No.50: 喜多村和之「欧州諸国の大学評価―実地調査にみる印象」(2001.09.26)
・・・そうなると日本の国立大学もイギリスの大学と同じように、公的機関から提供される「権威あるデータ」に基づいて、トップからボトムまで、あたかもスポーツの勝敗や番付のように序列化されることになりかねない。そして、やがて全国の国公私立大学がすべて序列化されることになるとすれば、まことに恐ろしい事態といわざるを得ない。
・・・
欧州の大学評価の問題では、ほかに報告したい問題が多々あるが、紙幅の関係で、日本とも関係する点を挙げるにとどめる。ひとつは、大学評価を直接的に資源配分に結びつけているのはイギリスだけであり、欧州諸国では英国的評価は例外的な事例、ある学者によれば最悪の事例(worst examle) とみなされていることである。いまひとつは、大学評価は政府の手に委ねるのではなく、大学自らの自律性にまつべきであるという信念が頑固に志向されている、ということである。政府の直接的な介入と大学の自律性の喪失へと向かおうとしているなかにみえる日本の高等教育は、まさにその逆を行こうとしている。その先には何が待っているのだろうか。
|
10/8 私学高等教育研究所主催研究会(2001.9.4)文部科学省合田大学課長講演「大学構造改革と私学」参加者メモより質疑抜粋
(政府直接主導型への移転か)ある意味でそのとおり。構造改革は既得権の枠組みの見直しを意味する。これを既得権者に改善を求めてもないものねだり。ある程度は外からの一定の力というものが加わる必要があると思われる。
(なぜトップ30か )これについてはほとんど議論がなされず、数字がでてみな納得してしまった。30はいろいろな意味でいい数字である。科研費の減少の角度が変わる地点で、30位程度ならばほとんどの大学が努力すれば到達できる。
(現在の研究機能でトップ30 を評価してほしくない。日本全体のシステムを考えていただきたい)そのとおりだと思う。評価については自信があるわけではない。しかし・・・・
(国策的に科学技術を引っ張るのはわかるが、教育はどうするのか。)これは非常に難しい問題で、・・・・教育面に傾斜配分を導入するのがいいのかどうか、まだ判断できていない。・・・
|
10/6 清水建宇「大学幕の内」「大学ランキング」創刊者のフォーラム。2001.8.30-10.4は蓮實前東大学長の入学式式辞1999.4.12における「私がどうしても容認できないのは、「アジアの大学ベストランキング」といったスポーツ・ジャーナリズム的な手法が、大学を語るのにごく自然なものであるかのようにいたるところで採用されていることの不自然さであります。」への清水氏の批判(2001.8.30)から始まる、教員・研究者対ジャーナリストの「大学評価」論争。(なお、引用には以下の文が続く:「その不自然さを、必要悪として、あるいは知的な遊戯として容認するという態度もないではありません。それに耐えてみせることが、成熟した姿勢だという人もいるでしょう。だが、人間の思考は、いつでもそのようにして頽廃してゆくものなのです。そして、知性の名において、その頽廃にさからわねばならないというのがわたくしの考えなのです。」)
10/3 渡邊勇一:研究評価の難しさ(その1)、研究評価について(2)(2001.10.1)
9/25 私学高等教育研究所第8回公開研究会 2001.11.5「私学における大学評価の新段階―欧米調査団最新事情と日本の評価体制」
9/13 第19回経済財政諮問会議2001.9.11 有識者議員(牛尾治朗・奥田 碩・本間正明・吉川 洋)提出資料:「構造改革の一層の具体化・加速化に向けて」
[教育・人材育成]
○国立大学の法人化を行い、競争的な環境の下、国立大学に民間的発想の経営手法を導入する。その際、人材の行き来などが自由にできるよう、多様で流動的な制度とする。教官は少なくとも「非国家公務員型」が望ましい。
○国立大学、公立大学、私立大学の税制面などにおける扱いの格差をなくし、それぞれがイコールフッティングで競争し、一元的な評価基準に従って重点的な資金配分がなされるようにする。
○機関支援から個人支援への転換という考え方のもと、社会人のキャリアアップを図るため、社会人の大学院での修学等に対する奨学金制度の充実等を図る。
○ ビジネス・スクールの拡充、ロー・スクールの導入を計画的に前倒しで実施する。
|
9/6 市川昭午「高等教育の変貌と財政」玉川大学出版2000.3
|
p124「大学評価に同僚評価はつきものだが,それは第一級の科学の専門家の時間と才能を著しく浪費する.評価をする人はされる人よりも高い能力を有しなければならないが,当然のことながらそうした人の数は限られる.研究・教育の第一線に立つ人々が大学評価に専念するようになれば,信頼のおける評価結果が得られるかもしれないが,数年にして学術研究は壊滅してしまうだろう.かといって第一線から退いた人々やもともと第一線に立ったことがない人々が評価に当たったのでは,評価結果も信頼は得られないであろう.・・・」
|
8/14 喜多村和之(私学高等教育研究所主幹)「猶予ない私学の対応−−特殊法人改革と私学助成」(教育学術新聞2001.8.8, アルカディア学報45)
・・・私学助成事業については「国が直接交付交付し、そのあり方を見直す」という・・方向が打ち出されて来ている。・・・私学助成が政府から直接配分されるようになれば、政府の私学に対する管理はいっそう直接的に及ぶ恐れが強い。その資源配分にあたっては評価の結果が反映され、その評価の内容・方法・水準は、国の評価機関(現行の大学評価・学位授与機構)を通じて行われる可能性が強い。国は国立大学のみならず私立大学に対しても、入学者選抜等から評価、資源配分にいたるまで、あらゆる側面で直接的な介入を行えることになりえるのである。
こうした動きに対して私学界界はどのように臨むのか。もはや猶予は許されない。全私学連合は早急に意見をまとめ、発言すべきではないだろうか。
・・いまわれわれは、未曾有の財政難にもかかわらず、私学振興に血税を注ぎ、あくまでも私学の自由を守るべきだと主張する強力な支持者を確得していかなければならない。
|
8/07 喜多村和之「国際評価は公正か―自虐的な日本人の大学評価」(アルカディア学報No44 2001.8.1)
|
・・・こうした日本企業の日本の大学不信をさらに裏付ける結果になっているのが、
スイスの経営開発国際研究所(IMD)が毎年発表する『世界競争力白書』。・・・それはしばしば誤解されているように、世界の識者による日本の大学評価ではなく、日本人による日本の大学評価なのである。・・・ |
7/6 大学基準協会「新構想の大学評価に関するアクション・プラン(その1)」2001.5.18(PDF 117 ページ)
6/20 国大協第8常置委員会2001.4.3 議事要録
5/10 千葉大学情報分析センター独行法情報速報No.4「特集:大学評価問題考察」
4/12 「新時代を迎えるアメリカ高等教育最新現地報告」−カリフォルニアの公・私大と大学評価競争
私学高等教育研究所シリーズNo.4(2001.3)より
4/7 松尾 稔(名古屋大学総長・大学基準協会f副会長)「大学評価問題の混乱」
3/21 『科学新聞』2001年2月9日付「初の国立大評価を開始」
2/27国大協(大学評価担当)第8常置委員会ホームページ開設
○第8常置委員会議事要録(2000.10.10)
2/9大学評価機構:自己評価実施要項・評価実施手引書等を公開
大学評価機構:自己評価実施要項・評価実施手引書等を公開
「国立大学協会の大学評価に関する特別委員会最終報告」2000.3.30
http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/00330-kokudaikyou-houkoku.html
評価機関の理念と組織運営
評価機関の基本的な役割が、大学の外の視点から大学を評価し、それによって大学の自助的な改革を促して、教育研究の高度化、活性化をもたらすことにあることはいうまでもない。そうしたメカニズムが機能するためには、第一に、大学と社会との間に生産的な緊張関係が生み出されること、第二、にそれをバネとして大学が自らの組織の中から改革への意志と実践を生み出すこと、この二つが必須の条件となる。国立大学は、このような観点から大学評価機関を、自らの改革の契機として積極的に位置づけてきたのであり、全国立大学が事務職員定員を、大学評価機関に振り向けるという形で協力を行おうとしているのもそのためであった。しかし他方で大学評価機関が、独立の機関として大きな権力をもつことになることも事実である。組織的にも、新機関は常勤の教官および事務職員だけでも百人規模と、非常勤の評価委員を含めれば千人規模であり、小規模の大学を越え、予算も大きなものとなる。国際的にみても、評価機関としては最大規模といえるであろう。それは評価機関の課題からすれば当然ともいえる。しかしその一方で、このような規模の大きな組織は、ともすれぱ組織の存続を自己目的化しやすく、この機関が評価のための評価機関に陥る危険もないとはいえない。また評価結果が大学に大きな影響を与えることから、評価機関は巨大な権力をもつことにもなろう.個々の大学に活力を与え、教育、研究上の自律的なダイナミズムを支える、という大学評価の本来の理念が実現されるためには、大学評価機関のレイマンコントロール、運営の透明性が保証されることがきわめて重要であり、それによってわが国の大学評価の将来が決定されることにもなろう。
このことは大学評価機関の管理運営について、社会および大学の側の意見が十分に反映される機構を、明確に規定しておく必要があることを示している。また新機関において、大学評価と従来の学位授与機構の機能とが併存することから生じる管理運営の問題についても、十分に注意を払う必要がある。創設準備委員会においては、国立大学側の委員から、大学評価機関の活動の基本を決定する評議員会、運営委員会の運営の原則、構成員の選任等について意見が述べられ、報告にも活かされている。しかし管理運営については未決定の部分も多く、具体的な規定について、注意深く検討し、国立大学としての見解を述べていく必要がある。
|
意見など
資料