目次| I.独法化問題 (【I-1】 【I-2】) II.大学の現状について( 【II-1】 【II-2】 【II-3】) III.北大の諸問題について( 【III-1】 【III-2】 【III-3】 【III-4】 【III-5】 【III-6】【IV】全学への訴え
■IV. 今回の総長候補者選挙に当って、全学に向けて訴えられたいこと等がおありで したら、お書き下さい。
阿部 和厚 教授
井上 芳郎 教授
太田原高昭 教授
小野江和則 教授
富田 房男 教授
中村 睦男 教授
福迫 尚一郎 教授
藤田 正一 教授
前出 吉光 教授
この10年来北大にも、大学改革が進行して、様々な努力がなされてきました。そし て独立行政法人化という嵐が待ち受けています。新しい世紀を迎え、また、新たに発 展するために、北大の英知を結集し、一致協力して、勇気ある前進をすることが必要 と思います。 ◇総長候補者選挙では辞退していますので、特に、そのための意見はありません。4 年間医学部長・医学研究科長として部局及び大学の運営にかかわってきた立場上、今 回のアンケートに回答しました。もし、総長候補者のみ掲載するのであれば除外して 下さい。

◇ただ、総長候補者選挙につきましては、一次投票後辞退をしないのであれば、情報 を提供する意味で作った1日の猶予の期間で、整備されたネットワークを利用して、 自らの言葉で、全教職員に大学の運営方針を述べる必要があると考えます。

今回の総長選挙の重要性については、ネットワークの依頼文にある通りだと思ってい ます。とくに北大は沿革的には日本最古の国立大学であり,全国の国立大学のいわば 兄貴分です。他の犠牲によって「生き残る」などといえる立場ではないことをわきま えなければならないと思います。 北大を誤りなく導きながら全国の大学の共生をはかる、そういう人材を皆さんの眼力 で選び出し、さすが北大といわれるような結果が出ることを期待しています。 21世紀における教育・研究の流れに熟知し、その上に立って、北大の教育・研究 に対する各部局の立場を充分に理解・考慮していただける総長を望みます。 個性が輝く、21世紀型の北大カラーを創造しよう

北大には、全国から学生が集まってくれるし、先生方も出身地は、さまざまです。 北大は、若者にとって期待にあるれる大学なのです。その期待を裏切らず、いや、期 待以上のワクワクとした学生生活を送れる大学にしたいのです。この地で共に切磋琢 磨した同窓同士は、まさに同士であり、世界のどこへ散らばっていても、誇りと友情 で結ばれている。そんな大学であり続けたいのです。
 そのためには、世界水準の研究成果を達成すると共に、世界水準の探求能力を備え た研究者の育成、そして高度な職業人の養成ができる環境を作ることです。さらに、 重要なのは、人間としてバランスの取れた知性、教養、技術を備えた人材の育成です。
 文系と理系が、21世紀的に融合した、北大カラーの教育方針と環境が必要です。し なやかな教育研究システムによって、大学の自立性を確保して、これこそ北大カラー という大学の生き方を作ることをめざします。

 現在は、戦後の大学改革期以来の最も難しい時期にありますので、全学が多角的に 結束し知恵と力を出し合って、難局にあたるための態勢とルールを作る必要がありま す。  今、日本の大学は、100年来の大きな転機、あるいは危機に直面していると言えま す。大学の設立基盤が問われているのです。我々の研究と生活に直接降り掛かる問題 であるばかりでなく、日本の教育の将来に多大な影響を及ぼす一大決断を目前にして いるのです。独立行政法人化の問題点はこの法人制度が主務大臣の政策執行機関であ るが故に、主務大臣の及ぼす権限が極めて強く、、大学に適用した場合、「学問の自 由」の明らかな侵害となることです。国立大学を取り巻くこのような重大な問題を背 景に行われる総長選挙ですから、新総長の見識ばかりでなく、選挙に参加する教員の 見識が世間から問われる選挙であると位置付けられます。各総長候補のオピニオンを しっかり理解した上で、最適の人物を総長に選ぶよう、努めなければなりません。こ のような時こそ、自学部利益誘導型の発想をすて、日本の大学の真の改革と発展の為 に、学問の自由の確保の為に貢献できる人物を選出すべきです。北大におけるリーダー シップだけではなく、日本全体の教育、あるいは、国立大学のあり方の論議をリード できる人物を北海道大学の総長として迎える必要があります。

 このアンケートや、北大を語る会のフォーラム等、真剣に大学を考える動きがある ことを大変嬉しく思います。また、これらをオーガナイズして下さった先生方に感謝 致します。総長になりたい人からの一方的な働きかけでなく、選ぶ側の働きかけでこ のようなことが行われ、有権者が候補者や、有志の人々の主張を聞き、真剣な態度で 総長選挙に望む姿勢こそ、大学の選挙としてあるべき姿でしょう。

 候補者の方々にもお願いがあります。大学を良い方向に持って行こうと言う情熱は、 総長選挙で当選しなくても失われてしまうようなものではないはずです。その情熱を 持ち続け、選挙後は、意見を戦わせながらも、日本の教育の将来の為に、新総長をみ んなでサポートして行く体制を組まなければ、この激動期を大学は乗り切れないでしょ う。

今後は大学と社会との連携(入試、インターシップ、生涯教育、国際交流等)が益々 重要となります。次期総長には、大学のみならず、社会(国際社会を含む)の動きに も敏感に対応することのできる、社会的経験と実務能力を備えた実行力のある方が切 に望まれます。