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国立大学独立行政法人化問題週報

Weekly Reports  No.100 2002.11.25 Ver 1.2

http://ac-net.org/wr/wr-100.html 総目次:http://ac-net.org/wr/all.html 講読(無料):http://www.mag2.com/m/0000031268.htm Ver 1.2:[100-0-7,8]の加筆 Ver 1.1:[100-10-6] に補足 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-0] 内容紹介  [100-0-1] 世界科学者連盟会長からの全国ネット支持のメッセージ  [100-0-2] 学校教育法改正案可決  [100-0-3] 国立大学協会第155回定期総会  [100-0-4] パブリックコメント募集〆切:教育基本法(12/15)・日本学術会議(12/3)  [100-0-5] 「利益相反委員会」の真の趣旨  [100-0-6] プログラムオフィサー導入は「官僚主導型の徹底」  [100-0-7] 実際主義と無関心  [100-0-8] 大学は誰に由来するか [100-1] 世界科連が全国ネットのアピール[99-1-1]を支持  [100-1-1] [he-forum 4758] 世界科連が全国ネットのアピールを支持(2002.11.22)  [100-1-2] [he-forum 4768] 世界科学者連盟会長のメール(2002.11.24)   [100-1-2-1] メール本文  [100-1-3] ユネスコ第31回総会で採択された文書  [100-1-4] ユネスコCIセクタの戦略的目的 [100-2] 国立大学協会 定期総会(2002.11/13-14)  [100-2-1] 国立大学協会総会サイト:配布資料リスト  [100-2-2] 首都圏ネットによる電子化  [100-2-3] しんぶん赤旗  [100-2-4] 国大協第8回国立大学法人化特別委員会資料(目次)  [100-2-5] 国大協法人化特別委員会法制化グループ:国立大学の法人化に関する [100-3] 国立大学協会総会に対する諸声明    [100-3-1] 全国ネット事務局長: 「11月13日・国大協総会 学長への訴え」  [100-3-2] 全国ネット国大協に独法化反対署名提出(505法化反対署名)  [100-3-3] 首都圏ネット声明:国大協総会は独白紙に戻し、97年決議に立ち戻るべきである  [100-3-4] 東京大学職員組合声明:東京大学は、国立大学「法人化」=独法化の  [100-3-5] 発行者「国大協総会11/13にあたっての要望」   [100-3-5-1] 「国大協は何をしたか、何をすべきか」lDE2002年9月号  [100-3-6] 速報No21 特集:人事WGの「検討結果」(中間報告) [100-4] 中央教育審議会中間報告「教育基本法見直しの必要」2002.11.15  [100-4-1] 中教審、「基本法の見直し」についての意見募集12/15まで  [100-4-2] 俵 義文(子どもと教科書全国ネット21事務局長)談話  [100-4-3] 北海道新聞(2002.11.15)「議論抜き 駆け込み提出」 [100-5] 国立大学独立行政法人化関係の国会審議   [100-5-1] 参議院予算委員会2002.10.25 西岡武夫議員  [100-5-2] 参議院文教科学委員会2002.11.7西岡武夫議員 [100-6] 学校教育法改正(大学評価機関の文部科学省認証制等)法案を可決  [100-6-1] 参議院本会議で可決2002.11.22  [100-6-2] 参議院文教科学委員会で可決2002.11.21  [100-6-3] 衆議院文部科学委員会2002.11.8 で可決   [100-6-3-1] ■児玉健次議員質疑   [100-6-3-2] 中西績介議員質疑   [100-6-3-3] 反対討論:石井郁子議員・山内惠子議員  [100-6-4] 衆議院文部科学委員会2002.11.1 議事録より  [100-6-5] 天野郁夫(国立学校財務センター教授)「大学評価の新時代」 [100-7] 独立行政法人制度の諸問題  [100-7-1] 独立行政法人会計基準の見直しに関する中間論点整理について  [100-7-2] (毎日)「独立行政法人>役員数、国から分離前の3倍に 半数は天下り」 [100-8] 産官主導体制に学術研究活動全体を収納する作業の仕上げ段階  [100-8-1] (朝日)「科学研究予算、一線研究者が選択 官僚主導型を転換へ」   [100-8-1-1] 競争的資金制度改革プロジェクトホームページ   [100-8-1-2] 競争的研究資金制度改革について 中間まとめ2002.6   [100-8-1-3] 第6回競争的資金制度改革プロジェクト(2002.11.1)配布資料   [100-8-1-4] PO及びプログラムディレクター配置の実行計画の概要(PDF)   [100-8-1-5] 競争的研究資金制度改革の主な実施状況  [100-8-2] 利益相反ワーキング・グループ報告書(2002.11)  [100-8-3] 内閣府:「日本学術会議の在り方について 中間まとめ」   [100-8-3-1] 意見募集締切2002.12.3 [100-9] 公務員制度改革についてのILO勧告  [100-9-1] 朝日2002.11.21「ILO、公務員制度改革の勧告承認」  [100-9-2] 朝日2002.11.20「ILO、日本の公務員制度改革で政府に厳しい勧告」  [100-9-3] 日経2002.11.21「ILO、公務員のスト権で日本政府に再考促す」  [100-9-4] 全国労働組合総連合事務局長談話 2002.11.20  [100-9-5] ILO結社の自由委員会中間報告(2002.11.21 全労連国際局・仮訳) [100-10] 意見・解説の紹介  [100-10-1] 豊島耕一「結果偏重の価値観は問題」(2002.11.19)  [100-10-2] 小田垣孝 "What is going on in Japanese Science and Universities"  [100-10-3] 養老孟司「科学と国民の距離英語で論文を書く理由」  [100-10-4] 「日本の学術成果の世界への発信のあり方をめぐって」  [100-10-5] 田中宇の国際ニュース解説2002.11.11号  [100-10-6] 池田信夫「インターネットを非合法化する個人情報保護法」  [100-10-7] 加藤周一「日本はどこへ行くのか」岩波ブックレットNo. 410 1996 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-0] 内容紹介 ---------- [100-0-1] 世界科学者連盟会長からの全国ネット支持のメッセージ 第100号が久々の朗報を報告できたことは嬉しい。世界科学者連盟会長が、先 日の全国ネットのユネスコへのアピールを重視し、日本の科学者による独立行政 法人化反対の運動を支持するメッセージを広く送付した[100-1]。そのメールの 中で、会長はこう指摘している:科学と技術の諸活動を支配することを究極の目 的とする戦いを「私的既得権益」が世界全域で展開しているが、その戦いと日本 政府の独立行政法人化政策とのつながりはもはや見すごせない段階に達している、 と。また、2001年のユネスコの第31回総会でも、この「戦い」により、情 報関係の重要な決定が阻まれた、とも指摘している。 実際、ユネスコの最近のCI(コミュニケーションと情報)セクタの文書 [100-1-4]には、マスメディアの巨大合併の進行により表現と思想の自由に制約 が加えられ、アイディアの自由な流れと情報への自由なアクセスとが制約される 危険性が高まっていることへの懸念が述べられている。しかし、昨年のユネスコ 総会が採択した「世界文化多様性宣言」の行動プラン[100-1-3]には言及がない。  国立大学が実際主義[100-0-8]から黙々とすすめている「国立大学法人化」の 準備作業は、世界的な視野で見れば、人類文化全体が曝されている脅威の源にあ る「既得権益」に、日本の大学社会が全面的に協力させられる体制の準備作業に もなっていることを見落としてはなるまい。 ---------- [100-0-2] 学校教育法改正案可決 文部科学省が認証した「第三者評価機関」の評価[99-2]を受けることが、国立 大学だけでなく、すべての大学に義務付けられることになった[100-6] 。しかも、 私大、短大、法科大学院、等、種別毎に第三者評価機関を設立する動きがあり、 大学の「種別」ごとに、ただひとつの「文科省認定第三者評価機関」が設立され ることになりそうだ。また、法科大学院の評価機関設立を予定している日弁連は、 政府からの独立性の強い機関だが、認証作業を受けることが政府の介入を許す契 機となる懸念も指摘されている[99-2-2]。 なお、衆議院文部科学委員会の審議の中で、児玉議員の質問に対し、文部科 学大臣が驚くような発言をしている[100-6-3-1]:「みずからの教育研究をしっ かりやっていれば、どんな評価されたって、堂々としていればいいと思いますね。 しかも、この評価が学問研究の中身、あるいはその質の中身に入って評価するも のではないわけですね。」これは、大学評価は儀式に過ぎないことを表明したも のであり、大学評価に伴う膨大な作業に疲弊する大学社会にとっては徒労感を増 す発言である。 お役所の限度を越した「無責任な責任感」が社会の活気を奪い破壊していく。 その行き過ぎを国会はチェックし、ジャーナリズムは批判してほしい。 ---------- [100-0-3] 国立大学協会第155回定期総会 国立大学協会総会では、国立大学自身の「法人化法案」が提示されると予想さ れていたが、国立大学協会法人化検討特別委員会の「5つの重要論点」が確認 されただけに留まった。しかも来年2〜3月に法案が公表された段階での臨時 総会開催を求める、当たり前の意見も退けられたと言う。4月の臨時総会の 「最終報告の了承」[88-1-1]は「法人化OK」という意味以外を失いつつある。 そしてそれを、国大協構成員の大半が望んでいるようにも見える。 総会は、4月の臨時総会以後は、報道関係者に公開されているが、この総会 を報道したマスメディアは「しんぶん赤旗」[100-2-3]だけであった。自分が 関心があるテーマだから云うのではないが、国立大学協会が自らの解散を決めた ことは、派手ではないが重要なテーマで報道の価値はあるのではないのか。社会 に追随するマスメディアしか存在しない日本社会の情報構造は深刻な脆弱性を持 つ[100-10-5]。 ---------- [100-0-4] パブリックコメント募集〆切:教育基本法(12/15)・日本学術会議(12/3) 中央教育審議会が、基本法見直しを必要とする中間報告を発表したが、諮問以 来1年の間、「見直しが必要かどうか」が議論され、合意に達したことはなかっ た[99-3]。また、基本問題部会は定足数に不足することが多く、半数に近い委 員が議論に加っていないと言う[100-4-3]。既に、基本法を守る動きは活発に なっている。危機は好機であるとも言う。教育基本法を読む人が増えることで、 戦後の教育行政の「違法性」に照明が当てられることとなろう。 読者も、教育基本法を読んだことがなければ、この期に読んで、パブリックコ メントを出すことを勧めたい。 ---------- [100-0-5] 「利益相反委員会」の真の趣旨 産学連携における利益相反問題[96-0-4]は、米国でも解決されていない「厄介」 な問題であるが、余り大きな問題になると、今後、企業の研究所から大学に多 数転職してくる教員が活動しにくくなる。文部科学省の科学技術・学術審議会 の技術・研究基盤部会の産学官連携推進委員会の「利益相反ワーキング・グルー プ報告書」[100-8-2]は、その問題の解決法を提言している。すなわち「利益 相反委員会」を大学に作り利益相反を監視させ、大学教員は利益相反問題は個 人的には気にせず産学連携に励め、というもの。しかし、ボトムアップのオン ブズマン的組織ではなく、行政指導により大学当局が組織する「利益相反委員 会」なるものが、利益相反問題と真剣に取り組むと思う人は居ないだろう。 ---------- [100-0-6] プログラムオフィサー導入は「官僚主導型の徹底」 米国の科学行政の真似の一環として「プログラムオフィサー」制度が導入され ることになった[100-8-1]。新聞では「官僚主導型からの脱却」と紹介してい たが、文書を見れば、プログラムオフィサーを選ぶのは、これまでの学会推薦 とは違い、トップダウンでお役所なのである。しかも、POを監督する「プロ グラムディレクター」を置き、それは各省庁の官僚がなるように思える。これ は「官僚主導型の徹底」と言うべきだろう。国策を遂行するのに適したPOを 行政が選び研究費配分の全権を与えるというのだから、一部は洪水で困り、大 半は渇水で困る砂漠のような悲惨な状態に日本の研究活動全体が置かれること になるだろう。 ---------- [100-0-7] 実際主義と無関心 加藤周一氏は、冷戦後の日本では「高い理想、価値などではなくて、その場 その場で実際的な行動をする」実際主義だけが残る、と予言している [100-10-7]。独立行政法人化に対する大学社会の動きを「実際主義」という言 葉は的確に表現している。実際主義は「無関心」と表裏一体であり、留めどな く進行している世界の荒廃が自分に及ぶまで無関心で居続けることになろう。 ---------- [100-0-8] 大学は誰に由来するか. 独立行政法人化問題に関心を持ちはじめてから3年になる。聖書に「カイザ ルのものはカイザルに、神のものは神に」という言葉があるが、大学はカイザ ルのものか神のものか、という問いがときおり心に浮ぶ。大学が本性上「地上 の権力」に由来するものであれば、役所が大学を奪還するという理由で独立行 政法人化に反対する理由はないかもしれない。しかし、誕生時には役所と一体 であった日本の大学が、種々の先人の努力と、日本の人々と近隣諸国の人々の 悲惨な歴史を経て、まがりなりにも「地上の権力」からの法的独立性という地 歩を得たこと、大学が神に由来することの傍証であろう。世代の半数が進学す るユニバーサル化の段階を迎え、大学は全く別の性格をもつ存在になった、と 考える人も少なくないようだが、大学が神に由来するか否かという点が変化す るわけではあるまい。 どの制度でもそうだが、大学の自治を「悪用」してきた人も少数ながら居る だろう。しかし、独立行政法人化後の大学を「悪用」する人達の種類と数は比 べものにならないほど多く、その弊害は大学全体を覆うだけでなく、全世界に 及ぶことになろう[100-1-2-1]。 大学は神に由来すると考える者から見ると、国立大学の独立行政法人化(国 立大学法人化)は、日本社会にとっても世界にとっても、不幸で不吉な選択肢 である。が、それゆえに、この政策は意外なところで頓挫するようにも思う。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本 文 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-1] 世界科連が全国ネットのアピール[99-1-1]を支持 ---------- [100-1-1] [he-forum 4758] 世界科連が全国ネットのアピールを支持(2002.11.22) 「佐賀大学/全国ネットの豊島です. パリに本部がある世界科学者連盟のAndre Jaegre会長は11月20日,全国ネット の「ユネスコへのアピール」への支持を全役員を通じて世界に訴えました. メールの内容は承諾が取れ次第公表しますが,「日本政府の計画と、世界の知 的財産をめぐっての私的な利益グループによってなされる獰猛な戦いとの間に ある結びつきをもはや過小評価することはできない」としています. 世界科学者連盟はユネスコ関連NGOで,わが国では「日本科学者会議」が加盟 しています. 世界科学者連盟ホームページ http://assoc.wanadoo.fr/fmts.wfsw/ なお,「ユネスコへのアピール」のフランス語バージョンを追加しました. http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/appeltoUNESCOf.html」 ---------- [100-1-2] [he-forum 4768] 世界科学者連盟会長のメール(2002.11.24) 「佐賀大学/全国ネットの豊島です. [he-forum 4758]で世界科学者連盟が全国ネットの「ユネスコへのアピール」 nを支持していることをお伝えしましたが,会長の支持を訴えるメールの内容を 紹介します.全国ネット世話人会の訳です.次にも置いています. http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/kokusai/jagreJ.html 日本語訳に続いて,英語原文を添付します.このほか仏語原文もありますが, これは次をご覧下さい. http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/kokusai/2002071.html 同連盟の各国役員に送られたこのメールには,全国ネットの「ユネスコへのア ピール」の英文と仏文とが添付されています.これらは次にあります. 英文 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/appealtounesco.html 仏文 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/appeltoUNESCOf.html 日本語訳は次です. http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/appealtounesco.html#Anchor41808322 ---------- [100-1-2-1] メール本文 http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/kokusai/jagreJ.html 「2002年11月20日 親愛なる同僚の皆様へ どうか,添付のUNESCO事務局長・松浦晃一郎氏に宛てたアピールを御覧頂きま すようにお願いいたします.これは日本科学者会議の私どもの同僚たちから送 られた文書です.世界科学者連盟は,彼らの行動を,また,また日本の科学者 たちの行動を支持します. 1999年9月に開催された世界科学者連盟の第66回会議はすでに,10年以内に全 て民営化する見通しを持って,日本の99の国立大学の運営のための独立行政法 人を創設するという問題に関して討議をしました.会議は,大学の管理に関す る諸問題は各国によってそれぞれ異なるものであると結論付けていました.世 界科学者連盟がよりグローバルな見解を持つことは時期尚早であろうと思われ ました. 然し今日,日本政府の計画と,世界の知的財産をめぐって私的な既得権益によっ てなされる激しい戦いとの間にある結びつきを,もはや過小評価することは出 来ません.戦いの究極的な目標は科学的,技術的知識の使用についての支配権 を握ることです.この影響はすでに2001年11月のユネスコ第31回総会にも伝わっ てきていましたし,総会が情報分野においてある積極的な決定をすることを妨 げました. これらの諸計画に対する日本の科学者の共同体による反対運動は支持されるべ きですし,また,広く世界の科学者に知らされるべきであります.敬具 世界科学者連盟 会長 Dr.AndreJaegre Case404 93514MONTREUILCedex president@fmts.org ーーーーーーーーーーーーーー Dear Colleagues, Please find as attachment, the text of the appeal sent to the Director General of UNESCO, Mr MATSUURA, by our colleagues from the Japan Scientists' Association. The WFSW supports their action and that of Japanese scientists. The 66th session of the WFSW, held in September 1999, already discussed this issue of the creation of independent agencies for the management of the 99 state-run universities, with a view to their total privatisation within 10 years. The meeting had clearly shown that problems related to university management were different from one country to the next. It had seemed premature then for the WFSW to take a more global stand. However, today, we can no longer underestimate the existing link between Japanese government plans and the fierce battle raged by some private vested interests on issues of concern for intellectual property world-wide. The ultimate objective is to gain control over the use of scientific and technological knowledge. This was also heard at the 31st session of UNESCO's General Conference in November 2001, and it prevented the latter from adopting some positive decisions in the field of information. Opposition by the Japanese scientific community to these plans should be supported and made known to the scientific community as a whole. Cordially ********************************* Andre Jaege President FMTS-WFSW Case 404 93514 MONTREUIL Cedex president@fmts.org ********************************* ---------- [100-1-3] ユネスコ第31回総会で採択された文書 "UNESCO Universal Declaration on Cultural Diversity - Updated:04/10/2002 Adopted by the General Conference of UNESCO at its 31st Session (November 2001)" http://portal.unesco.org/ci/ev.php?URL_ID=5429&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201&reload=1038051441 ---------- [100-1-4] ユネスコCIセクタの戦略的目的 CI=Communication and Information --Promoting the free flow of ideas and universal access to information-- http://portal.unesco.org/ci/ev.php?URL_ID=1652URL_DO=DO_TOPICURL_SECTION=201reload=1029160531 "Beyond, the increasing concentration and growing number of mega-mergers between major media companies may well lead to restrictions on the freedom of expression and thought, and to limits in the free flow of ideas and access to information. " ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-2] 国立大学協会 定期総会(2002.11/13-14) ---------- [100-2-1] 国立大学協会総会サイト:配布資料リスト http://www.kokudaikyo.gr.jp/katsudo/data_soukai/h14_11_14.html ---------- [100-2-2] 首都圏ネットによる電子化 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/021023kokudaikyouarikata(1117up).htm ---------- [100-2-3] しんぶん赤旗 #報道関係者に公開されたが、他の報道機関の報道はない。 (2002.11.15)「各学長から懸念相次ぐ 法人化を議論 国大協総会が閉会」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4730.htm (2002.11.14)「国立大学協会、解散 法人化前提 新組織を設立」 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4724.htm ---------- [100-2-4] 国大協第8回国立大学法人化特別委員会資料(目次) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/net021025kokudaikyou-1108up.htm 運営費交定ルール案 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/021125kokudaikyou-6.htm 「本資料時点における考え方を示したものであって、今後、政府部内における調整過程で変更があり得る。」 財務会グループ:財務会計制度について(論点メモ) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/021125kokudaikyou-14.htm 「○寄付や産学連携収入は、当該収入に対応する経費支出が観念上のみならず、 実態上も予定されていることもあり、最終報告のとおり、それら収入を運営費交 付金の算定に反映させることは絶対に認められない。特に、特定運営費交付金へ の効率化係数の適用方針等を考慮すれば、寄付金収入や産学連携収入という外部 資金の増額調達に向けた努力は法人化後の財務運営の鍵であり、そのインセンティ ブを殺ぐようなことは断じて容認できない。むしろ、税制上の措置等を通じて、 インセンティブを強化するよう求めたい。」 「学生納あり方について 1.標準と「幅」の設定について ○最終報れば、一定の学生納付金については、標準的な金額に一定の「幅」を設 定するものとしているが、対象は必ずしも明確ではない。以下、もっとも重要な 授業料について標準的金額と幅を設定する場合についての問題点を指摘したい。 ○標準運付金算定の基礎となるのは標準授業料と解されるので、当該金額を上回 る実際の授業料水準の設定は自己収入の増額確保努力とみなし得る。しかし、多 数の大学が上限に近い水準に授業料を設定すれば、それが新たな標準授業料の水 準とみなされる恐れがあり、結果的には、標準授業料引き上げの条件を作り出す ことになりかねない。過去の経緯からみて、標準運営費交付金の削減を目指す財 政当局が個別大学における授業料の引き上げ、および、最終的には標準授業料の 引き上げを求めるのは確実であると考えられるからである。この結果、授業料引 き上げのスパイラルを招けば、国立大学法人の使命という点から、社会的責任を 強く問われる恐れがある。 ○増収分授業料との差額)について、自己努力との認定がなされるかどうかは大 学側の立証責任に依存していること、また、増収分が運営費交付金の算定に何ら かの形で反映されるのか否か等必ずしも明確ではないという見方があることにも 留意する必要がある。 ○標準的の「幅」の設定は、大学別・学部別・学種別の授業料設定を結果的に招 く恐れがあるという見方について、大学側としてはどのように考えるか。」 国立大(仮称)における運営費交付金等の構造 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/021125kokudaikyou-8.htm 国立大第8回国立大学法人化特別委員会2002.10.25(議事メモ) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/021125kokudaikyou-1.htm 「3.各長会議での法制化関係事項の検討結果について ○ 各地会議での、法制化作業において国大協として重大な関心を持つべき重要 事項、法人化後の初代学長の選考に関する検討結果について、資料2に基づき各 地区の委員から報告があった。 ○ 「国の法人化に関する法制的検討上の重要論点(案) 」の5項目(*1)につ いては、各地区学長会議において、妥当なものとして認められたため、今後の法 制化過程において重要事項として引き続きフォローアップしていくこととなった。 (*1)http://ac-net.org/dgh/02/920-kdk-html ○ 各地会議で出された上記5項目以外の事項については、法制化対応専門委員 グループの検討に役立てるとともに、文部科学省においても十分尊重されるよう 要望することとなった。 ○ 法人初代学長の選考に関して出された各地区学長会議での意見については、 今後の文部科学省での検討において十分尊重されるよう要望することとなった。」 ---------- [100-2-5] 国大協法人化特別委員会法制化グループ:国立大学の法人化に関する 法制的検討上の重要論点(案) http://ac-net.org/dgh/02/920-kdk.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-3] 国立大学協会総会に対する諸声明 ---------- [100-3-1] 全国ネット事務局長: 「11月13日・国大協総会 学長への訴え」 「文科省の陰に隠れるのではなく,国民と国会に対してみずから直接,意見表 明をして下さい.」国立大学独法化阻止全国ネットワーク事務局長 豊島耕一 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/topresidents021113.html 2002.11.13 (ver.1.1) 「国大協は国立大学の学長のサークルであり,何かの権限を法律によって与え られた存在ではありません.しかし各大学のトップの集まりとして,その言動 には大きな影響力があり,したがって責任が伴います.国大協がもし大学の存 立原理である学問の自由や大学の自治を損なうような政策を手助けしたり,あ るいは,それを知りながら警告を発するのを止めたりすれば,歴史に汚点を残 すことになるでしょう.どうか,この「大学社会にとっての一大事」と言うべ き事態に際して,将来に禍根を残さない慎重な行動を取っていただくようお願 いします. 1.現在の国立大学は「文部大臣の広範な指揮監督権の下に」あると言うのは 本当か?  文部大臣が2年前に「調査検討会議」の発足を表明した際,「現状では国立 大学が文部大臣の広範な指揮監督権の下に置かれる」と発言し,これによって 多くの人が「法人化は必要」と信じたようです.しかし,憲法学者の見解によ れば,戦後の文部省は,「戦前の文部省のような指揮監督機関ではなく、あく までも教育条件整備を主要な任務とする指導助言機関として発足した」とされ, 上のような見解は誤りであることが明らかにされています(別紙参照*).す なわち,大学が独立性をなかなか発揮できない主な原因は,法制度にあるので はなく,むしろ法令に反して大学を不当に支配している文部科学省自体,そし てこれを容認している大学の姿勢自体にあるのではないでしょうか.  このような,文部大臣が故意に持ち込んだ国立大学の地位に関する誤った見 解が,「法人格の必要性」への議論につながりました.しかし最近の大学「統 合」をめぐる動きは,現行の「国立大学」が相当の「人格性」を持っているこ とを明らかにしています.だれからの命令を受けるでもなく,隣の大学どうし で互いに「統合協定」を結び,すでに「調印」までしている大学がいくつも存 在するではありませんか.  独立行政法人化された大学は,組織の「目標」や「計画」の許認可を中央官 庁に仰ぐことになりますが,一体そのような団体がこのような協定を独自に結 ぶことができるのでしょうか?そもそも組織運営の根本とも言える目標(いわ ゆる中期目標)を大臣に決めてもらうような団体に「法人格」があるなどとど うして言えのでしょうか. 2.「私立と比べてこれほどの税金を国立大学につぎ込むことが許されない」 は論理的な命題か  国がどれだけの大学を維持し,どれだけの資金を投入するかは,国民が,す なわち国会が決めることであり,何か別の「原理」によって決まるものではあ りません.つまり民主主義の原則が適用される事項そのものであり,そして現 に「国立学校設置法」の制定と予算の国会審議によってそれが実行されている のです.もし上のようなレトリックに引け目を感じる学長がおられるとすれば, それは国立大学の存在意義を国民に,国会に説明する自信がないということで しょうか?そして何かの術作を使わないと「潰されて」しまうとお考えなので しょうか?決してそのようなことはなく,自信を持っておられることと信じま す.それでも国民の総意がこれを十分に認めないのであれば,それは甘んじて 受けるべきでしょう.  しかし,諸外国と比較してもわが国の国家予算における高等教育への支出の 割合はむしろ少なく,これをさらに引き下げることは世界の常識にも反するこ とになるでしょう.ましてや大学をすべて「民営化」,すなわち私学化してし まうなどということは,わが国を極めて珍しい不思議な国に変えることを意味 します.大学がすべて私立である国というのはどこにあるのでしょうか.ヨー ロッパでは国立または州立がほとんどであり,カナダも同様です.アメリカで も州立大学が大きな割合を占めています.そしてわが国の国立大学の学費はア メリカの州立大学よりもはるかに高額なのです.(学費比較表) 3.「ぬるま湯」論の意味  みずからを厳しく律しなければならないということは,公的機関として当然 のことで,このための批判として「ぬるま湯」という言葉が使われるのであれ ば,私たちは謙虚にこれを受け止めるべきでしょう.しかし国立であれば必然 的に「ぬるま湯」であり,「民営」であればそうでない,というレトリックは 無意味です.社会に公的部門は必要であり,そして適切に民意によってコント ロールされなければならないということに過ぎません.  しかし,国立大学において深刻な「ぬるま湯」状態があることは確かです. それは,長年に亘って国立大学の習い性となった行動様式,すなわち,文部科 学省の陰に隠れ,みずからが国会に対して,あるいは国民に対して直接説明や 意見表明をしようとしない態度です.これを合理化するのために「文部省防波 堤論」があります.もっと恐ろしい「敵」,つまり,かつては大蔵省,そして 今は経済産業省でしょうか,この要求はもっと厳しい,だから文部科学省を 「応援」して多少不本意なことも受け入れなければならない,というレトリッ クです.しかしこれは,国家権力機関としての文部科学省を美化しただけでな く,大学が直接社会と対峙することを回避し,大学首脳部を「社会オンチ」に して来たのではないでしょうか.これこそまさに「護送船団」,「ぬるま湯」 として咎められるべきでしょう.  「アカウンタビリティー」を言うのであれば,本来の意味で,つまりお役所 に対する似非アカウンタビリティーではなく,教育基本法10条が規定するよう に,「国民全体に対し直接に責任を負」うような説明責任の取り方をすべきで す. 4.“「国立大学法人」は独法化ではない”は詭弁  一部には,「最終報告」に沿った法人化,すなわち「国立大学法人」は独法 化ではないとの主張もあるようです.しかしこれが詭弁であることは,例えば 「中期目標」に触れた「最終報告」の一節を見るだけで明らかです.さまざま な修飾語が挟まれていますが,主語は「文部科学大臣」,述語は「定める」, 目的語は「中期目標」です. 文部科学省調査検討会議「最終報告」より 「中期目標については、大学の教育研究の自主性・自律性を尊重する観点 から、あらかじめ各大学が文部科学大臣に原案を提出するとともに、文部 科学大臣が、この原案を十分に尊重し、また、大学の教育研究等の特性に 配慮して定める。(中略)  中期計画については、各大学において、あらかじめ中期目標と中期計画 の原案を一体的に検討しておいた上で、最終的に確定した中期目標に基づ いて作成し、文部科学大臣が認可する。」 このように明白な「物的証拠」があるにも関わらす,独法化でないと主張する のは,白を黒と言いくるめるに等しく,学問に仕える者としては絶対に許され ない詭弁です.  独立行政法人制度の設計者とされる藤田宙靖氏のホームページにも,自身の 講演を採録して次のように記されています.(「国立大学と独立行政法人制度」 1999年9月6,7日,東北大学における講演) 「また、通則法では、主務大臣が、三年以上五年以下の期間において独立 行政法人が達成すべき業務運営に関する目標(中期目標)を定め、(中略) 文部大臣によるこのような介入は、現行の国立大学の場合には、存在しな いところであって、この制度をそのままに大学に適用したとするならば、 大学の自治に対する著しい制約ともなりかねない。」 「大学の自治に対する著しい制約」であるとすれば,それは「学問の自由」の 制度的保証への「著しい制約」あり,したがって憲法23条に触れる違法な制度 ということになります.それだけでなく,教育への官僚支配を禁止した教育基 本法10条に違反することも明白です.  このような行政当局から大学への命令制度が欧米に存在しないことは,文部 科学省系の調査機関「国立学校財務センター」の報告でも明かです. 「政府による目標の指示、実行計画の認可、変更命令というような「独立 行政法人」的手法を採っている例はない。」(大学の設置形態と管理・財 務に関する国際比較研究,I 概説 3. 大学の自治・自主性の尊重) 欧米に存在しないだけではありません.戦前のわが国にさえこのような命令制 度は見られません.では一体どこまで歴史を遡ればいいのでしょうか. 5.どのように改革すべきか  なすべき事は教育と研究の水準を高めていく努力がもちろん中心ですが,そ れを妨げているのがまさに「改革」と称する書類と会議の量産体制ではないで しょうか.これは文部科学省というお役所の「生き残り」のための「公共事業」 への協力以外の何ものでもありません.実質的な改善を得るためには,このよ うな文部科学省による,多くのケースで教育基本法10条に触れる恐れのある 「行政指導」追従体制を改め,学生とふつうの市民の声に耳を傾けることから はじめるべきでしょう.  また,ユネスコの98年の「高等教育世界宣言」が求めるように,大学が社会 の独立したセクタとして「批判的で進歩的な機能」を充分に果たせるような改 革が重要だと思われます.このような機能を十分に果たしていれば,薬害エイ ズももっと早く告発されたでしょうし,有明海のカタストロフィーも防ぐこと ができたかも知れません.その障害となっているのは「国立大学」という制度 ではなく,繰り返しになりますが,その運用の仕方にあります.  産業社会への貢献も重要でしょうが,対社会という面では市民の直接的な利 益への貢献をこそ重視すべきでしょう.経営者側とだけ結びついた「産学協同」 は,「過労死」を防ぐことに役立つでしょうか.  国際的には,何よりも平和への貢献が重要です.教育・研究の国際交流も確 かに平和に貢献しますが,もっと直接的な貢献も必要です.アフガニスタンで の,結婚式に集まった人々に加えられた「空爆」と称する空からのテロを, 「誤爆」の言葉でかたずけるような無法には大学も沈黙すべきではありません.  批判的機能が働くべき対象には政府も含まれます.政府から「目標」を下付 され,評価される組織にそれはできないでしょう. 6.学校教育法改正問題  独法化問題では私学から国立大学に連帯する目立った動きは見られませんで したが,しかし「学問の自由」という価値を共有する両者は,大学社会の重要 問題では互いに連携・協力すべきです.いま国会では「認証評価制度の創設」 などを柱とする学校教育法改正案が審議されていますが,これには文科相が認 証した評価機関の評価を全大学に義務付けるなど,私学にまで政府の管理統制 を及ぼすものです.このような制度に対して国立学校財務センター教授の天野 郁夫氏(1)や私学高等教育研究所主幹の喜多村和之氏(2)も批判的見解を発表し ておられます.国大協としても,国会審議に間に合うよう,是非ともこの総会 で議論され,批判的意見を表明していただきたいと思います. 7.結論  独法化の枠組みに縛られた「最終報告」をきっぱりと否定し,制度改変に関 しては白紙に戻すべきです.ましてや,これを前提にした法案の提起などもっ てのほかです.なによりも憲法や教育基本法に触れる違法な制度の導入を容認 するようなことは決してあってはなりません.  10月25日の参議院予算委員会で遠山文部科学大臣は,国立大学法人は「独立 行政法人ではない」と述べています.もしこれが真実ならば,わざわざ「中期 目標」などという制度を取り入れる理由もなくなったはずです.いや,むしろ それどころではなく,調査検討会議の存立根拠と「最終報告」の基盤が壊され たこと**をも意味します.  国立大学協会は,政府によって演出された国立大学どうしの,あるいは国立 大学と私学との間の「競争的環境」を,同協会の本来の目的である「緊密な連 絡と協力」(会則第4条)の環境に戻し,一致して大学存立の根本的価値の擁 護とその次世代への確実な継承のために活動していただきたいと思います.  私どもで集めました独法化反対署名5024筆(既提出分を含む)を提出い たします.この署名に込められた人々の意志をしっかり受け止めていただくよ うお願いします. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *「現状では国立大学が文部大臣の広範な指揮監督権の下に置かれる」は本当か? http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/narushima+ibuka.html (1) 天野郁夫,「大学評価の新時代」 IDE-現代の高等教育 No 442,2002.9 (2) 喜多村和之,「評価関連法案の問題点--- 学校教育法一部改正につい て---」,教育学術新聞2002.10.23 アルカディア学報 95 http://www3.ocn.ne.jp/%7Eriihe/arcadia/arcadia95.html ** なぜなら,調査検討会議は,その発足に当たっての当時の文部大臣の発言 によれば,「独立行政法人制度の下で、(中略)国立大学を独立行政法人化す る方向で、法令面での措置や運用面での対応など制度の内容についての具体的 な検討」をするために設けられたのです. ---------- [100-3-2] 全国ネット国大協に独法化反対署名提出(505法化反対署名) http://ac-net.org/dgh/02/b13-znet-noda.html 「国立大学独法化阻止全国ネットワークは11月13日の国大協総会に際し、長 尾会長に 5059筆の独法化反対署名を提出しました。(前回までの提出分を含 む) 今後も署名活動を続けますのでご協力をお願いいたします。署名については下記の URLをご覧ください。 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/shomei.html 参考までに11月13日までの集約内訳は以下のとおりです。 署名集約数 5059筆(2002年11月13日現在)」 ---------- [100-3-3] 首都圏ネット声明:国大協総会は独白紙に戻し、97年決議に立ち戻るべきである http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/021113syutokenseimei.htm http://ac-net.org/dgh/02/b13-syutoken.html 「・・・以上のように、9回にわたる「法人化特別委員会」における検討内容 は、およそ国立大学を「法人化」できるような水準にはない。また、財務会計 ひとつをとっても、関係省庁との協議の必要から今年度中の具体化は無理であ ることが示されている。さらに、国大協が受け入れた調査検討会議の「最終報 告」ですら、法制化グループの「重要論点」から判断するに、その実現は危う くなっている。しかも半年間の時間をかけたにも関わらず、ほとんどの事項は 法案の形を取ることはおろか、論点整理と検討途上の事柄ばかりである。 ここまで「国立大学法人化」=独法化の矛盾が明らかになっているにもかかわ らず、無理なスケジュールを強行し、まともな議論もないままに法律ができる とすれば、将来の大学の自治、自律的運営を阻害するだけでなく、現実の教育 研究に重大な支障がでることは必至である。国立大学にとって、独法化するこ とは、百害あって一利なしと言うべき状況にある。この隘路から抜け出すには、 「国立大学法人化」=独法化をいったん白紙に戻すことが残された道である。 そのうえで、大学の英知をかけて真摯な再検討を行う他はない。 資料 「国立大学の独立行政法人化(エージェンシー)化について 平成9年10月21日 国立大学協会 国立大学協会は、本日常務理事会を開催し、行革会議などで論議されようとし ている、東大、京大を独立行政法人化する案、あるいは全国立大学を独立行政 法人化する案について討議した。その結果、定型化された業務について効率性 を短期的に評価する独立行政法人は、現在、多様な教育・研究を行っている大 学に全く相応しくないもので、反対することを決議した。 大学及び大学院の教育・研究は21世紀のわが国の命運を決すると言ってもよ い重要課題であり、従って、わが国の教育・研究レベルの一層の向上が急がれ ている。このことは平成8年に策定された科学技術基本計画を実現するために も不可欠である。高等教育の改革は、単なる財政改革の視点ではなく、今後の わが国の大学及び大学院における教育・研究の将来構想を策定する中で決める べきものであると考える。」 ---------- [100-3-4] 東京大学職員組合声明:東京大学は、国立大学「法人化」=独法化の 準備を白紙に戻して再検討を求める勇気と決断を( 2002年11月12日) http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/021113tousyokuseimei.html 「・・・今、大学の現場では、法案の内容すら未確定な段階で、中期目標・中 期計画の作成や承継物品目録の作成な どに追われている。今年の東京大学大 学院入試では、4研究科6専攻の筆記試験において7問の出題ミスが判 明し た。(学内広報No.1246)これも、法的根拠の全くない法人化準備が影を落と してはいないだろうか。( 共同通信ニュース速報9月28日「大学院で入試ミス 相次ぐ法人化準備で教員多忙」)  東京大学が、大学としての役割を果たそうと切実に願うならば、「法人化」 =独法化それ自体をいったん白 紙に戻し、再検討を内外に求める勇気と決断 が、今こそ求められている。  その際は東京大学の枠にとらわれず、国立大学全体と教育研究の発展を求め る中に東京大学を位置づけてこ そ、東京大学を含めた大学全体としての制度 の充実が図られよう。歴史的に見ても、東京大学にはその責務を 負うべき立 場と責任があることを忘れてはならない。  今回の国大協総会においては、「法人化」への再考を求める動きの先頭に、 東京大学は立つべきである。」 ---------- [100-3-5] 発行者「国大協総会11/13にあたっての要望」 http://ac-net.org/dgh/02/b12-tjst.html 「・・・いま、国立大学が疲弊し混迷し、社会からは種々の批判があるとして も、それは、国立大学を「国立大学法人」という名の下請け教育会社ないし研 究会社にしてしまうことを国立大学長の皆様が了承する大義名分にはなりませ ん。10年後あるいは20年後、日本の大学が「活性化」し、理性のかけらも ない盲目的断片的知的労働で覆い尽されたとき、皆様はどのように責任をとら れるのでしょうか。・・・ ・・・特に、4月19日の臨時総会での「最終報告容認」が「法人化容認」 以外の内容を実質的に失いつつあるいま、明日の総会では国立大学協会として の意思を新に明確に表明することは不可欠ではないでしょうか。それは同時に、 国立大学が社会からの信用を回復する第一歩とならないでしょうか。 最後に、雑誌「IDE--現代の高等教育」の9月号に掲載されていましたコラムを 紹介させて頂きます。・・・」 ---------- [100-3-5-1] 「国大協は何をしたか、何をすべきか」lDE2002年9月号 p74−75 コラム「一滴」 「およそ2年間にわたって,国立大学にさまざまな議論を巻き起こしてきた国 立 大学の法人化は今春の国大協総会で,国立大学が法人化を受け入れること を,ほぼ表明して,一応の決着がつくことになった。 「ほぼ」と書いたのほ,法人化を受け入れるという趣旨が,きわめて明快に 示されたとはいえなかったからだ。しかし考えてみれば,この2年間,国大協 はまさにこの暖味さのなかに浮遊してきたといえよう。総会での議論は錯綜し, ほとんど対話が成立しないままに終わる。まとめも必ずしも十分に行なわれず 総会後の記者会見でも何が話されたかわからないから,出席した新聞記者はど うにも記事にしようがなかったという。・・・ ・・・こうした国大協の浮遊状態の結果として,あたかも国立大学の存在自体 が問題になっているときに,国立大学は国民全体にそのメッセーシを明確に伝 えることができなかった。同時に,国大協は大学の構成員に対しても,何が問 題であり,どう議論するべきなのかさえ,提起することができなかた。何年か 後になって振り返ってみれば,このことの意味は軽くなかったということにな るのではないだろうか。・・・ ところで皮肉なことに大学法人についての国大協の決着は,すでに実質的に 国立大学にとっての重要問題,21世紀COEや,統廃合問題に移りつつある 時点で行なわれた。法人化はむろん重要な問題だが,それがこのような個別大 学とってのきわめて現実的な問題との絡み合いの中で進行しているというのが 現の構図だ。そのため,問題の焦点はすでに個別大学に移ってしまっているか にえる。しかし,グローバル化や,いわゆる構造改革,財放支出削減の圧カの もで,国立大学が全体として取り組まねば有効ではない問題はむしろ拡大する とえられる。・・・」 ---------- [100-3-6] 速報No21 特集:人事WGの「検討結果」(中間報告) 独立行政法人問題千葉大学情報分析センター http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Club/9154/n21.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-4] 中央教育審議会中間報告「教育基本法見直しの必要」2002.11.15 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/021101.htm ---------- [100-4-1] 中教審、「基本法の見直し」についての意見募集12/15まで 「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画 の在り方について(中間報告)」に対する意見募集[2002.11.15-12.15] http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021102.htm ---------- [100-4-2] 俵 義文(子どもと教科書全国ネット21事務局長)談話 「私たちは中教審の中間報告・教育基本法の改悪に強く反対します」 http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/20021115danwa.htm ---------- [100-4-3] 北海道新聞(2002.11.15)「議論抜き 駆け込み提出」 総合3面の解説記事より 「・・・今期の中教審委員任期は来年1月30日まで。「交代前に答申をした い。答申までに開催する公聴会などの日程を計算すると、11月半ばが(提出 の)タイムリミットだ」(文科省幹部)。  ・・・約1ヶ月ぶりに再開した10月17日の 基本問題部会・・・開始時 間に委員席を埋めたのはオブザーバー一人を含め七人。定足数は委員16人の 過半数だ。翌週の部会出席者もオブザーバーを含め7人。またも定足数に届か ず、一度も審議に加わらなった委員が約半数の七人という低調ぶり。・・・ 初めて示された素案の中で「見直しを行うべきであるとの結論に至った」とい う記述に対し市川昭午委員がかみついた。「いつ、どこで、誰が決めたのか」 文科省の"身内"の池坊保子政務官までも同様に不快感を表明。文科省の担当者 は「この段階であんなことを言われても・・・。こう書かないと(方向性を打 ち出す)報告書の形にならない」と頭を抱えた。 提出当日の14日になっても「前文について何の議論もしていない。調味料の ない料理を客に出すようなものだ」と委員の間に不満がくすぶった。 ところが提出後の記者会見で飛び出した鳥居会長の発言で文科省の見通しは一 転する。「答申は来年春ごろ。1 月中は不可能」。同席した文科省幹部の顔色 がみるみる変った。・・・」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-5] 国立大学独立行政法人化関係の国会審議 ---------- [100-5-1] 参議院予算委員会2002.10.25 西岡武夫議員 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/a25-san-yosan-nishioka.html 「○西岡武夫君 それでは、総理にお尋ねいたしますが、今、国立大学を着々 と独立行政法人化するという作業が政府内部で進んでいるわけです。私は、文 教委員会等でこれに反対する議論、意見を申し上げているわけでございますけ れども、その大きな流れはなかなか止めようがない方向に来ているわけですけ れども、それでは、国立大学も同じように、独立行政法人と同じように何年か たったらば見直してどうするかということをどういうふうにお決めになるんで すか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は元々、国立大学が果たして九十幾つ、 九十以上も必要かと。今の大学制度を考えて、私学の果たしてきた役割も多い。 やはり国立でなきゃできないものというのはもっと絞っていいんじゃないかと いうことから、これは国立大学も見直さなきゃいかぬということで文部科学大 臣に指示しまして、これを見直しなさいということでやっておりますので、私 より文部科学大臣の方が答弁、いい答弁できると思いますので、よろしくお願 いします。 ・・・ ○委員長(陣内孝雄君) 遠山文部科学大臣。 ○西岡武夫君 委員長、結構です、それは。 ○国務大臣(遠山敦子君) 一言だけ。  国立大学につきましては、独立行政法人ではなくて、大学の本質に絡んで国 立大学法人ということで今、新たな組織作りに準備をしているところでござい ます。御承知のとおりでございます。  それから、教員養成につきましては、これは統合・再編ということがまずあ るということではなくて、少子化に伴いまして教員の採用の枠が非常に少なく なってきている、また教員について、社会的ないろんな問題に対応していくと いうことでカリキュラムの充実が必要である。しかしながら、今、各県にある 非常に入学定員の少ないところでは十分なカリキュラムを組めない。それはむ しろ県を越えて統合すべきことによってより充実することができるならば、統 合し再編してより充実した教員養成をしていこうということでございまして、 このことについてはまだ委員会で答弁したことがございませんので、ちょっと お答えさせていただきました。」 ---------- [100-5-2] 参議院文教科学委員会2002.11.7西岡武夫議員 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b07-san-bunkyoukagaku-nishioka.html 「 ○西岡武夫君 私は、国会改革連絡会を代表して今日御質問申し上げるわけでご ざいますが、特に私が所属をいたします自由党の立場を中心といたしまして大臣 に御質問を申し上げます。 ーー(中略)ーー  次に、これも先般、総理と私、予算委員会でのやり取りの中で独立行政法人の 議論をいたしまして、その中で、私は、総理がどこまで、米百俵なんということ をおっしゃっているけれども、どうもそれを実行しておられるようには見えませ んので、どこまで御存じかよく私も認識しておりませんので、総理にだけ御質問 をするということを申し上げて、大臣には大変失礼をいたしましたけれども、そ のときに大臣があえて御発言になりましたのは、独立行政法人ではなくて、大学 の本質に絡んで国立大学法人ということで今考えているという答弁をなさったん です。独立行政法人じゃないんですか。 ○国務大臣(遠山敦子君) 大きな枠組みとして独立行政法人の枠組みではござ いますけれども、その制度を活用した中で、国立大学によりふさわしい国立大学 法人というものを今構想中であるという意味でございます。 ○西岡武夫君 それでは、大臣が今おっしゃった国立大学法人、これは仮称でご ざいましょうけれども、その構想は、その構成員は国家公務員ですか。 ○国務大臣(遠山敦子君) これにつきましては様々な御議論があり、御審議を 経た上で、これについての調査会の取りまとめの中で、現在の国家公務員という ことではなくて非公務員型、非公務員というのは私は民間とは違うと思っており ますけれども、非公務員型でいこうということで、現在その方向で進めておりま す。 ○西岡武夫君 非公務員というのはどういう意味か分かりませんが、私はこの前 も委員会でちょっと申し上げたんですけれども、かつて人事院と大分やり取りを いたしまして、教職にある皆さん方と研究に携わっている方々を一つの、国家公 務員でもない、純粋の民間企業の民間人でもない第三の身分というものを考えた らどうだろうかということを大分提案したんでございますけれども、教育研究職 というようなことを公務員制度の中で考えられないかと。給与体系も別にすべき ではないかと。  その前段として、ちょっと話は飛びますけれども、俗に言われております人確 法というものも私が考え、発想して、当時官房副長官だった、後藤田正晴先生が 副長官でおられました、と御相談をして、あの法律は多くの反対の中でようやく 成立をしたわけでございますけれども、人確法という法律は。そのときに、将来、 教育研究職というのは、特に教育研究というのは、今言われる、公共事業がいろ いろ批判の的になっておりますけれども、これもいろいろ教育施設や何かのこと を考えますと、一概にああいう議論がまかり通るということは私はおかしな傾向 であるというふうに考えておりますが、教育のやはり一番中心は人材だと思うん ですね。それで私はその人確法という法律を構想して、たった四条、四つの条文 でしかできていない短い法律ですけれども、それを作ったんですけれども、その 後、どんどんどんどん人事院勧告の中でいじられまして、実際にはその目的をほ とんど果たしていないというのが今の現状だと思うんです。  この議論はまた別途、別の機会にいたしますけれども、今の大臣のお話ですと、 新しく考えておられる国立大学の形というのはやっぱり独立法人ではあるんでしょ う。そこのところはっきり分からないんですね。 ○政府参考人(工藤智規君) この三月に有識者のレポートをまとめまして、先 生の方にもごらんおきいただいたところでございますが、大きな意味では、既に 発足してございます独立行政法人の仕組みを使いながら、国立大学をよりふさわ しい仕組みにしようというものでございまして、先ほど御懸念ございました国家 公務員かどうかということにつきましても、少なくとも国の国家公務員法をその まま適用するのではなくて、より教育研究、先ほど、以前の御提案、私も記憶に あるんでございますけれども、現行の公務員制度の中でなかなか不自由なところ がございます。  そのために、かねてから御心配いただいているわけでございますが、私どもこ の国立大学の法人化の制度設計に当たりましても、先行しております独立行政法 人制度の中では、公務員型、非公務員型という二つの類型がございます。それは、 公務員型といいますのは、基本的に国家公務員法の基本的な部分を適用する型。 それから、非公務員型といいますのは、民間人になるということじゃなくて、国 家公務員法の枠組みを適用しない、より自由な制度設計の型でございます。特に 大学の教育研究者の勤務内容等を考えますと、より自由な制度設計がいいんでは ないかという結論から非公務員型という型を選択しているところでございます。 ○西岡武夫君 やっぱり独立行政法人という考え方の中の枠にあることはあると いうことですね。 ○政府参考人(工藤智規君) 大きな意味では、三月のレポートにありますよう にそのとおりでございますが、独立行政法人、先行しております独立行政法人の 制度そのままではない、新しい国立大学にふさわしい制度設計にしようというこ とで今検討しているところでございます。 ○西岡武夫君 そこがちょっと私にはよく分からないので、文科省が何とか独立 行政法人という、そういう網の中から逃れ出そうというふうに努力されているお 気持ちは分かるのでございますけれども、小泉総理は国立大学の数が多過ぎる、 そんなに九十幾つも要らないと。これは実は私にも大きな責任がございまして、 今統合が進んでいるという学校の幾つかの名前は、ちょうど大学紛争のいろいろ な後遺症がある中で、たまたま敗戦後初めて医学部を新設するということが当時 の厚生省から医師養成の要請があって、これを当時文部省が受けて、私が政務次 官のときにこの問題が大きな問題となって各地に国立の単科の医科大学を作った という経緯がありました。  これは大学紛争の終局場面ではございましたけれども、まだまだそういう混乱 した状態がございましたので、そういう混乱した中に新しい学部を作るのはいか がなものかということも頭の中には正直に申し上げてございまして、これを単科 の医科大学にしたと。したがって、今の状況の中でこれを本当の意味での総合的 な大学、ユニバーシティーにするという大学統合については、私はそれは一つの 考え方で結構だろうと思います。  ただ、小泉総理はこの前の予算委員会でおっしゃった、大体国立大学が多過ぎ ると思っていると。それで、片や石原行革担当の大臣がおっしゃったことは、独 立行政法人は三年から五年で見直すんだ、つぶす場合もあると。今までの特殊法 人のようにどんどんどんどん事業を拡大していって野方図になっていくというこ とはないようにちゃんとします、三年から五年ごとにこれを見直して、要らない ものはなくしていくと、そんなことができるかどうか分かりませんけれども、そ ういう答弁を正式にされたわけです、ここに答弁の議事録がございますけれども。  ところが、今の御答弁によると、何とか文部科学省としては、国立大学を独立 行政法人という全体の網の中ではあるけれども、ちょっと網の目の粗いところを 見付けて外に半分出掛かったような組織を作ろうと努力されているようですけれ ども、それはちょっと私には、それでああそうでございますかというわけにいか ないですね。どうなんでしょう。 ○副大臣(河村建夫君) ちょっと私もその議論の中に入れさせていただきたい と思うんですが、今の行革の視点から大学を行政法人というんじゃなくて、これ はもう釈迦に説法だと思うのでありますが、今の大学の現状を見たときに、いわ ゆる世界の競争、世界に発信できる大学、もっと活性化しなきゃいかぬという強 い要請があったと思うんですね。大学改革の視点が私はまず先にあって、その結 果として今の統合のような問題も出てくる。私はこの統合の問題というのは、こ れはそれぞれの地域性がありますから、地域でそれを必要だと思われればそれは 一つの考え方、埼玉大学と群馬大学のように話合いが進んでいるようなところも ございますが。  したがって、私は、石原大臣が五年後見直せば廃止するところもあるだろうと 言われた、これもいわゆる行革の見方と、それから同時に、使命を果たした、特 殊法人や何かの使命を果たしたものは、これまた使命を果たしておりながらまた 新しい仕事を作ってどんどん生き長らえていくようなやり方というのは問題だと 私は思いますから。しかし、大学というのは、その使命を果たしたかどうか、こ れで簡単に廃止という考え方でいくべき筋のものではないだろうと、こう思って おります。  したがって、文部科学省がそういうことを考えて、いわゆる独立行政法人の大 きな考え方の中の一角として大学法人。その大学法人の名前を付けたとき、我々 自民党でいろんな勉強会をやったときに、やっぱり独立行政法人の一環かという ことだったんですが、いわゆる教育というのは行政じゃないじゃないかと、もっ と別の考え方があるはずだということからこういう名前にしていったという経緯 もあることは私は承知をいたしております。 ○西岡武夫君 そうすると、先般の予算委員会で遠山大臣が御答弁になった独立 行政法人という名前は付かないんですね。それは確定しているんですか。 ○政府参考人(工藤智規君) まだ法案御審議いただいてございません。そうい う方向で今検討してございまして、近々更に御検討の機会があろうかと思ってお ります。 ○西岡武夫君 それは行革の方の担当の石原大臣とも十分、石原大臣も御承知で 国立大学は別であるということを十分御認識しておられるんですか。  どうもこの間、私が特殊法人の問題は全体の問題としても申し上げたんですけ れども、特に国立大学の特殊法人化については問題があるという趣旨で質問をし たんですけれども、どうもそういう感じを受けなかったわけですけれども、石原 大臣はそれは御了承なっているんですか。 ○政府参考人(工藤智規君) これまでの経緯で、内閣はそれぞれ替わっている のでございますけれども、一応継続性を考えますと、国立大学につきましてはそ れにふさわしい制度設計で平成十六年四月の発足を目指して準備をすべきことと いうことになってございまして、今政府部内で検討中でございますが、石原大臣 に個別に本件についてまだ御説明しているわけじゃございませんが、内閣全体の 中でそういう方向であることについては御認識いただいているのではないかと思っ てございます。 ○西岡武夫君 今の御答弁は全然答弁になっていないですよ。担当大臣とはよく 話していないけれども内閣としてはそういう方向になっている、そんなあやふや なことでこの問題がどんどん進んでいくというのは、これは国立大学の将来にとっ て私は非常に不安を覚えます。  それと、これは遠山大臣御記憶だと思いますけれども、これも私が、大分昔で すけれども、文部省が直接学校を設置する場合に、むしろ文部省の中に、そのと きはもう文化省という名前にしたらどうだという議論もあったのでございますけ れども、その中に国立学校庁というものを作って、そこが国立の大学その他国立 の学校を所管する、それを監督するのが今で言う文部科学省の中の高等教育局長 の担当だ、そういう形にひっくり返すべきじゃないか、そうすれば私学に対する 監督も同じようにできるじゃないかと、そういうふうに私は提案したことがあっ たんですけれども、これもそのままになってしまいました、残念ながら。議論が 深まりませんでした。  こうしたことも踏まえてどうされるんですか、これ。本当にこれで大丈夫です か。 ○国務大臣(遠山敦子君) これは、担当の私といたしましてこれは明快に新し い国立大学法人を作るということは昨年の経済財政諮問会議でも明言いたしまし て、その内容について閣議の中でも了解を得ているわけでございます。これはむ しろどの大臣の了解を取るということよりも、内閣としてこれは国立大学法人で いくということについて、これは方向性として明確でございますし、担当の私と しまして、それはそういう形で今進めていることについて内閣として責任を持っ て進めているところでございます。  目下、制度設計中でございまして、しかもこれは大変大きな改革になるわけで ございまして、今様々な準備を整えております。それをしっかりと進めていくと。 そして、河村副大臣からも答弁してくれましたように、これは日本の大学という ものを活力に富んだ国際競争力を持つものとしてやっていく、国公私それぞれに 目標を持って改革をしていく、その一つの在り方として国立大学については国立 大学法人ということで早期に移行するという方針で今進めているところでござい ます。  しかも、これは行革の流れというのももちろん並行してあったわけでございま すけれども、しかし、むしろ大学改革をどのように進めていくかというその哲学 というものを前提にしながら様々な会議、委員会等での議論を重ねて今日まで来 ているところでございます。これは、歴代の大臣もそれぞれにお考えいただきま して、その方向を誤ることなく慎重に進めて今日まで来ているところでございま す。 ○西岡武夫君 ちょうどもう時間でございますから。  大学は、私は通常の企業と、企業という考え方で、もちろん企業的な能力とい うものもこれから求められていくんでしょうけれども、しかし、学問というもの が、やっぱり学問と教育、基礎研究と教育というのが中心ですから、経営的手腕 が物すごく優れている人が学問的に優れて、両方優れているというのはなかなか 希有の存在だろうと私は思うんですけれども、そういうことを考えると、今の方 向で果たしていいのかなと、私自身はいまだにこの問題についてはどうも胸にす とんと落ちません。  この問題については、本当にこれから十年、二十年、三十年とたちませんと、 あのときあんなことしてだれがやったんだということになるわけですから、よく 国会でのこういう事前の議論も十分していただいて、これは委員長にお願いでご ざいますけれども、私はこういう、何といいましょうか、速記が入って公式の議 論じゃなくても、本当に国立大学そんなことしちゃっていいのというようなざっ くばらんな話合いの場を是非持っていただきたいということを前、委員長にお願 いしたことがあるんですけれども、なかなか時間、皆様の時間等のこともあって 実現しませんでしたけれども。  どうも、非常に言いにくいんですが、今の小泉政権はどうも政党政治からちょっ と外れているようなところもありまして、いろんな諮問会議とか変なものがいろ いろ出てきますから、自民党の、今、副大臣、文教部会長も御経験で、部会でき ちっとした議論はしておられるんだろうと思うんですけれども、与党の皆さんだ けにお任せして、法案が出てきてからそれを我々が審議するというのでは手後れ になるのではないかという心配もございますので、十分この議論を事前に法案が できる前に深めていただきたいと、これは委員長へお願いでございますけれども、 お願いを申し上げまして、私の質問を終わります。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-6] 学校教育法改正(大学評価機関の文部科学省認証制等)法案を可決 ---------- [100-6-1] 参議院本会議で可決2002.11.22 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho2/vote/155/155-1122-v006.htm 投票総数 231    賛成票 204   反対票 27 自由民主党・保守党(115名) 賛成票 112   反対票 0 民主党・新緑風会( 60名) 賛成票 55   反対票 0 公明党( 24名) 賛成票 22   反対票 0 日本共産党( 20名) 賛成票 0   反対票 19 国会改革連絡会(自由党・無所属の会( 15賛成票 13   反対票 1 社会民主党・護憲連合( 5名) 賛成票 0   反対票 4 各派に属しない議員( 7名) 賛成票 2   反対票 3 ---------- [100-6-2] 参議院文教科学委員会で可決2002.11.21 文教科学委員会(第五回) 「学校教育法の一部を改正する法律案(閣法第四号)(衆議院送付)について 参考人慶應義塾学事顧問・日本私立学校振興・共済事業団理事長鳥居泰彦君、 青山学院大学大学院国際マネジメント研究科長伊藤文雄君及び国立教育政策研 究所名誉所員・国立学校財務センター名誉教授市川昭午君から意見を聴いた後、 各参考人に対し質疑を行った。  政府参考人の出席を求めることを決定した。  学校教育法の一部を改正する法律案(閣法第四号)(衆議院送付)について 遠山文部科学大臣、河村文部科学副大臣及び政府参考人に対し質疑を行い、討 論の後、可決した。なお、附帯決議を行った。」 ---------- [100-6-3] 衆議院文部科学委員会2002.11.8 で可決 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b08-shu-monbukagaku.txt ---------- [100-6-3-1] 児玉健次議員質疑 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b08-shu-monbu-kodama.html 「○遠山国務大臣 私は、評価といいますか、そういう制度について、そのよ うな見方しかできないというのは、私は大学人自身の自信がなさ過ぎると思い ますね。みずからの教育研究をしっかりやっていれば、どんな評価されたって、 堂々としていればいいと思いますね。しかも、この評価が学問研究の中身、あ るいはその質の中身に入って評価するものではないわけですね。そこのところ を十分、むしろ委員の方から御説明いただけたらと思います。 ○児玉委員 あなたが言っていることは重要ですね。そんな無責任な評価を許 していいんですか。それがこの問題の本質です。そのことをはっきり言って、 終わります。」 ---------- [100-6-3-2] 中西績介議員質疑 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b08-shu-monbu-nakanishi.html 「・・・そのことを考えますと、本委員会、わずか二日間、五時間です。連合 審査二・五時間。七・五時間で、このような大改革をするときに、果たして十 分な時間と言い得るだろうかということを私は危惧いたします。・・・」 「・・・かつてこの委員会では、一人持ち時間一時間半、これを保証したんで すよね。八人おろうと一時間半なんです。徹底した論議をしてやった経験を私 は持っておるから、そのことを主張しておるわけです。・・・」 ---------- [100-6-3-3] 反対討論:石井郁子議員・山内惠子議員 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b08-shu-monbu-touron.html 石井郁子議員:「・・・しかも、文部科学省の説明文書で、資源配分機関が評 価結果を参考にすることも十分あり得るとしているのでは、大学の生殺与奪を 評価機関が握ることになりかねないもので、学問研究の自由、教育の創造的発 展にとって深刻な影響を及ぼすものと言わざるを得ません。  認可事項の見直し、法令違反状態の大学に対する是正措置については妥当な ものと言えます。また、専門職大学院の創設について、その必要性は認められ ます。しかし、認証評価制度の創設は、これまで述べてきたように、評価の名 のもとに、これまで以上に大学を政府の管理統制のもとに置き、大学をランク づけし、大学の選別、淘汰につながるもので、到底認めることはできません。 したがって、本法案に反対するものです。」 山内惠子議員:「・・・この法案の中の専門職大学院の創設にかかわって、今 後、ほかの大学院、現在ある大学院にとっても、大学改革のあり方に大きな影 響をする問題であるだけに、今回の審議日程が、何度も言っていますが、理事 会でも私は申し上げましたけれども、二日間、五時間、そして連合審査を足し ても、全体の集計をすると正味一日というような時間でこの専門職大学院につ いて検討するというのは余りにもひどかったと思います。・・・」 ---------- [100-6-4] 衆議院文部科学委員会2002.11.1 議事録より http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b01-shu-monbukagaku.txt 大学評価機関認証制について石井郁子議員の質疑 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b01-shu-monbukagaku-ishi.html 大学評価機関認証制について斎藤鉄夫議員の質疑 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b01-shu-monbukagaku-saito.html ---------- [100-6-5] 天野郁夫(国立学校財務センター教授)「大学評価の新時代」 (IDE-現代の高等教育 No 442 2002.9) http://ac-net.org/dgh/02/b09-amano.html 「時代は「評価の時代」といってよい。規制緩和・構造改革がキーワード化し、 「事前規制から事後チェックへ」の移行が叫ばれるなかで、「評価」はとりわ け大学の世界で、いわば「まじない言葉」化しはじめている。あたかもあらゆ る困難な問題の解決を約束してくれる、「魔法の杖」でもあるかのように。 ・・・時代は「評価の時代」だと書いたが,正確には,評価の制度化の必要 性が声を大に語られはじめた時代,というベきだろう。評価はまだ言説の段階 にあり,実残の段階には入ってはいないからである。それは裏返せば,私たち がまだ,評価の経験や蓄積を十分に持ち合わせていないことを意味している。 それが評価の「まじない言葉」化,「魔法の杖」視をいった理由である。評価 の必要性を叫ぶのなら,それと同時に,そうした現実の厳しさに思いをいたす べきだろう。・・・・・」 ーーーーーー 「設置認可という「事前規制」を緩和するのだから,代わりに「事後チェック」 のためのシステムが必要だという論理構成は,よくわかる。しかし中教審がめ ざしているその事後チェックシステムは,アメりカのアクレディテーション制 度とは,似て非なるものである。なぜならその評価は,私立大学をふくむすべ ての大学に,国家が法令によって義務づけるものであり,しかも評価を行なう 「第三者評価機関」は国の「認証」を受け国が資金面で支援することが予定さ れているからである。 答申通りにシステムが制度化されれば,私立大学はすべて,国の「認証」した 評価機関の評価を定期的に受けることを義務づけられる。文部科学省はすでに, 私学団体に評価機関の設置を働きかけており,私立大学協会,私立短期大学協 会,私立大学通信教育協会などが,設立を検討しているという。また国立大学 については大学評価機構が,その役割を果たすものとされている。つまり,既 存の大学基準協会のような(アメリカ的な)大学横断的な機関ではなく,既存 の大学団体それぞれが,設立母体となる評価機関が想定されているのである。 先にふれたように,アメリカ的なボランタりズムの精神に立った唯一の,しか も国公私の別を超えた「機関別評価」機関である大学基準協会は,設立から半 世紀の間,必ずしも期待どおりの発展を見ることなく,現在に至っている。そ れは一体なぜなのか。いま,その大学基準協会の存在や経験にほとんどふれる ことなく,政府主導で新しい評価機関を,しかも設置者や種別による大学群ご とに設立するのは必要な,また望ましいことなのか。すべての大学に,機関別 評価を国が義務づけることが,水準の維持・向上に本当に不可欠なのか。新し い評価システムの制度化をはかるまえに,さらに慎重な検討が重ねられて然る べきであろう。・・・・・・」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-7] 独立行政法人制度の諸問題 ---------- [100-7-1] 独立行政法人会計基準の見直しに関する中間論点整理について http://ac-net.org/dgh/02/a30-zaishin-dokuhoukaikei.html 財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公企業会計部会及び 公企業会計小委員会合同会議2002.10.30  議事次第より 「〔松元総務課長 〕・・・  先ほど来、伺っておりますけれども、やはり独立行政法人の会計基準をつくっ ていくというので、1つ、レベルが違う話に入ってきているのかなという印象 を非常に受けております。できるだけ簡明にわかりやすくという、先ほどから のお話がありますけれども、恐らく、そんなにすっきりしたものにならないか もしれない。・・・要するに、公会計、一般の公会計というのは事前の、国会 での予算統制、予算をつくって、予算どおりやっていますかというのをチェッ クする会計なのに対して、企業会計は事後の会計、決算して、それが適正かど うか、それで配当しますという、事前の会計と事後の会計という大きな違いが ある。ですから、予算統制の観点から、国会の予算どおりやっていますよとい うのはつくりますけれども、それは、普通の人が見るとわかりにくいので、事 後の会計と同じ基準でつくって、それで事後チェックをして、不効率がないか チェックしましょうという、この2つのことを、ある意味でいうとやらせよう というので、特殊法人の会計基準、あるいは特会の会計基準というのが、現行 の財務諸表に加えて、新たな財務書類についてつくられるという形になってい る。  それに対して、独立行政法人は、これも考え方が事前統制から事後統制にと いう考え方で独立行政法人がつくられた。3年とか5年の中期財政計画をつく りまして、それに基づいて、毎年、運営費交付金が基本的に定額、もちろん効 率化係数みたいな話というのはありますけれども、基本的には毎年の予算統制 ではないと。そういう中で効率性をチェックしていこう。これは民間の事後の 会計と基本的に一緒ではないかということでできてきている。  しかしながら、それぞれの独立行政法人によりますけれども、毎年の予算統 制、補助金をもらうと、どうしても毎年の予算統制という面が出てきます。そ ういったこととか、いろいろな面で完全に事後の会計だけでいいというわけに いかない、事前の会計の根っこも、根っこという表現がいいかどうかはわかり ませんが、そういうものを引っ張ってきている。その部分については、どうし ても特殊性が出てきてしまうという、そういった話なのではないのかなと。 ・・・」 ---------- [100-7-2] (毎日)「独立行政法人>役員数、国から分離前の3倍に 半数は天下り」 2002.11.24 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4766.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-8] 産官主導体制に学術研究活動全体を収納する作業の仕上げ段階 ---------- [100-8-1] (朝日)「科学研究予算、一線研究者が選択 官僚主導型を転換へ」 2002.11.18 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4741.htm 「7省が予算要求中のPOの人数は文科省53人、農林水産省と総務省が各2 人、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、環境省が各1人。新制度を統括す る専任プログラムディレクターも設けられる予定で、文科省が3人、農水省が 1人を要求している。」 #(プログラムオフィサーPOとプログラムディレクターを早速「配置」する らしいが、POの選考は学会等の推薦ではなく行政の判断で行なうことが強調 されており、行政の指揮権強化以外のものを期待させる要素はなく「官僚主導 型への転換」としか思えない。御前試合で研究活動が活性化するという発想は どこからくるのだろうか。) ---------- [100-8-1-1] 競争的資金制度改革プロジェクトホームページ http://www8.cao.go.jp/cstp/project/compe/index.html ---------- [100-8-1-2] 競争的研究資金制度改革について 中間まとめ2002.6 http://www8.cao.go.jp/cstp/project/compe/interimreport.pdf 「・・・評価者プールの形成や評価者の選任は、学会等を含む他の機関からの 推薦に基づくのではなく、配分機関自らが制度の政策目的や特色、研究開発の 内容に応じて評価者を選任する。・・・」 ---------- [100-8-1-3] 第6回競争的資金制度改革プロジェクト(2002.11.1)配布資料 http://www8.cao.go.jp/cstp/project/compe/haihu06/haihu-si06.html ---------- [100-8-1-4] PO及びプログラムディレクター配置の実行計画の概要(PDF) http://www8.cao.go.jp/cstp/project/compe/haihu06/siryo4.pdf ---------- [100-8-1-5] 競争的研究資金制度改革の主な実施状況 http://www8.cao.go.jp/cstp/project/compe/haihu06/siryo3.pdf 「1.研究課題管理者(プログラムオフィサー)等の配置 24制度全てが、プログラムオフィサー及びプログラムディレクタの配置に係 る実行計画(平成17年度完了)を策定済み。24制度のうち、プログラムオ フィサーを専任で配置する制度は13 制度(うち、本省6制度、法人7制度) 併任等で配置する制度は11制度(うち、本省4制度、法人7制度)。法人が 担当する制度14制度のうち、プログラムディレクターを専任で配置する制度 は7 制度、併任等で配置する制度は1制度であり、残り6制度は検討中であ る。 《主要例》 ○文部科学省科学研究費補助金/・プログラムオフィサー:H14年度本省に 併任10人、日本学術振興会に非常勤15人。→H15年度本省併任25人、 日本学術振興会に専任8人、非常勤88人。/・プログラムディレクター: H 15年度日本学術振興会に専任3人、非常勤1人の配置を予定。 ○文部科学省戦略的創造研究推進事業/・プログラムオフィサー:H14年度 非常勤58人(研究総括)。→H15年度専任20人、非常勤52人(研究総 括)。/・プログラムディレクター: H14年度に専任1人を配置」 ---------- [100-8-2] 利益相反ワーキング・グループ報告書(2002.11) 科学技術・学術審議会 技術・研究基盤部会 産学官連携推進委員会 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu0/toushin/021102.htm #(この文書の意図は以下の部分から一目瞭然である。「利益相反」などの批 判で産学連携の手足を縛られないための布石である。「利益相反委員会」で監 視するので、大学教員は利益相反のことは何も心配せずに産学連携に励みなさ い、という趣旨。しかし、ボトムアップのオンブズマン的な組織ではなく、行 政指導により大学当局が組織する「利益相反委員会」なるものが利益相反問題 に真剣に取り組むなどと思う人はまず居ないだろう。逆に、もしも権限を持つ ならば大学教員の産学連携活動を歪めることは明らかだろう。) 「・・・ また、前述のように、これまでほとんどの場合教職員個人が利益相 反に関する社会への説明責任を負ってきたが、このような状況が教職員にとっ て一種の負担となり、意欲ある教職員が産学官連携で十分に能力を発揮できな い要因の一つとなっていたことも考えられる。このような教職員個人の責任と 利益を大学が適切に分担することにより、教職員が安心して産学官連携に取り 組める環境を整備するという観点からも、大学が利益相反に関する学内のルー ル、システムを整備することが重要である。」  「利益相反への対応策としては、まず、「望ましくない行為を列挙して予め 禁止する」という、行為規範的アプローチが考えられる。(国家公務員倫理法 における利害関係者との禁止行為の規定と同様の考え方)  しかし、「してはいけない」行為を列挙することは、産学官連携自体にマイ ナスのイメージをもたらし産学官連携を阻害しかねず、産学官連携の健全な推 進、という利益相反対応の基本的な目的に反する結果となる。また、同一の行 為であっても、異なる状況や大学ごとの事情により、多様なマネジメントが可 能であろう。 従って、産学官連携を阻害しないためには、「個別事例に応じ て多様な解決方法を提案・実施するために、一定の手続・体制を整備する」と いう考え方、すなわちマネジメント・システムの構築というアプローチが有効 である。」 ---------- [100-8-3] 内閣府:「日本学術会議の在り方について 中間まとめ」 http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/gakujutsu/middle.pdf ---------- [100-8-3-1] 意見募集締切2002.12.3 http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/gakujutsu/iken.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-9] 公務員制度改革についてのILO勧告 ---------- [100-9-1] 朝日2002.11.21「ILO、公務員制度改革の勧告承認」 http://www.asahi.com/politics/update/1121/011.html 「国際労働機関(ILO)理事会は21日、日本の公務員制度改革について連 合などがILO条約に違反する部分があると提訴した問題で、日本政府に法改 正を求める「結社の自由委員会」の勧告を承認した。  また、同制度改革に関する新しい法律が出そろった時点で再度、同委員会で、 公務員の労働基本権などを審査することも決めた。  勧告は20日に承認される予定だったが、前の議題の審議が長引き、21日 に持ち越された。」 ---------- [100-9-2] 朝日2002.11.20「ILO、日本の公務員制度改革で政府に厳しい勧告」 http://www.asahi.com/international/update/1120/001.html 「日本の公務員制度改革について、十分な代償措置なしに労働基本権を制約す るのは、国際労働機関(ILO)条約に違反すると連合などが提訴していた問 題で、ILO「結社の自由委員会」は19日までに、労働側の訴えをほぼ認め、 日本政府に法改正を求める勧告をまとめた。20日のILO理事会で承認され る。  勧告は、スト権を含む公務員の労働基本権について、軍や警察といった例外 を除いて認めるのが原則だ、と指摘。日本政府に対し、引き続き同権を制約す るとの方針を変えるよう求めた。  労働側が「十分な交渉、協議がない」と訴えた点も認め、すべての当事者が、 法改正を視野に入れた「十分、かつ率直な」協議をし、より幅広い合意を得る よう「強く勧告する」としている。  今回の勧告は、法改正にまで言及しており、政府にとって厳しい内容となっ た。ただし、勧告に拘束力はない。  日本政府は人事院の機能などを説明し、労働基本権の制約に対して、十分な 代償措置が講じられている、と主張していた。」 ---------- [100-9-3] 日経2002.11.21「ILO、公務員のスト権で日本政府に再考促す」 http://www3.nikkei.co.jp/kensaku/kekka.cfm?id=2002112105116 「【ジュネーブ=清水真人】国際労働機関(ILO)は20日の理事会で、日本 の公務員制度改革を巡り、スト権一律禁止などを見直す法改正を検討するよう 政府に勧告する「結社の自由委員会」の中間報告を採択する。連合が「政府の 改革案はスト権など労働基本権の制約を緩めない半面、各省の人事管理権限を 強める内容」と反発、2月同委に提訴していた。  中間報告は改革後もスト権などの制約維持を表明している日本政府に「再考」 を要請。法改正を実施し、「結社の自由」の原則に適合させるため、政府や労 働側など改革の全関係者による「十分で率直かつ意味のある協議」を強く促し た。勧告内容に法的拘束力はないが、連合はこれを受けて政府に改革案の再考 を迫る方針で、法制化作業に影響する公算もある。」 ---------- [100-9-4] 全国労働組合総連合事務局長談話 2002.11.20 「ILO勧告に沿った公務員制度改革を求める! 〜ILO結社の自由委員会の報告・勧告についての談話〜                    http://www.kokko-net.org/kokkororen/koumu/k021121a.htm 2002年11月20日 全国労働組合総連合 事務局長 坂内三夫  1. 285会期ILO理事会は、本日、全労連提訴案件(第2183号)に関わっ て、日本の現行の公務員制度そのものがILO87号・98号条約に違反しており、 結社の自由原則に合致させる方向での法律改正を求めるという、結社の自由委 員会による歴史的かつ画期的な「報告・勧告」を採択した。そして、「日本政 府は公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持するという言明された意図 を再考すべきである」として、昨年12月の「公務員制度改革大綱」そのものの 「再考」に言及するとともに、日本政府が2003年中の国会提出を予定している 「法案文書の写しの提供」を要請している。全労連は、ILO結社の自由委員 会のこの「勧告」を高く評価する。そして、日本政府に対し、現在進行中の 「公務員制度改革」の検討作業を直ちに中止し、「大綱」を白紙撤回したうえ で、あらためて国際労働基準と結社の自由原則に沿った制度改革を行なうため、 「全面的で率直かつ意味のある交渉・協議」を速やかに行なうよう強く求める ものである。  2.「勧告」は、「これらの協議は,日本の法令及び慣行がILO87号、98 号条約に違反している」ことを前提に  (1)消防職員、監獄職員に自らが選択する団体を設立する権利を認めるこ と  (2)地方レベルの登録制度を当局の事前許可なく職員団体が設立できるよ う改めること  (3)組合に専従組合役員の任期を自ら定めることを認めること  (4)国家の運営に直接関与しない公務員に結社の自由原則に従って団体交 渉権及びストライキ権を付与すること  (5)団体交渉権及びストライキ権またはそのいずれか一方が制限または禁 止されうる労働者に関しては、自らの利益を守る根本的手段を与えられないこ れら職員を適切に補償するために国・地方レベルで適切な手続き及び機関を確 立すること  (6)ストライキ権を正当に行使する公務員が民事上又は刑事上の重い刑罰 を受けることのないように法律を改正すること、に焦点をあてるべきとしてい る。  この「勧告」内容は、全労連などの提訴内容を全面的に受け入れたものであ り、これまでのILO総会や委員会での様々な議論集約を包括的に整理して、 更により具体的に一歩踏み込んだものである。  また、日本政府のこれまでの主張を全面的に退け、公務員制度に関わる日本 の法令や慣行及び政府・行革推進事務局の「公務員制度改革」の進め方を厳し く批判するとともに、その是正を求めて法案策定過程をも注視するものであり、 日本の公務員制度と労働基本権問題に対する文字通り歴史的かつ画期的な「勧 告」というべきものである。  3.日本の公務員制度と労働基本権問題をめぐっては、1960年代にILO87 号条約批准にかかわってILO「実情調査調停委員会」が発動され、日本への 「調査団派遣」とそれをふまえたいわゆる「ドライヤー報告」が示されて以来、 多くの案件と議論がすすめられてきた。(今回の全労連提訴にかかわる経緯な どは別紙のとおりである。)  2002年11月8日の「結社の自由委員会」での全労連、連合提訴案件の審議は、 これらの事情を考 慮し、結社の自由原則の重要性と日本の問題点について集 中的議論を行なった。  その結果、結社の自由委員会は、その「結論」部分で、日本政府がこれまで 幾度となく述べてきた「国際労働基準の適用にあたっては、労使関係の歴史、 社会的、経済的状況など国の事情を考慮すべき」という主張に対して、「結社 の自由原則は、全ての加盟国において一律的に、一貫して適用されるべき」で あり、日本政府はその立場を正当化するために最高裁判決に依拠しているとし ているが、「国内法が結社の自由原則に違反する場合には、当該法を審査し結 社の自由原則に合致するよう指針を与えることは、ILOの権限の範囲内であ る」として、日本政府の「見解」を全面的に厳しく批判している。  これは、先進資本主義国である日本の公務員制度が永年にわたって結社の自 由原則に違反し、ILOでの度重なる批判に対しても日本政府がかたくなに拒 否する態度をとり続け、現在進行中の「公務員制度改革」がいっそう事態を悪 化させていることに対する厳しい国際的批判にほかならない。  4.いま日本の政府・財界が押しすすめる新自由主義的グローバル化と規制 緩和路線のもとで、「ルールなき資本主義」といわれる、かつてない雇用破壊 や賃金・労働条件の切下げ攻撃が横行しているが、今回の「報告・勧告」は、 公務労働者・労働組合はもとより、一方的なリストラ・解雇の押付けを許さず、 職場に自由と民主主義を求めてたたかっている日本のすべての労働者・労働組 合を大きく激励するものである。  今回の「報告・勧告」に至る特徴は、日本政府によるILO87号、98号条約 の過去・現在・未来に及ぶ不履行に対して、全労連、連合がほぼ同じ趣旨で提 訴し、国際自由労連や世界労連などの国際労働組合組織や各国労組の支援を得 つつ、国内外の世論と運動を高めてくる中で、ILO結社の自由委員会がその 本来の役割と見識を発揮したことである。  もし日本政府が、こうした結社の自由委員会の「報告・勧告」に従わず、こ れを無視する態度をとり続けるならば、必ずや日本政府に対する国際的な批判 がいっそう強まり、国際社会から孤立することになるであろう。  国際労働基準とILO結社の自由原則に沿った「公務員制度改革」を実現し ていくうえで、国内での私たちの主体的なたたかいがいよいよ決定的に重要に なっている。  全労連は、ILO結社の自由委員会の「報告・勧告」を背景にして、労働基 本権と「働くルール」を確立するとともに、「政官財の癒着」根絶や「天下り」 の禁止など、「国民・住民全体の奉仕者」という憲法原則にもとづく民主的公 務員制度の確立にむけ全力をつくすものである。 以上 (資料―若干の経過等について)  1.全労連は、日本政府による「公務員制度改革」の内容と進め方のいずれ もがILO条約に違反するとして、2002年3月15日付けでILO結社の自由委員会に 提訴(第2183号案件)した。(連合も 同年2月26日に提訴済み=第2177号案 件)  その主張点の第一は、2001年6月のILO第89回総会で政府が「国際公約」し た労働組合との「誠実な交渉・協議」を反故にし、政治主導で一方的に「労働 基本権制約の現状維持」を決定するなど、2001年12月の「公務員制度改革大綱」 決定に至る手続き上の問題であった。  その第二は、「信賞必罰」の新人事制度導入に固執する一方で、消防職員等 の団結権制限、「管理運営事項」等による交渉権制限、自治体当局等の一方的 な賃下げ、人事院・人事委員会への労働者代表の関与、「国家の運営に関与し ない公務員」の範囲設定などに何ら言及しないという、「大綱」の内容上の問 題であった。そして第三は、現行の労働基本権制約を維持したまま、内閣・各 府省の人事管理権限を拡大し、人事院の権限・機能の縮小を図るという、「代 償機能の形骸化」の問題であった。  2.その後、2002年6月のILO第90回総会で、再び日本の「公務員制度改革」 が論議となり、「基準適用委員会」で日本案件として第98号条約(団結権及び 団体交渉権についての原則の適用に関する条約)の実施状況が個別審査され、 日本政府の対応に国際的な批判が集中した。これらの論議を受けた議長集約で は、日本の公務員が自らの賃金決定への参加を著しく制限されていることに懸 念が表明され、「国家の運営に関与しない」公務員の雇用条件が団体交渉の奨 励と促進によって決定されるよう、関係する労働組合などと十分協議のうえ、 公務員制度改革が行われることへの強い希望が表明された。  これは、「労働基本権制約は現状維持」とする「大綱」の内容が、ILO98号 条約の「完全な履行」から程遠いとする認識を前提にしたものであり、全労連 として改めて政府に「大綱」の撤回を迫るとともに、11月のILO結社の自由委 員会をにらんで、民主的公務員制度確立の「請願署名」を軸に国内外の取組み に全力をあげてきた。  3.全労連は、こうしたILOでの議論経過と取組みの到達点をふまえ、5月段 階での公務3単産書記長による「第1次ILO要請行動」に続き、11月7日から のILO結社の自由委員会における全労連・連合提訴案件の審議を前に、自治労 連や国公労連など25名もの代表団による「第2次ILO要請行動」に取り組んで きた。  そして、11月1日のILO結社の自由部への要請では、9月中旬に日本政府が 結社の自由委員会に提出した「見解」について、それはまさに「木で鼻をくくっ た」もので、全労連の提訴内容を真っ向から否定し、ILO87号・98号条約の国 際労働基準に真っ向から挑戦していることなど、具体的な事実をふまえて全面 的な反論を行った。さらに、政府が「大綱」どおり2003年の通常国会に国家公 務員法等「改正案」の提出をねらっている事態を重視し、結社の自由委員会が 全労連の提訴内容にそってまさに「目から鱗が落ちる」ような勧告を強く要請 したところである。以上 ---------- [100-9-5] ILO結社の自由委員会中間報告(2002.11.21 全労連国際局・仮訳) http://www.kokko-net.org/kokkororen/koumu/k021122a.htm 「・・・630. 第2に、政府が公務員の労使関係の歴史、社会的経済的背景、等々 の国の事情が考慮されるべきであると何度か述べているように、委員会は訴を 審査するにあたってはつねにそのような要因を考慮する一方、結社の自由原則 は諸国間に一律かつ一貫して適用されることを指摘する。一国が ILOへの加盟 を決定するとき、それは結社の自由の原則をはじめとしてILO憲章およびフィ ラデルフィア宣言に具体化された基本的原則を受諾し(結社の自由委員会の決 定と原則の判例集1996年第4 版第10項)、また、すべての政府はILO条約の批 准によって約束した誓約を完全に尊重する義務を負う(同判例集第11項)。 ・・・ 652. 上記の中間的な結論に照らし、委員会は理事会が以下の勧告を承認する よう要請する。 (a) 政府は公務員の労働基本権にたいする現在の制約を維持するという言明さ れた意図を再考すべきである。 (b) 委員会は、公務員制度改革の理論的根拠及び内容に関して、この問題につ いてのより広い合意を得るために、また、法律を改正しそれを結社の自由原則 に合致させるようにすることを目的として、すべての関係者との全面的で率直 かつ意味のある協議が速やかに行なわれるべきことを強く勧告する。これらの 協議は、日本の法令及び慣行またはいずれか一方が条約第87号及び第98号の条 項に違反していることについての、以下の問題にとくに焦点をあてるべきであ る。 (i) 消防職員及び監獄職員にみずからが選択する団体を設立する権利を認める こと; (ii) 公務員が当局の事前の許可に等しい措置を受けることなくみずからの選択 による団体を設立することができるよう地方レベルでの登録制度を改めること (iii) 公務員組合に専従組合役員の任期をみずから定めることを認めること (iv) 国家の施政に直接従事しない公務員に結社の自由原則に従って団体交渉権 及びストライキ権を付与すること (v) 団体交渉権及びストライキ権またはそのどちらか一方が結社の自由原則の もとで正当に制限または禁止されうる労働者に関しては、みずからの利益を守 る根本的手段を与えられないこれら職員を適切に補償するために国及び地方レ ベルで適切な手続及び機関を確立すること (vi) みずからのストライキ権を正当に行使する公務員が民事上または刑事上の 重い刑罰を受けることのないように法律を改正すること (c) 委員会は政府及び連合にたいし独立行政法人に移行した1万8千人の公務員 が当局の事前の許可なしにみずからの選択する団体を設立または加入すること ができたか否かについて委員会に情報提供することを要請する。 (d) 委員会は政府にたいし大宇陀町(奈良県)の事案に関する裁判所の判決を 委員会に提供することを求める。 (e) 委員会はまた、政府が公務員における交渉事項の範囲について労働組合と の意味のある対話にとりかかるよう要請する。 (f) 委員会は政府および提訴団体にたいし不当労働行為の救済措置手続に関し て基調となっている法と慣行についてさらに情報提供をおこなうよう要請する。 (g) 委員会は政府に対し上記のすべての問題に関する進展についてひきつづき 情報提供するとともに、提出される法案文書の写しを提供するよう要請する。 (h) 委員会は政府にたいし、希望するならば事務局の技術的援助が利用できる ことを想起してもらう。 (i) 委員会は本事案の立法的側面について条約勧告適用専門家委員会の注意を 喚起する。 (全労連国際局・仮訳)」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-10] 意見・解説の紹介 ---------- [100-10-1] 豊島耕一「結果偏重の価値観は問題」(2002.11.19) http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ta2/toyosima/daigaku/UniversityIssues/jomo-shinbun1116.html 「佐賀大学の豊島です.次の記事に関しての感想と意見です. [he-forum 4738] 上毛新聞11/16 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4736.htm この記事はいろいろと示唆的な内容を含んでいると思います. 記事は,学外での市民レベルの活発な動きに対して,「第一当事者であるはず の学生や教育学部教官の反応は鈍い」と評しています.学生自治会もなく,自 発的な組織化の動きもないとのことです. 学生がみずから社会問題にかかわることができるかどうかは,高校までの広い 意味での「政治教育」の成果が問われる問題ですが,現在の状況はこれがほぼ 失敗していることを示しています.これは,教育基本法8条の「政治教育の尊 重」が十分実施されておらず,むしろ無視・抑圧されていることに原因がある と思われます.この「主犯」は文部省,文部科学省です.(諸外国では学生は 日本よりはるかに政治的に活発なのです.)そして,大学においても,98年 の「ユネスコ高等教育宣言」が十分に実行されていないことも意味するでしょ う. 「高等教育機関は、学生を批判的に思考し、社会の問題を分析してその解 決策を求め、それを実践して社会的責任を受け入れることができる見聞の 広い、深く動機付けられた市民となるように教育すべきである.」(宣言 2章9条b項) いま問題の独法化は,それが定める文部科学省の大学への強い統制によって, 高校までを支配してきた文部科学省のやりかたが大学にも及ぶことを意味しま すから,教育基本法8条の系統的な無視は大学にも押しつけられることになる でしょう.(自治寮の廃止の動きなど,部分的にはこのことはすでに行われて います.) 教員の態度についても考えさせられます.ある助教授の,「教授会として言う べきことは言った。学内の力関係から見れば、教育学部の決定を学長が力で押 し切るのは明白だった」との言葉が引用されています.「言うべきことは言」 い,なすべき事はやった後で,「力関係」について評価するのはいいでしょう. しかし「力関係」という言葉を聞くと,どうしても次のような傾向を想起せざ るを得ません.つまり,「力関係」を先に考えて,どうせだめだろうから,言 うべき事も言わない,という態度です.そしてその最大の現場は,独法化をめ ぐる言説の場です. 引用された助教授の発言は「事後評価」に関することですから問題ないとして, これに対して,先に「力関係」ばかりを考え,原理原則は二の次という対処の 仕方には二重に問題があります.まず,ものごとは言論や道理で動くという見 方ではなく,「力の論理」が支配する世界を容認しているという点です.もう 一つは,それではみずからも「力」を行使する,つまり闘うのかというと,そ うではなく,闘わないための言い逃れとしてこの言葉が使われるケースが多い, ということです.この言葉はおそらく左翼用語でしょうが,これを使う人は, なにやらその仰々しい装いだけは見せながら,実は全く臆病そのもの,という わけです.その状況証拠として,同じ左翼用語でも「日和見主義」はほとんど 使われないということが挙げられます.これは,だれもがほとんどそうだから この言葉が不要になった,ということなのでしょうか. ---------------- 記事から離れて独法化問題についての最近の傾向についてコメントします. おそらく違法な「独法化準備」は,「独法化はすでに現実」という強い暗示を 与え(暗示より強力な心理手段はありません),これに加わった反対派の人ま で部分的に賛成派に変えていくでしょう.なぜなら,自分が相当な時間と労力 を投入した「中期目標」などの文書が無駄になるのを,だんだん望まないよう になるでしょうから. 独法化についての現在の大学関係者の大方の態度は,阻止するのは現実的では ないから,どう対応するかに重点を置く,というものでしょう.独法化が大学 社会の根本的な価値にかかわるものではない,憲法や教育基本法とそれほど矛 盾するものでもない,「効率化」ならやむを得ない,というような認識を持っ ている人にとっては,このような態度が内心に深刻な分裂を引き起こすことは ないでしょう.しかしそうではない場合,内心の分裂を“大勢順応”で乗り切 ることが果たして健全なことでしょうか.それでハッピーなのでしょうか.健 康にもいいことでしょうか. 「自己満足」という言葉はふつう悪い意味で使われますが,よい意味でも使う べきだと思います.つまり,それぞれが自分の信条と良心に照らして,満足で きる行いをしているのかどうかを「自己点検」し確かめるべきだと思います. 「結果」だけを唯一価値あるものと考え,「予測」と「対応」にばかり重点を 置く態度は,民主主義の原理とも相容れないし,これを腐敗させるものだと思 います.なぜなら,国家という大きな人間集団が作り出す「結果」は,そう簡 単に個人や小集団の力で変えられるものではありません.そのことを絶対的な 前提とすると,“大勢順応”で対処することしかなくなってしまうのです. しかし本来「結果」とは,個人個人の独立した思考が---もちろんそれらの間 の相互作用は当然ですが---もたらす結論の総和でなければならないはずです. もっと個人個人の独立した意志とその相互作用のプロセスそのものに含まれる 価値を重視すべきなのではないでしょうか.そのような価値観への転換が必要 であるように思われます.そしてその技術的な基盤は,インターネットに代表 されるような,まさに「民主的な」通信技術によって成長しつつあります. 国会にこの問題で参考人として呼ばれた場合を想定してみて下さい.最後まで 反対を言い続けなかったことを説明できるでしょうか.テロを受ける恐れがあっ たのでしょうか.解雇される恐れがあったのでしょうか. 上の記事に引用された,「残す会」のメンバーの「非常にふがいない」という 言葉は,独法化に関して声をあげなくなった大学関係者にも向けられるように 思われます. かつて,ベトナム戦争反対の言論で名を知られたアメリカのフルブライト上院 議員の,大学についての言葉を紹介します.今の日本の状況にぴったり当ては まるのではないでしょうか. When the university turns away from its central purpose and makes itself an appendage to the Government, concerning itself with techniques rather than purposes, with expedients rather than ideas, dispensing convensional orthodoxy rather than new ideas, it is not only failing to meet its responsibilities to its students; it is betraying a public trust. Fulbright, "The War and its Effects -- II," Congressional Record, December 13, 1967.」 ---------- [100-10-2] 小田垣孝 "What is going on in Japanese Science and Universities" Answer to Questions of Toni Feder, an editor of Physics Today (2001.8.23) http://www.cmt.phys.kyushu-u.ac.jp/~T.Odagaki/phystoday.html ---------- [100-10-3] 養老孟司「科学と国民の距離英語で論文を書く理由」 毎日新聞2002.11.10 http://www.mainichi.co.jp/eye/kaze/200211/10-1.html ---------- [100-10-4] 「日本の学術成果の世界への発信のあり方をめぐって」 電子メディア週刊医学界新聞洋書看護情報第2511号2002年11月18日座談会 http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2002dir/n2511dir/n2511_01.htm 「廣川 私も遠藤先生のご指摘にまったく賛成します。特に最近は,経済停滞 のために経済界からの圧力によって,大学が総動員で近視眼的になり,短期間 に効果を出すような方向に導かれている傾向があるように感じます。これは大 変危険なことです。  そういう意味で,ご指摘のように基礎的な研究が大事です。それが文化とい うものであって,それを育てていくことが大学の使命だと思います。」 「名取 「戦略創造プログラム」の今年度の新規募集領域を見ると,ライフサ イエンス関連では「糖鎖の生物機能」と「テーラーメード医療をめざしたゲノ ム情報の活用」です。どういうプロセスを経てこのような領域が取り上げられ たかはわかりませんが,個人的には少々失望します。  「戦略創造プログラム」を銘打つからには,もう少し生物学の広い領域から, 野心的な研究を掘り起こすようなスタンスがあってよいように思います。」 ---------- [100-10-5] 田中宇の国際ニュース解説2002.11.11号 http://tanakanews.com/c1111war.htm 「・・・だがその一方で、911以後、テロ事件のショックなどから思考停止 の体制翼賛状態に陥っていたアメリカのマスコミや言論人たちが、徐々に本来 の思考を取り戻し始めているのも、最近の傾向だ。」 ---------- [100-10-6] 池田信夫「インターネットを非合法化する個人情報保護法」 (経済産業研究所)週刊ダイヤモンド(2002.10/19特大号) http://www.rieti.go.jp/jp/special/policy_discussion/04.html 「・・・しかし個人情報保護法案の対象はデータベースであり、メディア規制 ではない。この種の法律でマスメディアが摘発された例は世界にもないのに、 メディアが騒ぐ一方、コンピュータ業界が何もいわないのは奇妙である。この 法案が成立したら、インターネットのウェブサイト(ホームページ)はほとん ど「非合法」になるからだ。 企業のホームページはほとんど規制の対象になる プライバシーという概念が19世紀末にできたのは、スキャンダル報道から著名 人を守るためだったが、最近の問題はこれとは別のコンピュータの個人データ の話である。両者が混同されていることが混乱の原因だ。」 ・・・ インターネット時代に問われる「表現の自由」 法案は流れそうなので、今からでも遅くない。問題を根本的に考え直すべきだ 。私についての情報は私のものではないし、私が所有すべきでもない。情報を 本人が私的に検閲する「自己情報コントロール権」というのは、民主主義の社 会では認められてはならない。生産のインセンティブが必要ない個人情報には 、著作権のような強い権利保護は必要なく、事後的な紛争処理によって問題を 解決すべきだ。」 ---------- 2002.11.29 補足 個人情報保護法案の諸問題のページを見た方からメールを頂いた。11/06 にリン クを紹介した論説「インターネットを非合法化する個人情報保護法」の中で池田 氏が自己情報コントロール権を否定していることを懸念するコメントで、「彼に とってはプライバシーよりも経済のほうが優先すべき問題であり、つまりプライ バシー擁護の見地には立っておらず、こともあろうに自己情報コントロール権が 表現の自由を脅かすという誤解をもたらす主張をしている」と書かれていた。 池田氏の主張は、本人の意図はわからないが、意表を突く議論によって、問題の 核心を浮きぼりにする効果はある。住民基本台帳法ネットの問題点は、個人情報 流出の危険性にあるのではなく、政府による一元的情報管理にあること、また、 個人情報保護法案の最大の問題点は、「個人情報を守れ」という世論を悪用して、 公的機関以外の団体・個人における情報蓄積をすべて規制しようという点にある、 とサイト管理者は考えている。いずれも、問題全体の核心が、個人情報保護の強 調によって隠蔽されている。 なお、池田氏の議論で腑に落ちない点はある。氏が主に例として挙げているのは、 強者の自己情報コントロール権発動による弊害である。例えば、「情報は自由を 求めている−戦後的思考を超えて」では、次のような例が紹介されている。 「スウェーデンで、ある人物が「スウェーデン反銀行活動」というウェブサイト を立ち上げ、不道徳な(と彼の判断した)銀行の取締役を実名で批判した。銀行 側は彼を個人情報法違反で告発し、被告は罰金刑を受けたが最高裁まで争い、昨 年6月、スウェーデン最高裁は「個人情 報法は表現の自由を侵害する」という違 憲判決を出した。」 http://www.hotwired.co.jp/bitliteracy/ikeda/021119 こういった例を理由に、強者・弱者の区別なく自己情報コントロール権全体を問 題視する論調には明らかに飛躍がある。この飛躍が池田氏の何らかの意図を暗示 するものかどうか、それはわからないが。 ーーーーー なお、池田氏の個人情報に関する主張を巡って論争が展開されている: http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/yamagata.html http://cruel.org/candybox/ikedareply.html http://ruitomo.com/~hiroo/bbs/kohobu.html ---------- [100-10-7] 加藤周一「日本はどこへ行くのか」岩波ブックレットNo. 410 1996 ISBN 4-00-003350-6 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集発行人:辻下 徹 tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp 関連ページ:http://ac-net.org/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 100