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国立大学独立行政法人化問題週報

Weekly Reports  No.99 2002.11.3 Ver 1

http://ac-net.org/wr/wr-99.html 総目次:http://ac-net.org/wr/all.html 講読(無料):http://www.mag2.com/m/0000031268.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [99-0] 内容紹介  [99-0-1] 臨時国会に提出された学校教育法改正案への危惧  [99-0-2] 「行政が大学を管理して何が問題なのか?」という意見について  [99-0-3] 教育基本法の「見直しの是非」は審議しない中央教育審議会  [99-0-4] 生き残りのために大学が「他の存在」への配慮を失うこと [99-1] 声明・意見など  [99-1-1] 全国ネットワークからユネスコへのアピール(邦訳)  [99-1-2] 奨学金返還免除制度廃止についてのパブリックコメント  [99-1-3] 全国農学系学部長会議声明 平成14年10月11日  [99-1-4] 法人化粉砕!2002.10.18東大大集会宣言  [99-1-5] 東京大学職員組合第101回定期総会宣言(2002.10.26)  [99-1-6] 伊吹浩一「大学人よ、もっとプライドをもて」 [99-2] 学校教育法改正案の諸問題:評価機関認可制  [99-2-1] 喜多村和之「評価関連法案の問題点--学校教育法一部改正につ  [99-2-2] 萩尾 健太(弁護士):法科大学院設置法案批判 [99-3] 教育基本法「改正」・教育振興基本計画の行方  [99-3-1] 中教審基本問題部会(10/17)における主な意見の概要(案)  [99-3-2] 第16回基本問題部会(2002.10.24)における主な意見の概要(案)  [99-3-3] 中央教育審議会総会2002.10.30資料(中間報告案)  [99-3-4] 基本問題部会設置について  [99-3-5] 中央教育審議会総会2001.12.10 議事録  [99-3-6] 中央教育審議会総会2002.1.22 議事録  [99-3-7] 文部科学大臣諮問2001.11.26  [99-3-8] 審議会の役割についてのコメント [99-4] 「聖域」を重点的に外部化する行財政改革  [99-4-1] 財政制度等審議会:義務教育費国庫負担金の5000億円削減方針  [99-4-2] 放送大学学園の学校法人化   [99-4-2-1] 「放送大学・放送大学大学院の時間」サイト   [99-4-2-2]「特殊法人等の廃止・民営化等及び独立行政法人の設立等   [99-4-2-1] 放送大学学園の学校法人化についての文部科学省見解2001.9.1 [99-5] 臨時国会  [99-5-1] 衆議院文部科学委員会2002.10.30 第一回10月30日  [99-5-2] 参議院文教委員会2002.10.28:遠山文部科学大臣挨拶より   [99-6-2-1] 経済財政諮問会議2002.8.30へ提出された遠山臨時議員資料 [99-6] メールマガジンより  [99-6-1] 【Publicity】428:佐藤秀夫の秀逸な言説〜教育基本法成立史より  [99-6-2] 【Publicity】093:内村鑑三の非戦論より  [99-6-3] 日教組UPIメールニュース/NO.14(2002.10.28) より ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [99-0] 内容紹介 ---------- [99-0-1] 臨時国会に提出された学校教育法改正案への危惧 法案の内容は、些細な規制緩和を理由に、私立大学への行政監督権を異様に強 化するもので、国公立大学の独立行政法人化と全く同じである。日本における 大学評価研究の第一人者による批判文書がある[99-2-1]。国公私の区別なくす べての大学に第三者評価機関による評価を受けることを義務付ける一方、第三 者評価機関は文部科学省の認可を受けなければならないとする。このように、 国公私の区別なく、大学全体を行政の強い管理下に置くことは日本社会にとっ て良いことだろうか。 ---------- [99-0-2] 「行政が大学を管理して何が問題なのか?」という意見について 「あなた方がだまされているのなら、愚劣ですよ。だまされていないのなら、 みずから魂を売りわたしているのではないですか」という加藤周一氏の戦前の 言[99-6-2]は、独立行政法人化が良いかも知れないと言い始めている国立大学 関係者に対する言葉としても、また、独立行政法人化が大学改革の特効薬であ るかのように語る教育行政担当者に対する言葉としても、妥当する面があると 思う。行政が大学の活動全体に対し強い法的権限を持つ「国立大学法人」のよ うな体制の持つ欠陥は構造的なものであり、たとえ現在の教育行政担当者の中 に見識者が多い場合でも、その体制を実現することは国政における重大な「禁 じ手」であることには変りない。 なぜ、禁じ手か。統制や財政誘導やCOEのような「御前試合」が精神的活 動の質を低下させ大学を衰退させることが、実利的な面からの理由である。他 の理由もある。日本の中央省庁のように高度に組織化された強力な官僚組織は、 権力の意思を忠実に効率良く遂行する能力を持っている。現在の日本では政・ 官の間の権力関係は複雑であるが、強力な政治権力が成立したときには権力構 造が単純化され、上意下達の指令系統が一気に形成されることは想像に難くな い。強力な大学干渉権を官庁に付与することは、「悪知恵」工場に大学を瞬時 に変換する装置を組み込むことに他ならず、直近の為政者が良識的に振舞うと しても禁じ手なのである。それが禁じ手であるという知識は、わずか半世紀前 に日本社会が多くの血を流して学んだことの一つなのである。 ---------- [99-0-3] 教育基本法の「見直しの是非」は審議しない中央教育審議会 基本問題部会で、基本法見直しの合意はないという委員の発言に対し、部会 長が、基本問題部会は基本法の見直しのために作られたと発言している。しか し、「部会の設置について」[99-3-4]には見直しとは記載されていないし、基 本部会が設置される前の議事録[99-3-5][99-3-6]には、基本法見直しの是非に ついての議論は記録されていない。それどころか、ジャーナリストの委員から 「基本法を見直すべきだという世論調査はあるのか、そういう声がどこからで てきたか、もう少しはっきりさせるべきだ」という意見も記録されている。従っ て、見直しの是非についての審議は省略し、何を見直すかについて中間報告を しているのである。文部科学大臣からの諮問[99-3-7]には基本法の見直しにつ いて記載されているが、その是非を含めて審議するのが審議会の役割りなので はないのか。 また、故小渕首相の私的諮問機関である教育改革国民会議の議論を「国民的運 動」として評価し、会議の前提とする発言[99-3-2-1]もあるが、そのような、 意見が中央教育審議会の大勢を占めているとすれば、中央教育審議会に存在意 義があるのだろうか。これでは、「審議会は役人が新しい政策を行うための隠 れ蓑、というよりは役所と一心同体」という言[99-3-8]を証明するようなもの ではないか。 ---------- [99-0-4] 生き残りのために大学が「他の存在」への配慮を失うこと 独立行政法人化の準備の過程で、大学が慣れない経営活動に奔走する中で、問題 意識のある学生達を犠牲にする場合があることを伊吹浩一氏が指摘している [99-1-6]。大学が、行政の暗示や脅しにより自らの生き残りに汲々として「他の 存在」全般への配慮を喪失しつつあるとすれば、大学全体が社会の支持をさらに 失い、生き残る可能性を確実に潰すことになると言えないのだろうか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本 文 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [99-1] 声明・意見など ---------- [99-1-1] 全国ネットワークからユネスコへのアピール(邦訳) http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ta2/toyosima/daigaku/znet/appealtounesco.html ユネスコ事務局長 松浦晃一郎様     アピール:日本の高等教育の基盤が危険にさらされています. 2002年3月26日、文部科学省に置かれた諮問委員会は、遠山文部科学大臣に、 全ての国立大学を、独立エージェンシー制度の下に置くとした最終報告を提出 しました。政府の報告書によると,これは「独立行政法人」と呼ばれ,政府支 出を減らすために構想された新しい型の公的法人です。文部科学大臣は、この 報告に基づき、2002年末までに法案を策定することになっています。しかし、 この法人化の提言に対しては、昨年9月に、法案の骨子が中間報告として発表 されて以来、諸大学やマスメディアから強い批判と反対の声があがっています。 最終報告は、次の諸点で大変問題があります。 1)文部科学大臣は、各大学ごとに教育と研究について達成されるべき目標を 定め、かつ、それらの達成度に応じて政府資金を配分することになっています。 各大学は目標を達成するため,あらかじめ定められた課題を遂行しなければな りません。文部科学大臣はまた、各大学による達成度が政府の評価基準に合わ ない場合、大学を閉鎖する権限を持ちます。評価機関は文部科学省の中に設け られるので、政府から独立ではありません。 2)国立大学の教官や職員は、非公務員型雇員として扱われます。このことは、 教育公務員特例法によって保護されないことを意味します。教育公務員特例法 は、国公立大学に属する教官の基本的権利を保障し、特に恣意的な解雇から彼 らを守ることによって、学問の自由を守っています。この法律は国公立学校に 適用されますが、実質的には私立学校における雇員の労使関係にも影響を与え ています。この法律がなければ、教員の雇用条件や地位は不安定となり、日本 の高等教育全体における学問の自由はその基盤を奪われることになるでしょう。 3)各大学における意志決定をなす運営協議会メンバーには、大学外部の人員 を加えなければなりません。これはそれぞれの大学から自治を奪います。大学 は,その管理運営に会社や政府関係者を入れることを余儀なくされます。究極 的に,このシステムでは教育は産業界や政府の目先の要求に奉仕することにな るでしょう。 独立行政法人制度のもとに再編された大学は、もはや自由な気風に満ちた学究 のセンターではありません。産業界や政府の直接的な要求に合わないような基 礎的な分野の研究は急激に衰え、貧困な教育条件は改善されず、授業料は必ず や値上がりするでしょう。小泉内閣は、大学を大企業の競争力強化のためのも のに変えるための,いわゆる「大学構造改革」の実行を求めています。これは また,上にも述べたように、はなはだ官僚的なシステムを含むものです。最終 報告はこの小泉内閣の大学改革プランを強いるもので,政府の高等教育に対す る責任を最小化し、反対に管理は最大化する、というものです。これは、日本 だけでなく世界の知的基盤である大学の自由な発展を阻害します。その結果、 第二次世界大戦前の専制的な政治体制下の日本のように、大学は完全に国家権 力に支配されるでしょう。 最終報告はユネスコの文書に反します。とくに、以下の文書の諸条項に反しま す。 1997年の「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」  IV. 教育目的および教育政策、のなかの10条a項、  V. 教育機関の権利と義務および責任、のなかの17条から19条、  VI. 高等教育の教育職員の権利と自由、のなかの27条、28条、29条、および32条、  IX. 雇用の条件、のなかの45条 1998年の「21世紀に向けての高等教育世界宣言 −展望と行動−」  第1条 教育、訓練、研究を行う使命  第2条 倫理的役割、自治、責任および期待される役割  第10条 主要な当事者としての高等教育の教職員と学生、のなかのc項  第14条 公的サービスとしての高等教育の財政、のなかのa項 1998年の「宣言」の「高等教育の変革と発展のための優先的行動の枠組み」  I. 国レベルでの優先行動、のなかの1条a項、j項、k項  II. 高等教育の組織および機関のレベルでの優先行動、のなかの5条,6条g項  日本政府が承認したユネスコの勧告と宣言の文脈において、私たちは貴下に、 国立大学を独立行政法人制度の下におかないよう日本政府に警告することを, 強くお願いします。なぜなら、最終報告は、そのようなシステムが日本のみな らず世界中の高等教育の発展にとって否定的な影響を与えるということを明言 するユネスコの諸合意に反するからです。 署名 山住正己 (東京都立大学名誉教授) 国立大学独立法人化阻止全国ネットワーク代表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [99-1-2] 奨学金返還免除制度廃止についてのパブリックコメント http://ac-net.org/dgh/02/a17-shougakukin.html From: 編集発行人 To: gakusei@mext.go.jp Subject:「新たな学生支援機関の在り方について」*1に対する意見 *1: http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021002.htm 「いつものことであるが、このような重要な問題についての意見募集としては、 募集期間が余りに短い。以下は、教育研究職への奨学金返還免除廃止の方針に ついてのみ、意見を述べたい。 特殊法人統廃合問題と、奨学金制度の見直しとは、別の問題である。奨学金 返還免除制度廃止は大きな影響のある政策であって、このような行政改革の議 論の一部で簡単に片づけることができる問題ではない、高等教育政策の全体と 切りはなして是非を論じることはできないからである。 高等教育費用の受益者負担主義政策の下に、国立大学の学費が四半世紀にわ たり計画的に値上げされ、また、今後、国立大学が独立行政法人化した場合に は、学費はさらに値上げされることは避けられないと予想されている。一方、 国民の間の経済格差は急速に拡大している(*1)。この中で、奨学金制度の果す 役割は以前にも増して大きくなっている。 この状況にありながら、奨学金事業を国が縮小しようとすることは大きな問 題である。しかも、本来、国民の基本的人権である教育権を守るための奨学金 事業の核心をなすスカラーシップ型奨学金を実現している返還免除制度を「若 手研究者の確保等という政策目標の効果的達成の手法」としてしか「特殊法人 等整理合理化計画」では認識されておらず、その政策目標の効果的達成のため に、奨学金とは全く別の方法に切り変えようとしていることは、問題をよく認 識していないのではないか、と思われる。 このような動きは、高等教育の機会が経済状況に大きく依存する時代を招く 危険性が大きい。 一連の政策の根底にある高等教育受益者負担主義が政府方針となったのは、 皮肉にも、高等教育の無償化が国際人権規約で採択された時期である。196 6年に国連で採択され1976年に発効した国際人権規約「経済的、社会的及 び文化的権利に関する国際規約(A規約)」には、13条の2(c)「高等教育 は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力 に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」とい う規約があるが、これをいまだに批准していないのはマダガスカルと日本だけ だ、と文部科学省は国会の審議で答えている。 世界の潮流に逆行する高等教育受益者負担主義は、日本社会に支持されてい るのだろうか。そもそも、その政策は日本社会に開示されているのだろうか。 この政策は国民の教育権を冒すだけでなく、次のような点で、国策としても 拙劣であると思われる。 (1) 高等教育を受けた人が、自分の利益を追求することを国として奨励している ことになる。 (2) 高等教育費の高騰により少子化が加速する。これほど効果的な少子化推進 政策はないとすれ言える。その一方で、膨大な国家予算を効果のない少子化防 止政策に割いているが、焼け石に水である。 (3) 人の資質は経済的条件とは独立しているので、経済的条件で人を篩にかけ ることは「人を育てる」国の事業としては戦略的ミスと言える。 高等教育受益者負担主義にともなう(3) の問題を解消することが、奨学金制 度の本来の使命であるはずだが、奨学金返還免除の廃止は、その使命を忘れた ものと言えるだろう。 奨学ローンだけになれば、人生のスタートラインで、数百万の借金をもろに 背負う人がかなり発生することになる。たとえ無利子であっても、それを返還 することは、若い人の給与が少ない日本社会(*1)では大きなハンディとなるは ずである。「特殊法人等整理合理化計画」の方針が実現し、優秀な人ならば莫 大な競争的研究費を獲得し奨学ローンをすぐに返せるようになるとしても、そ れを当てに出きるほどの自信を大学院進学を決める時点で持つ者がどれだけい るだろうか。結局は、経済的余裕がない家庭の子女で、聰明で良心的で先をよ く考えるような人が、大学院進学を断念することになる場合が出てくるだろう。 最初に述べたように、奨学金制度は、高等教育政策全体と切りはなしては、 論じられない。検討会議が返還免除制度廃止の理由として挙げていることは、 この制度が果している役割の大きさからすれば、廃止の理由としては取るに足 らない。 戦略的なミスは戦術的考察では解消できない。高等教育受益者負担政策は戦 略的ミスであり、奨学金制度を変更するような戦術的レベルのことで、問題を 解消できるとは思えない。 高等教育予算縮小政策を数十年も続けたことの政策評価をきちんとすべき時 期に来ている。検討会議は、そこまで踏み込んで議論すべきではないか。 ーーーーーーーーーーーー 以上、検討会議の姿勢そのものに問題があることを指摘したが、中間まとめ の具体的内容にも問題がある。 廃止の理由として検討会議自身は挙げているのは次の2点である: (a)教育・研究職という特定の職に対してのみ返還免除を行うため不公平感を 生じさせる。 (b)制度導入時と比べ教育・研究職の処遇の改善や需給構造の変化等により人 材の誘致効果が減少していることなどにより、その意義が薄れてきている。 しかし、その直後に、 (c)しかしながら、引き続き、優れた学生に対する大学院への進学のインセン ティブの付与や、研究者養成の充実の視点は重要であり・・・ と主張している。主張(b)と主張(c)との関係が不明確である。それどころか、 「引き続き」という言葉があるので、主張(c)は、主張(b)を否定していると思 われる。実際、主張(c) は、教育研究職への奨学金返還免除は大学院進学のイ ンセンティブとなっている、という認識が背景になければ理解しにくい。そう いう認識があるからこそ、その廃止によって大学院進学へのインセンティブが 減少することを懸念して、少なくとも「優秀な」者については、返還免除に替 る大学院進学のインセンティブを用意しなければならない、と主張していると しか解釈できない。 主張にこのような行き違いがあることは、「特殊法人等整理合理化計画」で 述べられている政府方針を吟味しようとせず、検討したような外見を取り繕う ために、理由を適当に付加したためではないか、と推測される。 それでは主張(a)はどうか。 主張(a)は、返還免除を廃止することの理由にならないことは言うまでもな い。もしも「不公平感」が問題ならば、他の公平な基準を見いだして、返還免 除制度を続行すべきであろう。その点、中間まとめで提案されている「大学院 生を対象とした給費制奨学金」を、院生の経済的状況だけを基準として給付す ることが、公平性の点でもインセンティブの点でも、すぐれた案ではないかと 思われる。 米国では、多様な奨学金があるが、国の奨学金は、経済的な視点だけで支給 されており、州や大学の奨学金は、優秀さなどを配慮した奨学金となっている と言う(*2)。国の奨学金は、経済格差解消だけを使命として支給されるべきで はないだろうか。それが、国にとっても最も効率の良い奨学金制度となると思 われる。 最後に検討会議にお願いしたいことがある。奨学金返還免除制度廃止をもし も提言するのであれば、具体的代案を強く提言すべきである。中間まとめのよ うに、種々の代案を羅列するだけならば、結局、政府が示唆している通り、奨 学金の一部が競争的研究費に化けてしまうであろう。是非、検討会議としての 使命を十全に果して頂きたい。 (*1) 橘木俊昭「日本の経済格差ー所得と資産から考えるーー」岩波新書590, 1998. ISBN 4-00-430590-X (*2) 塙 武郎「米国における奨学金制度ーその支給構造の総体ー」 大学研究23, 2002.3, 筑波大学大学研究センター、209-233. ---------- [99-1-3] 全国農学系学部長会議声明 平成14年10月11日 http://www.h.chiba-u.ac.jp/kanko/buchokaigi/107/seimei.htm 「・・・本会議は、21世紀における農学の重要性を明らかにし、また農学は、 短絡的な効率主義や過度な競争主義になじまず、地域性を重視し、応用科学と 基礎科学の両面を合わせもつ学問分野であり、さらには学部の自主性・自律性 は農学の健全な発展に不可欠であると主張した。同時に、本会議は、成熟した 学部運営の合理的構築、地域貢献と国際貢献への努力、ならびに総合科学的な 知識と経験を有する人材の養成に関して、農学系学部が互いに切磋琢磨してゆ く決意を表明し、また国公私立大学の農学系学部が対等な立場で重要問題を議 論する場を構築してきた。  国立大学農学系学部の多くは、国立大学法人化を控えて、農学系連合大学院、 演習林・農場・牧場などの附属施設、獣医学教育などに関する問題の解決を要 請されている。これらの問題に関しては、地域性、歴史性などが複雑に絡まっ て解決策が見出しにくいものの、関係する学部間、大学間においてよりよい解 決策を見出すべく最大限の努力が現在もなされている。本会議は、それぞれの 状況下における関連農学系学部の自主的努力による独自の提案を尊重し、また 支持することを表明する。なぜなら、農学の特徴と問題の性質から考えて、上 述の問題に関する全国一律的な解決策はあり得ないからである。・・・」 ---------- [99-1-4] 法人化粉砕!10.18東大大集会宣言 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/021018syukaisengen.html 「私たちは、2001年の5.18独法化反対東大緊急大集会で国立大学の独法化に 反対する意志を表明し、今日まで一貫して独立行政法人化に反対してきました。 この間、文科省調査検討会議「最終報告」が「非公務員化」の方向を打ち出すな ど、「法人化」の構想はいっそう認めがたいものになっています。  この秋に入って、文科省の法人化政策は隘路に逢着しています。財務方式に関 して財務省の方針との齟齬が生じたり、設置形態に関して内閣法制局の異論が出 るなど、文科省の政策は八方塞の状況を呈しています。また、東京大学からは 「新国立大学法骨格案」という「最終報告」に批判的な見解も表明されています。 来年の法案成立の見通しもまったく危ぶまれる状況になっています。  こうした文科省の混迷は、私たちが当初から批判してきたように、大学の独立 行政法人化が、大学の自治、学問の自由と真っ向から対立し、大学の生命を脅か す、そのような無理無体なものであることに由来します。私たちは、東京大学が、 そしてすべての国立大学、日本の大学が、大学の本来あるべき姿に発展すること を願っています。そのような観点からは、「法人化」は到底受け入れることがで きません。私たちは、集会の名において、あらためて国立大学の「法人化」に反 対し、徹底的に闘う決意を表明します。 私たちは、文科省に対して、国立大学の「法人化」政策の即時撤回を要求します。 私たちは、「国立大学法人法案(仮称)」の国会提出に反対します。 私たちは、東京大学が、そしてすべての国立大学が、「法人化」に反対し、大学 の自主的な立場を正面から主張することを要求します。 私たちは、教職員の「非公務員化」とそれによる雇用の不安定化に反対します。 私たちは、より良い大学、より良い職場をつくりあげるために、すべての大学構 成員が協力・連帯して努力することをめざします。 2002年10月18日 法人化粉砕!10.18東大大集会参加者一同」 ---------- [99-1-5] 東京大学職員組合第101回定期総会宣言(2002.10.26) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/021026tousyokusoukaisengen.htm 「・・・わたしたちは、「法人化」ではなく、国立大学の真の改革を要求しま す。高等教育は、本来的に公共的な性質を有するものであり、時々の政府の政 策や産業界の要請に左右されてはなりません。大学は、自由な研究と教育をつ うじて普遍的な学問と科学、文化を創造する場です。そのことによって、大学 は、人類の営みを継承し、発展させてきました。大学が社会や国民に貢献する のも、大学がそのような大学本来の使命を達成することによってです。そのた めには、また、大学には、自主的な教育と研究の場として、高度の自治と大学 運営における民主制が保障されなければなりません。大学のそのような任務は、 各職種の教職員と学生との間の相互信頼に基づく協力と共同の関係を築き上げ ることによって達成されるはずです。こうしたあるべき大学の見地からは、今 日の国立大学の現状はかならずしも十分なものではありません。しかし、「法 人化」や時として語られる「民営化」は、これと正反対のものです。それは、 大学を崩壊に導きかねません。・・・」 ---------- [99-1-6] 伊吹浩一「大学人よ、もっとプライドをもて」 アソシエ21ニューズレター2002年3月号 No.35 論説 より http://www03.u-page.so-net.ne.jp/yd5/associe/newsletter/2002/no35.htm#SEC3 「・・・少なくとも現在の大学は欺瞞的ではない。現在の大学はなりふり構わ ず「金儲け」に邁進し、積極的に企業と連携し資本主義を推進し、自分達だけ 生き残ればいいとばかり他人を平気で抑圧していくことを宣言しているからだ。 大学の知もそれに直結しないような役にたたないもの、つまり人類の理想を唱 うような学問は切り捨てられていく。もはや裏と表はなく、全面的に金儲け一 色である。・・・」 「・・・眼前で行なわれている大学改革に対し無関心を装い静観しているのも いかがなものか。その無関心によっても実際に被害者が生まれている。あなた 方が責任をもって対応しなければならない学生たちがまずはじめに犠牲になっ ているのである。学生とのコミュニケーションを大学の方から断ち切ってしまっ て良いものなのか。言うまでもなく学問するためには社会的関心なりの動機が なければならない。それを積極的に示した学生を次々に押し潰してしまってい いのか。大学人は学生の学力低下を嘆く前に、まず自らの知性の低下について 自問自答してもらいたい。若者たちの社会に対する無関心ぶり無責任性を非難 する前に、自らの大学内での態度について考えてもらいたい。大学人は言葉を 信じそれを操る専門家であるということ、その自覚とプライドをもう少しもっ てもよいのではないか。大学における市場原理導入はこれから深刻な問題を引 き起こす。それなりの自己検証能力を大学に残しておかないと、近い将来多く の人々に多大の害を与えることになるのではないか。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [99-2] 学校教育法改正案の諸問題:評価機関認可制 #(この法案の内容は、些細な規制緩和を理由に、私立大学への行政監督権を 異様に強化するもので、国公立大学の独立行政法人化と全く同じである。日本 における大学評価研究の第一人者による以下の批判文書がある。国公私の区別 なく、大学全体を行政の強い管理下に置くことは、日本の大学全体に深刻な悪 影響があることを日本社会に警告することが大学関係者に求められる。) 改正案: http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/houan/09/021018/gakkou_h.html 概要: http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/houan/09/021018/gakkou_g.html 評価に関する部分の抜粋 「○設置認可制度の見直し 現行: 学部等の設置は全て国が認可 改正後:授与する学位の種類・分野を変更しないなど一定の用件を満たす学部 等の設置については認可不要(届出制に移行) ○大学に対する第三者評価制度の導入 現行: 大学設置後の質の保証は自己点検・評価など各大学の自己努力 改正後:大学関係者等による評価機関(国が認証)が、  (1)大学の全学的な教育研究等の状況  (2)専門職大学院の状況(各分野ごと) について定期的に評価・公表 ○違法状態の大学に対する是正 現行: 私立大学に対する是正措置は「学校閉鎖命令」のみ 改正後:  ・大学の自主性を尊重し,改善勧告・変更命令など段階的な是正措置を整備  ・事前に審議会に諮問 ※ 施行期日は,平成15年4月1日(第三者評価制度の導入は,平成16年 4月1日)」 ---------- [99-2-1] 喜多村和之「評価関連法案の問題点--学校教育法一部改正につ いて」喜多村和之(私学高等教育研究所主幹)教育学術新聞2002.10.23 http://ac-net.org/dgh/02/a23-kitamura.html 「中央教育審議会は、去る八月五日の答申「大学の質の保証に係る新たなシス テムの構築について」において、大学に対する第三者による評価制度の導入等 の提言を行った。文科省はただちにこれを法案化し、十月中旬から始まった臨 時国会に提出した。この「学枚教育法の一部を改正する法律案」は、その他に 学部等の設置認可制度の見直し、違法状態の大学に対する是正措置、専門職大 学院制度の創設など、今後の高等教育に重大な影響を及ぼす一連の諸変革とセッ トになった変革を意図したものである。同省は平成十五年四月一日からの施行 (但し第三者評価制度の導入は同十六年四月)をめざしており、臨時国会審議 の期間は十二月中旬までのわずかにしか過ぎない。同省が急ぐのはそれなりの 意図があってのことだろうが、筆者はこの法案はいくつかの点で重大な問題を 孕んでいると考えるので、ここでは特に大学評価の問題にしぼって問題を提起 したい。 第一の問題は、これまで省令に規定されていた大学評価の問題を法律レベルに 上げて規定し、大学による自己評価を学校教育法上に位置付け、さらに第三者 による評価を国公私大に共通かつ画一的に義務化していることである。・・・ 中教審答申でもなぜすべての大学に第三者評価が義務付けられるのか、かなら ずしも明確ではなかったが、法案は大学に一律的に自己評価と第三者評価を求 めている。・・・ 第二に、法案では、大学は文部科学大臣の認証を受けた評価機関(「認証評価 機関」)による評価(「認証評価」)を受けるものとするとある。しかし第三 者評価がなぜ国の認証した評価機関に限られなければならないのかの理由が明 らかでない。・・・ 第三に認証評価機関による評価は「認証評価」というとあるが、その場合、 「認証評価」の内容をどう解すべきかという問題である。・・・もし、どのよ うにでも解釈できる玉虫色の用語であれば、今後に重大な問題を残すことにな るのではないか。 第四に、法案によれば、認証評価機関の認証権は同省大臣にあり、評価基準、 評価方法、評価体割、異議申し立て制度、法人格の所有、等々の条件が具備さ れていることが必要で、その細目は同省大臣が定めるとある。・・・これでは 設置認可という事前規制を緩和して事後評価を重視するというこれまでの流れ とは、第三者評価機関に限っては逆行していることにならないのだろうか。そ もそもなぜ同省大臣が評価機関の認証条件にまで介入してくる必要があるのだ ろうか。・・・ 第五に「認証評価機関」は一定の事項の変更(大学評価基準の変更等)を行う 場合、あらかじめ、同省大臣に届け出るものとするとある。しかし新設の第三 者評価機関においては、基準や手続き等をたえず改定し、あるいは試行実験を 行うことが必要となり、基準の変更等は頻繁に行われる可能性が高いと予想さ れる。・・・ 第六に、「文部科学大臣が、認証評価機関が機関認証機関に適合しなくなった と認めるとき等」には、改善を求め、あるいは認証を取り消すことが出来ると 法案にはある。・・・ 第七に認証評価機関が行った評価結果について、もし事後に問題が生じた場合 (例えば、認証評価機関が認証評価した学校の質にクレーム等がついた場合)、 その責任は誰が、どのようにとることになるのか。・・・ いずれにしても、この法案は幾多の問題点や暖昧な面があり、場合によっては、 天野郁夫氏が指摘しているように「認証評価機関を通じた国家による教育統制 につながる恐れ」(朝日新聞平成14年十月二十一日付)もある。こうした疑 問点は法案審議の過程で明らかにされるべきである。また、認証評価機関に申 請を考えている大学団体や高等教育関係者は、後に問題を残さないように、十 分慎重にこの法案を検討すべきであると考える。」 ---------- [99-2-2] 萩尾 健太(弁護士):法科大学院設置法案批判 http://www.ac-net.org/dgh/02/a30-hagio.html 1 法科大学院連携法案について 2 学校教育法改定案について 3 学校教育法改定案と法科大学院連携法案のリンク 4 司法試験法改定案について 5 裁判所法改定案について 6 広範な人々に関わる問題 「・・・学校教育法69条の3から6にかけて認証評価機関について規定され ている。・・・さらに問題なのは、文科大臣が、認証評価機関の認証を行い、 公正かつ的確な実施が確保されないおそれがあるときは報告または資料の提出 を求め、改善を求め、ひいては認証を取り消すことまでできる点である。これ は、学問の自由を尊びアメリカ法曹協会と共同関係にあり政府の介入の余地の ないAALS(アメリ カロースクール協会=アメリカのロースクール評価機 関)とは全く別物と言える。・・・  仮りに日弁連が認証評価機関を作った場合、このような強大な文科省の統制 に服し、 事実上、弁護士自治に対する介入すら招くこととなるだろう。日弁 連の認証評価機関ですら、法科大学院連携法案の規制緩和の基本理念(同法2 条)に大学の教育が沿っているか、を基準に評価することは避けられない。・ ・・ ・・・上記のように、4法案の問題は法科大学院だけの問題ではない。全て の大学を統制・管理下におくのが学校教育法改正であり、その中で法科大学院 が突出しているのである。さらには、教育基本法改定にまで結びついている、 戦後教育の大改悪の問題として捉える必要がある。 そうである以上、法律家のみならず、大学教員、職員、院生、学生、受験生、 父母、市民、全ての教育関係者に、この4法案、大学管理・法曹変質法案を阻 止すべく共同することを呼びかけるべきである。とりわけ、学校教育法改定案 反対については、幅広い層が共同して運動できる可能性は十分にある。教育基 本法改悪、、大学改革反対の運動と結びついて、大学管理・法曹変質法案を阻 止しよう。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [99-3] 教育基本法の行方 ---------- [99-3-1] 中教審基本問題部会(10/17)における主な意見の概要(案) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/002/021002e.htm 「○ 1頁の「見直しの視点」では、「見直しを行うべきであるとの結論に至っ た」とあるが、いつ、どこで 、誰が決めたのか。新聞では改正が決定したか のような報道であったが、少なくとも部会としては決定していないはず。 ・・・ ○ この報告をこれから国民に問うていくわけだが、これを国民やマスメディ アがどう受け取るかについて 考える必要がある。教育は取り返しのつかない 分野で、以前のものを大きく否定して変革するものではないはずだ。この案は、 全体として慎重な書きぶりだが、「見直し」という言葉は、文字通りの修正か ら抜本的なものまで大きな触れ幅を持つ。これまでの議論は「現行の基本法は 間違っていないが、現時点でみて足りないところを補足しよう」というトーン だったはず。それならば「補足」と言う方が妥当に思える。現場では実際に改 革が進んでいる。今回の議論は基本法がその実情に追いつくためのもの。これ までの教育の歴史を肯定的に受け取れるような、そして、国民に誤解を与えな いような表現を取るべき。 ・・・ ○ 「新しい公共」が「公」に変わっているが、そのとたんに「私」の視点が 失われ、人間が公に絡め取られるイメージがある。「公共」「共同体」などの 言葉を使って工夫しないと、みんなで社会に参加して新しい社会を築くという ニュアンスがでてこない。日本人のアイデンティティも「愛国心」と書かれる と、偏狭なイメージになる。「国際社会に貢献しようとする意識」をもっと前 に出すとともに、伝統、文化、郷土愛のくだりも「伝統、文化の理解、継承に 努め、国や郷土を愛し、これを発展させる心」などと言葉を補うべき。 ○ 河村副大臣「・・・ 最近は、子どもが自分中心になっていることを感じる。 日本全体でも「一国平和主義」と言われたように国自体が自己中心的になって いた。子どもばかりを責めるわけにはいかないが、放置はできない。教育から 考えていく必要がある。そのためには、国民全体の意識改革が必要であって、 教育基本法の見直しは、日本を考え直そうという良い意味でのショック療法に なる。」 ○ 池坊大臣政務官「・・・教育基本法は教育の憲法であり、これは重要な改 正になる。委員の方々には、拙速にならないよう、慎重にきめ細やかに丁寧に ご審議いただきたい。 審議会の議論が一人歩きしないようにしたい。今朝の新聞を見て思ったのは、 いつ中教審で「法の見直しを行うべき」という結論が出されたのかということ と、色々な方の御意見にあったように、自分も国を愛する心を持っているし、 次の世代にも持ってほしいと思っているが、それを新聞で「愛国心」と書かれ ると、何となく違うような気がする、ということ。文言によっては危ういもの になると感じる。 保護者の84%が教育基本法の内容を知らないという現実を踏まえれば、この 改正は必ずしも国民の盛り上がりの中での改正ではないので、皆の理解を得る ことが必要である。 序章の中に、「日本の教育は危機に瀕しているから教育基本法を見直す」とあ るが、今の教育基本法で困ることはない。ただ、21世紀を見据えたときに足 りない点がある。今の教育の危機、教育の荒廃は教育基本法とは関係ないので、 そこは分けるべき。」 ---------- [99-3-2] 第16回基本問題部会(2002.10.24)における主な意見の概要(案) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/021002g.htm #(出席者名簿を見ると、文部科学省官僚が少なくとも20名が出席、委員はわずか8名) ---------- [99-3-2-1] 「 ○ 先ほどの2頁の最初だが、修文案を考えてみた。「内 閣総理大臣の下に設置された教育改革国民会議は、日本の教育は危機に瀕して いるという認識の下に、人間性豊かな日本人の育成、一人一人の才能を伸ばし 創造性に富む人間の育成、新しい時代にふさわしい学校作りなどの、国民的運 動としての教育改革の必要性を訴え、17の提案をした。その中の2つとして、 教育政策の総合的推進のための教育基本計画の作成及び新しい時代にふさわし い基本法の見直しを提案した。基本法の見直しの観点として、以下の3点を提 示した。」 ---------- [99-3-2-2] 「○ この前も高等教育について質問をして、この次までに 考えると言われたが、この中間報告案にがどう反映されているかよくわからな い。  例えば、第3章部分の35頁、上から6つ目の○について。教員の流動性の 向上やインブリーディングの抑制は重要だが、それだけで世界に通用する大学 が作れるとは思えない。これだけが取り出されているというのは、簡単にでき ることだけを抜き書きしている感じがある。教育振興基本計画は初めて作成す るのだから、例え困難なものであってもヴィジョンの見えるものを出す必要が あると思う。この前もそういうニュアンスで質問をした。この前の質問は大学 院生に関してだったが、これは、高齢化が進んで日本の人口が減るときに外国 にどこまで門戸を開くのか、ということに関わる教育政策である。アメリカで は、世界中からトップレベルの人材を大学院に呼び寄せる努力をしている。そ の人たちは、ちゃんとポジションを得ることができるなど、居心地がいいから アメリカに定着する。そこまでを日本は考えるのか、考えないのか。ただ単に 留学生1万人計画を立てて、その人数が達成できた、できないで終わるのか。 そういうもっと根幹に関わる事を議論した上での基本計画ではないのか。大学 の流動性の向上だけで全体が変わるとは思わない。それが、もっと奥にあるヴィ ジョン、思想の一つとして出てきているのだということが見えない。  その後の45頁、「(2)『知』の世紀をリードする〜」も、具体的に書く とこうなってしまうというのはあるかもしれないが、「知」のリードをする大 学院教育をどうするのか、あるいは、研究のシステムをどうするのか、そうい うことを考えることが必要で、施設・設備を良くするだけということではない。  流動性の向上だけでは日本の大学は世界の大学と競争できないし、では日本 の中だけでやっていればよいのかといえば、日本の優秀な人が海外に出ていく という教育の空洞化も心配されるので、是非高等教育に関してもう少しふくら ませて、考察と洞察と記述の仕方の工夫をお願いしたい。」 ---------- [99-3-3]中央教育審議会総会2002.10.30資料(中間報告案) 「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/021002a.htm #(「高等教育機関相互の連携協力の強化」と「評価に基づく重点的な資源配 分」のように、リップサービスと本音とが入り乱れて矛盾した言明となってい ることに無頓着な人々に教育基本法の「見直し」をさせて大丈夫なのだろうか。) #(高等教育関係の抜粋) 3教育振興基本計画に盛り込むべき施策の基本的な方向 ○優れた研究教育拠点形成等の重点的な支援、博士課程学生、ポスドク支援の 充実など優れた若手研究者の育成を推進する。 ○大学改革の流れを加速し、活力に富み国際競争力ある大学作りを目指すため、 国立大学の法人化など大学の構造改革を推進する。 ○世界水準の教育研究成果の確保を目標として、大学等の施設整備を推進する。 ○国際的な通用性等を踏まえた高等教育機関の質を確保するための第三者評価 システムの構築を推進する。 ○高等教育機関の活性化を図るため、公募制・任期制の導入の推進を図るほか、 自校出身者比率の数値目標の設定や大学院入学者中の他大学出身者の割合につ いての数値目標の設定を求め、教員・学生の流動性を高める。 (2)「知」の世紀をリードする大学改革の推進 (1)「知の拠点」を支える教育研究環境の整備 これからの教育においては、知の世紀をリードする創造性に富んだ人材を育成 することが重要である。このためには、国公私立を問わずすべての大学が適切 なマネジメント体制の下で、大学間あるいは内外の研究機関等との間の人的交 流を促進することや、学生が学業に専念できる仕組みを整えることなど、柔軟 かつ安定的な大学の教育研究環境を整備することが必要である。これにより、 大学は、世界のあらゆる知の分野で活躍しうる、高い能力を備えた人材を育成 するための拠点となりうる。このような観点から、今後、以下の方向で施策を 検討すべきと考える。 ○国立大学の法人化など高等教育機関におけるマネジメント体制の確立 ○教員・学生の流動化の促進 ○奨学金の充実などの学生支援の推進 ○施設・設備の充実 ○大学職員の専門性の向上 ○私学助成の推進による私立大学の教育研究環境の整備・充実 ○大学の設置認可の弾力化 ○若手研究者の育成・活用の機会の充実 ○高等教育機関相互の連携協力の強化 (2)教育研究機能の充実 我が国の大学が世界に伍していけるだけの競争力を持つ健全な「知の拠点」と なるための機能を継続的に果たしていくためには、基礎的な学問や教養に関す る教育研究に加え、社会のニーズを敏感に読みとり、これに柔軟に対応するこ とを可能にする教育研究機能を有すること、そして高度な教育研究へのインセ ンティブを与えるような取組が求められる。このような観点から、今後、以下 の方向で施策を検討すべきと考える。 ○国際競争力向上のための教育研究機能の質的向上、人材の招へい・集積 ○基礎的学問分野の教育研究機能の充実 ○社会のニーズに柔軟に対応した教育研究機能の強化 ○教養教育の再構築の推進 ○ITを活用した教育内容の豊富化・高度化の推進 ○競争的資金の充実による研究の振興 (3)評価制度の導入・整備 我が国の大学が教育研究の質の向上を図るためには、自己点検・評価の充実と ともに、第三者評価などを通じた多元的な評価システムの確立により、大学の 教育研究の内容・方法の改善を積極的に図っていくことが重要である。このよ うな観点から、今後、以下の方向で施策を検討すべきと考える。 ○自己点検・評価、第三者評価の実施と評価結果の公表 ○評価に基づく重点的な資源配分 ○大学評価における教育の評価の観点の重視 (4)社会・経済の発展への積極的貢献 「知の拠点」としての大学は、今後、その閉鎖性を打破するとともに、その知 的資源等をもって積極的に社会の発展に貢献する教育機関となることが重要と なる。このため、地方公共団体や地域の企業と様々な形態で協力しながら教育・ 研究を行い、その成果をすすんで地域に還元することが求められている。この ような観点から、今後、以下の方向で施策を検討すべきと考える。 ○大学を核とする産官学連携の推進 ○大学から産業界への技術移転の推進 ○社会人の再教育機能の強化 ---------- [99-3-4] 基本問題部会設置について http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/020101/020101d.htm ---------- [99-3-5] 中央教育審議会総会2001.12.10 議事録 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/011201.htm ---------- [99-3-6] 中央教育審議会総会2002.1.22 議事録 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/020101.htm ---------- [99-3-7] 文部科学大臣諮問2001.11.26 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/011102/011102a.htm ---------- [99-3-8] 審議会の役割についてのコメント http://ac-net.org/common-sense/miyamoto-2.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [99-4] 「聖域」を重点的に外部化する行財政改革 ---------- [99-4-1] 財政制度等審議会:義務教育費国庫負担金の5000億円削減方針 についての質疑: 財政制度分科会 歳出合理化部会及び財政構造改革部会合 同部会2002.10.9 西室部会長記者会見の模様: http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/kaiken/zaiseic141009.htm ------------ 〔記者〕 仮に5,000億円を是とした場合、国の負担金を減らして地方に移し た場合に、地方の方で持つ財源、その辺の移転の議論というのは、今日は出な かったんですか。 〔西室部会長〕 ええ、その議論そのものは三位一体議論だということだと思います。 〔記者〕 三位一体の中で考えていこうという。 〔西室部会長〕 その中で考えていくべき要素、そういうことですね。その議 論について、突っ込んだ話はしませんでしたけれども、いろいろな考え方があ るということだけは確認できたというふうに言っていいと思います。いろいろ な考え方というのは、つまり、もうこれは削ったら削りっ放しで、いわゆるつ け回しと言われた方向で決着をつけた方がいいと思っておられる方もいらっしゃ るし、一方、そうではなくて、全額面倒見てあげるべきだと思って発言してお られる方もいらっしゃいました。その中間の方もいらっしゃる、こういうこと です。 〔記者〕今のつけ回しでいいというところですけれども、要するに、国の負担 金を削って、例えば5,000億円だったとした場合に、5,000億円削って、それは 地方の方に、例えば税源の移譲等々含まずに、地方の現行のパイの中で吸収せ よというご意見の方がいたという理解でいいんですか。 〔西室部会長〕そこまで具体的におっしゃった方はいません。それともう1つ、 念のために申し上げておきますと、つけ回しという言葉そのものは、余り品の いい言葉ではありませんし、当財政制度等審議会では1回も正式な場では話を しておりません。私が便宜上使っただけですから、その辺、誠に申しわけない のですけれども御了承下さい。 ---------- [99-4-2] 放送大学学園の学校法人化 [99-4-2-1] 「放送大学・放送大学大学院の時間」サイト http://hp1.cyberstation.ne.jp/sato/u-air.html 放送大学学園と行政改革 http://hp1.cyberstation.ne.jp/sato/u-air012.html 「特殊法人放送大学学園についての法令を総務省法令データ提供システムから 探して掲載しました。特殊法人改革で特殊法人のひとつである放送大学学園も 学校法人化が決まりました。果たして今後どうなるのか?インターネットで探 した資料を開示したいと思います。」 ---------- [99-4-2-2]「特殊法人等の廃止・民営化等及び独立行政法人の設立等 に当たっての基本方針について」特殊法人等改革推進本部決定(2002.10.18) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/gyokaku/kettei/021018kihon.html 1  廃止するとともに、事業の徹底した見直しを行った上で、残る事業を新 独立行政法人に承継又は移管 国民生活センター 北方領土問題対策協会 平和祈念事業特別基金 通信・放送機構 国際協力事業団 国際交流基金 通関情報処理センター 日本万国博覧会記念協会 日本体育・学校健康センター 日本芸術文化振興会 科学技術振興事業団 日本学術振興会 理化学研究所 宇宙開発事業団 労働福祉事業団 社会福祉・医療事業団 日本労働研究機構 心身障害者福祉協会 勤労者退職金共済機構 雇用・能力開発機構 日本障害者雇用促進協会 医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構 農畜産業振興事業団 野菜供給安定基金 農業者年金基金 農林漁業信用基金 生物系特定産業技術研究推進機構 緑資源公団 海洋水産資源開発センター 日本貿易振興会 情報処理振興事業協会 新エネルギー・産業技術総合開発機構 地域振興整備公団(注) 中小企業総合事業団 産業基盤整備基金 日本鉄道建設公団 運輸施設整備事業団 国際観光振興会 水資源開発公団 自動車事故対策センター 空港周辺整備機構 海上災害防止センター (注)地域振興整備公団は、その廃止について別に法制上の措置を講ずる。 2  民営化等 地方公務員災害補償基金 放送大学学園 日本私立学校振興・共済事業団 社会保険診療報酬支払基金 日本下水道事業団 日本勤労者住宅協会 帝都高速度交通営団 ---------- [99-4-2-3] 放送大学学園の学校法人化についての文部科学省見解2001.9.1 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/13/09/010901/01.htm 「民間法人(学校法人)」となるためには、次のことが確保されなければならない。 1生涯学習の中核的機関の役割・・・ 2資産の取扱い  民間法人設立(移譲)時の学園の資産の取扱いについては、 (1)有償譲渡の場合、総額約327億円(平成13年3月現在)出資できる学 校法人であること (2)譲与又は無償貸付の場合、国有財産法に規定する対象範囲に民間法人が 該当しないため所要の改正が行われること    3運営費等の補助 (1)運営費の補助 平成13年度の学園に対する国庫補助率は63.5%であり、他の私立大学に比し て極めて高割合の補助を毎年度継続すること  なお、私立学校振興助成法においては、私学の自主性に配慮し、経常的経費 に対する補助率は2分の1以内(放送事業は補助対象外)となっているが、現 在の私学助成の補助割合は11.9%(平成11年度実績)と低い。私立学校の健 全な発展を支援する文部科学省が、特定の学校法人に高割合の補助をすること には問題がある。 (2)施設・設備費の補助  老朽化した放送設備等の更新等に伴う多額の施設・設備費に対し、運営費と は別に全額補助すること (3)学習センター設置・運営の支援 国立大学の敷地に民間法人の施設を合築したり、建物を共有することが国有財 産法上規定されていないため、所要の改正が行われること。また、現在と同様 に、国立大学をはじめ、私立大学、地方公共団体からの協力体制を維持するこ と・・・」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [99-5] 臨時国会 ---------- [99-5-1] 衆議院文部科学委員会2002.10.30 第一回10月30日 http://www.shugiin.go.jp/itdb_rchome.nsf/html/rchome/iinkaiUgoki_m.htm ---------- [99-5-2] 参議院文教委員会2002.10.28:遠山文部科学大臣挨拶より http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/a29-san-bunkyoukagaku.html 「・・・・・・大学については、知の創造と継承がその役割として強く期待さ れており、教育・文化立国と科学技術創造立国を目指す我が国にとって、知の 世紀をリードする大学改革は極めて重要な課題であります。 このため、本国 会に提出した学校教育法改正法案により、大学の設置認可の弾力化、第三者評 価制度の導入など大学の質の保証に係る新たなシステムの構築を図るとともに、 法科大学院などの専門職大学院制度の創設を目指します。  さらに、大学の構造改革を推進し、国際競争力に富む個性輝く大学づくりを 支援してまいります。中でも、国立大学の法人化については、次期通常国会へ の関係法案の提出を目指し、具体の制度設計を進めてまいります。また、国立 大学の再編・統合を進めるとともに、優れた研究教育拠点を重点支援する二十 一世紀COEプログラムを推進いたします。あわせて、大学の教育機能の充実 強化を推進するとともに、私立学校の一層の振興や、奨学金の充実に努めてま いります。・・・・・・」 ---------- [99-6-2-1] 経済財政諮問会議2002.8.30へ提出された遠山臨時議員資料 http://ac-net.org/dgh/02/830-kzsk-toyama-siryou.pdf 「知の世界をリードする大学改革の促進」 http://ac-net.org/dgh/02/830-toyama-kaikaku-kasoku.pdf 大学改革の加速(当面の工程表) http://ac-net.org/dgh/02/830-mext-univ-reform.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [99-6] メールマガジンより ---------- [99-6-1] 【Publicity】428:佐藤秀夫の秀逸な言説〜教育基本法成立史より http://www.emaga.com/bn/?2002100065994998008043.7777 「▼教育委員会の公選制については、こんなエピソードがある。『文部省は、 教育委員会を公選制にしたら、本当に教育がわかっている人間が出てこない。 任命制にすべきだとあくまでも固執したというんです。/CI&E(GHQ= 占領軍の民間情報教育局)の担当者と5、6回も話し合っても譲らない。/最 後に、CI&Eの担当者が、では国会議員も任命制にしたらどうか、公選制に したら、とんでもない人が出てくるというのだったら、国会議員もそうじゃな いんですか、と言ったら、文部省の担当者が口をつぐんだというんです。』」 ---------- [99-6-2] 【Publicity】093:内村鑑三の非戦論より http://freespeech.tripod.co.jp/publicity/p093.txt 「あなた方がだまされているのなら、愚劣ですよ。だまされていないのなら、 みずから魂を売りわたしているのではないですか……」と、1930年代末に若き 日の加藤周一は言い放った(『羊の歌』)。 ---------- [99-6-2] 日教組UPIメールニュース/NO.14(2002.10.28) より http://www.jtu-net.or.jp/upi/document/mailnews/no14.html 【国立大学をめぐる動向】 ◆ 法人化準備推進本部の構成が明らかに 「国立大学の法人化の方向が決定したことで、8月、国立大学等法人化準備推 進本部が文部科学省内に設置されたが、その顔ぶれが分かった。本部の構成は、 以下の通りである。 本部長 文部科学事務次官 副本部長 御手洗文部科学審議官 官房長 副本部長 高等教育局長 研究振興局長 総括審議官 清水大臣官房審議官(高等教育局担当) 文教施設部長 総括会計官 人事課長 総務課長 会計課長 高等教育局大学課長 研究振興局学術機関課長 清水大臣官房審議官が主催する幹事会は、以下の者で構成される。 清水大臣官房審議官(高等教育局担当) 大臣官房総括会計官 大臣官房人事課長 大臣官房総務課長 大臣官房会計課長 大臣官房政策課長 大臣官房文教施設部施設企画課長 大臣官房文教施設部計画課長 高等教育局高等教育企画課長 高等教育局大学課長 高等教育局医学教育課長 高等教育局学生課長 研究振興局新興企画課長 研究振興局学術機関課長 その他必要に応じ清水大臣官房審議官が指名する者 法人化に伴う実務作業を推進するプロジェクト・チームは以下の者で構成される。   山下 馨 官房人事課専門官   松田典明 官房人事課審査班係長   永山賀久 官房企画官   猿渡政範 官房会計課専門官   平野浩之 官房会計課専門職   林 明夫 官房会計課専門職   梶原 修 官房会計課専門職   菅原康宏 官房会計課主任   西村文彦 官房文教施設部施設企画課係員 ○ 合田隆史 高等教育局大学課長   杉野 剛 高等教育局大学課大学改革推進室長   合田哲雄 高等教育局大学課課長補佐   神山 弘 高等教育局大学課専門官   佐藤昭博 高等教育局大学課専門職   岡本安生 高等教育局大学課係員   福島 崇 高等教育局大学課係員   田中志津 高等教育局大学課係員   松川誠司 研究振興局振興企画課学術企画室長   新木 聡 研究振興局学術機関課専門職   黒沼一郎 研究振興局学術機関課係長 (○は主査)」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集発行人:辻下 徹 tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp 関連ページ:http://ac-net.org/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 99