先週金曜日に予定されていた臨時常任理事会は本日に延期されました。本日の夕方には教職員組合との交渉があり、明日は全学協代表者会議で学生への説明が行われるそうですので、一般理事会10/22でキャンパス用地購入を審議するためのタイムリミットとされている明後日13日の定例常任理事会では、購入の議決が予定されているようです。明日の教授会で各学部の学部長は学部の意思を再確認する作業が必要になると推測されます。
今回は茨木キャンパス購入を了承した学部の意見集約を紹介します。よく読むと、検討が不十分だという認識については反対する学部と共通する部分が大きく、全学合意・キャンパスコンセプト・財政的見通し等についての諸課題がクリアされた場合には了承、という暗黙の但し書きつきがほとんどです。
┌─目次── │ ─1─ 文学部意見集約 │ ─2─ 経営学部意見集約 │ ─3─ 生命科学部・薬学部意見集約 │ ─4─ 情報理工学部意見集約 │ ─5─ 映像学部意見集約 └───
衣笠6学部、BKC7学部の意見集約をまとめておきます:
- ■法学部
- ■産業社会学部教授会決議
- ■国際関係学部
- ■理工学部決議
- ■経済学部
- ■政策科学部
- ■スポーツ健康科学部
- ■文学部
- ■経営学部
- ■生命科学部・薬学部
- ■情報理工学部
- ■映像学部意見
┌─── │ 新キャンパス構想についての意見集約 │ │ 9月 7日 文学部教授会 │ 9月14日 文学部拡大企画委員会 │ 9月21日 文学部教授会 │ 9月28日 文学部教授会 │ │ │ 1.慎重意見 │ │ (i)新キャンパス問題について、情報が小出しにされている観があり、これに │ 対して学内に不信感が醸成されている。特に財政問題については、きちんとデー │ タを開示すべきではないか。 │ │ (ii)現在衣笠キャンパスでは、国際関係学部と政策科学部がG30 に対応する教 │ 学を展開している。もし政策科学部が移転するとG30 対応の教学体制が困難に │ なるおそれがある。 │ │ (iii)現在、衣笠キャンパスには18000 名の教職員・学生がいる。適正規模は │ 12000 名であるが、政策科学部が移転してもせいぜい1600 名であり、キャン │ パスの狭隘さの解消にはつながらない。 │ │ (iv)茨城キャンパスを展開すると、「京都の立命館」いわゆる「京都ブランド」 │ が薄まる。また、同志社が京都に学部を回帰させている。最悪の場合、京都で │ 同志社が一人勝ちになることも考えられる。「京都ブランド」が最も必要なの │ は文学部である。また、同志社に対抗するためにも、さらなる人文系学部が衣 │ 笠に欲しい。 │ │ (v)性急な多キャンパス化よりも、一部の受験生が立命館大学を忌避する原因 │ を分析して解消すべき。 │ │ (vi)三キャンパス体制となると、教員・学生の移動の問題、語学・教養教育体 │ 制の問題等課題が山積する。それに対しての見通しがあるのか。 │ │2.肯定的意見 │ │ (i)衣笠狭隘化解消策は手詰まりの状況である。今後、18 歳人口の減少ととも │ に学園規模の縮小は必至であり、財政状況に余裕のある現在、好条件の用地が │ あるからには積極的に打って出るべきである。 │ │ (ii)いわゆる「京都ブランド」について。文学部は人文学を担う学部として衣 │ 笠に残留する。確かに衣笠は交通アクセスに問題があるが、一方で多くの観光 │ 資源を抱える。地元と連携する形で、博物館・図書館などのコンテンツを展開 │ し、人文学的知の拠点として存在感を示すべきである。 │ │以上、縷々慎重意見もあるものの、衣笠キャンパス狭隘化の抜本的解決と、目 │下策定中の文学部改革の具体化のために、文学部では執行部を中心に新キャン │パス問題について前向きに受けとめている。 └───
┌─── │ 新キャンパス構想についての経営学部・中間的意見集約について │ 2010 年9 月29 日: 経営学部長 │ │1. 経営学部教授会では別紙のように、新キャンパス創造をめぐり6 月8 日、 │ 7 月13 日、7 月27 日、9 月7 日まで議論を進めてきた。各回の教授会におけ │ る議論状況の概要は、別紙に記載した通りである。 │ │2. とくに9 月7 日の教授会では、8 月3 日の企画委員会での論議状況の報告・ │ 説明をうけて議論し、まとめとして以下の2 点を基本的に了承している。(6 │ ページ参照。議論を継続するという意味で、議事録上では結論を明記していな │ い。) │ (i)土地購入については了解する。 │ (ii) どの学部が移転するかも含め、今後、移転構想について慎重に論議していく。 │ │3.昨日9 月29 日の教授会においては、9 月22 日付の特別委員会文書「新中 │ 期計画特別委員会検討報告」の概要を学部長から説明した。それについて特に │ 異論や疑問は出されなかった。次に、より丁寧かつ率直な議論をするために30 │ 代、40 代、50 代、60 代の年齢階層別に分散会の形式で、学部移転を視野に入 │ れつつ率直な議論をした。 │ │ 以下に見るように、茨木への移転について強い反対論はなかった。BKC 移転の │ 成果と教訓を総括する必要性については、移転を経験した40 歳代以上で主張さ │ れた。また移転に伴う教学問題の解決の必要性とその重さについても共通認識 │ を持っている。とくにこれからの経営学部を担う30代の若手教員は、圧倒的多 │ 数が移転に賛成で、それぞれが研究・教育の具体的な思いを持っていることが │ 確認された。経営学部では、今後も引き続き議論を深めることを予定している。 │ │60 代教員の分散会では、以下のような主な意見が出された。 │ │1)BKC への移転経緯の正確な総括の必要である。厳しい外部からの「働きか │ け」の事実や移転を決定した時点では明確な学部構想を持っていなかったこ │ と、その後「国際経営学部構想」を学部で決めた後に見直しを迫られて、 │ 「文理融合」コンセプトにまとめられていった。 │ │2)BKC 移転構想の挫折の指摘と成果と問題点の総括の必要である。移転当時 │ 掲げられていた教学高度化構想のいくつかは、実現せずにむしろ研究・教学 │ において衣笠時代よりも水準が低下したものが見られるので、BKC 移転の総 │ 括をしっかりすべきだとの意見があった。 │ │3)その他;移転に伴い新キャンパス・BKC で外国語教育をどのように維持・ │ 発展させるのか、BKC 移転以来、衣笠社系学部と分断されたことで大きく低下 │ し続けている研究条件、研究力を移転を機会にどのように向上させるのか、総 │ 合性に欠けたBKC キャンパスの図書館の問題点を移転によって繰り返さないこ │ となどの論点が指摘された。 │ │50 代教員の分散会では、以下のような意見がだされた。 │ │ (i)受験生確保よりも、教学の充実が重要であるが、立地そのものはばかにでき │ ない要素ではある。また茨木は良好な立地の反面、京都に比べ場所そのものの │ 個性があまりないという点からすると、明快なキャンパスコンセプトが必要で │ ある。 │ │ (ii)各キャンパスが自立して運営できることが必要である。意思決定と運営の │ 分権化は必須であり、同時に教養や外国語などもそれぞれのキャンパスごとで │ ある程度自己完結しておく必要がある。 │ │ (iii)これまでのキャンパス展開は、次々と建物を狭い敷地につめこんできたの │ が実情で、そうしたやり方を根本的に転換することをしないと、新キャンパス │ 展開の意味はない。その意味では、おもいきった緑地スペースの確保などが必 │ 要で、それは逆にJR の電車から見た時に絶大な広告効果も発揮するだろう。 │ │40 歳代は以下のような意見が出された。 │ │ 共通の認識:衣笠キャンパス問題解決が基本に据えられるべきである。我々は、 │ 慎重な議論を学部改革論議とあわせて進めることによって、経営学部の将来展 │ 望を開くために進めてゆく。 │ │個別意見 │ │ (i)キャンパス移転は、より長期のスパンで正確な評価を行うべきである。移転 │ にあたっては、持続的な改革の実施と地道な教学改善を進めることによって教 │ 学内容の改善を図り、差別化に繋げるべきである。 │ │ (ii)今回の移転の提起は従来の「括弧つき」の「民主主義的な」やり方であり、 │ 結論ありきの感がぬぐえない。全学が抱える問題を学部の立場からリストアッ │ プした上で、シナリオを描く必要がある。 │ │ (iii)過去の歴史を振り返れば、同志社に比較して、常に立命館は後手に回って │ きた。例えば、同志社は、1960 年代に早くも田辺キャンパスを購入しており、 │ 今また都心回帰の流れに乗っている。どの学部が茨木に移転するかによって描 │ くコンセプトが変わってくる。 │ │ (iv)現在のBKC の混雑状況を考えれば、ここから「脱出」することには賛成だ │ が、一方で語学教育が軽視されていると感じており、安易な「外注化」などは │ 再検討するべきである。また、事務体制もわずか50 名の増員となっているが、 │ これで本当に移転展開ができるかどうか、大いに疑問である。 │ │ (v)これまで銀行に勤務していた経験からすれば、BKC 移転後の立命館大学およ │ び経営学部に対する企業からの評価が急上昇した感がある。どこが問題であっ │ たか正確な検討を続けることが必要である。 │ │30 代の分散会では以下のような意見が出された。 │ │ (i)自分の専門分野にとって必ずしもBKC の教育・学習環境はよくない。インス │ がなくなった今、施設・環境を新たに茨木での今後の展開に期待している。 │ │ (ii)学生の目から見ると、茨木のほうがよい。 │ │ (iii)言語教育の観点からすると3 キャンパス間の調整は難しい。図書館機能分散してしまう。 │ │ (iv)茨木の土地柄としての具体的イメージがわかない。 │ │ (v)ミナミ(岸和田・富田林)を高校訪問した結果、BKC は選択肢に入らない。移転に賛成。 │ │ (vi)前任校では立地が改善し、大学のランクが上がった。茨木であればアルバ │ イトの条件も良い。BKC はバスの込み具合は最悪だ。 │ │ (vii)新キャンパスのコンセプトを作って進出すべき。 │ │ (viii)移転に賛成。心理、法、経済と一緒に行ってシナジーを発揮してもらいたい。 │ │ (ix) 留学生を集めるという観点からは茨木に出るべき。学生にとってアルバイ │ ト市場の大きさは重要。 │ │ (x)高校訪問(奈良)からの感触では、BKC も茨木も変わりない。研究面でいえ │ ば、自分の専門からみると都会に出て行きたい。 │ │ (xi)受験生の目線から、茨木に移転すべき。成否はコンセプト次第である。機 │ 能の重複(図書館機能)を配慮すべき。北摂の人々はJR を使わない。阪急か │ らのアクセス改善も検討すべきである。 │ │ (x)受験生の観点からも学問の観点からも、移転するメリット大きい。交通アク │ セスは重要。経営学・アジア経営学・財界との関係を考えたとき、茨木は良好 │ である。 │ │ (xi)茨木に進出し、技術経営、技術マーケティング、デザイン経営、デザイン │ マーケティングなどの切り口でアジアへの情報・人材発信をしたい。 └───
┌─── │ 2010 年9 月28 日 │ 生命科学部・薬学部教員会議 │ │ 立命館大学キャンパスに関する将来構想意見まとめ │ │2020 年を見据えたときに、現在の学園規模、衣笠、BKCを取り巻く状況を考 │えると、今次第4キャンパスを前向きに検討することは妥当と考えられる。そ │の際、十分な議論と綿密な財政計画の下で、冷静な判断が求められる。今後、 │立命館大学が広く社会から支持され、教育と研究の質的向上を目指すためには、 │キャンパス問題は避けて通れない課題である。その前提となるのは、以下の条 │件の実現であろう。 │ │ 1)衣笠・BKC キャンパスの物理条件と教育研究条件の改善(既存キャンパスの再整備) │ 2)新中期計画の実現:「人的体制の強化」 │ │現在、衣笠、BKCともに、教室条件、個人研究室、実験研究室、食堂問題な │ど、物理的環境の改善が差し迫った状況にある。とりわけ、衣笠は、校地面積 │や改修時期を迎える校舎が多数存在し、地域住民との関係からも、これらの課 │題の解決策を見つけるのは困難であろう。また、BKCは、衣笠との比較にお │いて、面積の制約は厳しくはなかったはずであったが、問題を先送りしてきた │ことが、現在のBKCの状況を生んだといえる。とりわけ、文系学部に比べて、 │広大なスペースが必要な理工系学部では、大学院生の急増に対応できず、教員 │の個人研究室をはじめ、実験研究室・ゼミ室が大幅に不足する事態が生じ、物 │理的教育研究条件には厳しいものがある。また、生命科学部・薬学部の設置後、 │医療薬学教育の急激な変化への対応も求められている。これらの課題に応える │ため、施設整備が必要であるとした記述は、生命科学部・薬学部として評価で │きるが、その施設整備についても1)のキャンパス整備とあわせて具体的な計 │画案が示される必要がある。 │ │新キャンパスの最有力候補地の地理的条件は、駅に至近距離で、校舎の高層化 │が可能で、まとまった広さがある点で、大変魅力的に思われる。また、産業界 │の連携など大きなポテンシャルを秘めている。一方、受験生から見たとき、全 │国型の本学にとっては、京都色が希薄化することは危惧される。したがって、 │地理的な優位性だけではなくキャンパス自体の魅力を高める必要がある。「ゆ │とりと魅了的なキャンパス」とするために立命館大学自身の努力もさることな │がら、自治体の全面的な協力も不可欠である。新キャンパスの取得により、4 │キャンパス間で教育・研究・管理の運営体制を構築する必要があり、学生定員 │を維持したままの展開では大幅なコスト増になり、新たな財政的計画の策定が │必要である。 │ │新キャンパスの建設には、BKC展開の歴史に学び、つぎはぎ的に行うのでは │なく、立命館大学が有する諸問題の抜本的解決策として機能するように、立命 │館100 年の発展を考慮した論理設計を伴って実行すべきてある。 └───
┌─── │ 9 月28 日(火)情報理工学部教員会議 │ │9 月28 日(火)の情報理工学部教員会議で最終集約し、以下の意見があった。 │ │「財政的見通しを精緻化していくこと」、「新キャンパスコンセプトの今後の │議論を充分に行うこと」、「10 年後の立命館学園を見据えたグランドデザイ │ンとすること」などの意見が出たが、新キャンパス設置に対して特に反対意 │見はなかった。 │ │以 上 └───
┌─── │ 新キャンパスにかかわる映像学部意見集約 │ │ 映像学部 │ │現在の衣笠キャンパスの空間スペースと教育環境を考えると、茨木新キャンパ │ス創設を前向きに検討することは妥当と考えられる。映像学部は創設3 年であ │るが、狭隘な教育環境は驚くばかりである。他学部も同じ状況と判断されるこ │とから映像学部は茨木新キャンパス購入に賛成である。 │ │学部の集約意見としては、以下である: │ │1) 学生の要望に沿った学園設計をしてもらいたい。特にキャンパス整備だけ │でなく生徒の自由な学習活動ができるシステム作りを考えてほしい。 │ │2) 3キャンパスにまたがる複雑な教育システムの是正を要望するとともに、 │学生の移動方法の整備が必要である。 │ │3) 3キャンパスの運営・管理の将来のあり方について考えてほしい。現在の │ように全てのキャンパスのコンセンサスを取らなければ事案の決定が進まない │ようでは、3キャンパスの教職員に対する業務負担増大が予想される。各キャ │ンパスの運営については独自性を認める方法で改良していくことが望まれる。 │ │4) 2020 年以降の財政計画については、多くの疑義があるようだが、現在の │立命館の経営手腕から考えれば、安定した財政新規計画設定が予想されるので、 │映像学部としては大きな懸念を抱いていない。 │ │5) さまざまな疑問点が浮上する中で、今から学部としてもっとも考えるべき │ことはキャンパスコンセプトと学部のユニークさ独自性などを一致させるよう │なシステムを構築することである。 └───