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国立大学独立行政法人化問題週報


Weekly Reports  No.116 2003.5.25 Ver 1
http://ac-net.org/wr/wr-116.html
総目次:http://ac-net.org/wr/all.html
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国公立学校通信 2003.5.20-25 目次と序   http://ac-net.org/kd
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国公立学校通信 2003.05.20(火) フンボルト理念から大学資本主義へ
http://ac-net.org/kd/03/520.html
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[5-20-1] 山口二郎「国立大学の独立法人化に反対する理由」
[5-20-2] 大崎仁「株式会社大学容認を憂う」抜粋
[5-20-3] 中山茂「研究の100年--フンボルト理念から大学資本主義へ--」抜粋
[5-20-4] 大学別国立大学特別会計借入金残高ならびに資産確定経費 
 [5-20-4-1] 大学別国立学校特別会計借入金残高
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「独立法人改革の問題点をあげればきりがないが、最低限来年4月からの移行
を凍結すべき理由がある。」(山口二郎[5-20-1])

「それにしても、この問題(株式会社大学容認)について大学関係者、教育関
係者の声があまり聞かれないのは、なぜだろうか。教育基本法、学校教育法の
基本に係わる問題である。悔いを千載に残さないよう、関係者間で徹底した論
議が尽くされることを強く期待したい。」(大崎仁[5-20-2])

「今日問題になっている日本の大学のエイジェンシー化、独立行政法人化のね
らいの一部、あるいは大部分は,こうした大学資本主義である。そして,腕に
自信があり、産学協同に野心を燃やす理工系、バイオ系の純粋よりも応用的な
分野の教員によって推進される。」(中山茂[5-20-3])

「今や基礎研究・応用研究という学問分類よりも、ファイアウォールなしの研
究と、ファイアウォールの中の研究とに分類される。」(中山茂[5-20-3])

「金をもうけることも知的に興味あることではあるが,それには限定がある。
それに対して無限定なのが学問の自由である。」(中山茂[5-20-3])
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国公立学校通信 2003.05.21(水) 委任立法としての「国立大学法人法案」
http://ac-net.org/kd/03/521.html
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[5-21-1] 国立大学法人法案の廃案を求める東京集会 5/21 
[5-21-2] 国立大学法人法案阻止・教育基本法改悪阻止国会情勢速報No.13(5.20)
[5-21-3]【情報】国大協関連会議スケジュール
[5-21-4]【資料】国大協特別委員会5.15送付資料
 [5-21-4-1] B: 第14回国立大学法人化特別委員会(議事メモ)
 [5-21-4-2] C:資料3 国立大学法人法案 政省令等により定められる事項(参考)
[5-21-5] 記事等紹介
 [5-21-5-1] 「国立大学法人化」は、「脱」お役所? それとも学問の「死」?
 [5-21-5-2] アレゼール日本(高等教育と研究の現在を考える会)編
 [5-21-5-3]  櫻井よしこ「国立大法人化、拙速を避けよ」週間新潮5/22 p140-141
[5-21-6] 日本科学者会議大阪支部第38回定期大会特別決議 2003.5.17
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5/6の国立大学協会法人化特別委員会の議事録概要が公表されました。「法
人化問題についての「今後の進め方」については理事会マターであり、そのこ
とは前回議事メモにも記載されているので、早急に理事会の了承を経るべきで
はないか」という発言を、「(この)発言は協会の種々の対応における理事会
の役割を正しく認識して手順を踏んで取り進める必要があるとの趣旨と理解し、
今後のために議事メモに記録として残すことにより対応」ことにしたと記載さ
れています。国会で問題となった5/7の石副会長の文書は、理事会の承諾を
得ていなかったようです。
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国公立学校通信 2003.05.22(木): 蓮實前国大協長への公開状
http://ac-net.org/kd/03/522.html
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[5-22-1] 蓮實重彦前国大協会長への公開状
  [5-22-1-1] 2000.7.28 共同意見書
  [5-22-1-2] 第106回総会の確認事項 平成12年6月14日
  [5-22-1-3] 2000.6.13 国立大学協会総会議事概要より
  [5-22-1-4] 2000.6.14蓮見会長記者会見
[5-22-2] 首都圏ネット声明:「国大協はただちに総会を開催し、・・・
[5-22-3] 投稿:「大学教員の存在価値は?」
[5-22-4] 議員への電子書簡:「全権委任法」への危惧(個人情報保護法案)
  [5-22-4-1]【国会議員諸氏よ、真正面から考えてほしい】
[5-22-5] 「米国大学の基金運用―財務担当責任者の真価が問われる」
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明日5月23日午後6時から、文部科学省記者クラブで、国立大学法人法案に
ついて、以下の団体の合同記者会見があります。

     国立大学法人法案に反対する意見広告の会
	     http://www.geocities.jp/houjinka/
     大学改革を考えるアピールの会
	     http://homepage2.nifty.com/~yuasaf/appeal/
     国立大学独法化阻止 全国ネットワーク
	     http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet.html
     独立行政法人反対 首都圏ネットワーク
	      http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nettop.html
     国立大学レファレンダム準備会
       http://ac-net.org/rfr
     国立大学協会への共同意見書 事務局
       http://ac-net.org/recall

国立大学協会への共同意見書事務局は国大協会長の辞任と臨時総会の開催を求
める共同意見書を発表します。現在、54国立大学の251の連署が集ってい
ます。まだ受けつけています。

国立大学レファレンダム準備会は、電子投票(http://ac-net.org/rfr 6月1
3日まで)の中間集計について発表します。現在の集計は以下の通りです。

	賛成:  88(国立学校小計   87)
	反対:3154(国立学校小計 3125)

                   □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 

独立行政法人化批判の声が国立大学内外から強まっていたとき、3年前の総会
において国立大学協会は、**独立行政法人化に反対するため**と称して、文部
大臣の私的諮問機関である「国立大学の独立行政法人化のための調査検討会議」
への参加を唐突に決めたことを御記憶の方は少なくないと思います。国立大学
協会で意見が割れている中での「全会一致」を実現したのは、当時の蓮實会長
が提案した4項目合意事項[5-22-1-2]の絶妙な説得力でした。判断を先送りさ
れた「責任」の一端を果して頂きたく、共同意見書の当時の世話人で相談し、
蓮實氏に公開状[5-22-1] を送付しました。

なお、3年前の総会議事録[5-22-1-3]に「国立大学法人法ができた暁には,国
立大学を通則法の下で法人化したことにはならないという解釈をとらなければ,
今後動けないと思っている。」という驚くべき発言が記録されています。法案
を批判しない国大協の不可解な動きは、一部の人たちには3年前からの既定路
線であったと推測されます。

                   □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 

米国の私立大学全体の基金は2000億ドル(20兆円)だということが
[5-22-4] に記載されていますが、その運用にかなり依存は(2〜3割)して
いる大学経費が景気の悪化により、かなり厳しい大学財政に直面しつつある、
ということが紹介されています。(編集人)

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国公立学校通信 2003.05.23(金):国立大学法人法案 衆議院を通過
http://ac-net.org/kd/03/523.html
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[5-23-1] 共同通信5/22 国立大法人化法が衆院通過 23日、参院で審議入り
  [5-23-1-1] 衆議院本会議での討論と可決の録画
[5-23-2] 蓮實重彦氏からの回答
[5-23-3] 6/6 国立大学の法人化を考える夕べ
[5-23-4] 全国ネット/佐賀大学の豊島: 請願署名提出報告
[5-23-5] 共同通信と読売新聞への申し入れ
[5-23-6] 朝日5/21「大学研究費、改革で賛否 総合科学技術会議vs文科省 」
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衆議院本会議での「討論」は26分で終わり、採決され可決されました[5-23-1]。

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蓮實氏からご返事を頂きました[5-23-2]。いまなお「自由な立場」にはない、
かつての同僚がいまの幹部だから、というコメントでした。人間の信頼関係を
配慮しなくて良いという意味で「自由な立場」にある人など存在するのでしょ
うか。大学関係者の多くが、世の中の大半の人と同じように、普通の意味での
「自由な立場」を失いつつあることに問題の深刻さがあるように思います。
(編集人)
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国公立学校通信 2003.05.25(日) :ガラス細工の法案
http://ac-net.org/kd/03/525.html
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[5-25-1] 記者会見5/23の報告
 [5-25-1-1] 文部科学省記者クラブでの記者会見5/23出席者
[5-25-2] 講演会 5/29「「評価」のための研究は、大学をどこへ導くか」
[5-25-3] 椎貝博美(前山梨大学長)「国立大改革  独創力で制度疲労克服を」について
[5-25-4] 金沢大学経済学部決議  2003.3.23
[5-25-5] 金沢大学理学部見解 2003.5.23
[5-25-6] 全大教:「国立大学法人法案」等関係6法案の衆議院可決に対する声明
[5-25-7] 5/23asahi.com 文科省事務次官ら処分 国立大病院再編巡り虚偽答弁書 
[5-25-8] 5/23共同通信:国立大法人法案が審議入り 参院本会議で趣旨説明
[5-25-9] [5-25-he-forum 5618] 5/22-23しんぶん赤旗記事
 [5-25-9-1] 5/22 教育・研究への国家統制 国立大学法人法案が衆院通過
 [5-25-9-2] 5/22 主張 大学法人法審議 説明不能のうえに採決強行とは
 [5-25-9-3] 5/23 国立大法人法案 衆院通過に全大教抗議
 [5-25-9-4] 5/23 大学統制を強化 国立大法人法案
[5-25-10] 5/24 静岡新聞:静岡大学長 天岸祥光氏(上)
[5-25-11] 5/23 奈良県国立大学付属学校・園教職員組合/第35回総会決議
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国立大学法人法案の審議の報道は、審議中の5月13日と14日に地方紙でか
なり詳しくされました[5-25-1]。しかし、大手紙は沈黙したままであり、審議
中に発覚した問題について文部科学省であった処分が報道[5-25-7]されたくら
いで、編集人が知る限り、衆議院で可決されたことすら報道されていません。
編集人は特定の政治的立場を持ちませんが、政党機関紙の「しんぶん赤旗」が
公共的報道を担当する[5-25-9]一方で、大手新聞は連立政権の機関誌のごとく、
欠陥法案が話題に上ることを恐れ、ひた隠しに隠し続けているかのように、感
じます。

  この法案は、種々の勢力の要求を呑んでできた「ガラス細工」のようなもの
なので、一箇所でも破綻が生じると、全体が粉々に碎け散ってしまう、という
話しを聞きました。与党がまともな審議を恐れるのは当然かも知れません。政
府も与党も国大協も大新聞も、なにゆえか、一致団結して、この法案が可決さ
れるまで、世論の風に曝されて碎け散らないよう、細心の注意を払って取り扱っ
ている、という風に見えます。

法案可決後に、欠陥をいかに運用で回避すればよいか、について特集を組む準
備をしている大新聞社もあるそうですが、担当者は報道の倫理規定を読み直し
て頂きたい。(編集人)
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【発行の趣旨】国立大学独立行政法人化問題を広い視野から考えるのに役立
つと思われる情報(主に新聞報道・オンライン資料・文献・講演会記録等)へ
のリンクと抜粋を紹介。種々のML・検索サイト・大学関係サイト・読者から
の情報等に拠る。メール版で省略されている部分はウェブ版参照。転送等歓迎。
【申し込み】http://ac-net.org/wr
【関連サイト】http://ac-net.org/dgh/
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編集発行人:辻下 徹 e-mail: tjst@ac-net.org
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