http://ac-net.org/wr/wr-71.html 総目次:http://ac-net.org/wr/all.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [71-0] 内容紹介 [71-0-0] パブリックコメントと科研費申請 [71-0-1] 国立大学独法化阻止ネットによる10/5 討論集会に105名参加 [71-0-2] 中間報告「新しい「国立大学法人」像について」を巡って [71-0-2-1] ◆「剰余金」の正体 [71-0-2-2] 国大協臨時2時間総会10/29計画の謎 [71-0-2-3] 経団連の「2001年度規制改革要望書」 [71-0-3] 経常的研究資金をなぜなくすのか? [71-0-4] トップ30政策 [71-0-4-1] 活気づく大学ランキング業界 [71-0-4-2] トップ30政策:暗闇への抛擲 [71-0-4-3] 研究評価は本当に易しいのか ━━━━━━━━━━━━━━━━━[71-1] 中間報告を巡って [71-1-1] 国大協の応対 [71-1-1-1] 国大協設置形態検討特別委員会(第14回 2001.9.19 議事メモ) [71-1-1-2] ◆国立大学協会会長談話 2001.10.1 [71-1-1-3] 「文科省とスケジュールをあわせた10.29国大協臨時総会」 [71-1-2] 社説集 [71-1-2-1] ◆北海道新聞社説(10/5)「国立大法人化*地方切り捨ての不安」 [71-1-3] 大教作成資料:文部科学省調査検討会議 「中間報告」新旧対照表 [71-1-4] 自民党文部科学部会・文教制度調査会合同会議(2001.9.27) [71-1-5] 東京大学職員組合見解(2001年10月2日)抜粋 [71-1-6] 2001年度経団連規制改革要望:非公務員型の導入 [71-2] 文部科学省 [71-2-1] ◆合田大学課長講演「大学構造改革と私学」(2001.9.4) [71-3] 研究費をめぐる調査・議論など [71-3-1] 「我が国の研究活動の実態に関する調査報告」のポイント2001.9 [71-3-1-1] 調査方法 [71-3-1-2] 要約 [71-3-1-3] ◆経常的研究資金の必要性の理由もしくは効用(複数回答) [71-3-1-4] 競争的資金の必要性の理由もしくは効用(複数回答) [71-3-2] 「ネットによる公開討論会”独創的研究とは”」(2000.9.8-12.31) [71-3-2-1] 本庶 佑「独創的研究とは何か」 [71-3-2-2] 山岸秀夫、科学者のモラルと喜び(2000/09/25) [71-3-3] ◆渡邊勇一「研究評価の難しさ(その1)」 [71-3-3-1] 渡邊勇一「研究評価について(2)」(2001.10.1) [71-3-3-2] 参考:[58-1-2]渡辺勇一(新潟大学)2001.6.24 [71-4] トップ30政策が元気つける大学ランキング業者 [71-4-1] 清水建宇「大学幕の内」「大学ランキング」創刊者のフォーラム。 [71-4-1-1] 1999.4 東大入学式学長式辞 [71-4-2] 旺文社「文部科学省御用達 国公私「トップ30」とは……?」 [71-4-2-1] 平成12年度 国立大学別歳出&歳入決算額(百万円) [71-4-2-2] 朝日新聞夕刊(10/03)「大学トップ30、河合塾・旺文社が私案 」 [71-4-3] (再)河合塾シンポ 2001.8.23、一傍聴者のメモ. [71-4-4] ◆喜多村和之氏の懸念 [71-4-5] (再)喜多村和之「国際評価は公正か―自虐的な日本人の大学評価」 [71-4-6] (再)大学ランクは信用できず 米誌の元担当者が暴露 [71-4-7] 市川昭午「大学評価と資源配分」第6章 [71-4-8] (再)『国公私「トッブ30」の概算要求について』の懇談について(報告) [71-4-9] 「全国ネット」へのリチャード・ゴンブリッチ氏のメッセージ [71-5] 国大協会長への公開質問状と回答 [71-5-1] 国大協会長への公開質問状2001.6/7, 9/16 [71-5-2] 公開質問書に対する国大協会長からの回答2001.9.27 [71-6] ◆福沢啓臣「グローバル化とドイツの大学改革」(2000.3.9) [71-7] 報道より [71-7-1] Nature「日本のとった呆れかえる狂牛病対策」 [71-7-2] 読売「名大教員に「高等研究院」 年度内にも新設 講義免除、任期5年」 [71-8] 発言 [71-8-1] ◆九大移転問題・独法化問題・研究院構想に関する意見交換の広場 [71-8-2] 市川昭午「高等教育費の国際比較―少ない日本の高等教育費支出」(2001.09.19) [71-8-3] 矢野 眞和「大学教育の質と経営」(2001.10.3) [71-8-4] ◆長谷川浩司氏ウェブサイトより「最近の動きについて 2001.9.21,20,19」 [71-9] 議員会館での討論集会[70-4]に105名参加 [71-9-1] ◆豊島耕一「4年で価値規範は変わらない」10.5国会内集会レジュメ ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [71-0] 内容紹介 [71-0-0] パブリックコメントと科研費申請 パブリックコメント[70-2]の期間(10月29日締切)は、学術振興会科学研 究費の申請期*1 と重なっている。申請件数は平成13年度で11万3千件 (採択2万1千件)*2。申請数に比例する採択数、経常的研究資金廃止に向か う流れの加速、そして、学内外の競争的資金配分の根拠となる科研費取得実績、 ーーーこれらが背景となって、年々強まってきていた、多数種目申請傾向が、 遠山プランを契機に強まり、大学・学科・分野等の指導が強化され多くの教員 が申請準備に時間をかけていることが推測される。しかし、今年度の申請種目 数を1つ減らしても、パブリックコメントに時間を割き、経常的研究費がなく なる「国立大学法人化」に各人が疑義を呈すべきではないだろうか。経常的研 究資金があってこそ効を奏する競争的研究資金であることは、調査結果[71-3-1-3] が示すように、どちらかと言えば応用的なテーマの研究者にとっても当然のこ とと認識されている。 *1 http://www.jsps.ab.psiweb.com/image/schedule1.gif *2 http://www.jsps.ab.psiweb.com/sinsai.gif [71-0-1] 国立大学独法化阻止ネットによる10/5 討論集会に105名参加 豊島耕一氏「集会は国会議員8名を含む105名の参加で成功裏に終わりま した.参加者の皆さん,どうもありがとうございました.主催者では予定して いなかったのですが,集会決議を出そうという提案がフロアから出され,議長 団に委任されました.参加された皆さんは次の「集会決議案」をクリックし, ご検討下さい.10日(水)までご意見を伺います.大きな異論がなければ5日 にさかのぼっての「集会決議」としてメディア等に公表します.」[71-9] 豊島氏の「4年で価値規範は変わらない」[71-9-1]は、時間が経過しただけ で意味が変化する世界の論理を大学が当然のように受け入れることへの警鐘と 共に、真に必要な改革として「文部科学省と国立大学との関係の正常化・大学 予算編成権の文部科学省からの分離・大学運営への学生の関与・「運営諮問会 議」への市民の参加・予算配分にリンクしない大学評価促進」を掲げている。 ------------------------------ [71-0-2] 中間報告「新しい「国立大学法人」像について」を巡って [71-0-2-1] 「剰余金」の正体 中間報告について疑問を投げ掛ける社説が増える[71-1-2]一方で、産業界や文 部科学省の論理を繰り返すだけの新聞も少なくない。それどころか、文部科学 省提供の中間報告概要[70-2-1]や以前の独立行政法人化宣伝文しか読んでいな い記事も多い。たとえば、「法人化後は、使途を特定しない運営費交付金とし て一括支給され、この枠内なら自らの判断で事業に充当することができる。」 などと書く記事などがそうだ。 中間報告本文には「自己努力による剰余金は、あらかじめ中期計画で認めら れた使途に充当する」[70-1]とある。剰余金は、中期計画に「剰余金使途」と 記載された事項にしか使えない。逆に言うと、中期目標達成のために立てた計 画実施の資金の一部は自己努力で充当せよと、運営費交付金を財務省が値切る 準備がされているのである。自己努力が足らずに剰余金が出ない場合には中期計 画の一部は達成できず、期末にマイナス評価となる。 大学関係者には流石に思い違いをしている者は既に居ないと思うが、マスコ ミ関係者の中には未だに政府公報を鵜呑みにしている方々も少なくないようだ。 大半の政府関係者にとっては、国立大学法人化は、単に財政削減の一手段に過 ぎないのである。 ------------------------------ [71-0-2-2] 10/29国大協臨時2時間総会計画の真意 中間報告に関する国大協会長談話[71-1-1-2]が出た。部分的修正は必要だが大 筋では良しとする内容だ。10月29日に2時間の臨時総会で、この談話了承 を求める予定だという。設置形態検討特別委員会の報告「法人化の枠組」 [53-3-2]は6月総会で意見が割れて了承も否認もされなかった。それより後退 している中間報告を容認する「会長談話」了承の是非について2時間総会で結 論が出るとすれば、単に反論する大学への行政指導の強さを証明するだけのも のだろう[71-1-5]。 ------------------------------ [71-0-2-3] 経団連の「2001年度規制改革要望書」 この中で、国立大学独立行政法人化を非公務員型とすることを要求している [71-1-6]。ここで「独立行政法人化」と言っていることに注意すべきだ。「国 立大学法人化」という言葉で何か独立行政法人化とは全く異るものになったか のように見せかけることを喜んでいるのは誰なのだろうか。 ------------------------------ [71-0-3] 経常的研究資金をなぜなくすのか? 文部科学省科学技術・学術政策局調査調整課が、研究開発に携わる理工系の研 究者に65項目からなるアンケート調査を行った[71-3-1]。科学技術振興事業 団ファイルからアクティブな研究者を1200名無作為に選び、771名の回 答を得ている。経常的研究資金の必要性に対する回答[71-3-1-3]が、競争的研 究資金の必要性に対する回答[71-3-1-4]より倍近く多いが、報告書の本文では、 この点には触れていない。応用系の第一線の研究者でも、経常的研究資金が不 可欠とする意見が過半数であることを文部科学省や総合科学技術会議は無視し て良いのか。研究経験のない官僚や政治家に、日本の科学技術政策を委ねてい ては大変なことにならないか。 昨年2月に「大学に、半導体に特化せよと言っても全然そうならない」と、 講演で述べた与党議員の例もある[71-8-4]。 ------------------------------ [71-0-4] トップ30政策 [71-0-4-1] 活気づく大学ランキング業界 大学ランキングの草分けである清水氏が、香港の大学ランキング調査への回 答を拒絶した理由を述べた蓮實前東大学長の式辞[71-4-1-1]を取り上げ、研究 者との議論を8〜10月の間に行っている[71-4-1]。大学関係者の発言の多く は、教育・研究の現場に居るものの自然な気持ちを冷静に語っている。 喜多村氏が、公的機関提供データに基づき業者が大学ランキングを行うイギ リスの例を挙げて、大学評価機構の社会的影響を懸念している[71-4-4]。トッ プ30政策は、それに拍車を掛けることになるだろう。 ------------------------------ [71-0-4-2] トップ30政策:暗闇への抛擲 文部科学省大学課長が、「30」という数は、深く考えて出たわけではない がとても気に入っている、と私学高等教育研究所主催の研究会で発言したそう だ[71-2-1]。また、評価について自信があるわけではないが、やるしかない、 という趣旨の発言を参加者が記録している。さらに、教育評価をするかどうか も未定とも言う。一方、トップ30選出の評価項目には、任期制の導入・産業 界との連携などの項目まで入っている。 遠山プランの本質は、出資者による大学ガバナンスを重視し、トップダウン 「規制」をあらゆる場面で強化することにある。しかし、官僚が大学を操り研 究者の判断を軽視する国で、大学システムが世界的水準を維持できたためしは ない[71-4-9]という指摘は誰でも納得できることであろう。ドイツでの大学規 制緩和も、権限を学長から学部へと下ろす方向にあるという[71-6]。 関係者の深い懸念・多様な問題点の指摘等にも怯まずに、一国の高等教育シ ステム全体を暗闇へ抛擲する「大胆さ」は、誇らしげにくり返し強調するよう な種類の美徳なのだろうか。あるいは、大学に関係するすべての人間がーー官 僚も含めてーー絶望の末に自暴自棄に陥っているのか。 ------------------------------ [71-0-4-3] 研究評価は本当に易しいのか 教育評価は難しいが、研究評価は易しい、という論調が多いが、渡邊勇一氏が 疑念を呈している[71-3-3]。また、ドイツに30年を過ごしてきた研究者の報 告[71-6]があるが、報告者が関係する人文・社会科学などの分野では評価基準 は明確ではない、という。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ==> 本文 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題を広い視野から考えるのに役立 つと思われる情報(主に新聞報道・オンライン資料・文献・講演会記録等)へ のリンクと抜粋を紹介。種々のML・検索サイト・大学関係サイト・読者から の情報等に拠る。メール版で省略されている部分はウェブ版参照。ウェブ版は 目次番号が記事にリンクされている。転送等歓迎。 【凡例】#(−−− )は発行者のコメント。・・・は省略した部分。◆はぜ ひ読んで頂きたいもの。 【関連サイト】http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp ------------------------- 発行部数(括弧内は増減) (2001.10.8 現在) 1620(+12): Mag2:946(+6)|CocodeMail:366(-1)|Pubzine:93(0) |melten:73(+2)|Macky!:55(0)|melma:59(+5)|emaga:28(0) 直送 約730(北大評議員・国立大学長・国大協・報道関係・国会議員等) ------------------------- Digest版 発行部数 約1600(北大), ML(he-forum,reform,aml,d-mail) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 71
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