国立大学独立行政法人化問題週報
Weekly Reports No.97 2002.9.29 Ver 1
Ver 1.1 2002.10.3
http://ac-net.org/wr/wr-97.html
総目次:http://ac-net.org/wr/all.html
講読(無料):http://www.mag2.com/m/0000031268.htm
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目 次
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[97-0] 内容紹介
[97-0-1] 組織のために悪者となる「美徳」について
[97-0-2] 「官僚の一人勝」とはどういう意味か
[97-0-3] イギリスの大学人から日本への警告
[97-0-4] 河合塾・三菱総研の評価は第三者評価か?
[97-0-5] 日本学術会議の勧告権は「政治的鎧」なのか?
[97-0-6] 必要なのは教育基本法の「改正」ではなく中教審の再選なしの任期制
[97-1] 中央教育審議会第14回(2002.9.20)基本部会資料:教育の課題と今後
[97-1-1] 第13回(2002.9.13)基本問題部会における主な意見の概要より
[97-1-2] 日本弁護士連合会意見書2002.9.21「教育基本法の在り方に関する
[97-2] 法人化をめぐる動き
[97-2-1] 地区国立大学長会議開催スケジュール
[97-2-1-1] 北海道地区学長会議(9/24)の報道
[97-2-2] 「大学共同利用機関の法人化について」(中間報告2002.7.30)より
[97-2-3] 野依良治日本化学会会長から国立大学長へ
[97-2-4] 国大協法人化特別委員会(2002.8.20)議事メモ
[97-3] 大学評価の動き
[97-3-1] 大学評価機構サイト:意見照会の結果など
[97-3-2] 河合塾・三菱総研共同提案「産業界からみた大学評価手法の開発」
[97-3-3] (2002.10.4)緊急シンポジウム「大学評価ー何が問題なのか」
[97-3-3-1] 司会林衛氏の問題提起への落合栄一郎氏(在米)からの疑問
[97-3-4] 秦由美子著「イギリスの高等教育の課題と展望」明治図書、
[97-4] 日本学術会議の在り方に関する専門調査会(第10回2002.9.20)議事次第
[97-4-1] 日本学術会議の在り方に関する専門調査会(第9回2002.7.31)議事録(案)
[97-4-2] 参考資料
[97-4-2-1] 黒川清(日本学術会議副会長)科学新聞(2000.10.13)
[97-4-2-2] 西谷 敏「学術会議の将来に関する雑感」2001.6.15
[97-4-2-3] 日本学術会議の在り方に関する専門調査会についてのコメント
[97-5] 独立行政法人阻止運動
[97-5-1] 国大協4月19日総会決定に関する学長アンケートの回答
[97-5-2] 東京大学臨時評議会2002.4.23 における佐々木学長の報告より
[97-5-2-1] 「管理者になった大学教員がほとんど必ず「変節」するのはなぜか」
[97-5-3] 全国ネット主催2001年10月5日国会内集会での討論の記録
[97-5-4] 豊島耕一氏「全大教教研集会当日の発言」 (2002.9.7)より
[97-6] 職員組合の動き
[97-6-1] 法人化粉砕!10.18東大大集会(主催:東京大学職員組合)
[97-6-2] 京大職組新聞2002年8月22日号(PDF)
[97-6-2-1] 京大総長交渉(6/27)の記録
[97-6-2-2]『「今は漕ぎいでな」雑考』
[97-6-3] 全大教中央執行委員会:私たちの意見と対案(第1次案)
[97-7] 日本科学者会議第14回総合学術研究集会(札幌2002.9.21-23)
[97-7-1] 第8分科会「高等教育および国公立大学の法人化問題」
[97-7-2] 岩井孝「日本の原子力政策と原研・サイクル機構統合問題」
[97-8] 発言
[97-8-1] チョムスキー「官学複合体による開発と大衆の疎外」
[97-8-1-1] チョムスキー・アーカイヴ日本語版
[97-8-2] 高等教育フォーラム:「研究者の処遇」
[97-8-3] 田中宇の国際ニュース解説(2002.9.24)「小泉訪朝の背景を探る」
[97-9] 新聞より
[97-9-1] サミュエル・コールマン「官僚が科学を腐らせる」
[97-9-2] 「最高裁、なぜ判決理由言わぬ」法廷で弁護人が問題提起
[97-10] ロースクールについての意見
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[97-0] 内容紹介
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[97-0-1] 組織のために悪者となる「美徳」について
国立大学の独立行政法人化政策が進行する過程で、有馬元文部大臣、蓮実国大
協前会長、長尾国大協会長など、多くの著名な方々が、 大学社会で人間的信
用を失ったと思われるが、自分の信念に反しても組織の利益を優先して自分は
悪者になることは、上に立つ者の資質として評価される風潮は日本では強い
[97-5-2-1]。この方々も、日本を動かしている人々のコミュニティの中では、
自分の名誉を捨てて「国益」を守った無私の人として、評価を高めたのかも知
れない。
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[97-0-2] 「官僚の一人勝」とはどういう意味か
しかし、悪者となってまで実現しようと努力した国立大学の独立行政法人化
が、本当に、国立大学の利益となるのか、あるいは、日本の国益となるか、よ
くわからない。産業界の利益となるかもわからない。ただ、3年前に当時の東
大学長が記者会見で喝破した「官僚の一人勝ち」という独立行政法人化の本質
は、時間が経過するとともに誰が見ても明らかになりつつある。
「官僚の一人勝ち」の意味は色々ある。大学の全活動に対する監督権を国が
持つようになることが第一の意味だが、大学自身が「官庁」と本質的に違わな
いものになってしまうことも見逃せない:独立行政法人化後に、大学の構成員
に最も要求されるのは「そつがない文書を多量に短時間に作成する能力」とな
るが、これは、官僚の方々が生来の素質に加えて日々研鑽を重ねて鍛えあげて
いる能力そのものではなかろうか。大学教員の中にも必要があれば仕方なしに
官僚的能力を発揮する人も少なくないと思うが、若いときから、大学教員の全
員が、そのために多くの関心と時間とエネルギーを割かねばならなくなったと
き大学がどうなるかは想像するまでもない[97-3-4]
[97-9-1]。
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[97-0-3] イギリスの大学人から日本への警告
「そしてあなた方日本人はこのような馬鹿げた英国のシステムを模倣しようと
しているのです。」[97-3-4]
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[97-0-4] 河合塾・三菱総研の評価は第三者評価か?
旧通産省産業政策局産業技術課大学等連携推進室のウェブサイトが三菱総研内
部に開かれていたが、その研究成果が日の目を見ることになったというわけで
あろうか。このような出自を持つ研究機関による評価[97-3-2]を第三者評価と
呼ぶことは出来まい。
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[97-0-5] 日本学術会議の勧告権は「政治的鎧」なのか?
日本学術会議をどう「始末」するか、総合科学技術会議が決めることになって
いる。それを検討している「日本学術会議の在り方に関する専門調査会」の石
井会長が、「勧告という政治的鎧を着るのではなく中身で勝負するという気持
ち。」と発言している[97-4-1] 。政治的鎧を着ていたから何も出きなかった
のだろうか?「政治的鎧」を着ていても何もできない程、彼我に権力の差があっ
たのではないのか?そもそも「勧告権」は日本学術会議を守るための「鎧」な
のか?一部の社会セクターの利益のために国が学術セクタを総動員した時代の
直後に、同じ錯誤を防ぐために設置された日本学術会議に対し、使命遂行の武
器として日本社会が付与したものが「勧告権」であったのではないのか?中身
で勝負するときに武器は要らないのか?一体誰と何について「中身で勝負」す
るというのだろうか?
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[97-0-6] 必要なのは教育基本法の「改正」ではなく中教審の再選なしの任期制
中央教育審議会の基本部会が教育基本法についての議論をまとめた「教育の課
題と今後の教育の基本的方向について(素案)」を発表した。12000字の文章
の中で「権利」という言葉は一度も登場せず、「平和」「福祉」「思考」「判
断」「民主」「正義」という文字列は1回ずつしか登場しない。「現在問題と
なっている社会全体のモラルの低下、公徳心、公共心、規範意識の欠如などの
問題をゆるがせにすることはできない。」というが、今、日本でゆるがせにで
きない問題は、大きな発言力を持つ人達のコミュニティの「モラルの低下、公
徳心、公共心、規範意識の欠如」であることは明らかであろう。為政者側の反
省が欠如した「素案」を了承する役目を担う一部の有力な「有識者」が、任期
も停年もなしに種々の審議会を事実上支配し続けていることこそ問題ではない
か。幸い、中央教育審議会総会[97-1-1-1]では批判が噴出したという話しも聞
く、大手の新聞で報道されては居ないようであるが。
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本 文
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[97-1] 中央教育審議会第14回(2002.9.20)基本部会資料:教育の課題と今後
の教育の基本的方向について(素案)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/002/020902a.htm
#(12000字の文章の中で「権利」という言葉は一度も登場せず、「平和」「福
祉」「思考」「判断」「民主」「正義」という文字列は1回ずつしか登場しない。)
「現在問題となっている社会全体のモラルの低下、公徳心、公共心、規範意識の
欠如などの問題をゆるがせにすることはできない。」
#(現在日本が苦しんでいるのは、日本を動かしている「指導者」層のモラルの
低下・公徳心・公共心・規範意識の欠如ではなかったか。)
「現在頻発している政治、行政、企業に関わる不祥事件の背景には、遵法意識、
倫理観や社会的使命感の喪失があり、こうした不祥事件がさらに国民の正義、公
正、安全などへの信頼を蝕み、国民全体のモラルの低下を加速させている。」
#(「現在頻発している政治、行政、企業に関わる不祥事件により明らかになっ
た、政治、行政、企業における遵法意識、倫理観や社会的使命感の低下は、正義・
公正を尊重しようとする気持を人々から奪い、国全体の士気を低下させている。」
言うべきではないか。)
#(第13回の委員の発言にあった「社会正義」は消えている。「今後求められ
る重要な資質には・・・社会悪に敢然と立ち向かう勇気・・・」とあるが、勇気
を持って敢然と立ち向かう悪を「社会悪」に限定するのはなぜか?「社会悪」と
は何か?)
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[97-1-1] 9/25 中央教育審議会第13回(2002.9.13)基本問題部会における主な意見
の概要より
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/002/020902e.htm
○ 今後のスケジュールはどのようになっているのか。
○ 事務局 今後とも21世紀の教育をどうすべきかについてのご意見を賜って、秋
には中間まとめをいただきたいと思う。それをもとに法律をどうするかという具
体の議論については、政治日程や、教育改革国民会議からいただいた宿題のこと
も考慮しなければならないが、中教審のまとめをまずいただいてから作業をして
いく。法案提出時期については、次期通常国会以降を目指している。国立大学独
法化法案などの課題もにらみながら、検討していく。
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[97-1-1-1] 9/30 中央教育審議会第14回総会(2002.9.30)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/021001.htm
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[97-1-2] 日本弁護士連合会意見書2002.9.21「教育基本法の在り方に関する中教
審への諮問及び中教審での議論に対する意見書」
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/02/2002_24.html
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/data/2002_24.pdf
はじめに
第1 議論の前提−「教育基本法」の制定過程の確認とその意味
第2 前文と基本理念・基本方針(第1条・第2条)について
第3 教育の基本原則
(1)「教育の機会均等」(第3条)と「義務教育」(第4条)について
(2)「男女共学」(第5条)について
(3)「政治教育」(第8条)について
(4)「宗教教育」(第9条)について
第4 教育を担うべき主体について
(1)「学校教育」(第6条)について
(2)「社会教育」(第7条)について
第5 教育行政(第10条)について
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[97-2] 法人化をめぐる動き
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[97-2-1] 地区国立大学長会議開催スケジュール
http://ac-net.org/dgh/02/923-tikubetu-gakuchou-kaigi.pdf
(9.20東北,9.24北海道,10.3近畿,10.5東海北陸,10.15関東甲信越,10.16九州,10.21中国四国)
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[97-2-1-1] 北海道地区学長会議(9/24)の報道
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4497.htm
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[97-2-2] 「大学共同利用機関の法人化について」(中間報告2002.7.30)より
科学技術・学術審議会学術分科会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/020801.htm
「大学共同利用機関において行われる学術研究は、人文・社会科学から自然科学
にまで及ぶ知的創造活動であり、新しい法則や原理の発見、分析や総合の方法論
の確立、新しい技術や知識の体系化、先端的な学問領域の開拓など、研究者の自
由闊達な発想と研究意欲を源泉として真理の探究を目指すものである。その成果
は、人類共通の知的資産を形成するとともに、産業、経済、教育、社会などの諸
活動及び制度の基盤となるものであり、また、人間の精神生活の重要な構成要素
を形成し、広い意味での文化の発展や文明の構築に大きく貢献するものである。
このような研究においては、真理の探究を目指し、未知の領域を開拓するという
性格上、個々の研究者の自主的な発意に負うところが大きく、研究者の発意に先
立ち、国があらかじめ目標を設定する手法は不適切であることから、研究者の自
主性、自発性を尊重する手法がとられている。」
「このように、大学共同利用機関は、国立大学と等質の学術研究を行う機関であ
り、大学共同利用機関の特性を踏まえた学問の自由を担保する仕組みが設けられ
ている。行政庁の直接の関与からは一定の距離を置くべきこと等にかんがみ、国
立大学と同様に、国立学校設置法で設置している。」
「また、大学共同利用機関は、国立の学術研究機関として国立大学と一体的な運
営が要求されていることから、予算・会計制度についても、国立大学と同様に、
国立学校特別会計法に依拠している。」
(#大学の使命は、ここに記された使命に次世代の育成を加えたものである。国
立大学の独立行政法人化についての調査検討報告書*1は国立大学の使命を明確
に認識していない。)
*1 http://ac-net.org/dgh/doc/tkk-report.html
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[97-2-3] 野依良治日本化学会会長から国立大学長へ
「国立大学法人化に伴う労働安全衛生法適用への対応に関するお願い」
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4484.htm
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[97-2-4] 国大協法人化特別委員会(2002.8.20)議事メモ
http://ac-net.org/dgh/02/820-kdk-iinnkai.pdf
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[97-3] 大学評価の動き
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[97-3-1] 大学評価機構サイト:意見照会の結果など
平成12年度着手の大学評価についての意見へとその対応について(PDF)20
02年8月16日国立大学協会第8常置委員会からの申し入れに対する回答
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[97-3-2] 河合塾・三菱総研共同提案「産業界からみた大学評価手法の開発」
(2002.8.1)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4441.htm
#(旧通産省産業政策局産業技術課大学等連携推進室のウェブサイトが三菱総研
内部に開かれていたが、その研究成果が日の目を見ることになったというわけで
あろうか。このような出自を持つ研究機関による評価を第三者評価と呼ぶことは
出来まい。)http://ac-net.org/dgh/01/714-sangaku.html
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[97-3-3] (2002.10.4)緊急シンポジウム「大学評価ー何が問題なのか」
ユニバーサルデザイン総合研究所企画
http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/5651.html
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[97-3-3-1] 司会林衛氏の問題提起への落合栄一郎氏(在米)からの疑問
http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/5654.html
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[97-3-4] 秦由美子著「イギリスの高等教育の課題と展望」明治図書、
2001.1,ISBN[97-4-18-005441-8].
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4180054418
Robert Cowen氏(ロンドン大学教育研究所)インタビュー(p89-110)より
(p100)
秦「イギリス高等教育の過去から受け継がれてきた知の遺産が崩壊していくので
しょうか。」
コーエン「崩壊しつつあると言っていと思います。私たちも非常に憂いているの
です。優秀な教員にとっての本質的な危機とは、この種の繁雑な仕事を全部やり
上げてしまおうとすることです。雑務やつまらぬ論文書きやつまらぬ本書きを、
大事な仕事の時間を削って行なうのです。大学や政府は何もしてくれません。よ
い仕事をすることはますます難しくなっています。そしてあなた方日本人はこの
ような馬鹿げた英国のシステムを模倣しようとしているのです。」
(p104)秦「非効率を減らそうとしているのに逆にコストがかかるように思えますが。」
コーエン「その通りです。タイムズ誌やTHES(Times Higher
EducationSupplement)においても批判が掲載されました。学長及び副学長たち
が「見よ。この研究評価のために私たちの大学では100万人分の時間を費した」
と述べ、数字を示してみせました。事実、本当にコストがかかり、私たちのこの
研究所でさえ情報を管理するために、非常に多くの管理者や運営者が必要となり
ます。この官僚的で面倒な手続きのために余分の人員を雇わねばなりません。そ
ういう意味でもとても高くつくシステムです。しかし興味深いことに「質の管理
(quality control)という政府の掲げた言辞は、逆に大学からレトリックを奪
い去ったのです。誰も「質の管理」という言葉には逆らえません。「正義」と同
じです。誰も「正義」という言葉に対して逆らうことはできないのです。「効率
性」、「顧客」、「質の管理」、「水準」。こうした言葉を政府が巧みに使いな
がら、政府は大学を統制することに成功しています。大学は政治的な戦いに完全
に敗れたのです。」
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[97-4] 日本学術会議の在り方に関する専門調査会(第10回2002.9.20)議事次第
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/gakujutsu/haihu10/haihu-si10.html
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[97-4-1] 日本学術会議の在り方に関する専門調査会(第9回2002.7.31)議事録(案)
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/gakujutsu/haihu10/siryo4.pdf
(石井紫郎会長)「政策提言機能について。現行法では「勧告」を制度としてもっ
ているが、最近はあまり使われない。また、仮に勧告と名づけても、今までのと
ころ、あまり効果をみせていないという現状を考えると、そういう言葉、概念は
避け、意見具申としたほうがいいのではないかという気がしている。重要なのは
中身に海外の科学者も含め多角的に学者の意見を集結したものであるという手続
的な意味での正当性、それをもって意見具申の武器というか強みとすること。勧
告という政治的鎧を着るのではなく中身で勝負するという気持ち。」
#(政治的鎧を着ていたから何も出きなかったのだろうか?「政治的鎧」を着て
いても何もできない程、彼我に権力の差があるのではないのか?そもそも「勧告
権」は日本学術会議を守るための鎧なのか?一部の社会セクターの利益のために
国が学術活動を総動員した時代の直後に、同じ錯誤を防ぐために設置された日本
学術会議に対し、使命遂行の武器として日本社会が付与したものが「勧告権」で
あったのではないのか?中身で勝負するときに武器は要らないのか?一体誰と何
について「中身で勝負」するというのだろうか?)参考リンク
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[97-4-2] 参考資料
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[97-4-2-1] 2000.10.13 黒川清(日本学術会議副会長)科学新聞(2000.10.13)
【日本が国際杜会での信用を得る具体的方策】日本学術会議を真に日本の学術振
興を図るための中心的機構にすべきである。sciencecouncilの予算は、米国19
0億円、イギリス40億円、対して日本は14億円弱である。しかも事務官以外
の人件費はゼロ。こういった位置付けは「国の国際的信用」の問題である。現在、
科学技術振興調整費で検討している「科学技術政策提言」などは日本学術会議に
積極的な役割をさせるべきである。また、日本学術会議自身も国の学術政策に積
極的に貢献していく努力が必要である。
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[97-4-2-2] 2001.6.15 西谷 敏「学術会議の将来に関する雑感」
(学術の動向2001年5月号p[97-42-46])より
http://ac-net.org/doc/01/615-nishitani.shtml
「この点で、学術会議は、大臣やトップダウンで指名されたメンバーによって構
成される総合科学技術会議と決定的に異なっているし、すでに構成員となった者
が新メンバーを推薦する諸外国のアカデミーとも大きく異なっている。もちろん、
現在の学術会議の活動が真に科学者全体を代表するものとなっているか否かはた
えず点検されねばならないが、その点に問題があるとしても、そのことは学術会
議の存在根拠がこの代表性にこそ存在するという事実をいささかも変えるもので
はない。このことは、国会が国民の意思と乖離しているからといって、代表制民
主主義の意義を否定すべきでないのと同様である。」
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[97-4-2-3] 第3回日本学術会議の在り方に関する専門調査会についてのコメント
2001.9.19
http://ac-net.org/dgh/01/919-scj.html#comment
多くの人の犠牲の後に勝ち得た「第4権としての学問セクタ」の核となる力を付
与された日本学術会議は、こうして風化し、政府直属の総合科学技術会議によっ
て「処分」されるまでに落ちぶれました。国立大学の「処分」と同様に、日本学
術会議の行政による処分のプロセスは、戦争直後の学者達の悲願から産まれた贈
り物が泡となって消えていくプロセスの最終段階でもあります。本当にそれで良
いのか、この最期の時が近づいている時に当たり、学問セクタに属する者が全員
で、その最期に立ちあう必要がありますーーそのことが、場合によっては、70
万余の学者の議会として再び甦る契機となる可能性も皆無ではないのですから。
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[97-5] 独立行政法人阻止運動
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[97-5-1] 国大協4月19日総会決定に関する学長アンケートの回答
http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ta2/toyosima/daigaku/znet/enq-presidents/answer.html
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[97-5-2] 東京大学臨時評議会2002.4.23 における佐々木学長の報告より
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/houjinsiryou/houjin02.htm
「・・・・なお我々が中間報告に対する意見として述べた様々な問題は、少な
くとも通則法そのままの適用ではないことを除けば、最終報告においてなお必
ずしも解決をみていないことは認めざるを得ず・・・・」
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[97-5-2-1] 「学長・学部長など管理者になった大学教員がほとんど必ず「変節」するのは
なぜか」豊島耕一
http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ta2/toyosima/daigaku/UniversityIssues/iken020906.html#Anchor396538
http://ac-net.org/dgh/02/906-toyoshima.html
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[97-5-3] 全国ネット主催2001年10月5日国会内集会での討論の記録
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/meeting105/discuss021005.html
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[97-5-4] 豊島耕一氏「全大教教研集会当日の発言」 (2002.9.7)より
「類似の事について我々はすでに経験を持っている.国大協が文部科学省の「調
査検討会議」に加わることを決めたとき,これは明らかに独法化への協力に他な
らないとして,私も含め数人がこれを批判した.(最終的には大学内外の数百名
の声となり国大協会長に届けた.)この「参加」が結局何をもたらしたかは今や
明かではないか.「外野で議論しても仕方がない」などとこれを正当化した人た
ちは,その誤りを認めたのだろうか.それとも今でも正しかったと思うのだろう
か.」
「われわれは「国民にとって分かりやすい」行動を取るべきである.法律の制定
どころか,審議さえ始まっていないのに,それを部分的とはいえ実施する(中期
目標・計画の立案や策定はまさに実施行為である.準備行為ではない)というの
は全くのヤミ行為であり,どのようにも正当化されない.だから「非公然」とや
らざるを得ないだろう.もし防衛庁や自衛隊が,「有事法」の成立を前提として
その実施行為や準備行為をやっているとしたら一体世論はどう反応するだろうか.
「成立してから始めたのでは,いつ起こるとも分からない脅威に対応できない」
として納得するのだろうか.しかも,どちらも違憲行為(独法化は23条と教基
法10条の,有事法は9条の)という点でも共通している.」
「どうしてもこの「準備」行為を正当化したい人は,「法律が通ってからでは間
に合わない」と言うのかもしれない.これは文部科学省スジから大学管理者層を
通じての心理作戦に単に乗せられているに過ぎない.だれが考えても分かるよう
に,いちばん「間に合わない」のは阻止・反対のための活動である.これこそ法
律が通ってからでは「後の祭り」である.まさに「今」しか出来ない活動である.
物事の順序,軽重というものが分からないのだろうか.」
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[97-6] 職員組合の動き
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[97-6-1] 法人化粉砕!10.18東大大集会(主催:東京大学職員組合)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/021018syukaimenu.html
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[97-6-2] 京大職組新聞2002年8月22日号(PDF)より
(京大職組サイト:www.Kyodai-Union.org)
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/ku-union/paper/02syokusin/02syokusin01.pdf
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[97-6-2-1] 京大総長交渉(6/27)の記録
#(最終報告の交渉の経緯、事務局長の「1600人を1000人体制でいく」
発言についての質疑、日々雇用職員・時間雇用職員の正職員化・雇用継承問題
の解決法がわからない、という発言など。)
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[97-6-2-2]『「今は漕ぎいでな」雑考』
#(『文教ニュース』記事の紹介。遠山文部科学大臣が6月13日国立大学長懇
談会で、「未知の海に出て船出をしていくわけでございます。いろいろなことが
あろうかと思います。しかしその船団を率いる学長先生方がしっかりしておられ
ると、これからのどんな海もきちんと乗り越えていただけるものだと思っており
ます」という発言に対して、長尾国大協会長が「私どもいろいろこれから船出を
しなければならんという決心でございますので、その潮が満ちてくるように一つ
是非…(爆笑)、潮が満ちてこなければ船が出せません。そのようにご努力をお
願いしたいと思います。(中略)私どもの船出が潮の満ちた中で行われるよう是
非お願いしたいと存ずる次第でございます」と応えたと記載されている。潮が満
ちたとしても、誰のために何を運ぶためにどこに向けて船出するのだろうか?)
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[97-6-3] 全大教中央執行委員会:
私たちの意見と対案(第1次案)
http://www.zendaikyo.or.jp/dokuhouka/zendaikyo/0208No1taian.htm
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[97-7] 日本科学者会議第14回総合学術研究集会(札幌
2002.9.[97-21-23] )
http://www.jsa.gr.jp/05event/sougaku.htm
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[97-7-1] 第8分科会「高等教育および国公立大学の法人化問題」
コーディネーター:小森田精子・山辺真人・三輪定宣
会場:北海道大学農学部S31室
16:30 JSA 国公立試験研究機関問題委員会「国立研究機関独立行政法人化の功罪」
17:00 五十子満大「東京都立の大学の統合・再編と法人化」
09:00 細井克彦「大学の『構造改革』と独立行政法人化」
09:30 桑原 清「教員要請系大学・学部の再編問題ーー北海道の状況を素材としてーー」
10:00 服部昭仁「国立大学法人化 北大アンケート結果分析と報告」
http://ac-net.org/home/hu-net/ans2/index.html
10:30 森川幾太郎「山形大学憲章・その特徴と制定への歩み」
11:00 湯浅精二「大学憲章づくりの意義」
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[97-7-2] 岩井孝「日本の原子力政策と原研・サイクル機構統合問題」
「原子力の公的機関の大幅な見直しは、日本の原子力政策の見直しから始められ
るべきであるが、今進められているのは単なる二法人を一法人にする「数合せ」
である。」#(国研、国立大学、特殊法人の独立行政法人化の共通点は、理念か
ら議論するなどという非効率なことに関心のない官僚群が実務的作業を黙々と積
み重ねることなしには実現できないことだ。いわば効率良くこなせる「形式的作
業」を無尽蔵に産みだすことが中央省庁にとっての独立行政法人化の最大の魅力
なのではないだろうか。)
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[97-8] 発言
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[97-8-1] チョムスキー「官学複合体による開発と大衆の疎外」
(1998年11月14日京都精華大学での講演)
http://www.kyoto-seika.ac.jp/seika30/norm04.html
「国家が管理運営する部門で設計・開発・調達が行なわれ、それが非常に長い期
間続いた後、開発されたものが私企業に手渡されます。」
「国家部門と産業界や大学の複合開発・研究はこれまで、社会的に有用な決定で
あったかもしれません。あるいはそうでないかもしれません。そのどっちであっ
ても、決定するのは一般公衆ではないということが重要です。一般公衆は単に従っ
ていればよくて、事柄はすべて機密のベールの下で進行しています。公衆のあり
様や生活のあり様、あるいはその質にたいへん大きな影響を持つ分野としては、
インターネット以外に貿易協定などがありますが、いつの場合でも一般公衆は知
りえません。」
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[97-8-1-1] チョムスキー・アーカイヴ日本語版
http://www.hct.zaq.ne.jp/akubi/chomsky/
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[97-8-2] 高等教育フォーラム:「研究者の処遇」
#(科学者を志した理系学生が法律家を志すに至った経緯)
href="http://matsuda.c.u-tokyo.ac.jp/forum/message/5645.html
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[97-8-3] 田中宇の国際ニュース解説(2002.9.24)「小泉訪朝の背景を探る」
http://tanakanews.com/c0924korea.htm
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[97-9] 新聞より
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[97-9-1] サミュエル・コールマン「官僚が科学を腐らせる」
(毎日新聞2002.9.16インタビュー記事)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4467.htm
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[97-9-2] 「最高裁、なぜ判決理由言わぬ」法廷で弁護人が問題提起
(朝日2002.9.10)
http://www.asahi.com/national/update/0910/018.html
(#当然のことを最高裁の法廷で発言する弁護人が登場したことは21世紀初頭
に相応しい歴史的事件であろう。行政の附属機関もどきに退化している最高裁が
本来の使命に目覚める契機となることを祈りたい。)
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[97-10] ロースクールについての意見
(朝日新聞2002.9.6)青木一男「法科大学院 専門分野の高度教育機関に」
(弁護士・元司法研修所教官)
http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4435.htm
「・・・たとえ家は貧しくても、親の苦労や社会を直視して法律家になろうと大
志を抱き、努力さえすれば法曹になる機会を与える。それが本来の司法試験では
ないのだろうか。私は98年度から3年間、司法試験の考査委員をしたが、ロース
クールを必要とする問題があるとは感じなかった。
ロースクールの授業料は年間で私立が200万円、国立でも100万円を超えるので、
入学できるのは裕福な家庭に限られることになるうえ、法曹を志す者からすれば、
ロースクールの入学試験と進級試験、さらに司法試験がある。予備校の弊害もいっ
そう助長される可能性がある。・・・・
では、ロースクールはいかにあるべきか。司法試験受験予備校にとって代わる
のではなく、今後の大量な司法試験合格者や行政、企業の従事者を対象にして知
的財産法とか行政法などの高度な専門分野についての教育と研究の高度教育機関
とすべきである。
ロースクールをつくることは既定方針としても、法制度の整備はこれからであ
る。今一度ロースクールはいかにあるべきか、司法試験制度はいかにあるべきか
を国民皆で考えて議論をしてもらいたい。」
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編集発行人:辻下 徹 tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp
関連ページ:http://ac-net.org/dgh/
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End of Weekly Reports 97