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Weekly Reports No.44 2001.3.19 Ver 1.1
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総目次:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/all.html
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国立大学の独立行政法人化問題に何らかの意味で関連すると思われるオンラ
イン文書の紹介を始めて一年が経過しました。大勢には余り影響のないことで
すし、どういう意義があるかはわかりませんが、もうしばらく続けてみようと
思います。ご意見や情報などがあれば御寄せください。感想でも結構です。
━━━━━━━━━━━━━━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[44-1]衆議院文部科学委員会第3回2/27議事録より
[44-1-1]3月14日衆議院文部科学委員会で予定されていた尾木直樹氏の意見
[44-2]第2回総合科学技術会議(2001.2.15 10:00-11:07)議事要旨
[44-3]文部科学省政策評価実施要領(平成13年3月15日文部科学大臣決定)
[44-3-1]発行者のコメント
[44-3-2]高等教育フォーラムより「文部省の役人の自己評価・外部評価はなくてよいのか」
[44-4]総務省・政策評価独立行政法人評価委員会
[44-4-1]政策評価・独立行政法人評価委員会 委員名簿
[44-4-2]第1回2001.1.26議事要旨
[44-4-3]■第2回2001.3.2議事要旨
[44-4-4]「政策評価に関する標準的ガイドラインの案」意見募集の結果
[44-5]独法化調査検討会議
[44-6]国立教育政策研究所ホームページ
[44-6-1]喜多村和之「新生「国立教育政策研究所」への期待」より
[44-7]民主党大学改革ワーキングチームの動き
[44-8]全大教「独立行政法人化問題」プロジェクト2001年3月15日
[44-9]■シンポジウム「21 世紀の大学像と京都大学の進む道」
[44-10]文書・資料・意見等の紹介
[44-10-1]社団法人日本工学アカデミー:「国立大学の独立法人化」への提言
[44-10-2]■戦後日本文教政策史要約年表(長谷川氏「私家版」、TeX形式)
[44-10-3]吉田和男京大教授(元大蔵省主計局主査)「大学での研究をいかに考えるか」
[44-10-4]岡部恒治・戸瀬信之・西村和雄(編)「算数のできない大学生」目次
[44-10-5]読者より 2001.3.16(Fri.)
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[44-1]衆議院文部科学委員会第3回2/27議事録より
http://www.shugiin.go.jp/itdb_main.nsf/html/kaigiroku/009615120010227003.htm
独立行政法人化関係部分の抜粋
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe1722.htm
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[44-1-1]3月14日衆議院文部科学委員会で予定されていた尾木直樹氏の
(中止となった)意見陳述のレジュメと資料
http://www2.odn.ne.jp/‾oginaoki/datainfo.html
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[44-2]第2回総合科学技術会議(2001.2.15 10:00-11:07)議事要旨
http://cstp.jst.go.jp/siryo/giji/giji02/giji-si02.htm
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[44-3]文部科学省政策評価実施要領(平成13年3月15日文部科学大臣決定)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/03/010315b.htm
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[44-3-1]発行者のコメント
この要領は、文部科学省の自己評価に相当するもので「政策評価に関する標
準的ガイドライン」政策評価各府省連絡会議了承2001.1.15(以下ガイドライン)
http://www.soumu.go.jp/kansatu/gaido-gaidorain1.htm
をほとんどそのまま写したもので、文部科学省が教育・研究を所轄するという
ユニークな使命の反映はない。わずかに、最後の「6。政策評価を実施するに
当たって考慮すべき事項 」に、「文部科学省の所掌する分野の中には、目標
や効果を定量的に示すことが困難なものや効果がすぐに表れないためにある程
度中長期的に効果を見なければならないものもあることに留意し、そのような
政策についても、政策評価を実施することの重要性に鑑み、評価手法の研究開
発、向上に努めることとする。」とある。大学評価の場合にも当然考慮すべき
事柄であると思うが、<評価手法の研究開発、向上に努めることとする>など
という悠長なことを大学評価機構は言ってはいない。
文部科学省に対する「外部」評価は総務省が行う:「総務省は、総務省設置
法(平成11年法律第91号)に基づき、政策を所掌する各府省とは異なる評価専
担組織の立場から各府省の政策について、統一的若しくは総合的な評価を実施
し、又は政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するための評価を実施する。」
(ガイドライン)これを担当するのが総務省「政策評価・独立行政法人評価委
員会」であるが、総務省も行政内部の機関だから結局は自己評価の域は出てい
ない(cf. [44-4-4])。
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[44-3-2]「文部省の役人の自己評価・外部評価はなくてよいのか」
高等教育フォーラムNo 521 (1999.10.20)匿名投稿より
http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/521.html
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[44-4]総務省・政策評価独立行政法人評価委員会
http://www.soumu.go.jp/kansatu/seisaku-hyoukaiinkai.htm
「政策評価・独立行政法人評価委員会は、総務省が行う政策評価の重要事項等
について自らの発意で総務大臣に意見を述べるとともに、そのため関係行政機
関の長から資料の提出、意見の開陳、説明等を求めることができるという権能
が政令で規定されています。」(ガイドライン案に対する意見に対する回答よ
り[44-4-4])
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[44-4-1]政策評価・独立行政法人評価委員会 委員名簿
http://www.soumu.go.jp/kansatu/seisaku-hyoukameibo.htm
委員長 村松 岐夫 京都大学大学院法学研究科教授
委員長代理
丹羽 宇一郎 伊藤忠商事(株)代表取締役社長
委員 樫谷 隆夫 日本公認会計士協会常務理事
竹内 佐和子 東京大学大学院工学系研究科助教授
竹中 平蔵 慶應義塾大学総合政策学部教授
富田 俊基 (株)野村総合研究所研究理事
永井 多恵子 世田谷文化生活情報センター館長
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独立行政法人評価分科会 委員名簿
分科会長
富田 俊基 (株)野村総合研究所研究理事
委員
樫谷 隆夫 日本公認会計士協会常務理事
竹内 佐和子 東京大学大学院工学系研究科助教授
臨時委員
雨宮 肇 旭硝子(株)専務取締役技術本部長
大田 弘子 政策研究大学院大学助教授
黒川 行治 慶應義塾大学商学部教授
黒田 玲子 東京大学大学院総合文化研究科教授
宮脇 淳 北海道大学大学院法学研究科教授
専門委員
稲継 裕昭 大阪市立大学法学部助教授
梶川 融 太陽監査法人代表社員
武田 尚仁 (株)東海総合研究所経営コンサルティング部副部長
山本 清 国立学校財務センター研究部教授
山谷 清志 岩手県立大学総合政策学部教授
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[44-4-2]第1回2001.1.26議事要旨
http://www.soumu.go.jp/kansatu/seisaku-giji-1301.htm
(政策評価・独立行政法人評価委員会、政策評価分科会及び独立行政法人評価
分科会の合同)
(7)事務局より、委員会の所掌事務・権限、委員会の調査審議事項、委員会
の審議の段取りについて説明が行われ、引き続き意見交換を行った。
意見交換の主な概要は以下のとおり。
○当委員会が、独立行政法人の主要な事務及び事業の事業の改廃に関し、主務
大臣に勧告した場合等は、その後のフォローアップを適切に行っていく必要が
ある。
○当委員会の委員が、各府省に置かれる政策評価に関する懇談会や独立行政法
人評価委員会のメンバーを兼ねることに関して考え方を整理しておく必要があ
る。また、外部監査人として独立行政法人の監査に関わった場合についても、
考え方を整理しておく必要がある。でき得れば、ルール化も含めて検討してほ
しい。
○委員会の意見は全員の合議の上、多数の議決により決するので、兼任するこ
とに法令上問題は生じないと考えられる。しかし、本委員会が客観的かつ中立
公正な立場から審議を行うことが求められていることとの関係上、委員自身が、
個々の事案の審議に際して適切な判断を行う事が求められる。ルール化につい
ては、色々な考えがあり得ることを踏まえた上で検討すべき。
○独立行政法人のメタ評価を行っていくにあたり、客観的な評価の基準・項目
を明確にしておく必要がある。
○独立行政法人について、中期目標等の作成、年度実績評価、中期実績評価等
のそれぞれの段階で、当委員会としてどのように関与していくことが可能なの
か議論していきたい。
○各府省の政策についてどのような枠組みで統一的・横断的な評価を行ってい
くのが適当か、今後議論していきたい。
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[44-4-3]第2回2001.3.2議事要旨
http://www.soumu.go.jp/kansatu/seisaku-giji-1302.htm
(政策評価・独立行政法人評価委員会、政策評価分科会及び独立行政法人評価
分科会の合同)
「(2)独立行政法人及びその評価の仕組みについて
事務局より、独立行政法人の業務、組織規模、国からの出資状況、役員の設置
等や独立行政法人の評価の仕組み(財務会計関係を除く。)について、独立行
政法人通則法の規定に照らしつつ説明が行われ、引き続き質疑応答を行った。
委員の主な発言は以下のとおり。
○個別の独立行政法人の評価に関して、府省の中で決めたことを府省の中の存
在が評価することに違和感があり、限界があるのではないか、との感想を持つ。
この委員会にしても形の上では総務省に置かれた存在であり、したがって独立
性の強調に係る委員長の努力によるところは大きい。
○通則法第2条にいう「民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されない
もの」の解釈は難しい。外国では政府が民間から資金を受け取って業務を受託
する例は珍しくない。
○民間企業であればROA/ROEなど、指標となる数値が存在する。評価の
客観性を高めるためには、定量的数値の設定に努力することが重要である。一
体どの程度独立行政法人の目標等が定量化されることとなるのか、注視してい
きたい。
○独立性の問題については、各省の委員会と当委員会との間でも一部にメンバー
の重複がある。第三者の立場での客観的な評価を行うという法の趣旨にしたがっ
て運営していくことが重要である。
○この委員会は、府省評価委員会による評価結果を評価していくことになるが、
一体どんなものが出てくるのか分からないのでは評価のしようがないことにも
なりかねない。きちんとした二次評価が可能となるような評価を行ってもらえ
るよう、方針や呼びかけを出していくことはできないか。
(3)意見交換
日本公認会計士協会において、独立行政法人の会計監査人と各府省の独立行
政法人評価委員会委員との独立性の問題について、次のような内容の申し合わ
せが行われたことが紹介された。
・独立行政法人の監査に関与する者(補助者、審査担当者を含む。)は、当
該府省の評価委員に就任しない員に就任する者は、当該府省の所管である独立
行政法人の会計監査に関与しない(補助者、審査担当者を含む。)
○公平性を担保する観点から、機関的なものを設けるということも併せて検討
したらどうか。
○公認会計士に限らず、本委員会の委員と各府省の独立行政法人評価委員会の
委員との兼任の問題もある。必ずしも今すぐ決めなければならないことではな
いので、引き続き議論していきたい。
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[44-4-4]「政策評価に関する標準的ガイドラインの案」意見募集の結果
http://www.soumu.go.jp/kansatu/bosyuukekka.htm
意見6:
「各府省や総務省の行う評価は、国民からみれば「行政内部で行う自己評価」
に過ぎず、客観性・独立性に疑問がある。第三者を評価の実施主体にすべきで
ある。
評価システムそのものが評価の目的を達成しているかという観点から、外部
の第三者が評価システムそのものの監査を定期的に行うこととすべきである。」
これに対する「意見に対する考え」という欄には次のような記述がある
「行政改革会議最終報告(平成9年12月)において、「政策の企画立案には、
政策の効果分析や評価が不可欠なものであり、政策の評価は各省の重要な機能
となるべきである」とされています。また、この最終報告を踏まえて内閣府設
置法及び国家行政組織法において、各府省は「その政策について自ら評価し、
企画及び立案を行う」こととされています。このように政策評価制度において
は、各府省が政策の企画立案を適切に行うために自ら評価を行うものとされて
います。
そして、ガイドライン案では、各府省の政策評価の客観性及び透明性を確保
するため、(1)必要に応じ第三者等を活用すること、(2)可能な限り客観的な情
報・データを用いて評価を行うこと、(3)評価の結論のみならず用いたデータ
や仮定等の前提条件等に関する情報を公表することに努めることとしています。
さらに、(4)総務省が各府省の政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保する
ための評価を行うこととされ、これに加えて総務省が行う政策評価について民
間有識者等により構成される政策評価・独立行政法人評価委員会が調査審議し、
意見を述べることとされています。
後者の意見については、そのような取組が評価の客観性等を確保する上で、
実際的かつ合理的と考えられます。
政策評価・独立行政法人評価委員会は、政策評価に関する基本的事項及び総
務省が行う政策評価に関する重要事項について調査審議し、これらに関し総務
大臣に意見を述べることができると政令で規定されており、その運営において
意見のような役割を担うことも期待されます。」
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[44-5]独法化調査検討会議
「財務会計制度委員会(第3回2001.1.19)」議事要旨より抜粋
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/006/gijiroku/004/010301.htm
・大崎仁委員から、諸外国のファンディングシステムの仕組みについて説明
(◇:文部科学省、○:委員)
○イギリスにおける教育の質の評価は、カリキュラムのデザイン・内容とその
構造、教育・学習とその評価、学生の進歩と教育目標の達成度、学生に対する
支援と指導、教育機器及び教育施設、教育の質の点検と維持・強化・発展の六
つのカテゴリーを専攻分野ごとに、その専攻分野の専門家が4段階にピュアレ
ヴューで評価している。
それとは別に大学全体としての評価というものもあるが、これは一種の助言
みたいなものである。
◇日本の大学評価に関する状況は、昨年の4月に学位授与機構を改組し、新た
に創設した大学評価学位授与機構において、平成15年度からの本格的な実施に
向け、大学関係者以外の方々にもご協力をいただき準備が進められている。
大学評価は、すべての国立大学の教育・研究活動のそれぞれについて、専攻
分野別の評価を行うことで準備を進めているが、具体的な内容はまだ決まって
いない。
教育活動の評価についても原則ピュアレヴューと考えてもよいかと思う。
・・・・
○人事制度委員会では、独法化すれば必ず人を雇えるといわれている。国立大
学が21世紀に世界の大学と競争していくためには、優秀な人材をたくさん雇う
とともに今以上に多くの人を雇っていかなければならない。しかし、今でも運
営費に占める人件費の割合が6割を越えている。そういった中で簡単に独立行
政法人化すれば必ず人を雇えるといえるのか、実際には雇えないのではないか
という危惧がある。
◇実際に人件費が増えるかどうかというのは時の政府の財政状況、それから国
立大学に対する社会の評価ということに関わってくるが、独立行政法人制度上、
国は事務事業が確実に実施されるよう人件費を含め所要の財源措置を行うとさ
れている。人件費についても評価が前提になるのであれば、評価に応じたしか
るべき予算措置がされることになる。
国立大学が独立行政法人化した場合に、人件費がどうなるのかという話につ
いては一般論というよりも、各大学ごとの業績こそが問われると考えている。
○財務会計制度で一番問題になるのは、自己収入の扱いだと思う。
自己収入と運営費交付金に関連する収入を一緒に合算をして損益計算をする
のでは、努力をして収入を上げても稼げば稼ぐほど運営費交付金が減っていく
構造になっていて、国立大学に対するインセンティブが働かない。例えば、イ
ギリスのように公費で措置する教育と研究の機能をはっきりとし、そこ以外は
競争してもらうという、一種のセグメント化をしなければ、国立大学の自主自
律もないし、競争による効果も出てこないと思う。是非、財務会計制度の設計
の基本として、取り入れていただきたい。
・・・
○財務会計制度を設計していくときに二つのポイントがあると思う。
一つ目は、時代の流れにマッチした財務会計制度の方向性を早く示し、追い
風が吹いている間に制度設計を終わらなければならない。それが国際化や競争
的な資金配分、あるいは国立大学全体のレベルアップにどのように繋がってい
くかを関係者が直感的にイメージできる方向性の中で議論を急ぐ必要がある。
二つ目は、いずれにしても独立行政法人化後は、まったく新しい方式で予算
配分を行うことになるが、そのときにまず初期値をどういう具合にそろえるか
という問題がある。つまり、財務会計制度を移行時とその後の二つの局面に分
けて考え、特に移行時においては設計した財務会計制度と現状があまりにも乖
離してしまうと現実には機能しないため、できる限りスムーズに繋がるように
する必要がある。そのためにも、考えられる新たな仕組みの現状との関係や相
違点を明確にし、それがもたらす時系列的な効果を整理する必要があるのでは
ないか。
・・・・
○今までの議論を聞いていて違和感を感じる。財源をどうやって増やしていく
か、どう確保するかということに関心が集中しているが、競争をし、効率化を
進めていき、その上で、節減できた財源を社会の要請を勘案しながら重点的に
活用できるようにすることが本旨ではないか。
国立大学に対する風は全くの逆風であって、国の教育研究機関として社会の
ニーズに十分応えていないという問題が提起されていると思う。企業から派遣
される留学生もアメリカへ留学するケースが増えている。あまりにも学問的な
興味と狭い世界に走りすぎ、社会や産業と乖離してしまい、社会や産業に結び
ついた役割を果たしていない。
社会の変化に対応して積極的な役割を担うべく、例えば、世界中から留学生
がやってくるすばらしい国立大学を作るとか、こういったことをやるから資金
がほしいといった方向で制度的な議論をするべきではないか。
・・・・
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[44-6]国立教育政策研究所ホームページ
http://www.nier.go.jp/
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[44-6-1]喜多村 和之(前国立教育研究所教育政策研究部長)
「新生「国立教育政策研究所」への期待」より
http://www.nier.go.jp/homepage/kyoutsuu/kyoutsu2/126-45.htm
「・・・・・
--行政改革と研究所--
・・・50年の歴史をつうじて、国教研は基礎的研究と実際的研究、学術指向と
政策指向の双方の道をいき戻りしてきた。時期によっては一方に偏り、あるい
はその反動があった。大學と研究所との差異、政府と研究所との関係、とりわ
け教育研究の社会的役割等について、国教研は固有の存在意義を必ずしも世間
に納得させることに成功してきたとは言えない。すくなくとも、政治や行政の
論理から推進されてきた行政改革という外圧に直面したとき、学術や研究の論
理による抵抗は結果的には無力で、積極的にこの流れに対抗できるような創造
的な構想も必ずしも産みだせなかったと、自省の念を込めて告白せざるを得な
い。・・・
--政策研究機関としての国教研--
ともあれ国教研は「政策研究」を看板とすることによって、文部省の唯一の
国立所轄研究所として存続することとなった。・・・いかなる政策も、実施さ
れれば社会の各方面に少なからぬ影響を及ぼすことは必至であるし、一方で、
メリットがあれば他方で重大なデメリットをもたらすといった結果を免れない。
それゆえ国民や世論の動向を見定め、その政策の結果についての「事後評価」
だけでなく、その政策が実行された場合にはどのような効果や副作用がもたら
されるかを、予め予測する「事前評価」を提示することも必要となろう。さら
には従来政府が実施してきた諸政策や行政手法の適否の判定までも調査研究の
対象になり得る。こうした仕事は政策の形成や実施を行う当事者である政府が
なしうることではなく、どうしても行政の現場から一歩離れて冷静かつ客観的
に研究調査に専念し、時に応じて助言できる力量をもつ所轄研究機関が必要な
のである。
--所轄研究機関の自由と自立性--
もしこうした研究機関が行政にとっても不可欠であることを文部省が適切に
認識するのならば、この所轄研究機関には、率直な政策評価や助言をおこなう
ことが許される研究上の自由が保障されなければならない。政治や行政にとっ
て不都合な研究調査を許さない風土では、真の意味での政策研究は不可能であ
り、そのような条件のもとでの研究成果は結局は日本の国民の利益に添うもの
にもならないと私は考えるからである。・・・」
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[44-7]民主党大学改革ワーキングチームの動き
「内藤正光メールマガジン」より(Internet Explorer で閲覧可能)
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[44-7-1]Vol.34(2001.3.16) 「国立大学改革について」
http://www.mnaito.com/mailmagazine/vol_34.htm
「森田朗東大法学部教授を呼び国立大学改革に関する第2回勉強会を開く」
森田教授は国大協設置形態検討特別委員会:人事システム専門委員
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[44-7-2]Vol.32(2001.3.13)「大学改革についての民主党内の議論、始まる」
http://www.mnaito.com/mailmagazine/vol_32.htm
黒川東海大学教授(日本学術会議副会長)を呼び勉強会
cf.[27-3] 黒川清氏(日本学術会議副会長)「日本の科学研究のあり方への提言」
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[44-8]全大教「独立行政法人化問題」プロジェクト2001年3月15日
「国立大学等の独立行政法人化問題に関する政策的論点整理」(骨子)
http://www.zendaikyo.or.jp/dokuhouka/zendaikyo/seisakutekironten.htm
「具備すべき緊急かつ重点的論点
1 大学は教育研究活動を通じて学術・文化の形成に寄与する自律的存在であ
り、国はこれをあらゆる側面から支援する責任を負う。このことを明らかにす
るため、国が大学の設置管理者であり、費用負担者であることを明確にする。
このことが国立大学の設置形態の議論をする前提となるべきである。
2 独立行政法人通則法を前提とした個別法はもちろん、その調整法、あるい
は特例法ではあっても、そうした国立大学の設置形態は、大学の自主性と財政
基盤の強化にとって致命的となる危険性を有している。大学の組織原理にふさ
わしい法律のあり方を追求するべきである。
3 大学は、教育研究活動の目的、これを実施する計画と体制について、自主
的に企画立案する。これに対する国の関与は大学との協議にとどめ、助言の性
格をもつものに限定されるべきである。
4 大学の意思は、その範囲と対象に応じて、評議会と教授会が分担しつつ協
力して決定し、学長が執行する。
5 学長等、大学の意思決定とその執行に責任を負うメンバーは、大学の構成
員による選考に基づいて任命されるべきである。
6 国が大学の設置管理者である以上、大学の教職員は国家公務員とすべきで
ある。また、教育公務員特例法の適用は維持されるべきである。
7 財務・会計制度については、その財源拠出が社会の多様な構成員に基づく
ことを考慮して、透明性と公平性を基礎とし、企業会計原則によることなく、
大学の公共性と非営利性にふさわしいものとすべきである。
8 大学の評価は自己点検を基本として行う。外部評価・第三者評価は、専門
性・科学性・公平性を基礎として、大学の改善と発展に寄与するために行うも
のとし、いわゆる資源配分に直結されるべきではない。大学評価は、多面的に
行われるべきである。
9 大学の社会的責任を大学総体として果たすため、大学間連合ないし連携制
度を確立する必要がある。」
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[44-9]■シンポジウム「21 世紀の大学像と京都大学の進む道」
第2回(2001.3.9)長谷川氏メモより
http://www.math.tohoku.ac.jp/‾kojihas/2001/0309kyoto
「和歌山県の実話:..梅の実りをよくするために、受粉のためのミツバチをつれて
きたそうだ。すると確かに、はじめの 3 年は実が 3 倍ついたが、その後は木の体力
がなくなり枯れ始めた」
・・・
「今は本当にわからない情勢です。大学人の中で、独法化が規定路線と思う人
が増えてしまった。これが大きい。」
・・・
「独法化されたとき、評価の使われ方は変わるのか。」
「一期 5 年のあとにならないとわからない。鍵を握るのはどうせ総務省。人
事と同じで、難クセはどうにでもつけられるし、駄目なことはいくらでも言え
る。それがまず一期目。」
「その通り。やっと大学も気がついて言いだしたが、総務省の審議会は一期後
にその組織の改廃を簡単にできる。反論の機会があるとはされているが、一度
議題にのぼったら勝つ見込みはない。」
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[44-10]文書・資料・意見等の紹介
[44-10-1]社団法人日本工学アカデミー:「国立大学の独立法人化」への提言
政策委員会 国立大学独立法人化小委員会 2000年11月16日
http://www.iijnet.or.jp/EAJ/proposal/kokuritsudaigaku.html
「日本工学アカデミーは、工学の立場から、下記の提言をいたします。
1. 行政に支配されない独立法人化を推進する
2. 身分は非国家公務員型とする
3. 事務部局も独立法人化に含める
4. 教育の改革、充実に務める
5. 適切な継続的評価システムを設ける」
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[44-10-2]■戦後日本文教政策史要約年表(長谷川氏「私家版」、TeX形式)
http://www.math.tohoku.ac.jp/‾kojihas/TeX/bunkyo0315s
山崎政人「自民党と文教政策」(岩波書店) 他を年表形式にまとめたもの。戦
後の自民党の教育政策の変遷が詳細にわかる。約4万8千字のこの資料の最後
に記されたの「感想」に耳を傾ける政治家はどれだけ居るのだろうか。
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[44-10-3]吉田和男京大教授(元大蔵省主計局主査)「大学での研究をいかに考えるか」
「財政改革が日本を救う」p168-170 日本経済新聞社刊1998 ISBN 4-532-14648
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/317-yoshida.html
--研究機関としての国立大学--
一方、国立大学は研究機関としての機能を持っている。学術研究は公共財とし
ての性質が強い。すなわち、この研究の成果は排除不可能であり、競合性はな
い。したがって、よく議論される国立大学の民営化の主張においても、現在の
一兆円を超える繰入額の大部分を減額することは、研究の中止を意味している。
学術研究は公共財の性質を強く持つので積極的に国家の関与する分野であるべ
きだ。したがって、もし仮に民営化しても、研究助成金が必要となる。
しかし、教育と研究を明確に分離することも難しい。それは一つには後継者
を育成しながら研究する必要があり、また、教育を行うことが研究の促進になっ
ている、というニつ間のバランスに留意する必要がある。研究においても、研
究機間を助成するのか、研究を助成するのかが問題となる。特定の研究を助成
することは、国家にとって必要な研究を促進することに有利である反面、研究
には非常に長い期間と費用がかかる。となると、各学問の伝統の中で幅広く促
進しておく必要もある。
ある必要とみられた議論が意外に長持ちしなかったり、見捨てられていた学
問が急に注目を集めたり、急に発展することも珍しくない。また、他の学問を
理解することはきわめて難しく、それぞれを評価することの難しさは否定でき
ない。したがって、ある程度のバラマキ的な要素も否定できない。しかし、研
究機関支援だけでなく、研究支援を行うことで予算,研究資源の効率的活用が
可能になろう。
--研究を支える基金--
いずれにしても、高等教育ももっと自由に機能できるものでなければ、本来
の役割も果たすことができない。価値財的性質の強い高等教育と公共財的性質
の強い研究を同特に行わせるためには、たとえ民営化によって私立大学化した
としても、同時に研究を支えるための基金が必要になる。
大学に基金を持たせて、その収益で運営しているアメリカの大学は、その機
動性と自立性を同時に兼ね備えている。たとえば、現在の経費を一定率で割り
引いた交付国債を交付して、その運用益で大学を運用することとし、特別会計
でなく一種の会社としてその内容を大学に委ねることも一つの方法になる。い
わゆる教授等の給与の資金(教授の給与はチェアーの基金から出される)とと
もに基本的な研究費用も基金の運用益から供給されねばならない。交付国債で
あれば国債の利子が収入となる。学問の自由と国家予算との矛盾から解放され
るためにも有効な手段となろう。
このように高等教育・研究分野にも、競争原理を持ち込むことになり、より
効率的な教育・研究を可能にしていくだろう。一般に考えられている民営化論―‐
学生の授業料で大学を運営しろというのは「私立大学」ではなく「専修学校」
の発想である。新しい時代をつくる発想から改革を考えねばならない。」
♯交付国債について(日経手帳1999.10より)
「昨年10月施行の金融再生法で政府は、金融機関の経営破たん急増に備え、
預金者保護のため7兆円の交付国債を準備しました。交付国債はもともと、第
二次大戦の戦没者や強制引き揚げを余儀なくされた引き揚げ者を支援するため
に、現金の代わりに支給した国債です。金融システム安定化のために準備した
のは異例なことです。数万円から数十万円の券面が普通で必要に応じて現金化
できますが、性格上譲渡が禁じられています。...交付国債は使った時点で
国民負担に直結します。」
http://www.nikkei.co.jp/rcafe/today/9910/15.html
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[44-10-4]岡部恒治・戸瀬信之・西村和雄(編)「算数のできない大学生」目次
東洋経済新報社
1 学力調査 2000 --- 理工系 (戸瀬信之、西村和雄)
2 教育論の 7 つの誤り (江沢 洋)
3 技術大国日本 風前の灯火 (小久保厚郎)
4 教育問題を優先するアメリカ (訳:戸瀬信之、西村和雄)
5 大学の理科教育からみた大学と高校と入試の問題点 (正木春彦)
6 学力低下は国力低下につながる (松田良一)
7 数学の衰亡 --- 湯のなかの猿 (砂田利一)
8 本当に日本の小・中生は学力が高いのか
--- 国際数学教育調査報告と現実 (岡部恒治)
9 2002 年以後の教育改革は成功するか--- 政策評価の試み (苅屋剛彦)
10 教員養成系の大学・学部をめぐる問題について (黒木哲徳)
11 教員養成系大学・学部の改革 --- 現状と問題点 (村田 博)
12 大学からみた学力低下問題 (上野健爾)
13 日本の大学での数学教育はいま (浪川幸彦)
14 近年の教育改変についての一考察 (長谷川浩司)
http://www.math.tohoku.ac.jp/‾kojihas/TeX/k000717/k000717.html
15 日本の大学における国際化の虚と実 (星野靖雄)
16 座談会 --- 「大学生の学力低下の現状」
(西村・足立英之・平田純一・村田博・上野健爾・戸瀬信之)
17 教育 2002 年問題署名活動 (NAEE 2002)
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[44-10-5]読者より 2001.3.16(Fri.)
「週報抄拝読させていただきました。その冒頭[43-1]の「納税者・・・」につ
いて次の2つのことを思い出しました。
(1)公務員も納税していますから納税者のはずですが、公務員以外の人には、
「公務員は税金から給与を得ているのだから、公務員は納税していないのだ」
というあまり論理的とは言えない思い込み、風説の類が流布しているようです。
個人については官民いずれを問わず、働くことによって付加価値を生み出し、
それで得た報酬から納税しているのですが。この点は本来、人事院あたりがき
ちんと説明し、理解を求めるべきでしょうが、我々もそれに任せきりではいけ
ないのでは。
(2)首尾よく公務員(行政官)になった元女子学生のボヤキで、こんなのが
あったとのこと。
「公務員になれば民間と違って残業なんか無いと思ってたのよね。でもなって
みたらやっぱりあるじゃないの!!」
これは何かの雑誌で読んだもので、出典をお示しできないのが残念ですが、今
どきの若者の本音としてありそうな話ではあります。ちなみに大蔵官僚だった
現東大教授の野口悠起雄氏の著書には「月に」300時間残業させられた(こ
れでは役所内に住み込みだったと言うべき?)との体験談があり、また、厚生
官僚だった故宮本政於氏も同じようなことを書いていました。これも(1)と
共通した、あまり論理的とは言えない思い込み、風説の類による誤解のようで
す。
以 上」
♯発行者のコメント
[38-10]で紹介しましたが、公務員の過労自殺も少なくありません。川上博「過
労自殺」によれば国家公務員の定員は1968-1996で約4.3万人が減少し、定員減
は主として地方勤務とされています。中央省庁だけでなく、地方公務員の激務
の様子は[36-8]で紹介した「行政監視局」
http://www8.freeweb.ne.jp/area/kanshi/
への投稿からも伺われます。
大学職員も持続的定員削減を引き受けるとともに「大学改革」のための事務
が増え、激務の度合いが増しつつあります。Yahoo! の掲示板「ホーム>教育>
入学試験や各種資格>資格試験、テスト>国家公務員」に国公立大学職員を目指
す若い人の質問に対する、東京近郊の大学職員らしい方の回答があります。
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&action=m&board=1030289&tid=9qna9bg3xbfa60wa4nbbebbvfbmfa4ka4da4a4a4fa1d&sid=1030289&mid=3
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=ED&action=m&board=1030289&tid=9qna9bg3xbfa60wa4ka4ja4ka4ka4oa1a9&sid=1030289&mid=2
大学教員の仕事も、果てしない、形の上の「大学改革」への応対で、この意
味での激務の度合いが増しつつあります。それが大学教員を「活用」し大学を
「活性化」することになる、ということのようです。
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発行者: 辻下 徹
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/
e-mail: tujisita@geocities.co.jp
発行部数 1185 (2001.3.18現在)
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End of Weekly Reports 44
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