教師のストレスの低い学校では、子どもの話が出る し、教師同士の関係がその葛藤も含めよく見えるといわれます。学校やクラス を、システムではなく「関係」として見られる同僚性(教師間の関係性)や、 親や地域との関係づくりが必要となります。大きな改革ではなく小さな出来事 を語り合う関係性づくりによって「改革疲れ」を乗り越えていく方途が、今求 められていると思われます。」 ====================================================================== [31-10]河北新報 2000年11月21日付夕刊:東北大生が講義棟を封鎖、89の授業を休講  仙台市青葉区の東北大川内北キャンパスで21日午前、国立大の独立行政 法人化に反対する一部学生がストライキに入り、机やいすでバリケードを築い て講義棟3棟を封鎖した。川内北キャンパスで午前中に予定されていた89の 講義は急きょ、休講となった。  東北大学生課によると、ストには学生ら約60人が参加している。バリケー ド封鎖は、沖縄駐留米軍による陸上自衛隊王城寺原演習場(宮城県大和町など) での実弾砲撃訓練反対を訴えた平成9年11月以来という。 2000年11月22日付:東北大講義棟封鎖解除され授業再開  仙台市青葉区の東北大川内北キャンパスで21日午前、国立大の独立行政 法人化に反対する一部学生が実施したストライキは、東北大職員が午後3時 ま でに講義棟のバリケード封鎖を解除した。1−3校時の講義124クラス が休 講となり、4校時から再開された。 ====================================================================== ◆国立大学独立行政法人化問題サイトの入り口 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/ ====================================================================== 発行者: 辻下 徹 (tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp) homepage:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/tjst/ 購読希望の方は発行者に直に御申し込むか以下のページで登録してください。 登録 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/mg2.html 発行部数 1063 (2000.11.26現在) 内訳:Mag2:596 / CocodeMail:337 / Pubzine:59 /Macky!:37 / emaga:21 / melma:13 その他直送 約 200 /ダイジェスト版直送 約 2000 ===================================================================== End of Weekly Reports No.31 2000-11-27 **この週報は発行者の個人的な意思で行っています** ===================================================================