[211] (神奈川)2006-08-01 09:18:53
先日、渋谷で公開中の「蟻の兵隊」というドキュメンタリーフィルムを観てきました。
日本がポツダム宣言に違反し、軍事力温存目的で、志願兵という体裁で中国に残留させ、戦い続けることを強いた日本兵達が存在したこと。その当事者が、古い記憶を辿り、事実を隠し続ける国を司法に訴えたこと。その苦しみを描きながら戦争の真実に迫ったストーリーでした(残念ながら最高裁が開かれることはなかったそうですが)。戦後60年たった今も闇に葬られ続けている事実があまりに多いことを知り、言葉もありませんでした。
真実は一つのはずなのに、国は嘘をつき続けている。司法は自分の政府を裁くことができない、資料があっても一切認めようとしない。こんな嘘や誤魔化しが放っておかれたら、日本に未来はない。そういった言葉が何度もやりとりされるのを聞いて、ごくごく最近耳にしたのと全く同じだと感じずにはいられませんでした。
ドミニカ移民問題で事実を認めない外務省やイラク派兵で言葉を誤魔化し続ける政府の言い分を聞くと、当時と何も変わっていないのではと疑いたくなります。
国家元首の靖国神社参拝に賛成している政治家が、美しい日本に誇りをと言っています。しかし、真実を求め、起こったことを直視して、受け止めようとする心の在り方も、より普遍性の高い美しさの一つではないのでしょうか。
このホームページに全く別の問題を持ち込むべきではないのかもしれません。でも、今の複雑な社会情勢をみるにつけ、証生さんが抱き続けた志や、他者への深い共感、危険を顧みず真実を求めた行動の全てが、人間として何を一番大切に生きたら良いのか、人の持つ真の強さや美しさを教えてくれている気がしてなりません。